戦姫絶唱シンフォギア ・イフ   作:邪神イリス

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戦姫絶唱シンフォギア
勇気を出す時


 

 あれからホテルに戻って再びベッドに横になり、俺は熟睡した。

 母さん達は、俺が部屋を出ていたことには気付いてなかったのでホッとしたもんだ。

 

 それから俺は、あの白い怪物の力を使わずに日々を過ごし、小学6年生の時に響と未来と出会い、今では中学生になっていた。

 

 あの力はノイズ(・・・)と戦えるかもしれない力だったが、その頃の俺は、ノイズを相手に戦う勇気はこれっぽっちも持っていなかった。

 何より、使ったらめちゃくちゃ目立つし、母さん達に迷惑を掛けてしまうと思ったからだ。

 

 そんなある日、未来がある話を持ってきた。

 

「ねぇ、響、カイト君。“ツヴァイウィング”って知ってる?」

 

「つゔぁいうぃんぐ?」

 

「名前だけなら知ってるぞ。最近テレビとかでよく見かけるしな。で、そのツヴァイウィングがどうした?」

 

「うん。実はね、今度そのツヴァイウィングのライブがあるんだけど、一緒に観に行きたいなと思って」

 

「う〜〜ん・・・・いいよ。その人達の歌、私も聞いてみたいし」

 

「響に同じく。俺も歌には興味があるし、ライブなんて行ったこともないしな。で、そのライブのチケットはどうするんだ?あれって応募しないと手に入れられないんだろ?」

 

「ふっふっふっふっ。じ・つ・は〜〜・・・・」

 

 そう言って、未来がポケットから取り出したのは・・・

 

「じゃーーん!」

 

 なんと、3枚のライブチケットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、小日向さんはお前と立花が提案を了承してくれると予想して、予め3人分のチケットを用意していたと?」

 

「まぁ、そうなるな」

 

 未来からライブを観に行く提案をされた翌日の学校の昼休み。俺は褐色肌でツンツン髪の男の、響と未来よりも付き合いの長い友人、『万動竜馬』と話をしていた。

 

「そうなるな。じゃねぇよ!あのチケットを3枚も手に入れるって大変なんだぞ!?しかも抽選だから手に入れれない確率はそれなりにあるし!」

 

「・・・お前、もしかして」

 

「そうだよ!俺も応募したんだよ!だけどハズレたんだよチクショウ!だからチケット譲ってくださいお願いします!」

 

「だが、断る」

 

「うおおおおおおおおん!」

 

「仕方ないですよ。抽選にはかなりの人が参加していたみたいですから。今回は単に、貴方の運が悪かっただけです」

 

「グハッ!」

 

「あ、トドメ刺さった」

 

 今、竜馬に言葉でトドメを刺したのは、眼鏡を掛けて、以下にも頭がいい雰囲気を纏っている男、『天道隼人』。こちらも、竜馬と同じ頃に知り合った友人だ。

 

 因みに竜馬はサッカー部の副キャプテンで、隼人は部活にこそ入ってないが、英検・漢検共に一級の天才だ。将来は弁護士を目指しているらしい。

 

「まぁ、いいや。ライブはまたいつかあるだろうしな。それよりもカイトはライブ観に行くの初めてなんだろう?立花達とゆっくり楽しんでこい」

 

「復活するの早いですね」

 

「こればっかりは隼人が言ったとおり、俺の運が悪かっただけだしな。いつまでも泣いているわけにはいかねぇだろ。というか、そんなことよりも、俺はカイトがライブを観に行くのを承諾したことがびっくりなんだよ」

 

「そうですね。普段は星や宇宙などにまつわる話にしか興味を持たないカイトにしてはかなり珍しいですね」

 

「お前ら人の事をなんだと思ってるんだよ・・・・・」

 

「「星関連&宇宙オタク」」

 

「・・・・・まぁ、否定はしないけどよ(と言っても、何故と言われても、何か気になったからとしか表現できないんだよなぁ)」

 

 特に俺が気になっていたのは、ツヴァイウィングの1人、風鳴翼だった。

 

(なぁんか、どっかで見た事ある気がするんだよな・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後のライブ当日。俺は響とライブ会場の入り口に来ていたのだが、ここで一つの問題が起きていた。

 

 約束の時間になっても未来が来ないのである。

 

 気になった響が、携帯で電話を掛けると。

 

「ええっ!本当!?・・・うん、わかった。未来も気をつけてね」

 

 そう言って電話を切った響に俺は話しかける。

 

「未来はどうしたって?」

 

