モブウマ娘 ドリームダービー -走れ!バイトアルヒクマ-   作:浅木原忍

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第38話 勝てなくてもいいレースなんて

 5着。掲示板入りではあるが、8人立てでの5着である。完敗、と言ってよかった。

 敗因ははっきりしている。勝ったチョコチョコに完全にマークされ、息を入れるべきコーナーで掛かってしまい消耗、直線の坂でスタミナ切れ。ずるずると最後方まで沈んでもおかしくなかったが、むしろ5着に踏ん張ったと言った方がいい失速だった。

 自分のレースをさせてもらえなかった。競り合う相手がいると暴走してしまうコンプの掛かり癖が悪い方向に出てしまった。それに尽きる。

 ライバルと目すユイイツムニが同じ逃げのスタイルである以上、今後もあの子に挑んでいくならこういった展開のレースは避けられない。1400を走りきる厳しさも含め、完敗ではあったが、これも必要な経験だったと割り切るしかないだろう。

 ――コンプを出迎えたら、そういう話をしよう、と私は思っていた。

 デビュー戦で敗れたときも、コンプはすぐに切り替えていた。今回も敗因ははっきりしているのだから、切り替えて次のレースへ向けて気合いを入れ直そう、と。

 そう、励ましてあげればいいと。

 そんな風に、私は軽く考えていた。

 

 だけど。

 

「コンプ――」

 

 ターフから戻って来たコンプの表情を見た瞬間に、私は、全ての言葉を失ってしまった。

 俯いて、血が滲みそうなほどに強く唇を噛みしめたその顔。

 いつも強気に笑っているコンプの、見たことのない表情の前では。

 

 ――切り替えよう。

 ――次に向けて、課題ははっきりした。

 ――これも必要な経験だったんだ。

 

 そんな、浅薄な言葉は全て、何の意味も持たなかった。

 

「……トレーナー、ごめん。……しばらく、ひとりにさせて」

 

 私の横を通り過ぎる瞬間、コンプは低い声でそれだけ言った。

 その小さな肩に、私はそれ以上、どんな言葉も掛けられないまま。

 控え室のドアが閉じる音を聞きながら、私は呆然と立ち尽くしていた。

 

 

       * * *

 

 

 チョコチョコが勝者インタビューを終えて控え室に戻ると、ドアの横にユイイツムニがもたれて文庫本を開いていた。こんなときまで本読んでなくてもいいのになあ、と苦笑しつつ、チョコチョコは「ただいまーっと」と手を挙げる。

 

「……ん、お疲れ様、チョコ」

 

 本に栞を挟んで閉じ、ユイイツムニは顔を上げた。チョコチョコはにっと笑う。

 

「やー、ごめんねムニっち。あの子、あたしが先に叩き潰しちゃって。……あふ」

 

 レースの疲れで眠くなってきた。チョコチョコはひとつ欠伸を漏らす。

 ――ブリッジコンプ。デビュー戦でユイイツムニに食らいついた姿を見たときには、ひょっとしてなかなかのものかと思ったが、終わってみれば大した相手じゃなかった。せっかくトレーナーに志願してこのレースに出させてもらったってのに、拍子抜けである。

 あの栗毛の生意気そうな顔が、坂で失速して後退していくときの絶望的な表情は、なかなかゾクゾクしたけれども。我ながら性格悪いな、とチョコチョコは思う。

 まあでも、ムニっちにライバル宣言なんて身の程知らずなことをした向こうが悪い。ムニっちのライバルは、他の誰もいらない。このあたしだけで充分だ。

 

「……別に。これで潰れるようなら私の見込み違いだっただけ」

 

 ユイイツムニは無表情にそう答える。む、とチョコチョコは眉を寄せた。完膚なきまでに叩き潰したつもりだったのに――まだムニっちは、あの子を見切ってないのか。それだけ、デビュー戦で食いつかれた印象は強かったのかもしれない。

