無限と問題児   作:蛇龍好き

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書いたものを丸々書き直したり夏の暑さでやる気が出なかったり寝落ちしたりで投稿遅くなりました。

中編、後編に分けるべきだったと後悔中………今回はちょっと長めです。


無限王はストーカー!?後編

無限王は空から十六夜を尾行しながら、ウーちゃん2号の〝眼〟と〝耳〟で飛鳥達の様子も同時に観察していた。

十六夜が出鱈目な速度で森の中を駆けていると森の魑魅魍魎と遭遇、一戦交えていた。

彼らは本来人間の手には余る強さを持っているのだが、十六夜の出鱈目加減は人の域を超えており、圧倒された。

彼の強さに森の魑魅魍魎は完敗、道を譲った。

そんな彼らに十六夜は「黒ウサギの足止めよろしく」と伝えて先を急いだ。

森の魑魅魍魎は〝月の兎〟が此処を通る事を知り、待ち伏せするのだった。

 

 

一方、ウーちゃん2号の〝眼〟と〝耳〟。

箱庭都市の外門でジンと呼ばれた緑髪の少年と合流し、黒ウサギが新しい仲間を連れてきた事を報告するも、十六夜が消えている事に気が付く。

それについて飛鳥と耀に問い質すも、止めるのが面倒という理由で彼を見逃したようだ。

ガクリと前のめりに倒れる黒ウサギ。

ジンが蒼白になって、幻獣に遭遇したら不味い事を話す。

 

「………ついさっきその少年によって幻獣の一角である魑魅魍魎が蹴散らされたけどな」

 

空から十六夜を尾行しながら、無限王は苦笑を零す。

もしかしたら彼ならば〝世界の果て〟付近の幻獣も蹴散らせるのかもしれない。

そんな情報は黒ウサギ達が知る由もない。

黒ウサギはジンに飛鳥と耀を託すと、凄まじい速度で十六夜を捜しに行った。

それから飛鳥達は箱庭都市に入り、〝六本傷〟の旗を掲げるカフェテラスに座った。

そこで耀のギフトの力の一端が判明する。

《全ての種と言葉を交わせる》というものだった。

 

「………ふむ。()()()()の娘は彼から〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟を譲り渡されていたか」

 

『へ?コウメイってあのコウメイですか!?』

 

「うむ。〝      〟の前頭首を務めていた男だ。それと同時にコミュニティの最強戦力でもある」

 

そして〝生命の目録〟は、《全ての種と言葉を交わせる》だけではないのだが。

飛鳥のギフトの話に入る前に変な格好をした大男が乱入してきた。

〝フォレス・ガロ〟のリーダー、ガルド=ガスパー。

〝六百六十六の獣〟の傘下に入ったコミュニティである。

全能領域(箱庭三桁)〟の魔王の傘下に入り、その権力を振り翳しては好き勝手やってるどうしようもない外道である。

 

「―――とはいえ()の魔王は箱庭にはいないがな」

 

とどのつまり、魔王無き〝六百六十六の獣〟は〝主催者権限(ホストマスター)〟に群がる烏合の衆でしかない。

だがその事実を最下層の者達が知る筈もない。

傘下のガルドならばいざ知れず、他の者達はいもしない魔王の存在に怯えながら暮らす日々を送っているのだ。

そんなガルドはジンのコミュニティを嘲笑い、召喚された新しい人材と黒ウサギを奪い取る算段だろう。

ガルドとジンが言い争っていると、飛鳥が割り込みコミュニティの事をジンに問い詰める。

しかしジンは答えない。

代わりにガルドがコミュニティの話とジンのコミュニティ〝ノーネーム〟について語り始めた。

《割愛》

話を終えたガルドは飛鳥と耀に黒ウサギを含めて自分のコミュニティに来ないかと提案。

しかし飛鳥は拒否、ジンのコミュニティで間に合ってると言う。

耀に至っては、友達作り目的でどちらでもいいらしい。

それが切っ掛けで飛鳥と耀は友達となり、三毛猫も嬉し涙を流した。

それから飛鳥はガルドの話で違和感を見つけ、彼を事情聴取することにした。

()()()()()」と言い、ガルドを強制的に黙らせると「()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と強制的に椅子に座らせて逆らえなくなる。

 

「ほう、霊格が劣るものを従わせるか。だが、」

 

《人心を操る》程度のギフトではなかろう?と無限王は怪しく瞳を光らせ笑う。

〝生命の目録〟に〝()()〟か。

正しくあの娘達は人類最強戦力(ミリオンクラウン)と称されるに相応しいギフトの持ち主だ。

あの少年は一体どんなギフトを所持しているのだろうか?

