無限と問題児   作:蛇龍好き

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話が完全にオリジナルな上にオリジナル設定や自己解釈ありの回です。


原初の星と〝無〟すめの対話

白夜叉の私室。

〝   〟はラミアを強制的に眠らせると、龍角と尻尾を生やした。

次に白夜叉を強制的に正座させると、その膝にゴロンと横になる。

最後に丸くなって生やした尻尾を咥えて寛いだ。

白夜叉はやれやれと呆れたような表情をしつつ、ラミア(〝   〟)の頭を優しく撫でてやる。

 

「その馬鹿っぽい姿は相手を心の底から信頼してる証、だったかの?」

 

「むぅ、馬鹿っぽいは余計だ。こんな無防備な姿を見せるのは貴女の前くらいだからな」

 

「尻尾を咥えたまま器用に喋るのおんし」

 

「?」

 

小首を傾げる〝   〟。

こうしてみると、小動物みたいで可愛らしい。

抱きしめてやりたい衝動に駆られるが、なんとか耐える白夜叉。

そのままの状態で〝   〟に質問した。

 

「おんしが所属しているコミュニティ〝ウロボロス〟についてなんだが、」

 

「断る」

 

「まだ何も言っておらんだろ?」

 

「その先の内容は容易に予想できる。〝ウロボロス〟の情報は仮令(たとえ)貴女であっても教えられない」

 

〝   〟は尻尾を咥えたまま白夜叉に言う。

そんな〝   〟に、白夜叉は悲し気な表情で言う。

 

「………おんしが〝ウロボロス〟に所属しているのは、〝ノーネーム〟の『敵』を演じる為だろう?」

 

「ああ。箱庭に多大な貢献をしてきた〝ノーネーム〟の『敵』を演じることで、私は今度こそ『悪』になれるのではないかと期待している」

 

〝   〟は期待の眼差しで白夜叉を見る。

〝   〟はこれまで『敵』を演じては『悪』になろうと努めてきた。

数多の神群に喧嘩を売りにいったり。

〝神殺し〟なるものに協力したり。

仕舞いには箱庭すら滅ぼそうとすらした。

だというのに、〝   〟は殺されることはなく〝封印〟などという方法で無力化しようとしてきた。

白夜叉を含む星霊達が、星々の境界に〝   〟を〝封印〟しようとしたのだ。

〝   〟はその対応に不満しかない。

しかし白夜叉は小首を横に振って否定する。

 

「不可能だの」

 

「え?」

 

「おんしが何をしようと、何を成そうとも〝善〟にも〝悪〟にも成れんぞ。おんしを見つけ、育てた私には分かる」

 

「………むぅ」

 

〝   〟は否定されて不貞腐れる。

 

「偉大なる我らの原初の星(マザー)よ。何もない、何ものでもない〝(ワタシ)〟を〝無限(わたし)〟に導いたのは他の誰でもない、貴女ではなかったか」

 

「そうだの。だが実際はどうだ?おんしは〝無限〟になれたか?私はそうは思えん。おんし自身も、『ウロボロス』という器を箱庭に住まう何某が用意したものに過ぎんと、そう感じておるだろ?」

 

「……………、」

 

そう言われると返す言葉も見つからない。

遥か昔、〝   〟は〝無〟として気の遠くなる程永く存在していた。

そんな〝   〟をある日、宇宙真理(ブラフマン)の一人にして白夜王を名乗る以前の原初の星が見つけた。

見つけた、という表現は正しくはないが。

そもそも、〝無〟は文字通り〝無〟でしかない。

そんな〝   〟を見つけることは愚か、感じ取ることも出来ないはずだ。

しかし原初の星は〝   〟の存在に気付き、見つけることが出来た。

ブラフマンだからか、はたまたただの偶然か。

それから原初の星と共に〝   〟は歩むこととなる。

関係は母と子といった感じか。

それ故に、原初の星(白夜叉)に否定される程悲しいものはない。

白夜叉は困ったように頭を掻く。

 

「ああ、いや。別におんしのこれまでの歩みを否定するつもりはないのだが………」

 

