時は、立花家へのバッシングが収まり、1ヶ月ほど経った頃、カイトは夜中にもかかわらず、目を覚ましていた。
「ったく、夜中に来るのはやめてほしいぜ。星の観察をする時間がなくなるじゃねぇか。」
そう呟きながら、カイトは猫に姿を変え、部屋の窓から外に出て、少し離れた所の路地裏に入る。そして、『イフ』としての姿に変身すると、
とある場所の地下深くに存在する、人類最後の砦と言われている、『特異災害対策機動部二課』の本部。その施設の司令室には、巨大なモニターが設置され、複数人のオペレーター達が、忙しなく、手元の機器を操作している。
「ノイズと酷似した反応と同時にガングニールのアウフヴァッヘン波形を検知!」
「位置はどこだ?」
オペレーターの報告に、赤いシャツを着た大柄の男性、風鳴弦十郎が問いかける。
「位置、絞り込めました!ノイズ発生の場所から離れていますが、かなり速い速度で接近しています!」
モニターに文字が表示される。
CODENAME:IF
「やはりイフか・・・!」
「イフ、まもなく接敵します!」
モニターに映るノイズの反応に、どんどん近づいて行くイフ。
「映像、出ます!」
モニターが切り替わり、ノイズがいる場所の映像が表示される。そして映像の奥から、翼を生やして槍を持った、人型ノイズよりも人に近い見た目をした、イフが現れる。
「イフ、戦闘を開始!ノイズの反応が次々と消失しています!」
「翼と奏は?」
『今、向かっているところだよ、旦那。』
『もうすぐ現場に到着します。』
弦十郎の通信に、バイクを走らせて現場に向かっている翼と奏が応答する。
「現場には既にイフが来ている。今度こそ、なんとしてでも接触を試みてくれ。」
『了解!』『了解です!』
2人は通常を切ると、スピードを上げ、現場へと急いだ。
通信を切った弦十郎は、モニターの中で、現在進行形でノイズを殲滅していっているイフに、再び視線を向けた。
(今日は少し多めだな。これはますます帰るのが遅くなりそうだ。)
そんな事を考えながら、俺は確実にノイズを減らして行く。ライブでの一件以降、2、3日に一回は発生しているノイズ。
発生率は低かったはずだがなぁ・・・と、最近はゲンナリしているが、力を使っていくと決めて以降、戦いの経験を積めれるからプラマイゼロかと思う事にしている。
もう少し殲滅に時間がかかるかなと思っていると、どこからか、バイクのエンジン音が鳴り響いてくる。
(ん?バイクの音?)
音がする方向に視線を向けると、見覚えのある2人の女性が向かって来ていた。
「
「
(歌・・・?)
歌が聞こえたと思うと、2人はバイクから飛び上がって着地する。
(この前のライブ会場の時の2人じゃん。)
その2人は、変な鎧を纏ったツヴァイウィングだった。
「よう、あの時以来だな。ちょっとばかし、話したい事があるんだけど、いいか?」
天羽奏が、声を掛けてくる。
『話すのは別に構わないけど、コイツらを片付けてからでいいかな?』
そう言いながら、俺はノイズに視線を向ける。敬語で話すと何かしらボロが出そうなので、タメ口で話すように気をつけなきゃな・・・・
「ああ、あたし達もそのつもりで来たからな。」
「!来るよ!奏!」
風鳴翼がそう叫ぶと、今まで様子見の為か、動きを止めていたノイズ達が一斉に襲いかかって来た。
数分後、三人により、ノイズは殲滅された。
「さぁてと、これでゆっくり話せるな。」
『ああ。で、その話ってなんだ?』
イフがそう言うと、奏はイフに向き直り、頭を下げる。
『?』
「お前のおかげで、あたしはあそこで死なずに済んで、しかもガングニールを薬無しでも纏えるようになった。ありがとう。」
そう言うと、奏は顔を上げ、晴々とした笑顔を浮かべる。
