百合ゲー世界に転生したらなんかちょっと思ってたのと違った件について 作:アークフィア
息抜き作品の中で箸休めする奴が居るらしいですよ?
時系列的にちょっと後の話です。
○あるなんでもない一日のこと
「……あん?どうしたんだお前、微妙な顔して」
「いい感じのものができたと思ってたら、似たような作品が既にあった時の私の気持ちを答えよ」
「うっわマジか、ガチ凹みするわー」
「ええ……?そんな反応しないよ私……」
暑さで茹だる文芸部の部室で、だらだらしながらうだうだしてる私達。
……いい加減クーラー使えよとか言われそうだけど、いつから使用許可出すのかって結構悩むよねって言うか。
「
「買っておいた換えのインクなら、そこの戸棚の中よ」
「……昨日他の場所に移動しませんでしたっけそれ?」
「クーラー横の戸棚じゃないか?移動したような覚えがあるぞ」
うーん、暑さの所為かみんなちょっと反応が鈍いような。
炎天下の中、グラウンドで頑張ってる運動部の皆さんに比べれば、部屋組の私達はまだ楽なんだろうけど。
「軽快にヒットを飛ばしてる野球部部長とか見てると、運動部に暑さって効いてるのか、ちょっと疑問になるけどな」
「こういうのは結局慣れとも言うしねぇ……」
「最初から暑いと思っていないのかも知れないわよ、彼ら」
「信憑性の薄い突飛な理由を持ち出さないで下さいよ転校生さん……」
「
おや、紡ぎ手ちゃんまで溶けている。
快晴は普段なら喜ばしいんだけど、真夏のそれはやっぱり嫌われるってことかなー?
「選択肢は二つだね。アイス食べるか、怖い話でもするか」
「そこで真っ先にその二択になるあたりがアレだよな……」
「
「ちょっとなに言ってるかわからないですね……」
「鶴の一声、って言いたいんじゃないかしら?」
「転校生さんもつむちゃんの考え方がわかってきたみたいですね!」
「唐突なつむちゃんisなに」
「なにって、紡ぎ手ちゃんだからつむちゃんですよ?」
聞いてもよくわからないんですがそれは。
くそう、私もまだまだ後輩ちゃん理解力が足りないということか……。
結構長い付き合いだと思ってたんだけど、相互理解って意外と難しいねぇ。
「煮ても焼いても食べられないとはよく言われます!」
「ぬぅ、可食部はないのか後輩ちゃん……」
「……ねえ、なんでこの人は食べること前提に話をしているのかしら?」
「のっぴきならなくなったんだろ、なんにも考えずに脊髄反射で答えるから」
「はぁー?失礼なこと言わないでくれますぅー?私だってちゃんと考えてますぅー!」
「否定するんなら、ちゃんと反論材料を用意してからにするんだな」
「ふ、ふん。今日のところは素直に引いてやるぜ」
「……下手な雑魚よりも雑魚っぽいわよ、今の貴方」
「
……ここまで言われるようなことしたかな私?
最悪言われるようなことをしていたとしても、今それをやる必要性なくない!?
知らんぞこのやろー、私を怒らせたことを後悔させてやるぞ―!
「まぁまぁ、落ち着きましょう先輩。カリカリするのは暑さのせいなんですから、ね?」
「見たかさこの後輩ちゃんの優しさ!天使やでぇ、後輩ちゃんはホンマ天使やでぇ……!」
「無理なく無駄なく、速攻で取り入りに行ったなあの後輩……」
「名人級のワザマエというやつね、流石我が
「
すっごい外野がうるさいけど無視だ無視。
せっかくのてぇてぇチャンスなんだから、目一杯てぇてぇするんじゃい!
……そういうのいいから?ええ……?私に求められてるのてぇてぇじゃないんです……?
「やだやだやだ!てぇてぇするんじゃい!癒やしが欲しいんじゃい!」
「ゆっくり癒やしていってね?」
「……よくわからんけど、そこにはゆっくりも癒やしもてぇてぇも無いんじゃないか……?」
「楽にはなれるんじゃないかしら?」
「臨死体験でもしろとお言いなのですか転校生ちゃん……?」
「累卵の危うきを重ね続けるのならば、いつか望むべき場所にたどり着けるかも知れないわよ?」
「
「ロックに生きろってことよ、つまりは」
ただの自殺行為じゃないですかやだー!
「……わーい、できたー!」
「お、確かに。……大分無理やり感あるけど」
「んんん、そうやって水を差すの良くないぞ同胞!」
ちゃんと終わったんだからいいの!
……って言っても、こっちは完成しなかったんだけど。まぁ箸休めだから仕方ないね!
◯あるなんでもない一日その2
「ニヤニヤしてるけど、どうしたんだお前?」
「えへへへー、実はこの間応募してた懸賞が当たってさー」
ニヤニヤもするというものさ!
最近話題のとあるアニメの懸賞に当たり、その景品がやっと送られてきたのだ。
ダサ可愛い感じのマスコットのぬいぐるみだ、正直とっても嬉しい。
「最近流行ってますよね、そのアニメ!」
「メインヒロインが可愛い、みたいな話は私も聞いたことがあるわね」
「
「……よく知ってるなお前ら」
いい歳してアニメとかあんまり見ないタイプの幼馴染みは、どうやらピンと来ていないみたい。
……いい作品なんだけどなぁ。
「ライ麦畑をよく描写するものだから、ライ麦の販促とか言われてるんだよねー」
「『ねんがんの ライ麦畑に来たぞ!』なんて台詞が飛び出した時には、私も流石に笑っちゃいました!」
「大事な場面なんですよこれが!……なんて風に監督さんが熱弁していたらしいけれど、なにが彼をライ麦畑に駆り立てるのかしらね?」
「
「パンを?……いや、なんでまたパンの描写?」
あー、なんか雑誌のインタビューとかで聞いたことがあるような?
なんでも大昔にパンが主人公の物語を作ろうとしたら「それ大御所居るから」って断られたので、こうして無理やりねじ込んでるとかいないとか。
……果敢に立ち向かう相手としては、ちょっと強力すぎやしませんかね……?
「やー、なんというか。……個人でやれ?」
「冷静で沈着なもっともすぎるツッコミ……」
「みんな薄々思ってると思いますよ?多分ですけど」
「どうしたって目立つものね、あの謎の情熱は。笑えるからまだマシなほうなんでしょうけど」
「
……ねぇ、ちょっといいかな、と幼馴染みの裾をちょんちょんと引く。
くるりと彼がこちらを向いたので、その耳元に顔を近付けてこそこそ。
「すっごい今更なんだけど、紡ぎ手ちゃんちょっとズルくない?」
「……いや、副音声まで確りやってるし、ダメと言うにはちょっとアレじゃないか?」
……そうだよねぇ、どっちかだけならまだしも、どっちもちゃんとやれてるならダメとはいえないよねぇ……?
ええんか、ええんだよと二人でひそひそ話すけど、……うーむ。
「考えてみれば労力二倍みたいなものだし、……まぁ、いいかな」
「……?なにがいいんですか先輩?」
「いんや、こっちの話」
難しく考えすぎなのかもしれないなぁ、なんて。
……点数とか競うものでもないし、とりあえずは紡ぎ手ちゃんにはおやつのアイスを一番に選ぶ権利をあげようかなー、と思う私なのだった。
……だからまぁ、最後にネタバラししてもいいよね!
「しりとりって楽しいですね!」
「ねー」
ねー、と後輩ちゃんと笑う私なのであった。