「………分かってる。私は〝無〟。色々なことを学び、模倣(まね)をしたところで何かを得ることなど出来やしないのだからな」

 

完全に拗ねモードに入る〝   〟。

心なしか咥えてる尻尾を強く噛んでるようにも見える。

〝無〟として箱庭に存在する〝   〟には、何も通用しない。

〝無〟故に、あらゆる力は通用しないのだ。

逆に〝   〟から干渉してきた場合は、干渉されたものの全てを〝無〟にする。

ラミアが太陽光を直接浴びても大丈夫だったのは、〝   〟が干渉したことによって彼女は全てを〝無〟にされ、無力な少女になってるからだ。

〝   〟がラミアとの干渉を完全に断てば、彼女は再び詩人達の恩恵(のろい)に苦しみ、己を無間に封印せざるを得なくなるだろう。

干渉するもの全ては通用せず、逆に干渉されたものの全てを〝無〟にする。

〝   〟が持つデフォルト機能だ。

いや、元はこれしか持っていないはずだった。

〝無〟しか存在しない場所にブラフマンや星霊が生まれ、龍種が訪れ、神霊が現れるなど〝無〟ではない〝有〟なるものの存在が次々と箱庭を占めていった。

それがきっかけか、〝   〟は『無から有を生み出す』権能を手にしていた。

その権能を使って自由に力を振るい続け、数多の神群に御迷惑を被ってきたが『ウロボロス』の名を与えられ〝無〟から〝無限〟の存在―――純血の龍種になれた。

しかし結果は違っていた。

箱庭に住まう何某が、第四の最強種と呼ばれた詩人達によって造られた、存在するはずのない架空の純血の龍種『ウロボロス』の名を名乗っていただけなのだと。

そして、詩人達の力を以てしても〝   〟に恩恵を与えることが敵わなかったということを。

白夜叉はラミア(〝   〟)の頭を優しく撫でながら言う。

 

「おんしが〝無〟ではない何かになろうと様々なことをしてきたのを私は知っておる。おんしなりに必死に足掻いてきた結果なのだろうがの」

 

「うん」

 

「だが、限度というものがある」

 

「え?」

 

「………おんしが再びこの箱庭を滅ぼそうとするならば〝封印〟ではなく―――私がこの手で〝無に還そう(殺してやろう)〟」

 

星の殺意を〝   〟に向けて凄む白夜叉。

〝   〟はキョトンと彼女を見返し、

 

()()()()()()()?」

 

「は?」

 

「私はね、()()()()()()()。〝無〟であるが故に、『死』とは無縁の存在だから」

 

「そ、そうか」

 

「―――だから箱庭を滅ぼそうとしたのに」

 

「………ッ!!?」

 

白夜叉はギョッと目を剥く。

死にたいが為に、箱庭に住まう全てを敵に回しただと?

今まで子供のように無邪気に遊び回っていただけだった彼女が、急に箱庭を滅ぼそうとした理由がそれと?

―――狂っている。

そして私は彼女の意思を汲み取れずに〝封印〟などという方法を取ってしまった。

いや、そもそも〝封印〟すら通用しなかったはず。

彼女は寂しげな表情を見せ、箱庭から姿を消した。

まあ、外界に行ったわけではなかったようだが。

 

「いや、どんな理由であっても箱庭を滅ぼそうとするのは駄目だ戯け者!」

 

「貴女の願いは箱庭を永遠の都市にすること、だっけ?」

 

「そうだとも」

 

「よし、じゃあ今からでも箱庭を滅ぼしに」

 

「行かせるか大戯け者がァアアアアアッ!!!」

 

グゴシャァアッ!!!と白夜叉が全力でラミア(〝   〟)の頭に扇子を叩き込んだ。

したり顔で笑う〝   〟。

冗談だったらしい。

こやつの冗談は冗談に思えんから油断できんわ。

 

「まあ、今のところは変な真似はしない」

 

「ほ、本当かの?」

 

「うむ。面白い連中に出逢えたからな」

 

「………童達のことか?」

 

「ああ。鍛え甲斐のありそうな連中だった。はてさてどうやって遊んでやろうか」

 