 

「おう、チョコ。いいレースだったぞ」

 

 と、そこへふたりの担当トレーナーが姿を現した。スキンヘッドにサングラス、いかつい顔立ちでスーツを着るとその筋の人にしか見えないことを気にしているトレーナーは、少しでも親しみやすい格好をしようと今日はアロハシャツを着ているが、やっぱりその筋の人にしか見えない。

 

「あ、トレーナー。ふぁぁ……まあ、こんなもんっしょ」

「余裕だな。期待以上だ。どうする、このまま朝日杯FSに向かうか?」

 

 欠伸を漏らしつつ手を振ると、トレーナーの思わぬ言葉に、眠気が少し覚めた。

 

「おお? ムニっち差し置いていきなりGⅠ行っていいのぉ?」

「今日の走りを見たらな。ユイイツムニもどうだ、いっそ京王杯ジュニア見送ってこのまま阪神JF狙うか?」

「あたしとムニっちでジュニア級マイルGⅠ両獲り狙っちゃうわけ? 大それた野望ー」

 

 チョコチョコは肩を竦め、ユイイツムニはあまり興味なさそうに首を傾げた。ムニっちはなんてゆーか、無欲なんだよなあ、とチョコチョコは思う。

 正直、三度の飯より本を読んでいる方が好きにしか見えないユイイツムニが、どういうモチベーションでレースに挑んでいるのか、よくわからないところがある――。

 

「まあ、阪神JFにゃエレガンジェネラルとかいうティアラ路線のバケモンが来るからなぁ。ユイイツムニでも勝てるかどうか――」

 

 スキンヘッドの後頭部を撫でながら、トレーナーは言う。

 その言葉に、ユイイツムニの眉が上がった。

 

「出ます」

「お?」

「阪神JF、目指します」

 

 短いユイイツムニの言葉に、トレーナーはニヤリと笑う。

 

「――おお、そうか。ようし、それなら京王杯ジュニアはもう出なくても」

「そっちも出ます」

「あ? 間隔詰まるぞ、できれば俺としてはそれは避けたいんだが――」

「出ます」

「……わかったわかった、じゃあ京王杯ジュニアも勝ってこい!」

 

 断固とした口調で言い張ったユイイツムニに、トレーナーは呆れたように頷く。

 そして――ユイイツムニは、ちらりとチョコチョコの方を見やった。その視線に、チョコチョコはぞくりと背筋が泡立つのを感じた。

 こいつは――ムニっちからの、挑戦状だ。

 

「トレーナー。あたしも京王杯ジュニア出ていい?」

「ああー?」

 

 チョコチョコが声をあげると、トレーナーはあんぐりと口を開けた。

 

「お前まで何言い出すんだ、チョコ。お前とユイイツムニで潰し合ってどーする。朝日杯FSの前に前哨戦叩きたいってならデイリー杯でも――」

「そりゃトレーナーとしちゃ、あたしとムニっちで潰し合われちゃ困るのかもしんないけどさあ。あたしはムニっちと勝負したいんだよねえ。ねえムニっち」

 

 チョコチョコが視線を向けると、ユイイツムニは無表情のまま頷いた。

 

「……受けて立つ」

 

 その言葉に、「だーっ」とトレーナーはスキンヘッドを掻いた。

 

「わかったわかった、好きにしろ! ったく、ワガママな担当だなお前ら!」

「あたしたちでジュニアGⅠ獲りたいってゆートレーナーのワガママ聞いてあげてんじゃん。ねえムニっち」

 

 呆れ顔で言うチョコチョコに、ユイイツムニも頷く。トレーナーは息を吐いた。

 そんなトレーナーに、チョコチョコは笑って言う。

 

「ま、大丈夫だってトレーナー。京王杯はあたしとムニっちで、1着2着独占するから」

 

 

       * * *

 

 