『・・・・話って、それだけの為に?』
「いや、他にも用はあるんだけどよ、やっぱり、一回はお礼を言いたかったからさ。」
「私からもだ。貴方のおかげで、私はこれからも奏と歌って行く事ができるんだ。」
『あ〜うん。まぁ、どういたしまして?」
「何故そこで疑問形?」
『何故と言われてもな・・・』
イフこと、カイトからすれば、響を守ってくれたのだから、その礼としてやっただけのつもりだったので、まさか感謝を述べられるとは思ってもいなかったのだ。
『それで、他の用ってのは?』
「ああ、それなんだけどよ。」
「まず、貴方は一体何者なんですか?何故ノイズを倒す事ができるのですか?」
(何者と言われてもな〜・・・)
実際、今でもなんでノイズを倒せるのかは、カイトにもわかっていない。元凶であるだろうあの落ちてきた物の正体が未だにわかっていないのだから、しょうがない事だろう。
『正直、俺もなんで倒せるのかは知らないんだよ。』
「では、我々と同行してくれませんか?」
『なんで?』
「あたし達は特異災害対策機動部二課っていうのに所属してるんだけどさ、そこにはこのあたし達が纏っているシンフォギアとかの研究をしている人がいるんだ。もしかしたら、お前のその力の正体もわかるかもしれないぞ?」
(その鎧とかって、シンフォギアって言うんだ・・・確かにこの力の正体がわかるかもしれないのはメリットとしては大きいけれど・・・・)
イフが少し考える素振りを見せると、
『悪いけど、断らせてもらうよ。』
「何故だ?」
『確かに、この力の正体が知れるかもしれないのはこちらとしてもありがたいけれど、あんた達個人は信用できても、その組織自体はまだ信用できないし、万が一があるといけないからだよ。もし、どうしてもついてきて欲しいって言うんなら・・・・』
イフはそう言いながら槍を2人に向ける。
『力づくでやんないとついて行かないよ?』
「・・・・面白い。では、力づくでも来てもらおう!」
「ちょっ!翼!?」
「ごめん奏。私も穏便に済ませた方がいいとは思うけど、この人の力、確かめてみたいの。」
「それならさっきの戦闘でも見ただろうに・・・わかった。だけど、あたしは見ているだけだからな。」
そう言うと、奏はその場から少し離れた所に移動する。
『いつでも良いよ。』
「そうか、では・・・・推して参るっ!!」
翼とイフはほぼ同時に走り出し、剣と槍をぶつけ合う。イフは突き、払いと、槍を巧みに使うが、翼は上手くそれらを捌き、隙ができた瞬間を狙って、イフに斬りかかる。
するとイフは左腕を差し出して、
「!?」
腕を斬り飛ばす気などなかった翼が、動揺している隙に、イフはバックステップで後ろに下がる。
そして、斬られた腕を再生させると同時に、イフの身体に変化が起こる。なにもなかった左腕に幾つもの刃が生え、脚にもそれぞれブレードが生える。
そしてガングニールを右腕に収納すると、右手で左腕の刃の一つを掴み、引き抜くと、一本の『剣』が現れた。
「なっ・・・!?」
「あたしのガングニールを刺した時と同じ・・・!?」
その剣は、今、翼が手にしている『天羽々斬』その物だった。
イフは剣を確かめるように軽く振ると、剣を構えて再び翼に突撃する。
「はあっ!!」
翼も剣を構えて迎え撃つ。そして2人は斬り合うが、翼の方が有利に動いていた。
(まるで初心者が初めて剣を振っているように感じる・・・剣を使った事がないのかしら。)
そしてイフにいくつかの切り傷ができるが、傷は瞬時に塞がる。
そして再び翼と斬り合い始めるが、ここで翼は違和感を感じた。
(なんだ・・・これは・・先程より動きが磨かれている?それにこの動きは・・・・・まさか、私の剣術!?)