後で彼のギフトを覗いてみるか、とクックッと喉を鳴らして笑う無限王。

飛鳥のギフトでガルドは逆らえずに悪事を吐露していく。

彼の絵に描いた外道っぷりに飛鳥は裁く事は可能かジンに聞くも、箱庭の外に逃げられたらお仕舞いだそうだ。

苛立たしげにガルドの拘束を解く飛鳥。

ガルドは激昂と共にワータイガーに変身して、魔王の存在を仄めかすが効果なし。

飛鳥に襲い掛かるも「喧嘩はダメ」と耀が割り込みこれを制圧。

耀に押さえ付けられたガルドに、飛鳥は提案する。

〝フォレス・ガロ〟存続と〝ノーネーム〟の誇りと魂を賭けたギフトゲームをしましょう、と。

 

 

視点戻って無限王。

十六夜は現在、トリトニスの大滝で足を止めて景色を嗜んでいた。

するとその滝壺から一匹の巨大な蛇が姿を現した。

 

「………ふむ、()()か。そう言えば此処は()()の眷属の縄張りだったな」

 

『………白夜王様の眷属ってたしか()()を持ってませんでしたっけ?』

 

暢気に言う無限王と緊張気味に言う■■■。

神格保持者の白雪は森の魑魅魍魎とは比較にならない強さを持つ。

流石にこれは十六夜に勝ち目は無しかと思ったが、予想外の結果になった。

白雪が『試練を選べ』と言うと、十六夜は上から目線で物を言うその態度が気に入らなかったらしい。

十六夜は「なら俺を試せるかどうか、試させてもらうぜ」と挑発的な態度で返した。

これに白雪はキレて竜巻く水柱を作り、容赦なく十六夜に向けて放った。

しかし十六夜は難なくそれを躱し、そして跳躍すると大蛇(白雪)の眉間に拳を叩き込んで滝壺に沈めた。

ギフトを使った形跡はない、素手で白雪を叩きのめしたのだ。

そんな出鱈目加減の十六夜に驚く無限王と■■■。

それから黒ウサギが森の中から姿を現し十六夜に駆け寄る。

怒る黒ウサギと笑う十六夜。

「水神のゲームに挑んだかと思いましたよ」と黒ウサギが言うと、十六夜は「アレの事か?」と返す。

アレと言われて黒ウサギが振り返ると、白雪が起き上がり『試練は終わってないぞ小僧ォ!!』と激昂した。

怒り狂う白雪を「蛇神!?」と言って驚く黒ウサギ。

十六夜が事の顛末を話すが、それに白雪が怒りと共に水柱を立ち昇らせる。

黒ウサギが十六夜を庇おうとするが、彼は本気の殺気でそれを阻み「これは俺が()()()、奴が()()()喧嘩だから邪魔すんな」と声を上げる。

十六夜のその心意気を買い、『この一撃を凌げば貴様の勝利だ』と条件を出す白雪。

それに十六夜は「決闘は勝者ではなく、()()()()()()()()()()()()」と返した。

その傲慢な物言いに白雪は呆れて閉口したのち、『その戯言が貴様の最期だ!』と言って三本の竜巻く水柱を作り、十六夜に放つ。

黒ウサギが叫ぶがもう遅い、激流は十六夜を呑み込もうとして―――()()()()()()!!と腕の一振で薙ぎ払った。

「嘘!?」『馬鹿な!?』と驚愕する黒ウサギと白雪。

全霊の一撃を弾かれ放心する白雪は、その隙を見逃さなかった十六夜の蹴りを腹部に受けて上空高く打ち上げられ、そして滝壺に落下した。

 

「………ギフトを使わずに神格保持者の白雪を倒すか………フフ、面白い少年だ」

 

『………彼は本当に人間なのでしょうか!?』

 

獰猛な笑みを浮かべて十六夜を見下ろす無限王と驚愕の声を上げる■■■。

無限王は丁度いい、と十六夜のギフトを覗いてみたが、

 

「―――【全知】………む?〝正体不明(コード・アンノウン)〟だと?」

 

【全知】を口にするも、鑑定はエラー。

まさか、観測不可領域(ブラックボックス)で発生したギフトか?