 トレセン学園には、負けたウマ娘がその悔しさを叫んで発散するという、大きな洞の切り株がある。

 こんなところ、自分には用のない場所だと思っていた。

 自分は最強なのだから。負けた悔しさを叫ぶことなんてない。

 ずっと勝ち続けて、最強のウマ娘の名をほしいままにして――。

 

 そんなこと。

 ただの空想だって、本当はとっくに解っていたはずだったのに。

 

 ききょうステークスの惨めな敗北から、新幹線でその日のうちに東京へとんぼ返りする間、コンプはずっと黙りこくっていた。ヒクマやエチュードが声を掛けてきても、何も答えなかった。答えられなかった。

 口を開いてしまったら、何もかもが壊れてしまいそうだったから。

 今まで必死に自分に言い聞かせ続けて、信じ込もうとしていた幻想が、全部。

 

 ――そんなもの、今日のレースでとっくに壊れてしまったのに。

 

 陽の暮れた土曜日の学園内にウマ娘の姿はほとんどない。寮の前でヒクマとエチュードと別れ、コンプはその切り株のところへ足を向けていた。

 この切り株に向けて何かを叫んでいるウマ娘の姿は、何度となく目にしている。

 自分がそのお世話になる日が来るなんて、思わなかった。

 思いたくなかった。

 現実なんか、知りたくなかったのに。

 

「………………~~~~ッ」

 

 切り株の淵に手を掛けて、その虚ろな穴を覗きこんだ瞬間。

 堰を切ったように――必死に堪えてきた感情が、全部溢れ出した。

 バカみたいな量の涙が、切り株の洞の中に吸い込まれていく。

 両手も両足もガクガクと震えて、身体を支えられず、コンプはその場に膝をついた。

 

 解ってた。

 本当は解ってたのだ。

 自分が、最強でもなんでもないことなんて。

 せいぜい、そこそこ程度に強いだけの。決して頂点には手が届かない、その遥か手前で満足するしかない、そのレベルになんとかたどり着けるかというウマ娘でしかないと。

 解っていた。最初から、解っていたのに――。

 

 三冠ウマ娘という大それすぎた夢は、そもそも夢でしかないと解っていた。

 それが無理でも、短距離なら。スタートダッシュから逃げることしかできないあたしでも、それが圧倒的に有利な短距離でなら、最強になれるんじゃないか。

 そんな、描いた儚い希望も、今日のレースで完璧に砕け散った。

 たった1400メートルも走りきれず。徹底的にマークされて、相手の狙い通りに潰された。振り切ることも抑えることもできず、為す術もなく蹂躙された。

 完敗。惨敗。勝てない。あいつに――あのチョコチョコとかいうウマ娘に、勝てる気がしない、と思ってしまった。

 その瞬間、コンプの中で何かが折れた。

 自分を奮い立たせてきた、「最強の自分」という幻想は、粉々に砕け散った。

 

 最強になんか、なれない。

 あんな奴らがうようよいるような世界になんて――手が届く、はずがない。

 

 感情は言葉にならなかった。ただ赤ん坊のように、コンプは切り株の洞に向かって泣きわめくしかできなかった。

 たった1敗。誰だって負ける。無敗で引退するウマ娘なんて、早期に故障で引退したウマ娘ぐらいだ。――そんな常識的な言葉なんて、なんの意味も価値もない。

 最強、という、ブリッジコンプというウマ娘の足を立たせていた土台が壊れたのだ。

 もう、何もないところから、いったいどこへ走っていけるというのだろう――?

