無限と問題児 作:蛇龍好き
原作既読推奨タグの通り、黒ウサギの箱庭の説明はカットします
「―――あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらう為に小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
それにそこの御方は黒ウサギのことを助けてくれなかったですし、と黒ウサギが恨みがましく無限王を睨み付けてきた。
無限王はフッと小さく笑い、
「彼らの楽しみを奪うのは些か気が引けたのでな」
「嘘です!ニヤニヤしながら見ていたじゃないですか!実は貴女も楽しんでいたでしょう!?」
「うむ」
ガクリ、と項垂れる黒ウサギ。
うむ、じゃないのですよこのお馬鹿様ぁあああああ!!!と内心で絶叫した。
一方、黒ウサギのウサ耳を堪能し終えた三人のうち、金髪の少年が無限王を見て訊いてきた。
「それで、何処からともなく現れたそこのお前は何者だ?」
「ん?私の事か?」
「貴女以外に一体誰がいるのかしら?」
「とぼけても無駄」
黒髪の少女と茶髪の少女も続いて言う。
それに無限王はスッと目を細めて返した。
「名を訊ねる前に、まずは貴様らが名乗ったらどうだ?礼儀を弁えぬ餓鬼共に教えてやることは何一つとしてないぞ?」
「なっ………!?」
「………ガキじゃない」
「へえ?」
少女とは思えない発言に驚く黒髪の少女。
餓鬼扱いされてムッとする茶髪の少女。
金髪の少年は物騒に瞳を光らせて無限王を見つめる。
中々面白い事を言うなお前、と。
無限王はフッと小さく笑い手を振った。
「―――というのは冗談だ。そうだな、ただで名前を教えてやるつもりはないが………箱庭出身の何某とでも答えておこうか」
「箱庭出身?」
最初に茶髪の少女が反応すると、黒髪の少女が不機嫌そうな態度で続く。
「そう、箱庭出身なのね貴女。私は………いえ、貴女が名前を教えてくれないのなら名乗る必要はないわね」
「………それなら私も名乗らない」
「なに意地張ってんだお前ら。ま、俺もそいつに名乗るつもりはないがな」
ヤハハと笑って続く金髪の少年。
無限王はほう?と感心したように小さく笑う。
まあ尤も、名乗ってもらう必要はないが。
「(少年の名は逆廻十六夜。少女二人の名は黒髪は久遠飛鳥、茶髪は春日部耀。〝 〟の連中が用意した
無限王は
故に、名乗らずとも名前を知ることが出来る彼女には何の問題もないのだ。
「さて、邪魔をしたな〝箱庭の貴族〟よ。来たばかりの異世界人に箱庭の説明をしてやってくれ」
無限王は黒ウサギにバトンタッチする。
ハッと我に返った黒ウサギは、自分の前の岸辺に座り込んで待機していた三人を見た。
まあその三人は『聞くだけ聞こう』という程度にしか耳を傾けていないが。
それでも話を聞いてもらえるのなら越したことはないと咳払い一つ、箱庭の説明を始めた。
《黒ウサギ説明中》
黒ウサギの用件が終わると、黒髪の少女改め飛鳥が無限王に視線を向けてきて、
「あら、まだいたのね貴女。帰ったのかと思ってたわ」
「ぬ?」
飛鳥に続いて金髪の少年改め十六夜がニヤリと笑って、
「邪魔をしたな、って言った割にはまだいるんだなお前」
「………む」
とどめに茶髪の少女改め耀が無表情で言う。
「なんでまだいるの?」
「……………」
容赦のない彼らの言葉に閉口する無限王。
黒ウサギが飛鳥達の失礼な態度に怒ろうとして、
「ちょ、御三人様!?そんな言い方をしなくても」
「構わんよ〝箱庭の貴族〟。生意気な子供は嫌いではないからな」
無限王に右手で制された。
それから彼女は十六夜達三人を見回して残っている理由を告げる。
「私がまだいるのはお前達に興味があるからだ。是非ともお前達のギフトを見せてくれないか?」
「断る」
「却下」
「やだ」
「………だろうな」
「当たり前だ。なんで見ず知らずのお前なんかにギフトを見せなくちゃならねえんだよ」
十六夜の言うことは尤もである。
初対面の相手に、況してや名も知れぬ相手にギフトを見せるのは自殺行為に等しい。
ギフトを知られるということは、自分の才能を露見するということなのだから。
だが無限王は彼らに興味があって下層に降りてきたのだ。
何の収穫もなしで帰るのは有り得ないし、だからといって彼らに付き添うつもりもない。
故に彼女が取る選択は一つしかない。
「………ふむ。あまり手荒な真似はしたくなかったが致し方ない」
「あん?」
十六夜が無限王の小言を聞き取り、眉を顰めた瞬間―――
「―――
―――無限王の死刑宣告と共に、彼女の身体から凄まじい殺気が放たれた。
「「「「―――――ッ!!?」」」」
少女のものとは思えない殺気に息を詰まらせる十六夜達四人。
そのうち、飛鳥と耀は耐えきれずに青ざめてその場で尻餅をつく。
〝箱庭の貴族〟である黒ウサギが耐えるのは分かってはいたがまさか、
「………私の殺意に耐えるか、少年」
面白い、と思わず笑みが零れる。
無限王の殺気になんとか耐えた十六夜は、心地よい冷や汗を流しながら不敵に笑った。
「―――ハッ、俺はあんたを見縊ってたよ。いいぜ、テメェの望み通り見せてやらあ!」
そして十六夜は踏み込みだけで無限王に肉薄し、拳を振るい―――人差し指のみで受け止められた。
「なっ、」
「なんだ、ただ殴りに来ただけではないか。………ふん、興が冷めたな………帰る」
無限王は十六夜をつまらないものでも見るかのような目で見たのち、姿を消した。
一方、十六夜は己の渾身の一撃を人差し指一つで容易く受け止められた事実に絶望―――してなかった。
むしろ嬉々とした笑みを浮かべてさえいた。
この箱庭には、あんなヤバイ奴がいるのかと。
全身を震わせる。
この震えは恐怖によるものではない、武者震いというやつだ。
消えた黒ローブの少女の姿を思い浮かべて、十六夜は不敵に笑う。
次会ったら絶対に、一発叩き込んでやると心に決めたのだった。
十六夜達とのファーストコンタクトは大失敗に終わったオリ主
本当はこんな接し方をするつもりはなかったらしい
■■■に説教されたオリ主は十六夜達との険悪な関係を解消するべく後を追いかけるのだが………
次回、無限王はストーカー!?
○クスウェルほどではないが