箱庭内でも閲覧規制が入る領域ならば、【全知】であっても見ることは不可能。

………口惜(くや)しいが直接ギフトを確認するまでは我慢するしかない。

黒ウサギがぼうっとしていると、十六夜がセクハラしようとしていた。

それに黒ウサギが怒り、ヤハハと十六夜は笑った。

それから白雪から勝利報酬を受け取りに行こうとした黒ウサギは、十六夜に阻まれた。

そして十六夜に、黒ウサギの隠していた事を見抜かれる。

黒ウサギは葛藤するも、彼を失うわけにはいかないし、それに真剣に〝箱庭の世界〟を見定めようとしている者を前にこれ以上誤魔化したところで無駄だと悟る。

黒ウサギは自棄っぱちでコミュニティの惨状を説明した。

〝名〟と〝旗印〟を失い、中核を成す者が一人もおらず、ゲームに参加出来るのは黒ウサギとジンのみで後は十歳以下の子供が百二十人しかいないと言った。

「もう崖っぷちだな!」「ホントですねー♪」と十六夜の冷静な言葉にウフフと笑う黒ウサギは、ガクリと膝を突いて項垂れる。

全てを奪った元凶―――〝魔王〟の事を話すと、「ま………マオウ!?」と十六夜が興奮気味に声を上げた。

彼は〝魔王〟と戦ってみたいらしい、野蛮な少年である。

十六夜は「新しく作ったら駄目なのか?」と訊き、黒ウサギは可能だがそれでは駄目なのだと答える。

仲間達が守る場所を守りつつ、コミュニティを再建し、コミュニティの名と旗印を取り戻し掲げたいと野望を口にする。

その為には十六夜達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るしかない、その力を貸して欲しいと懇願する黒ウサギ。

それに「魔王から誇りと仲間をねえ」と十六夜は気無い声で返し、たっぷり三分間黙り込んだ後、「いいな、それ」と答えた。

「―――………は?」と黒ウサギが呆然とする。

「HA?じゃねえよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」と十六夜が不機嫌そうに言う。

そんな流れとはとても思えなかったのだから仕方がない。

「それとも俺がいらねえのか?失礼な事言うと本気で他所行くぞ」と十六夜が言うと、黒ウサギは全力で首を横に振って十六夜は必要だと返す。

素直でよろしい、と十六夜は言い、黒ウサギは白雪からギフト―――水樹の苗を貰うとウッキャー♪なんて奇声を上げて喜んでいた。

これで無事〝ノーネーム〟は十六夜・飛鳥・耀の三人に、一人も欠ける事無くコミュニティに入ってもらう事になったのだった。

その様子を見届けていた無限王は、スッと目を細めて言う。

 

「名と旗印を取り戻し掲げる、か。だがそれは過酷な旅路になるだろう。お前達のコミュニティ〝      〟を滅ぼした〝()()()()()〟に勝利することはな」

 

『………無限王様が滅ぼしたわけではありませんけどね』

 

「おいコラそこ!ネタバラシするな!」

 

『あら、口が滑ってしまいましたわ』

 

してやったりとクスクス笑う■■■。

「ぬぅ」と低く唸る無限王。

だがまあ〝ウロボロス〟に所属してこそいるが、黒ウサギ達のコミュニティを滅ぼしたラスボスではない。

そも、コミュニティ単一を滅ぼす理由は彼女にはないのだ。

滅ぼすならば()()の方だと、凶悪な笑みを浮かべるのだった。




ウーちゃん2号の〝眼〟と〝耳〟
創造主たる無限王は、被造物の五感と共有させることが可能。離れていても常時、被造物から情報を獲得できるというもの。今回は〝視覚〟と〝聴覚〟を共有させて飛鳥達の観察を行った。

【全知】
文字通り、全てを知ることが出来るギフト。
だが観測不可領域のような〝存在するも特定が出来ない〟ものは閲覧規制が入り【全知】であっても見ることが不可能。


噴水広場で黒ウサギと十六夜(【認識阻害】の無限王含む)は飛鳥達(【認識阻害】のウーちゃん2号含む)と合流するが、飛鳥達は外道に喧嘩を売ってきた!と言い、黒ウサギは説教する。それから〝サウザンドアイズ〟に向かうことになったのだが………

次回、無限と白夜と問題児
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