「うん。未来は叔母さんが怪我をしちゃって、家族でお見舞いに向かうことになったんだって。だから来れないみたい」

 

「うーーーん・・・・・・まぁ、それは仕方ないな。じゃあ、未来の分も2人で楽しむか!」

 

「うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場に入る際に、曲げたら光るというサイリウムなるものを渡され、チケットに書かれていた席に座り、待つ事十数分。

 

 もうすぐ始まるためか、会場の中が暗くなったかと思うと、スポットライトが光り輝き、ライブが始まった。

 

 ツヴァイウィングの2人は、上からゆっくりと落ちるようにやって来た。その衣装に着いたリボンはまるで翼。

 

 2つ揃う事で両翼に見えるそれを見て、俺はツヴァイウィングという名前の所以の一つを見た気がした。

 

「いえーーーいっ!」

 

 響がサイリウムを振って盛り上がっている様子が視界に入る。俺もサイリウムを振り撒くって盛り上がっていた。

 

 そして、俺は曲を聴いていると、心に何か暖かい物を感じていた。

 

「(何だろう、この感覚。何故か前にもこんな事・・・いや、この状況ではなく、何かの曲(・・・・)を聞いていたように感じる)」

 

 曲がサビに入り、同時に会場の天井が開き、夕焼けがいい味を出す。観客もそれに合わせるようにヒートアップしていき・・・・・・・

 

 一曲目、『逆光のフリューゲル』が終わる。

 

「すごい、胸がドキドキする・・・・これがライブなんだね!カイト君!」

 

「あぁ。未来はこれを俺達に体験してほしかったんだろうな」

 

「まだまだ行くぞーーっ!」

 

 ツヴァイウィングの1人、天羽奏の声と同時に、会場からとてつもない歓声が沸き起こり・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場の中央が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、なになに!?演出?」

 

「いや・・・・・違う!」

 

 カイトは爆発が起こる数秒前に、何かを感じ取った。自分達の近くから感じた、莫大なエネルギーのような何かを。

 

 他の観客達が、突然の爆発に慌てたり、困惑したり、悲鳴を上げて逃げようとする中、カイトは隣にいる響から目を離さないようにしつつも、冷静に爆発が起きた場所を見ていた。

 

「ノイズだああああああああ!」

 

 誰が叫んだか、周囲に声が響き渡る。

 

 ノイズ。この世界で最も恐れられている死と絶望の象徴。認定特定災害とも呼ばれており、何処からともなく突然現れては人々の平和な日常を脅かす。

 

 まさにその呼び名通り『災害(・・)』と呼ぶべき存在であり、その全てが謎に包まれており、人類共通の天敵となっている。

 

 特徴は、カラフルな色とマスコットのような見た目で、一見は無害そうだが、その性質は凶悪。人間のみを襲い、触れた人間は自身らごと炭素化させるという力を持っている。

 

 更に奴等を奴等たらしめんとしている物に、『位相差障壁(・・・・・)』という炭素化とは別に、ノイズが共通して持っている能力が挙げられる。

 

 位相差障壁というのは、ノイズの存在を人間の世界とは異なる世界に跨らせることで、通常の物理法則下のエネルギーによる干渉をコントロールする能力である。

 ノイズ自身の「現世に存在する比率」を自在にコントロールすることで、物理的干渉を可能な状態にして相手に接触できる状態、相手からの物理的干渉を減衰・無効化できる状態を使い分ける。

 

 要するに、ノイズは物理法則から切り離された状態で活動できるのである。

 わかる人に分かりやすく説明するのであれば、『スペースビースト』の一体、『インビジブルタイプビースト ゴルゴレム』の能力をイメージしてもらえば、わかりやすいだろう。

 

 閑話休題。この位相差障壁により、人間の行使する物理法則に則った銃などの一般兵器では、ノイズに対してゼロから微々たる効果しか及ぼすことができない。

 ただし、存在比率が増す瞬間にタイミングを合わせたり、効率を考ないで間断なく攻撃を仕掛ける長時間の飽和攻撃によっての殲滅は可能ではある。

 

 しかし、どちらも効率的・有効な対策とは言えず、特に後者に関しては周囲にノイズよりも深刻な被害をもたらす結果となった事例も報告されている。

 

 つまり、前提として、ただの人間では対処が出来ない相手なのだ。

 

 だが、本来は人が一生のうちにノイズに遭遇する確率は、東京都民が一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回るとされている。

 

 尤も、それについて知らない者はこの世界には余程な限り居ないだろう。

 

 当然、それはカイトも例外ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く逃げるぞ」

 

「え、あっ、カイトくん!?」

 

