戦姫絶唱シンフォギア ・イフ   作:邪神イリス

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基地への潜入

 

 

 

 

 

 

 『ふぅ・・・』

 

 イフは巨大化させた剣と槍を元の大きさに戻し、腕へと収納する。

 まだ他にノイズがいないか確認した奏は、イフに話しかける。

 

 「よう、久しぶりだな。」

 

 『そうだな。ここの所、ノイズがばらけすぎてすれ違う事もなかったからな。』

 

 「よく言うわ。私たちと鉢合わないようにノイズ殲滅後にさっさと退却しているから、会えてないだけでしょう?」

 

 (バレていやがる。)

 

 翼の言葉にイフは内心苦笑いを浮かべる。正直、そろそろ彼女らと二課とやらまで同行しても良いかなと考えてはいる。

 しかし、強い力を持ってはいるが、実際は何の後ろ盾もないただの高校生であるイフことカイトからすれば、まだまだ悩みどころでもあった。

 

 『・・・・とりあえず。俺の目的は果たした。このまま帰らせてもらう。』

 

 そう言い、イフは翼を羽ばたかせて風を起こし、響達が腕で顔を庇っている間に空へと飛び出って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イフが飛び去った後、現場は『立ち入り禁止』と書かれた簡易的な壁で覆われ、特異災害対策機動部によって現場の後処理が行われていた。

 壁の外では銃を持った自衛隊が一般人が入らないように見張っており、空中もヘリコプターが飛び回っている。壁の内側では防護服を来た男達が特殊な吸引機で炭素を回収している。

 

 響が周囲を見渡していると、紺色の特機部の制服を着た女性が話しかけてきた。

 

 「あの。」

 

 「は、はい!」

 

 「あったかい物、どうぞ。」

 

 手渡してきた紙コップには、ホットココアが注がれていた。

 

 「ありがとうございます。」

 

 両手で受け取った響はふーふーと息を吹きかけて熱を和らげてからココアを口にする。

 

 「あ〜・・・あったかい・・・・」

 

 響がココアを堪能していると、突然体が光り輝き、鎧が元の制服へと変わった。

 

 「うわあっととととっ!」

 

 びっくりした響は紙コップを落としながら後ろに倒れかける。

 

 「おっと、大丈夫か?」

 

 倒れかけた響を後ろから支えたのは、私服姿に戻った奏だった。隣には翼が立っていた。

 2人の姿を見た響は、慌てて頭を下げる。

 

 「あ、あの、奏さん!翼さん!に、二回も危ない所を助けていただいて、ありがとうございます!!」

 

 「2回・・・・?」

 

 「あぁ・・・やっぱりそうだったか。見覚えがあるなって、思ってたよ。」

 

 翼は響の言葉に首を傾げるが、奏は納得した顔で頷く。

 

 

 

 

 「ママ!」

 

 三人から少し離れた所から声が響く。響達が声の方を見ると、そこには、響が守っていた少女とその母親らしき女性が抱き合っていた。

 

 「それじゃあ、そろそろ私も帰らせt「貴女をこのまま帰すわけにはいきません。」ふぇ!?」

 

 いつの間にか、周囲には黒服サングラスの男達と、同じような黒服を着た優男が立っており、電子ロック型の重厚な手錠が響に付けられる。

 

 「えっ?えええええええっ!?」

 

 「悪いな。正直こちらとしても気が引けるんだけどよ。」

 

 「残念ながら規則なの。我慢していなさい。」

 

 困惑する響に対して申し訳なさそうな表情を浮かべる奏と翼。

 そのまま状況を理解しきれないまま、響は車に乗せられて行った。

 

 (さぁてと、それじゃあ案内してもらいましょうか。)

 

 だが、その場にいた誰もが、あまりにも小さな気配故に気づいていなかった。響の制服の襟の裏側に、一匹の蟻が張り付いていたことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車が走り出してしばらく経ち、響はようやく落ち着きを取り戻しつつあった。

 

 「一体何なんですか!?」

 

 「ごめんなさい。でも、これも仕事だから。」

 

 「そう言うこった。諦めろ。」

 

 「そんな無茶苦茶な〜」

 

 響が嘆いている間にも車は進み続け、やがてとある場所で停車した。

 

 「あれ・・・・・学院?」

 

