何処かで見たような、名前も出す予定のない脇役が大きい顔をしています。
整備班というだけでどうしてもイメージがそっちに寄ってしまいますが他人の空似です。
一応今回だけ出す予定のキャラになります。
「見ねえ面だな。新入りか?」
加持は背後から響いた嗄れ声にぎくりと動きを止める。
ソファに向けていた首をそっと後ろに向ければ、雀卓の下にもぞもぞと動く寝袋が。
「悪いな。最近わけえ連中の出入りが激しいもんで、顔も一々覚えちゃねえんだ」
寝袋から這い出た老年の男は椅子に掛けてあった整備部用のオレンジ色のツナギを着込み、欠伸をしながら大きく伸びをしぼやく。
「白シャツだな。技術部か保安部か・・・いいや、監査部だな。赤木の嬢ちゃんがその髭を許す筈がねえし、保安部ならその尻尾を認めねえ」
本部中枢に携わる技術部の長を嬢ちゃん呼ばわりする男はロマンスグレーの髪をかき上げ、雀卓に置かれていた作業帽を目深に被り分厚い黒縁の眼鏡を掛ける。
「それで、監査官殿がネルフの英雄に何の用だ?」
どかりと椅子に腰掛け煙草を取り出す男の眼光は眼鏡のレンズが光出しそうなほど鋭いものだった。
「英雄・・・ねえ」
その言葉に加持はゆっくりと立ち上がり、ソファで眠る少年、碇シンジをもう一度見遣る。
右目や左足だけではない。
ブランケットの隙間から覗くのは縫い目だらけの左腕に下顎から胸に広がる火傷の痕。
文章や写真で見るよりも更に痛々しく、おどろおどろしさを感じさせるそれらは小さな子供が見れば驚きと恐怖で泣き出してしまいそうな程で。しかし、加持にとってそれらはどこか懐かしく、親しみ易さすら覚えてしまう。
「生贄の間違いでしょ」
眼鏡の男を見下ろし、火の点いた煙草を雀卓に押し付け皮肉たっぷりにそう呟いた加持に男もまた、煙草をブリッジの上に吐き捨て踏み潰すと。
「おめえ・・・本部の、ネルフの人間じゃねえな」
男の言葉の意味を理解し反論する間もなく加持は背後から回された細い腕に首を絞め上げられ、背中に感じる重みに理解が及ばず驚きで身体を硬直させてしまう。
「なっ?!」
「シンジッ!そのまま手ぇ放すんじゃねえぞ!」
軽いながらも人一人背負った状態の加持はがっちり絞まった首の腕も解けず、男から蹴る勢いで足を払われ受け身もとれないまま後ろへ、ソファの上に倒れてしまう。
「何所の回し者かは知らねえが、ここの有様を見たからにはただじゃあ帰さねえ」
空の一斗瓶を逆さに持ち振り上げる男は叫ぶ。
「怪我人老人と侮ったが運の尽きィ!!覚悟ォ!!」
加持は首を絞められ声も出せず、腕で頭を庇おうにも何時の間にか、やはり後ろから白い脚に肩回りを挟み込まれ腕が上げれない状態に。
まさかの絶体絶命。
いくら真実のために死ぬ覚悟をしていたとしても、こんなふざけた形でその覚悟を試されるとは夢にも思わなかった加持である。
それでもさりとてこの現実を否定するでもなく、ここで終わるのであればそれも仕方ないと、振り下ろされる一斗瓶から目を逸らすことはなかった。
ただ、本来ならば洋上で久し振りの再会を果たす筈だった女性のことを加持は想う。
( こんなことなら寄り道せず会いに ─── )
勿論、こんな所でこの男の命運が尽きる筈もなく。
「ちょおぉっとまったああーーッ!!」
さりとて、運命の女神様に見守ってもらえる様なタイプでもなく。
「・・・・・・もしかして知り合いか? ─── 」
ギリギリで、瓶を振り下ろし当てる直前で腕を止めた眼鏡の男が、ブリッジの端から真っ青な顔で駆け寄る縦にも横にも大きい色黒の男に訊ねる。
「 ─── 高雄」
本来ならば久し振りの再会を果たすことになる名前だったが、ソファの上で絞め落とされた加持に届くことはなかった。
高雄さんはともかく眼鏡の方はアニメでも時折出てくるモブのネルフ職員と同じ立場になるのでオリキャラというよりは舞台装置に近い感じです。
なのでオリキャラ等のタグは付けていません。
ダメそうなら教えてください。直しますので。