軽い打ち合わせを終えたあと、藜がボスサーバーへと繋がる魔法陣へと入り。我もそこに続き――入ると同時に[残響]を
空に斬撃の亀裂が入った事で天候への命中を確認し、藜の方へ眼をやるとインベントリから天候変更アイテムを使おうとしたのが見えた。…これは少し悪い事をしたのかもしれない。
「…ありがとう、ございます」
「…藜氏も対応の手は持っていたのか、余計な手間をしたか?」
「いえ、これも高いので…あまり、使いたくなかったですし」
「それならいいが…来るぞ」
そう言いつつヘイル・ロブスターの出現地点へと目を向ける。藜が目を向ける頃には青と白の巨大なザリガニが姿を現していた。普段なら火力スキルで圧殺しきる所だが…今回は部外者がいる、その為に使える火力ソースは先程みせた抜刀術ぐらいだろう。あとは魔眼による特効付与効果以外の補助系列ぐらいか。
「ッ、お願い、します!」
「了解だ」
相手の放ってきた高出力水属性光線を[鎌鼬・重ね三連]で強引に相殺し、水飛沫の中を最短距離で走り抜ける。藜はそれを見た直後に自身とは別方向――側面へと向かった。
先ほどの光線を横に薙ぎ払う或いは津波による範囲攻撃でない限りは横へと飛ぶ攻撃はない。しかも光線ははさみで放つ物であり、津波は
打ち下ろしてきたハサミに鞘による[簒撃]をかち合わせ、物理ダメージを相殺しきりつつ消費したMPを即座に補填し直す。そして刀を逆手に持ち直しつつ相手の甲殻の隙間に切っ先をねじ込み、抉り出しながら納刀する。ダメージは高い物理耐性も相まってか然程高くはない。
然して無傷の所から入った負傷である為に、此方にヘイトを向けさせることに成功した。此方に対してハサミを引き続き左右交互に3回ほど打ち付け――
「《ストライクスタブ》《アーチケイネス》!」
その隙を逃さず、藜が槍による3連撃と
それを見つつ一撃目を鞘の[奪撃]で相殺し*1、2撃目は[弓形月]で逆に押し切り、3撃目を納刀しながら離れてやり過ごす。このままでは藜の方へヘイトが向くだろうが――
「離れろ」
「ッ」
その言葉と共に彼女が離れる。藜のいる方へ向こうとして側面を曝している中、此方は青い目を向けて、踏み込む。目の前にはクリティカル発生部位――甲殻の隙間且つ、内臓が集合している頭付近。
「《半月》」
そこへ居合からの振り下ろしを叩き込み、強制クリティカルと共にスキル倍率と上昇したクリティカル倍率のかかった一撃が突き刺さった。
「ギシャァアアッ!?」
「ッ、やぁ!」
それによって怯んでいる中、物理耐性が比較低い顔面へ槍による突き、石突による殴打を藜は叩き込む。然して与えたダメージが大きい方を優先した結果、此方へとハサミを向けて光線が放たれた。それを納刀しながら伏せて躱し、藜も振り払うように放たれたハサミを大きく退くことで衝撃波による体勢崩しの影響を受ける事無く回避しきる。
減ったHPは合計で3割、そして此方に泡を吹き続けた顔が瞬間的に迫る――突進を横へ転がるように回避する。先ほどの一撃で発狂モーション*2へと移行したのか、往復で再度迫るのを後ろに跳びながら受けきる――双眸は青、然して先程とは違う――[守護の魔眼]だ。効果は対象の与ダメージを減少し、自身が見ている対象から受けるダメージをさらに減衰するという単純なもの。最大HPの1割程度の減衰で済んだ。防御に使用した鞘と刀は後々スキルで修復するとしよう。移動速度デバフはこの程度ならどうにでもなる。
「大丈夫、です?」
「問題ない。あれはしばらく発狂する、津波に気を付けて無理をしない程度に一撃離脱を」
その言葉に頷き、藜は鎖分銅を展開して振り回しながら構える。そして此方へと飛んでくる泡を纏った水属性光線を[望月]で相殺し、[深月]で減少したH Pの4割程度を回復しながら納刀する。1つの斬撃がロブスターに入り、ヘイトをこちらに向けたまま大きく跳びあがり、ハサミを叩きつけてくる。藜のいる方とは逆へと飛び込むようにして無敵時間に引っ掛けて回避し――