そして翼の隙を狙い、イフが5回ほどほど斬りつけると後ろに下がり、剣を大型化させる。
蒼ノ一閃
そして横一閃に振るうと、巨大な青い斬撃が放たれる。
「っ!はああっ!」
颯ノ一閃
翼も技を放ち、斬撃を迎撃しようとするが・・・・
「うっ・・威力が・・・うわあああっ!!」
押し負け、勢いよく吹き飛ばされる。
「翼!大丈夫か!?」
「ええ、平気よ。」
吹っ飛ばされた翼に、奏が駆け寄る。
『とりあえず、これで力づくは無理ってわかってもらえたかな?』
イフが2人に歩み寄る。
「あぁ。正直、あたしが一緒に戦っても勝てないだろうな。」
『そう・・・・まぁ、ノイズを倒すのは協力するから安心してくれ。それじゃあ、そろそろ俺は帰るよ。』
「え、ちょ、まっ!」
奏が声を掛けようとするが、イフは翼を生やして勢いよく飛び立ち、その場から去っていく。
「あーー・・・悪い旦那。断られちまった。」
奏が通信をかけると、2人の通信機から弦十郎の声が聞こえてくる。
『こちらでも見ていた。まぁ、仕方ない。我々の存在を知らない者からすれば、充分怪しく思うだろうしな。とりあえず、2人とも帰還してくれ。イフに関して思った事、感じた事を話してほしい。』
「「了解。」です。」
3人は通信を切り、翼と奏はバイクに乗り、二課本部へと戻っていった。
通常を切った弦十郎は、オペレーターに声を掛ける。
「イフはどこへ向かった?」
「・・・・駄目です。わかりません。反応が途中で消えたので、付近のカメラなどに怪しい影がないか探したのですが・・・関係がありそうなのはないです。」
オペレーターが、モニターにカメラの映像を映すが、映ったのは、1匹の『野良猫』だけだった。
「今回も尻尾は掴めずか・・・・そして想像以上の戦闘力。」
「ほんと、驚いたわよね〜・・・」
弦十郎に声をかけたのは、お団子ヘアーに眼鏡をかけた白衣の女性、櫻井了子だ。
二課に所属している研究者で、ニ課の技術を一身に受けており、奏と翼の2人が纏っていた、『シンフォギアシステム』を開発したのが彼女だ。
「ライブでガングニールを使えるようになったって、奏ちゃんから聞いた時は驚いたけど、まさか天羽々斬まで使えるようになるなんて・・・・」
「そして、使い始めたばかりの筈であるにも関わらず、先に天羽々斬を使い続けている翼を圧倒した。」
「正直、研究者としてここまで興味深い存在はいないわね〜。」
そして、弦十郎は、先程の戦闘の映像に再び目を向ける。
「イフ・・・・一体何者なんだ。」
一方その頃、カイトは自宅に戻り、猫の姿から元に戻ると、夜中に出れるように新しく買った靴を自分の部屋の窓の外にあるベランダに置き、部屋に入って、机の前に置いてある椅子に座る。
「いや〜まさか上手くいくとは思っていなかったな。」
ノイズの力を使えるようになって以降、ノイズが現れると気配を感じてはその場に向かい戦うというのを繰り返していたカイト。
翼との戦闘時、剣の力が使えるようになれるのは予想していたが・・・・・
(剣の振り方なんて知らないから、あの人の攻撃そのまま受けたらコピー出来るかなと思っていたらできちゃうからな〜。この力、コピー出来ない物ってもしかしてないんじゃないのか?)
そしてカイトは椅子から立ち上がり、ベッドの上に横になる。
(あの2人の言う組織についても調べないといけないし、やる事が山積みだな・・・・)
そのままカイトは眼を瞑り、眠った。
どうも、邪神イリスです。まさかの連日投稿。夏休みの宿題の息抜きに書いてたらいつの間にか出来あがっていた・・・・・
とりあえず、次回からはいよいよ原作本編突入です。
いやー、それにしても戦闘描写は難しいけど、書いていると楽しいですね。ノイズ戦はぶっちゃけ、いつでも書けるよなぁとも思い、今回はカット。無印から嫌となるほど戦えますしね。
そして、順調に強化されていくイフ。今作が終わる頃にはどんな化け物に成長するのか・・・・作者でもわかりません(オイ)
それと、TV版だけだと、主に奏とかの技のレパートリーが少ないので、XDから引っ張ってきたのですが、よかったですかね?自分、XDは内容は知っててもやった事はないので、とりあえず通常形態で使っているのを持ってきたのですが・・・・
問題がありましたら、ご指摘お願いします。