フィードバック ( ハードモード )   作:沼田もんざえもん

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レイ、求めるものは

 

 

 

 

 

『こちらエヴァ弐号機』

 

 その声に今度は後ろへ頭から倒れ掛かるリツコを艦長と副長が支える。

 

『現在、使徒の口腔内にてコアの破壊を完了。沈黙を確認。使徒体表への攻撃の終了と救助を要請します』

 

 艦橋からの返信を待たず、荒い呼吸を押さえ震える声で紡がれた報告に艦長と副長はぎょっとする。

 

「レ、レイ・・・アスカは?」

 

 却ってこちらはパイロット達の安否確認もままならず、恐る恐る端的に尋ねるリツコに問題ありませんと短く答えた後。

 

『セカンドチルドレンは外部からの爆破の衝撃で気絶中。使徒殲滅による外傷は両パイロット共に、打撲五、裂傷六、非開放骨折二、開放骨折一。現在順次止血中。失血量問題なし。目視による腹部外傷と触診による内臓損傷は今の所見受けられません・・・あと、口腔内裂傷一追加』

 

 その問題のあり過ぎる内容に、更に目を丸くする二人に支えられたままリツコだけが今度こそ胸を撫で下ろす様に息を吐いた。

 

『シンクロは既に強制終了済み。生命維持モードに切り替えた後、ファーストチルドレンはこれから救急セット内の・・・・・・消毒液が・・・そう・・・・・・ L C L 内では確かに不要・・・知っていた筈なのに、匂いだけでもだなんて・・・・・・投与器機を用い鎮痛剤を打ち救助までの間、通信を止め休眠に入ります。以上、お酒が飲みたい』

 

 落胆の色を隠しきれない溜息を最後に、報告終わりますみたいな雰囲気で己の欲求を溢し締めくくる、案外余裕のありそうなレイからの通信は終わった。

 その相変わらずなレイの様子に安堵するリツコもマイクに向け、お疲れ様と伝わらない労いを送る。

 後ろでひそひそと囁かれる保護責任者遺棄だとか児童虐待だとかの単語を聞かなかったことにして。

 

 

 

 

 

 

「随分と危ない橋、渡ったみたいね」

 

 ジープの後部座席で揺られながら手元の報告書を捲るネルフの赤いジャケットを羽織った女性、葛城ミサトが停泊中の空母を横目に呟く。

 その隣では白衣も脱いでぐったりと席に身を預けるリツコがおざなり答える。

 

「現場のパイロットによる咄嗟の判断よ」

 

 こちら(ネルフ)の被害は最小限なんだからいいじゃないと、完全にお荷物だったリツコとは違い、奇襲された側にも関わらず何とか勝利と生存を掴み取った両パイロットの奮闘を彼女は素直に称賛する。

 

「貴重なサンプルとデータも取れたし、私から言うことは特にないわ」

「ダブルエントリーにおけるフィードバックの分散・・・ねえ」

 

 空母の甲板上では横たわる巨大な魚とも鯨ともつかない白い怪生物の口を抉じ開け様と、紫色の巨人がこれまた巨大なナイフを片腕にえっちらおっちらと緩慢な動作で救助活動に勤しんでいた。




あまり真面目な感じにはなりませんでした。
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