その光の名は   作:名無なな

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 ウマ娘で実装されていない競走バの名前を勝手に使うことができないので、安直ながら勝手に名前を付けさせていただいてます。



第一章 出会い。そしてトゥインクルシリーズへ
新人トレーナー


「はぁ……」

 

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園――通称トレセン学園の広大な敷地内にあるカフェテリアで、俺は独りため息を吐いていた。

 俺が途方に暮れている理由は、初の担当ウマ娘が一向に見つからないことにある。トレセン学園に就職後1年間は座学やOJTを経て、2年目となる今年からは正式に担当ウマ娘と契約を結びトゥインクルシリーズへと挑戦するのだ。

 

 しかし肝心要のウマ娘とトレーナー契約を結ぶことができずにいる。幾度となくスカウトしてみたのだが、やはり新人トレーナーに自身の命運を預けたがるウマ娘などそうはいない。あの桐生院家ほどの名門であれば話は別だろうが、生憎俺に血統書は付いていない。

 

 今は3月中旬。4月になるとトゥインクルシリーズが開幕してしまうため、それまでに契約できなければ、どこかのチームのサブトレーナー募集を受けるか、あるいは同じくトレーナー契約を結べなかったウマ娘たちと運営側がマッチングさせてくれる機会に賭けるか。

 

 コーヒーを飲みながらタブレット端末で今期にデビュー志願書を提出しているウマ娘たちの情報を眺めていると、不意に対面の席に馴染みのあるトレーナーが座ってきた。

 

「よお新人トレーナーくん。そんなに落ち込んでどうしたのかな?」

 

「園部トレーナー。飛び込み営業がまったく成功しないサラリーマンの気分ですよ、新人には堪えます」

 

 

 園部トレーナーとはOJTのときにお世話になった人で、順調にトレーナーとしての実績を積み重ねてきた、トレセン内では期待の有望株だ。

 

 園部トレーナーはうんうんと共感を示しながら、

 

「あーうんうん。俺も初めてのときはそうだった。俺のときは締切ギリギリでウマ娘と契約できたからよかったけど、そうでないトレーナーも多いからな。皆有名どころに惹かれるものさ」

 

「名もなき花はないですが、超マイナーな草の名前を憶えている人はいませんからね。差し詰め俺は岩の下で押しつぶされた、日の目を見ない雑草に過ぎないということでしょう」

 

「その理屈で言うなら、リギルやスピカは向日葵や薔薇といったところか。ま、そこらの雑草の名前を覚えている賢いウマ娘に出会えることに期待するしかないな」

 

 

 半ば諦め気分の俺に対し、園部トレーナーは一枚の用紙を突き付けてくる。

 

「ほれ。今日の放課後、急遽選抜レースが執り行われることになった。まだ契約の済んでいないウマ娘がわりと多いらしい。これはその出走表。行くだけ行ってみろ」

 

「ありがとうございます! というか、そういう園部トレーナーは契約終わってるんです?」

 

「つい先日な。今年は例年と比べても豊作だぜ。既に世代最強と噂されるヴィクトリーピザや俺と契約したワープボートの他にも実力バが多数いる。その分競争が激しいともいえるが」

 

 

 ワープボートと言えば、母親が名バで娘である彼女もその将来を嘱望されていると聞く。しかもあの『女帝』エアグルーヴに目をかけられ、何かと指導を受けているとか。

 実績あるトレーナーの元には有望なウマ娘が集まる。俺もかくなりたいが……前途多難だな。

 

 

「それにしてもヴィクトリーピザは何でこんな時期まで残っているんですかね? 超有力バなんだから早々に決まってても不思議じゃないのに」

 

「なんでもリギルかスピカに入りたがっていたんだが、両方とも定員オーバーで受け入れできないようでな。だからヴィクトリーピザ自ら一人一人自分に合ったトレーナーを厳選しているらしい。1日限定でトレーナー契約を結んでな」

 

「なるほど……。その1日で彼女に認められなければご破算になると……」

 

「その様子じゃまだ話してもないんだろ? 案外ウマが合うかもしれんぞ」

 

「園部トレーナーはトライしてみなかったんですか?」

 

「俺はワープボートが入学してすぐの頃からスカウトし続けていたからな、今更浮気なんぞできんわ」

 

 入学してすぐにスカウトとは、そのウマ娘に相当惚れ込んでないとできない芸当だ。スタート時点で俺は既に負けていたのか。

 

 せめてその熱意に倣おうと、俺はもらった出走表を握り締めレースコースへと向かった。

 

 




中途半端ですが終わり。

次回エイシンフラッシュが登場する予定です。
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