「………やはりそういう目的だったか。おんしらしいといえばおんしらしいが」

 

これは童達も()()()()()目をつけられたのは災難だったとしか言い様がないの。

こやつが興味を持った相手への愛情表現はかなりズレておるからな。

合掌でもしておくか。

白夜叉はフッと思い出したように〝   〟に問う。

 

「ところでおんしは〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟を模倣できるかの?」

 

「無論だ」

 

〝   〟が頷くと、白夜叉の眼前に無から生み出された恩恵、〝生命の目録〟が現れる。

白夜叉はそれを手に取り、まじまじと見つめる。

 

「コウメイの小娘が持っておった〝生命の目録〟とそっくりだの。実はおんしが造ったとかでは?」

 

「それは100%有り得ない。私が造れるのは本物(オリジナル)が存在するものの贋作(レプリカ)だけ。私は〝無〟だから私だけの創作物(オリジナル)を造る権利すら与えられてない」

 

飛鳥に与えた〝無限の指輪〟も、一見オリジナルに見えるが『ウロボロス』をモチーフにした指輪に、『無から有を生み出す』権能を付与させただけのものだ。

それ即ち、白夜叉が手にしている〝生命の目録〟もまたオリジナルではなくレプリカなのだ。

 

「して、この〝生命の目録〟とはどんな恩恵なのだ?」

 

「それは耀が先だと言ったはずだけど?」

 

「………チッ」

 

「舌打ちしても駄目」

 

断固拒否の〝   〟に、唇を尖らせて拗ねる白夜叉。

 

「それはそうと、いつまで私の膝枕を堪能する気だおんし」

 

原初の星(マザー)の膝枕、極楽だから」

 

「ふふ、そうか。だがそろそろ起きんと―――他の者に見られるやもしれんぞ?」

 

「………ああ、この気配は―――レティシアか」

 

〝   〟は白夜叉の指摘した者の名を口にして起き上がる。

生やしていた龍角と尻尾を引っ込めて強制的に眠らせていたラミアを起こす。

 

『―――はっ!?』

 

「おはようラミア。良い夢は見れたか?」

 

『え?って急に眠らさないでくださいよ無限王様!?吃驚(びっくり)したじゃないですか!』

 

「すまないね。ラミアでも聞かれるわけにはいかないお話をしていたからな。なあ、()()?」

 

「う、うむ」

 

いつもの態度に戻った〝   〟もとい自称無限王に、ちょっぴり残念そうな顔をする白夜叉。

あっちの方が可愛がり甲斐があるというものを。

それを察して苦笑を零す無限王。

一体全体何を話していたのか凄く気になるラミアだった。




オリ主の正体
世界が始まる以前に存在していた〝無〟そのもの。
あらゆる力が通用しない。
干渉されたものの全てを〝無〟にする(対象が消滅するわけではない)。

権能
〝無から有を生み出す〟恩恵
あらゆるものを無から生み出し与える側の恩恵。
しかし元々〝無〟であるが故に本物の贋作しか造れない。

箱庭に住まうもの達には純血の龍種と認識されており、容姿が少女なのは白夜叉の真似で、本来は性別すらない。


箱庭に存在する四人のブラフマンのうち、白夜叉しか原作でも明言されていないが、ブラフマン故に〝無〟を理解出来た設定。
第四の最強種、詩人達の唄は〝真実だったことになる〟。
ならば存在しなかったものを、あたかも存在していたかのように歴史を改変することも可能なのではという設定で、オリ主のこれまでの行為をオモシロオカシク綴って『ウロボロス』という架空の純血の龍種を造った。
元々彼らの目的は自称無限王を名乗っている名無しのオリ主を、自分達好みの存在に改変し手中に収めようとした大いなる計画だったらしい。


白夜叉の私室に入ってきたレティシアは、無限王の存在に気付いて最大限の警戒と怒りを向ける。彼女は無限王が〝ウロボロス〟の間者であり〝ノーネーム〟の敵だということを知っているからだ。しかしそれを白夜叉に演技だということをバラされて………

次回、吸血姫姉登場と虎の強化計画
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