 

「――――」

 

 ざく、と草を踏む足音がして、コンプは泣きはらした顔のまま、顔を上げた。

 ――そこに、トレーナーの姿があった。

 

「トレー、ナー……」

 

 声は泣きわめきすぎて掠れていた。腫れぼったい目をしばたたかせるコンプを、真剣な表情でじっと見つめながら、トレーナーはこちらに歩み寄ってくる。

 慰めの言葉なんかほしくない。コンプは切り株の淵を握りしめる。

 今慰められたら、完全に、何もかも、壊れてしまう。

 最強じゃないあたしなんて――もう、走る意味なんて、ない、のに。

 

 だけど、トレーナーは。

 切り株を挟んだコンプの向かい側で、切り株の淵に手を掛けて。

 その洞を覗きこんで――叫んだ。

 

「――ごめん、コンプ!! 私は――トレーナー失格だぁぁぁ!!」

 

 ぽかん、とコンプは口を開けた。

 何を。いったい何を言っているのだ、トレーナーは。

 負けたのはあたしで。ただ、あたしが弱いだけで――。

 

「今日のレース! 誰より私に、勝ちたいって気持ちが足りなかった! コンプはこんなに勝ちたがってたのに! 私は、負けても課題が見つかればそれでいいと思ってた! 今日のレースを、本番に向けての叩き台としか思ってなかった! コンプを最強のウマ娘にするって約束したのに! 私はコンプとの約束を蔑ろにしたんだ! ごめんなさい、ごめんなさいコンプ! 全部私の責任だ! トレーナー失格だ――ッ!!」

 

 がつん、とトレーナーが切り株の洞を叩いた。その拳から血が滲むのを見て、コンプは息を飲む。

 

「ちょっ――ちょっと、トレーナー、落ち着いてよ、トレーナーってば――」

 

 さっきまで心を埋め尽くしていた絶望感も吹き飛んで、慌ててコンプはトレーナーに駆け寄る。その右手を掴むと、トレーナーはぎゅっと目を瞑って、コンプを振り返った。

 

「……コンプ。レースの後のコンプの顔を見るまで、私は、そんなことにも気付かなかったんだ。ひとつの負けが、コンプの夢にとってどれだけ重いか、考えもしなかった。ごめん。本当にごめん。――こんな私は、コンプのトレーナーに相応しくない」

「――――」

「許してなんて言えない。担当ウマ娘の気持ちも理解してやれない、こんなダメトレーナーよりも、コンプにはもっと、」

 

 ――何を。

 何を言うのだ。

 そんなこと――言わせない。

 

「――何言ってんのよっ、バカトレーナー!」

 

 思わず、コンプは叫んでいた。トレーナーが目を見開く。

 

「あたしをっ、あたしの夢をっ、短距離最強にしたのはトレーナーでしょうがっ! 責任取れって言ったじゃない! こんなところで投げ出すなんて、それこそトレーナー失格じゃないのよ! ――あたしに悪かったと思うなら、この5着は若気の至り、短距離最強ウマ娘のジュニア時代のお茶目なやらかしで済ませられるように、あたしを本当に短距離最強のウマ娘にしてみせなさいよ――ッ!!」

 

 そうだ。

 最強のウマ娘になりたい、というあたしの夢を、笑わずに聞いてくれた。

 どんな距離でも無茶苦茶に逃げて玉砕することしかできなかったあたしを、ちゃんとマトモに戦える舞台に導いてくれた。

 そんなトレーナーが、ダメなわけない。失格なわけ、あるはずない。

 あたしは――あんただから、ついてきたのに。

 トレーナーとだから、最強になれるって、信じてきたのに。

 

「あたしは、あたしは最強のウマ娘になるんだから! 絶対、絶対に最強になって、あんたとあたしの選択が間違ってなかったって、胸を張って笑ってやるんだから――ッ」

 

 涙を拭って、コンプは胸を張る。顔を上げて、夜空を見上げる。

 最強になんて、なれないなんて――そんなこと、あるもんか。

 トレーナーと一緒なら、あたしは絶対、最強になれる。

 最強にならなきゃいけないんだ。トレーナーのくれた夢を、叶えるために。

 

「……コンプ」

 

 くしゃりと、トレーナーの顔が歪んだ。

 そして、ゆっくりとトレーナーは立ち上がると、血の滲んだ右手を、コンプの頭に差し伸べようとして――自分の手が汚れていることに気付いて、困ったように手を彷徨わせて。

 

「うん――私はそうやって、胸を張って笑ってるコンプが好きだよ」

「――――――なっ」

 

 な、なななっ、何を言い出すのだいきなり!

