その光の名は   作:名無なな

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サブタイトル考えるのムズカシイですね。


エイシンフラッシュとヴィクトリーピザ

 

「エ、エイシンフラッシュ……」

 

「トレーナーさん。今は私のトレーニング中のはずでしたよね? それなのに何で傍を離れて他のウマ娘と語り合っているんですか? ……よりにもよってヴィクトリーピザさんと」

 

 

 普段通り落ち着いた口ぶりだが、そこはかとなく威圧めいたなものを感じるのは気のせいだろうか。

 言葉的にエイシンフラッシュは俺の背後に立つヴィクトリーピザを意識しているようだ。俺はそっと横へと身を引き、二人を対面させる位置取りをする。

 

 ヴィクトリーピザは何がおかしいのか、クックッと押し殺した笑みを浮かべた。

 

 

「トレーナー契約おめでとう、フラッシュ。誰かに執着を見せるなんて、よほど気に入ったらしいね」

 

「執着ではありません。私はただトレーナーとしての責務を果たしてほしいと言っているまでです」

 

「ま、どうあれこれでトゥインクルシリーズへの参加権を得たわけだ。変なところで躓かないでよ? あたしとの勝負をつけたいと思うのは勝手だけど、重賞レースくらいは走ってもらわないとそもそも同じ場所に立てないからね」

 

 

 わざとらしく挑発してくるヴィクトリーピザ。けれどエイシンフラッシュはそれに乗ることはせず、ただただ冷静に言葉を返す。

 

「心配いりません。私はクラシック3冠を目指します。そうであればどこかで競う機会はあるでしょうから」

 

「そうかい……。なら決着は3冠――日本ダービーが相応しいね。どちらが上か、その時に白黒はっきりさせようじゃないか」

 

 

 そう言い残して、ヴィクトリーピザはフィットネスルームを後にした。

 その背中を見送ると、エイシンフラッシュは再度俺の顔に咎めるような視線を投げかけてきた。

 

「さて。そんな私のライバルに塩を送るなんて、それでも貴方は私のトレーナーさんですか?」

 

「非常に申し訳ない!」

 

 ぐうの音も出ないほどの正論なので、取れる行動としては平身低頭。謝るしかない。

 するとエイシンフラッシュは呆れた風にため息を吐いて、

 

 

「ヴィクトリーさんも私のトレーナーさんだと知って、からかい半分で声をかけたのでしょうから今回ばかりは許します。次からは気を付けてくださいね?」

 

「はい。……それにしても、キミがそこまで彼女をライバル視しているとは思わなかったよ」

 

 

 先ほどの2人のやり取りからは同世代の強敵だからという理由だけでなく、もっと個人的な事情が絡んでいるように見受けられた。

 

 エイシンフラッシュは若干話しづらそうにしていたが、悩んだ末に口を開いた。

 

「……ヴィクトリーさんとは私が留学した時からのクラスメイトで、慣れない私に色々とよくしてもらいました。分からない日本語を教えてくれたり、走りのアドバイスをしてくれたり……、一見してそうは見えませんが本当に良い人です」

 

「その割には親しさよりも競争心が勝っているように見えた」

 

「私のせいなんです。授業の一環でやった800メートル走で私が彼女に敗れて、それ以来彼女に勝ちたいと思うようになりました。授業でも選抜レースでも、機会があればいつでも。ですが結局、今までヴィクトリーさんには1度も勝てませんでした。だから今回のトゥインクルシリーズが最後のチャンスなんです」

 

 エイシンフラッシュはどこか昔を懐かしむように頬を緩ませる。かつては良き友人だったが、ウマ娘としての本能がヴィクトリーピザをライバル視させたのだろうか。

 先日の選抜レースが今の2人の実力差。ヴィクトリーピザのあの強さへの貪欲さを鑑みると、そう易々と追い抜かすことはできないはずだ。エイシンフラッシュが成長するようにヴィクトリーピザも成長していくからである。

 

 勝てるのか? とエイシンフラッシュは唇を噛む。俺は改めて反省をする。担当ウマ娘がこれほど不安を抱えているにも関わらず、彼女から目を逸らしてしまった。――俺はエイシンフラッシュのトレーナーなんだ。

 

 俺は自身の胸を右手で強く叩いて、彼女の注目を引く。

 

「大丈夫さ。キミ1人の力では勝てなかったとしても、今回は俺も協力する! 2人の力を合わせればきっと勝てる!」

 

 エイシンフラッシュは目をパチクリさせて、小さく笑みを漏らした。

 

 

「まったくもう。そのようなエビデンスの欠ける発言をして……。それにヴィクトリーさんも担当トレーナーを持つのですから、向こうも2人がかりですよ?」

 

「エビデンスて。キミが彼女に勝ちたいと思うのなら俺はそれをサポートする。それが担当トレーナーとしての務めだからな」

 

 

 えへん、と胸を張って言う。

 

 微笑みをこぼしていたエイシンフラッシュは、途端にスンといつものすまし顔に戻って時計を見やる。

 

「さて、もう小休憩の時間は3分も過ぎてしまっています。さっさと遅れた分を取り戻さないと今後に支障が出ますよ」

 

「切り替えが早い!」

 

 自分のペースを崩さない担当ウマ娘を見て、彼女となら目標を叶えられるという想いを一層強く抱くのであった。

 

 

 




そろそろメイクデビュー戦に入っていきたいところです。

でないとダービーを書けるのがいつになるか分かったものではありません。

アプリのメインストーリーでいつか主人公がエイシンフラッシュになったりしないかなぁ。育成キャラとして実装されたら是が非でも手に入れます(鋼の意思)。
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