 カイトは呆然としている響の手を引っ張り、その場から駆け出す。

 

 その間にも、逃げ惑う人々にノイズが次々と突撃して炭化させていく。

 

 しかし、出口の一つである非常口は当然、人がいっぱいになっている。

 

 殴り合うものさえも出ており、人が倒れても踏みつけてもまったくお構い無し。人間の醜い部分が表面化している。尤も、こんな状況で、自分以外の誰かを助けようとする余裕がある者が、そうそういる筈もないので、必然的な状況とは言えるが。

 

 そんな中、カイトは心の中で1人葛藤していた。

 

(あの白い奴の力を使えば、ノイズ共を一掃出来るんじゃ?・・でも、もし通用しなかったらどうする。俺は死ぬのか?母さん達や響達を置いて・・・・それは嫌だ!だけど・・・・)

 

「カイトくん・・・?」

 

 不安げな表情で、響がカイトの顔を覗き込む。

 

「大丈夫だ。だけど、ここだといつまで経っても逃げれないな。どこか別の場所から・・・!危ねぇっ!」

 

 空を見上げたカイトは、その場から響を押し倒す。

 

 そして、先程まで響が立っていた場所と、カイトの『左腕』に、槍のような形状に変化したノイズが降り注いだ。

 

「がぁっ!」

 

 カイトの左腕は一瞬で炭化する。そしてノイズが大量に刺さった影響か、足場が崩れる。

 

「きゃああっ!」

 

「っ!響っ!」

 

 反射的に手を伸ばそうとするが、既に時遅く。2人は下に落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ぐっ、やっぱりこの体、だいぶ頑丈になっているな」

 

 カイトは、大量の瓦礫の中で埋もれていた。

 

「響は大丈夫か?・・・・腕は無事・・・って言っていいのかはわかんないが、治ったようだな」

 

 その視線の先には、炭化したはずの左腕が生え治っていた。ただし、『カラフルな色』になって。

 

「・・・・ノイズの炭化も治しちまうんだな・・・なら、最初からあの変な力を使えばよかったんじゃねぇかっ・・・!」

 

 頭の中ではわかっていた。ノイズの炭化能力では、自分は死なないだろうと。しかし、彼は怖かったのだ。怪物の力を持っていると知られた時、『大切な人達』から拒否されてしまうのではないかと。

 

 だからこそ、後悔も押し寄せる。恐れず力を使っていれば、あの場で死んでしまった人達を助けれたのではないかと。

 

「・・・・もう、後悔したくない」

 

 その考えで、頭はいっぱいだった。そして同時に思う。あの白い怪物と戦った時のような勇気を出せと。

 

「この力で、誰かを守れるのなら・・・・俺は、怪物にでも何にでもなってやる!」

 

 そう叫ぶと同時に、彼の体を、虹色の粒子が包んでいった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、死ぬな!頼むから、目を開けてくれ!」

 

 血溜まりの中に倒れる少女に、天羽奏は叫んでいた。

 

 いつの間にか戦場のど真ん中に落ちて来た少女を庇いながら、シンフォギアと呼ばれる力を使い戦っていた彼女だが、戦闘の余波で飛び散ったギアの破片が、あろうことか、少女の胸に突き刺さったのだ。

 

 眼前のノイズを一掃し、目に見える破片を引き抜いて止血し、少女・・・立花響に、彼女は叫ぶ。

 

生きるのを諦めるな!(・・・・・・・・・・)

 

 その声が届いたのか、響は薄っすらと目を開ける。

 

 それを見て安堵した奏は覚悟を決めた。シンフォギアの奥の手にして滅びの力、絶唱(・・)を使うことを。

 

 シンフォギアに備えられた最大最強の攻撃手段。それが『絶唱』である。

 増幅したエネルギーを一気に放出することで得られる攻撃力はまさに最強の一撃。

 しかし、それは代償なしに放つことはできない。高めたエネルギーがバックファイアとして装者にも襲い掛かり、自身の命を引き換えに敵を倒す。

 

 まさに、滅びの歌である。

 

 既にボロボロな自身が使えば、確実に死ぬだろう。だが、使わなければ、今だに増え続けているノイズを倒し、響を生き残らせるのは不可能。

 

 そして、その歌を歌おうとした瞬間であった。

 

 

 

 

 ドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!