「《オーパルボム》!」
藜が着地の隙を狙うように、振り回され続けた鎖分銅を叩きつけた。向かう先は尾の部分――直撃した部分に大きな亀裂と共にH Pが目に見えて大きく減る――狙うならそこの方が火力は出るか。
「すまない、其方に向かう」
「ん、了解、です」
柄と鞘を握るようにしながらロブスターの上を跳ぶ。着地しつつ亀裂部分にリキャストタイムの切れた[簒撃]を叩き込み、クリティカルと共に[M P]を吸収し――直後、此方へと尾を向けた。
――直線上には藜がまだいる。
「ッ、すまない」
「ぇ、わひゃっ!?」
ハラスメントコードを無視し、藜を抱えた直後に全力で距離を取る。直後、我々のいた場所に背面攻撃に対する尾での飛び跳ねが突き刺さった。それを確認しつつ、抱き上げた藜を下ろしてハラスメントコードを拒否。そのままロブスターへと突撃しながら、リキャストタイムの切れた[残響]で再度天候を斬りつけて無効化を延長する。
尾での飛び跳ねの軌跡には口から吐き続けている泡が展開され、直線状に迫るのが難しい状態となっている――あまり切りたくない札を、一枚切ろう。右眼を閉じ、
「
「ギ、シャ…!?」
視界右側の泡が石化し、風化したかのように砂となって消えていく。序でにロブスターのAglを下げて飛び跳ねからの復帰を遅れさせつつ、納刀。後ろから
「横にッ!《キャノンスピア》!」
無防備なロブスターの顔面へ槍が迫り、轟音とともに突き刺さった後爆発。その爆発の勢いのまま藜の手元へと槍が戻っていく。突き刺しと爆発で2回の判定が発生しているようだが、幸運にも2回ともクリティカルが発生していたのかH Pが大きく減衰していた。…押し時だろう、もう一枚札を切る。
「《抜刀・鎌鼬》」
抜刀術の初期スキルであり、単純な遠距離攻撃。このスキルはとある理由で初期スキルでありながら[抜刀術]スキル使いに好まれていた。
理由は単純――リキャストタイムが一切ない。納刀を素早くでき、H Pを回復できるだけの下地があるのならスキル倍率を乗せた攻撃を多段で行える*3。インベントリから[リジェネポーション]を地面にたたきつけ、自身にリジェネが付与されたのを確認し。
自身の正面で素早く納刀し、走りながら再度居合構え。
「《抜刀・鎌鼬》」
「《デイターミネイション》!」
1本は横合いから入った
「《残響》」
その一撃を受け、動けない事によって発生した継続ダメージによってヘイル・ロブスターは沈黙した。
残響
分類:[抜刀術]
コスト:MP75+現在HPの5% リキャスト:60秒
命中時、対象に威力/2のダメージを与える。
その上で命中座標に[残響]を付与し続け、残留対象に1秒につき威力/60のダメージを与え続ける
この効果は3分間発動し続ける
深月
分類:[抜刀術]
コスト:MP40 リキャスト:60秒
自身のH Pを減少したH Pの一定割合分回復する
弓形月
分類:[抜刀術]
コスト:MP15+現在HPの1% リキャスト:15秒
[深月]に続いて[弓形月]を使用した場合、Strをさらに+25%する
半月
分類:[抜刀術]
コスト:MP45+現在HPの3% リキャスト:15秒
[弓形月]に続いて[半月]を使用した場合、Strをさらに+25%する
望月
分類:[抜刀術]
コスト:MP100+現在HPの5% リキャスト:15秒
球体の斬撃を放ちながら行う居合
[半月]に続いて[望月]を使用した場合、斬撃の数を+1しStrをさらに+50%する
オーパルボム
分類:[節棍術]
コスト:MP-65 リキャスト:30秒
振り回した時間だけ、防御無視[割合]が付与される
一定確率で対象のVitを[25]%低下させる
デイターミネーション
分類:[両手槍術]
コスト:MP-80 リキャスト:30秒
高い威力とそれに応じたノックバック能力を持つ
その上で対象に[状態異常:スタン]を一定確率で付与する