 そこは響や未来が通っている私立リディアン音楽院だった。

 車から降りた響は先程の優男こと、緒川慎次と翼、奏と共に夜のリディアンの中央棟の廊下を歩いて行く。

 

 やがて建物の隅に設置されている機会にたどり着き、緒川が端末を操作すると、目の前で扉が開く。中はエレベーターとなっており、その一角にある機会に緒川が端末をかざすと、エレベーターの扉が何重にも閉められ、左右の壁から「HANG ON(手を離すな)」と書かれた金色の手すりが現れる。

 

 「あ、あの、これは・・・・・?」

 

 「すぐにわかるさ。」

 

 そう言いながら、奏は響が居る方とは反対の手すりを翼と掴む。

 

 「危ないから掴まっていてください。」

 

 「え?あ、はいってわあああああああああああああああああああああっ!?」

 

 (のわあああああああああああああああああっ!?)

 

 緒川に言われるがままに響が手すりを握った瞬間、エレベーターがもはや落下といっても過言ではないスピードで降下し始め、突然のことに響は思わず悲鳴をあげ、響の制服の襟の裏に隠れていた、蟻に変身していた『カイト』も内心悲鳴をあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくしてスピードに慣れた響が周りを見ると、奏と翼が自身の口を押さえて噴き出すのを我慢しており、緒川は久しぶりに見たとでも言いたげな視線を向けている。

 

 「・・・ふっ。あはははははっ!わりぃわりぃ。久しぶりにこれで悲鳴をあげる奴を見たからつい・・・」

 

 「ちょっとぉ、ひどいじゃないですかぁ。」

 

 「二人も初めてこのエレベーターに乗ったときは驚いていましたよ。」

 

 そんな会話をしていた響は、再び周囲に視線を向ける。すると、不意にエレベーターの外の機械的な形式が一変。壁画のような物が無数に描かれた遺跡のような物へと変わる。

 

 (・・・・・見たこともない模様ばかりだ。)

 

 襟の裏からこっそりとエレベーターの外側を見たカイトはそう思った。

 

 カイトはあの場から飛び去った後、まずはトンボに変身して響達の近くまでもどり、その後、響の姿が戻った後に薄い水蒸気に姿を変えて接近し、最後には蟻に変身して響の制服の襟の裏側に隠れたのだ。その目的は、二課とやらの目的や状況、そして組織の設備がどこにあるかを確認する為であった。さすがにリディアンの地下にあるとは思ってもいなかったが。

 

 やがてエレベーターが遂に止まり、扉が開くと、クラッカーの破裂音が響いた。

 

 「ようこそ、人類守護の砦、《特異災害対策機動部二課》へ!」

 

そう言いながら最初に響を迎え入れたのは、赤いシャツを着た筋肉隆々の男、風鳴弦十郎だった。その後ろには、先程の現場で響にホットココアを渡してくれた女性と同じ制服を着ている人達も立っており、部屋の中には料理やお菓子、そして何故か達磨も置かれていて、上には「熱烈歓迎!立花響様 ようこそ二課へ」と書かれた垂れ幕が下げられている。

 

 突然のこの状況に響とカイトは啞然とし、翼は頭が痛いとでも言うようにこめかみを抑え、奏は呆れた顔でため息をつき、緒川も苦笑いを浮かべている。

 

 「さあさあ笑って笑って♪」

 

 そう言いながら近づいてきたのは、ピンクの服の上に白衣を纏い、眼鏡をかけた女性、櫻井了子が響に近寄る。

 

 「え、えっと……?」

 

 戸惑う響を無視して、了子は響と肩を組むと、響と了子の頬がくっつくほどに顔を近づける。

 

 「お近づきの印にツーショット写真を一枚♪」

 

 「ちょ、ちょっと待ってください!いきなり写真を撮られても困りますよ!というか、なんで自己紹介もしていないのに、皆さんが私の名前を知っているんですか?」

 

 (言われてみれば、響は今日初めてあのシンフォギアとか言うのを使ったはずだ。何で知ってるんだ?)