 

 

 

 

 

 すぐ近くの瓦礫の中から、『何か』が飛び出してきた。

 

 その何かは空中で一回転すると、奏の目の前に着地する。

 

 大きさは、奏より少し高めで、いわゆる『人』の姿に酷似していた。しかし、その色はカエル型ノイズと同じ色(・・・・・・・・・・・)をしていた。

 

「ノイ・・・ズ・・・?」

 

 思わず気が抜けて、その場に座り込んだ奏がそう呟くと、そのノイズのような物が振り向く。

 

 その顔は泣き顔のような形をしており、小さな赤い目が二つ、光っていた。

 

 とある世界にいる者達がその姿を見れば、大いに驚いていただろう。何故ならそいつは色こそ違えど、その見た目は『炎魔戦士 キリエロイド』そっくりだったのだから。

 

 その『何か』は、奏と響を確認し、前方のノイズ達に向かっていくと、ノイズ達は一斉に攻撃を仕掛ける。が、それが大きく拳を1発振るうと、前方にいたノイズ達は、一撃で消え失せた。

 

「(な、仲間じゃないのか!?というかコイツ、もしかしてノイズじゃない?)」

 

 奏が内心驚く中、ノイズモドキのそれは、殴る蹴ると、瞬く間にノイズを減らし、背中から突起を生やしたかと思うと分裂させ、飛行型ノイズの如く槍状に変化させ、空中の飛行型ノイズを打ち落としていく。

 

 そして何を思ったのか、奏の側に再び近寄ると、地面に落ちていた彼女のギアの破片を手に取り、胸に突き刺す。

 

 すると・・・・・

 

「・・・・・え?」

 

 破片は押し返されるように地面に落ちる。その瞬間、『それ』の体に異変が起こる。

 

 側頭部にはヘッドホンのような物が浮かび上がり、角のような物が生え、そして右腕に巨大な棘が現れたかと思うと、そこから巨大な『槍』を引っ張り出す。

 

「ガン・・グニール・・・?」

 

 それは、天羽奏が使用している『ガングニール』その物であった。

 

 『それ』は槍を軽く振って調子を確かめると、再びノイズの大群に突進する。

 

「奏!」

 

 呆然としている奏の下に、シンフォギア 『天羽々斬』を纏った、風鳴翼が駆け寄る。

 

「大丈夫!?」

 

「ん、あぁ。なんとかな」

 

「ねぇ、あれって・・・・」

 

「・・・あたしにも、何なのかはわからない。ただ、少なくとも今この場では味方っぽいな」

 

 2人の視線の先では、『それ』が槍を持ち、ノイズ相手に再び無双していた。ノイズも反撃をしているが、それら全てを避けたり受け流したりしているため、まったく攻撃が効いていない。

 

 

 STARDUST∞FOTON

 

 

  LAST∞METEOR

 

 

 『それ』が槍を空中に投げると、槍は空中で幾つにも分裂してノイズを串刺しにし、槍をキャッチすると、穂先を回転させて巨大な竜巻を起こす。

 

「あれは奏の・・・」

 

「あぁ。どうやってかはわかんないけど、あの野郎、あたしのガングニールを突然使えるようになったんだ」

 

「ええっ!?」

 

 翼が驚く中、小型ノイズが大量に沸いてくる要因である強襲型ノイズが動き出し、体液を吐き出す。『何か』はそれを避けると、槍を巨大化させて投擲し、強襲型ノイズを貫く。

 

 貫かれた強襲型ノイズは爆発を起こし、炭素の塊へと変化された。

 

『・・・・・・・』

 

 全てのノイズが炭化したのを確認すると、『それ』は、奏達の下に歩み寄る。

 

「止まれ」

 

 翼が奏の前に立ち、刀を向けてそう言うと、『それ』は立ち止まる。

 

「奏を助けてくれて感謝する。しかし、貴方を放っておくことは出来ません。申し訳ないですが、一緒に来てもら・・・って、ちょっと!」

 

 『それ』は翼を無視して横を歩いていくと、奏の前で立ち止まり、膝を着いて目線を合わせる。

 

「何だよ、急に」

 

『・・・・・大丈夫か?』

 

「!!」

 

「喋れるのか・・・!」

 

 少しノイズが混じった声が響き、2人が驚いていると、

 

『あんた、毒、いや、薬みたいなの使っているだろ。しかもなんかかなりヤバイやつを』

 

「・・・・わかるのか?」

 

『なんとなく見えているだけだ』

 

「・・まぁ、なんて言うか、あたしはこれを元から使えるわけじゃなくてね。薬を使って無理矢理つかってるのさ」

 

『・・・俺ならなんとか出来るかもしれないぞ』

 

「!」

 

「待て!一体どういうことだ。奏をなんとか出来るって・・・・」

 

『薬無しでもその変な鎧とか武器とか使えるように出来るってこと」

 