 突然のストレートな言葉に顔が熱くなる。いや、そんなこと言われても、トレーナーにはエーちゃんがいるわけで、いやエーちゃんは別にまだそういうわけじゃないけど、いやでもやっぱりエーちゃんの気持ち考えたらあたしは――って違う、そうじゃない!

 

「な……っ、そっ、そーゆーこと、あたしに言ったって何にも出ないからねっ!」

 

 顔が熱いのを誤魔化すように、コンプはぷいとそっぽを向く。

 トレーナーが少し笑った気配がして、そして。

 

「コンプ。――京王杯ジュニア、出よう」

 

 トレーナーは、はっきりと、そう言った。コンプは息を飲む。

 

「……本気? こんな情けない負け方しておいて、あたしにまた1400走らせるの?」

「ああ。今日の敗因ははっきりしてる。だから、次は勝てる」

「――――」

「勝てる。勝つんだ。ユイイツムニとチョコチョコに。強いライバルを倒さなきゃ、最強なんて名乗れないでしょ?」

「――勝てると思うの? あたしが、あいつらに」

「勝つんだ」

「――――」

「だってコンプは、最強のウマ娘になるんだから」

 

 なれる、でもない。

 なれると信じてる、でもない。

 最強のウマ娘になるんだ、と、確定した未来を語るように、トレーナーは言った。

 

「――――~~~ッ」

 

 その顔を見上げて、コンプはぎゅっと目を瞑る。

 ――ああもう、このバカトレーナー。そんな顔して言われたら、信じちゃうじゃない。

 あんな情けない負け方したのに、それでもまだ、最強を目指していいんだって。

 最強になる資格は、あたしにまだ残されてるんだって――。

 

「……ったく、しょーがないんだから! トレーナーに辞められたらクマっちもエーちゃんも困るだろーから、あたしが最強になってあげるしかないじゃないのっ!」

「コンプ」

「だからトレーナー、二度と自分は失格だとか相応しくないとか言うんじゃないわよ! あたしが最強のウマ娘になって、あんたが最強のトレーナーだって証明してあげるんだからね!」

 

 その言葉に、トレーナーは顔をくしゃりと歪めて。

 

「……ありがとう、コンプ」

 

 と、また右手をコンプの頭に伸ばしかけて、困ったように途中で手を彷徨わせる。

 コンプはそれを見て、呆れ混じりの溜息をついて――ポケットからハンカチを取り出すと、出血は既に止まっていたトレーナーの右手に巻き付けて結んだ。

 

「これは返さなくていーから、あとでちゃんと消毒しなさいよ」

「……ごめん」

「謝るなっての! はい、これでよし。――だから」

 

 コンプはトレーナーの右手を離すと、その頭をトレーナーに向けて差し出した。

 ――クマっちと違って、撫でられるのは、子供扱いされてるみたいでヤだったけど。

 まあでも、うん。今ぐらいは……いいかな。

 

「……今だけ、このブリッジコンプちゃんの頭を撫でる権利をあげる」

 

 上目遣いに見上げると、トレーナーは目を見開いて、それから嬉しそうに笑う。

 ――ああもう、そんな嬉しそうな顔するんじゃないっての!

 そう思った瞬間、トレーナーの手がくしゃくしゃと髪をかき乱してきて。

 ……クマっちが喜ぶ気持ち、ちょっとわかる……かも。

 コンプはそう思ってしまった自分を、なんとか振り払おうとしながら、ただトレーナーの手にしばらく身を任せていた。

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