イレギュラーで何が悪い 〜影の無敵ウマ男〜 作:気まぐれな富士山
最近好きなものを書きすぎてる気がする・・・
投稿頻度?察して。
この世界には『イレギュラー』というものがある。
例えるなら、陸上界の異端視ウサイン・ボルト。
彼はカール・ルイス発の100m9秒台を難なく突破し、挙句の果てに9秒58という、人間の範疇を超えた記録を出した。
その他にも、三段跳びのジョナサン・エドワーズやサッカーのクリスティアーノ・ロナウド、昔だと革命家ナポレオンや稀代のマッドサイエンティスト、ニコラ・テスラなど様々だ。
生物的なものだと、白いキリンや白いワニといったアルビノという個体のことも『イレギュラー』という。
しかし、イレギュラーは排除される。
生物だと、アルビノ個体は群れから迫害される。
ナポレオンは国外追放され、テスラは出資者に裏切られニューヨークで孤独死した。
そして、俺もイレギュラーだ。(これは厨二病拗らせとかではなく、生物的にという意味。)
通常、母がウマ娘で男が生まれると『足の速い人間』になる。
ウマ娘には追いつけないが、走りのセンスが高まった状態で生まれるとされるが、
俺はウマ娘だった。
意味がわからないだろう。俺もわからん。
ウマ娘の耳、尻尾、足。
それを持っていたが、性器が、心が、声が、形が。
男だった。
普通なら実験室でアレコレされるだろうが、俺は自宅出産で、さらに医者も看護師も俺の親族だけという状態で生まれた為、世にこの話は出ていない。
そうして俺はウマ娘、いや、言い方が悪いが『ウマ男』として生を受けたのだった。
名を、
苗字は親父のものだ。
妹はビワハヤヒデとナリタブライアン。
そして今日、俺はトレセン学園にいる。
素性を隠し、史上最年少トレーナーとして働くのだ。
「5時丁度・・・大丈夫だよな。」
今日から働く学園のターフへ足を踏み入れる。
「ここで・・・みんな走ってるんだ・・・」
2500の芝。ウマ娘からしたらそれがどうしたって感じだろうが、俺は感動していた。
俺の中の本能が叫んでいる。
走れと。
「ゲートに入って・・・スタート!」
芝を蹴る。大地を踏み締める。
足を前に出し、駆ける。
後ろの相手を置き去りにし、駆け抜ける。
第3、第4コーナーをまわって、最後の直進。
全ての筋肉を跳躍させ、跳ねるように。
もう少しでゴール・・・力を最後まで入れて・・・
ゴールイン!
「ハァッ、ハァッ・・・」
走ってなお続くこの高揚感。
たまらねぇ、おさまらねぇ。
「やっべ、そろそろ来るな。」
足早に家に戻っていく。
「いいなぁ、ウマ娘は。」
いかんいかん、今日からは教える立場なのだ。
「しっかり人間らしくしないと・・・」
尻尾をズボンの中に隠し、耳を帽子で隠し、確認する。
「ハヤヒデとブライアンの入学式に遅れちまう。」
これから家に戻って朝食を作り、3人で身支度をしなければならない。
そんな日々が3年ほど続いた。
「ほらー、起きろ!ナリ!ビワ!」
2階から返事がない。
「ったく、手間かけさせやがって・・・」
先ずはビワからだ。
「起きろ!もう7時だぞ!」
「う〜、もう少し・・・」
「布団で隠すな!ほら、もう飯できてんだぞ!」
布団をはぎ取る。
「うっ、寒い・・・」
4月上旬の気温はまだ少し肌寒い。
「レースカーテンだけ閉めろって言ってるだろ。さ、とっとと起きろ。飯冷めるぞ。」
次はナリ。
「おーい起きろナリ。朝だぞ。」
「兄貴・・・おはよう・・・」
「おはようって、布団で顔を隠しながらいうもんじゃありません!」
「う〜ん、まだ寝る・・・」
「早く起きろ。」
布団をひっぺがす(take2)
「兄貴・・・寒い・・・」
「はいはい、おぶってやるから行くぞ。」
ブライアンはよくこうやって俺をタクシー代わりに使う。妹としては困ったもんだ。
居間に着くと、ビワはもう座っていた。
「ほれ、着いたぞ。」
「いただきます・・・」
「ビワ、醤油は?お茶も。」
「いや、醤油はいい。今塩分カットしてるんだ。」
「兄貴、ソース取ってくれ。」
「はいはい、後これもな。」
「ん、ありがと。」
「ビワ、ほれ。」
「ありがと兄さん。・・・やっぱり朝はゆかりに限るな。」
「のりたまの方が美味いぞ。」
「さっさと食っちまいねぇ。」
ビワハヤヒデ。かなり知的なウマ娘として世間に知られているが、俺からしたらいつもの妹だ。昔とほとんど変わらない。
「兄貴、車出してくれ。」
ナリタブライアン。こっちも世間的にはクールキャラだが・・・感情表現が苦手なだけの妹だ。昔は可愛かったんだが、最近は甘えることも少なくなってきた。
「どうした。いつもは歩いていってるじゃないか。」
「今日は生徒会で集合があってな。」
「私も乗せてってくれ。」
「・・・OK。わかったよ。」
「じゃあ、また後でな。」
「兄貴も仕事頑張って。」
妹達と別れ、トレーナー室へ向かう。
「さてと、ブルボンとマルゼンのレースの分析するか。あ、タキオンのデータも見ないと・・・ん、これたしかあの時のか。」
もう
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「トレーナー君。練習に付き合って欲しいんだが。」
「ルドルフ!勉強のほうはいいのか?」
「彼女を見ると、いてもたっても居られなくなってね。」
ルドルフは校庭を指さした。
「ナリか?まだまだだな。アイツ、足がまだ前に出せてねぇ。蹴っ飛ばすばっかで地面をかいてないんだ。あ、ビワもだ。また踏み締めることばっかで踏み込めてねえな。全く、せっかくアドバイスしてやったのに。」
「ほう、やはり妹達が気になるかい?」
「気になる、というか、『あのままじゃ勝てない』ってことだ。『皇帝』にはさ。」
「ふふ、そこまで期待されると少し照れるな。」
「そりゃあ期待するさ。ミスターシービー以来の三冠ウマ娘。俺の自慢だ。自慢のウマ娘だ。」
「あらぁ?私は入っていないのかしら?」
「マルゼン!いや、そんなつもりじゃ・・・」
「アハハ!冗談冗談。でも間違えちゃだめよ?私達がこんなに強くなれたのも、貴方のおかげ。自信を持ちなさいな。」
「ハハハ、照れるな。」
この時、俺は素直になれなかったんだ。
ごめんなルドルフ、マルゼン、ビワ、ナリ。
この時俺は、すっげーお前らが憎かったんだ。
お前らを妬んで、羨ましがっていた。
なんで俺だけが隠れて走らなきゃならない。
俺、結構目立ちたがり屋なんだぜ?
これでもウマ娘の血を引いてるんだからよ。
ああ、いいなぁ。俺だって大観衆のなかで走りたい。
ウイニングライブもやりたい。
なんで。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
毎日考えたね。気持ち悪いくらい。
そういう時に限ってお前らは好成績を残しやがる。
だから、限界だったんだ。
あんなことが起こるくらい。
続く!と思う!