 驚きを隠せない2人に『それ』は答える。

 

「ほ、本当か!?」

 

『やった事がないから上手くいくとは限らないけど、それでもいいかな?』

 

「・・・一つ聞かせてくれ。なんであたしなんかにそこまでしてくれるんだ?」

 

『皆を守るために戦ってたんでしょ?後ろに庇っている子、血が出ていたみたいだけど、応急処置とかしてくれてるみたいだし。だから、そのお礼』

 

 奏の問いに対して、『それ』は即答で答えた。

 

『じゃあ、とっとと始めるよ。少しチクっとするけど、我慢してね』

 

 そう言うと、『それ』は指先から、先端に針のような物が付いた一本の触手を伸ばす。

 

「あぁ、頼む」

 

 そして針を奏の腕に刺すと、そこから少量の血を吸い出す。

 

(やっぱり、血の中にもそれっぽいのがある)

 

 『それ』、否、カイトは、血液の中に含まれている『LINKER』を解析する。

 

 そしてその力で、LINKERを解析すると、刺している針を通して、LINKER無しでも鎧のような何か・・・シンフォギアを扱えるように、まだ漠然としか理解できない物・・・遺伝子を、シンフォギアを薬無しで纏えるようにする分だけ組み替える。

 

 遺伝子という物を彼がまだ理解出来てすらいないのに、奏に異常が出ないように組み替えれているのは、彼のその力の特性は、常時遺伝子や細胞を組み替えているような物なので、無意識のうちにする事が出来るようになっていた。

 

『・・・・・これでよし。どう?体は?』

 

「・・・・あぁ、すげぇ。何か体が軽い」

 

『ついでに薬も全部消したからね。・・・・じゃあ、俺はもう行くよ』

 

 そう言って、彼は立ち上がる。

 

「あ、おい!待ってくれ!お前、名前はなんて言うんだ?」

 

 そう言われて彼は少し考える素振りを見せると・・・・

 

『・・・・・・フ』

 

「ん?」

 

『イフ・・・・とりあえず、そう読んでくれ。じゃあな』

 

「あ、待ちなさい!」

 

 翼が声を掛けるが、そのまま『イフ』は背中に翼を生やして空へ飛び立ち、遠くへ飛び去っていった。

 

「行っちまった・・・・・」

 

「なんだったのかしら、あれ」

 

「さぁな。まっ、多分また会えるだろ。それより、この子を病院に連れて行かないとな。止血とかはしたけど・・・」

 

 そう言って、奏は響を抱き上げる。

 

「そうね。救助隊が来るらしいから、早くその人達に預けましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場から飛び立ち、少し離れた所で鳩に変身したカイトは、人がいない公園に降り立ち、カメラなどがないのを確認すると、元の人の姿に戻った。

 

「・・・・・この力、ほんとになんなんだ?」

 

 ノイズだけでなく、何か気になって拾いあげた欠片を身体に刺すと、よくわからない槍を使えるようになったのだ。慣れてきているとはいえ、さすがに少し混乱をしていた。

 

「というか、ツヴァイウィングまであの変な鎧みたいなのを使うとは思ってもみなかったな。まぁ、あの白い奴と比べて、これなら無駄にデカくなったりしなくて済むな(ってか、それよりも響は大丈夫か?血は止まっていたみたいだけど・・・・多分、あの血の量なら病院行き決定だろう。早く戻んねぇと)」

 

 響の事が心配になったカイトは、その場から急いで、会場へと戻っていく。幸いなことに、会場からはそんなに離れていないので、少し走れば辿り着くだろう。

 

 そして、走るカイトの脳裏には、ある疑問も浮かんでいた。

 

(そういやあの時、俺、なんで『イフ』って名乗ったんだろう?本名言うわけにもいかないからちょっと考えたら、自然と頭の中に浮かび上がってきたからつい言っちゃったけど)

 

 

 

 




 どうも、邪神イリスです。

 今回は一気にライブまで行きました。

 自分でも書いてて、改めて「イフの力やべぇ((((;゚Д゚)))))))」と、感じていました。

 ちょっと、カイトが響が怪我している割には冷静すぎね?など、少しおかしい点があるかもですが、見逃してつかーさい。自分の表現力ではこれが限界なんです・・・・というか戦闘シーンなどに表現力を全部入れ込み過ぎたと言いますか・・・・・・・

 あと、技の文字の色ってこれで合っているかな?

 まぁ、「こんな奴どうやったら倒せるんだよ。」な、イフことカイトですが、暖かく見守っていただけると幸いです。
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