「艦長!!」
揺れる空母内で通路の壁に肩を打ち付けながら、髪も振り乱し艦橋へ転がり込んで来たリツコに艦長と副長は嫌味も忘れ助け起こす。
「レイがっ!輸送船に移動した子供達と連絡が・・・」
取れないから無線での通話を。
そう艦長に頼み込もうとしたリツコの目に、大きな波飛沫を上げ胴体を真っ二つに折られた輸送船がゆっくりと海中に沈んでいく光景が映る。
「・・・・・・うそ」
リツコは腕を支えられたまま、顔を真っ青にしてズルズルと力なく床の上に膝を突いてしまう。
「不味いぞ・・・全艦任意に迎撃!輸送船に近い艦は子供二人の捜索を!」
輸送船近くの戦艦が続けて沈む中、艦長の命令により魚雷の水中衝撃波とミサイルの発射音が響き渡る。
救助ではなく捜索。
その言葉の意味の違いを理解しながらも、リツコは艦橋の外に広がる景色を黙ったまま見詰めることしかできなかった。
本来ならば艦長の持つマイクに割り込んででも弐号機の引き揚げと
捜索の指示すらも恐らくは方便。
艦長の気遣いであると気が付いたリツコは、ならばせめて使徒の迎撃だけでもと考え、やはり冷静にそれも無理だと首を振る。
「・・・無駄よ。使徒に通常兵器は効かな ─── 」
『魚雷、ミサイル共に命中!』
「え?」
『巨大不明生物の活動停止を確認!』
「は?」
『体液らしきものを噴出させ浮上してきます!!』
「「いやったあー-っ!!」」
「・・・・・・うそ」
マイクを掴んだまま肩を組みガッツポーズで勝鬨を上げる艦長と副長を横目に、リツコはまさかの事態に困惑する。
( そっ、そんな・・・無理よ?!だって使徒には A T フィールドが・・・ )
そこまで考え、本当の意味でようやく冷静になったリツコは艦長と副長を張り倒しマイクを奪い取るとチャンネルを合わせ叫ぶ。
「弐号機応答なさい!!」
桟橋の上、少女達は下着姿で向き合っていた。
「
腕を組み、ばつが悪そうに視線を僅かに逸らしたアスカが尋ねる。
「ぇえ。ほうよ」
左頬を赤く腫らしたレイは手にしていた制服をプールへ。
「もういひどひうわ」
ロープにまとめた工作道具類を肩に。
「わふぁひひふぉりてたはゕうはら、あはふぁはのひふひぃんほいっほひ ─── 」
「あーもう!グーで殴ったあたしが悪かったから無理に喋んじゃないわよ!傷広がるわよ!?」
その言い草に多少なりとも思う所があるのか、レイは口の中に溜まった涎と血を遠慮なくプールへ吐き捨てるとそのまま一歩踏み出す。
アスカの目の前へ、血が抜けて幾分か喋り易くなった口で告げる。
「足手纏いよ」
その言葉にアスカは再び右手を振り上げるも、今度は左頬に向かうことはなかった。
「とひふぁえふ、こへへをふぁいほへ」
今度は視線を逸らすことなく、右頬を腫らしたアスカも更に一歩、レイに詰め寄り。
「ひょうほぅはゃらい」
レイの胸元を指し、全身から溢れ出る全てのものを呑み込み、鼻先が触れ合う距離で見得を切る。
「どっちが本当の足手纏いか、証明してあげようじゃないの!!」
次回はもう少し真面目な感じになる予定です。