 

 カイトも疑問に思っていると、弦十郎が答えた。

 

 「我々二課は、大戦時代に設立された特務機関でね。調査などお手の物なのさ。まぁ、最近はまったく尻尾を掴めない奴もいるんだけどな。」

 

 弦十郎がそう言いながら手に持ったステッキから花を出す手品を披露すると同時に、了子が何かを持ってきた。

 

 「あーーっ!私のカバン!なぁにが調査はお手の物ですか!私のカバンの中身を勝手に調べただけじゃないですか!」

 

そう言いながら響は了子からカバンを取り返す。

 

 

 

 

 

 

 数分後、もう必要がないと言う事で、響は手錠を外された。

 

 「では、改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている。」

 

 「そして私はできる女と評判の、櫻井了子よ。よろしくね♪」

 

 「は、はい、こちらこそよろしくお願いします。」

 

 「君をここに連れてきたのは他でもない。協力を要請したい事があるのだ。」

 

 「協力ですか・・・?」

 

 一瞬首を傾げた響きだが、すぐにハッとした顔つきを見せる。

 

「教えてください。あれは・・・一体何なんですか?」

 

 不安そうな表情で響が二人に尋ねると、了子が響に近寄る。

 

 

 「貴女の質問に答える為にも、貴女には二つほどお願いがあるの。」「約束、ですか?」

 

 「そう、まず一つ目。今日の事は誰にも内緒にする事。もう一つは・・・・・」

 

 そう言いながら了子は片腕を響きの背中に回す。

 

 「とりあえず・・・・・脱いでもらいましょうか?」

 

 (・・・・・・・・・・は?)

 

 「・・・・・へ?えええええええええええええっ!?」

 

 突然のセクハラ発言にカイトは困惑し、響は絶叫を響かせた。

 

 尚、彼女の言葉の本当の意味は身体検査の事であり、単に紛らわしい表現を使っただけであった。色々と検査を終えた響は、明日に詳しい説明をするという事で、あっさりと家へと帰してもらった。

 

 因みにカイトはMRI検査などで自身がうっかり映ったりするのを防ぐために検査室へ響が行く前に蚊に変身して天井へと離脱。その後響が帰るときに合わせて再び襟の裏に隠れ、外に出た所で離れて空を飛ぶ途中で烏に変身し、家へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家のすぐ傍までに辿り着いたカイトは、人目がない所で変身を解除し、元の人の姿へと戻り、帰宅する。

 

 家に入ると、その足でキッチンに向かい、手を洗ってから夕食を作る。時間帯も遅いので、簡単な物を作りながらカイトは考えていた。

 

 (あれが二課か。思っていたよりもまともそうな組織だな。明日、響が聞くという話が気になるが、そう何度も簡単にあそこに行けるとは思えないしなぁ。何時に二課に行くのかもわからないし。)

 

 出来上がった料理を盛り付け、テーブルに置いて、食べ始める。

 

 「ん。美味い。」

 

 食べながらもカイトは思考に没頭する。

 

 (まぁ、仕方ない。シンフォギアとかに関する情報は戦闘中にでもそれとなく聞いてみるか。それと・・・・・確か、いつかの戦いの最中に聞いたけど、聖遺物だったか?神話関係も調べないとなぁ・・・やる事が山積みだな。)

 

 その後、カイトは皿を片付けて風呂に入り、宿題をささっと終わらせて、布団に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜、カイトはここ最近、同じように見ている夢を見ていた。

 

 最初に視界に映るのは、炎に包まれ、瓦礫の廃墟と化した街の姿。

 次に視界に入ったのは、鋭い爪が生えた左腕と、巨大な剣の形をした右腕。時たま、右腕を掲げたと思ったら、そこから光線を発射して街を破壊していく。そして近くのギリギリ原型を保っていたビルの窓に映ったのは、燃え盛る炎のような金色のアーマーと棘を纏い、赤く輝く瞳を宿した、二足歩行の巨大な『怪獣』であった。そしてその怪獣が雄叫びを上げると同時に、視界が暗転する。

 

 

 「おわああああああああああっ!!」

 

 カイトが目を覚ますと、時刻はまだ早朝と言っていい時間だった。

 

 「はぁ・・・はぁ・・・また・・・・・あの夢か。」

 

 そう呟きながら起き上がったカイトは、顔を洗いに行くために部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 どうも、邪神イリスです。

 テストが終わり、創作意欲が一気に湧いたので執筆しました。前にアサシンで今年度最後になるかもしれないと書いたと思いますが、意外と時間ってできるもんですね。

 原作と違って奏が死んでないから翼の口調を優しめにしようと四苦八苦してたのですが。こんな感じで大丈夫だったでしょうか?

 もし、もっとこうした方がいいという方がおりましたら、執筆の際の参考にするので、是非ともお教えください。
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