ママ娘 ビューティーダービー!   作:織葉 黎旺

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第15R ライトハロー

 都心の繁華街。夜とは思えない眩さの中、千鳥足の男女が連れ添って歩いていた。

 

「よおし、もう一軒いっちゃいましょ〜!」

 

「ちょ、ちょっとライトハローさん飲みすぎじゃ……顔赤いですよ」

 

 そう諌めるトレーナーもフラフラだった。今日はグランドライブ成功の打ち上げである。三年間共に尽力してきたプロジェクトが一段落したということで、積もる話は無限にあり、それまで律していた反動か酒も食も大いに進み、気づけば完全にできあがっていた。

 

「そういうトレーナーさんこそ、真っ赤ですよ〜?」

 

「ふおっ!?」

 

 頬に冷たい感触。仰け反りかけて、それがライトハローの右手であることに気づく。

 

「ふふっ、もっと赤くなった」

 

 悪戯な微笑。普段の彼女からは想像もつかないような反応に、トレーナーの心臓が大きく高鳴った。

 

「か、からかわないでくださいよ……」

 

「トレーナーさんのほっぺた、あったかくてきもちいいです〜……」

 

「あの、聞いてます?」

 

 手の温度がトレーナーの体温と遜色ない温さになった頃に、ライトハローの身体がふらりと傾いた。

 

「わっ、大丈夫ですか!?」

 

「うーん、視界がぐるぐるします……」

 

「とりあえずお水飲んでてください、その間にタクシー呼びますので──あっ」

 

「どうしました?」

 

「すみません、もうお財布が空っぽで……」

 

「あー、先程も会計をもってもらっちゃいましたからね……しょうがないですよ〜」

 

「まあ大した距離じゃないので、僕は歩いて帰りま──うわっ!?」

 

「ダメですよ、トレーナーさんだってふらふらじゃないですか〜」

 

 よろけたところをぎゅっと抱き止められる。柔らかな感触と、酒の残り香に混じる甘い匂い。口を真一文字に結んでこちらを見つめる彼女と、目が合った。

 

「ライトハローさん……?」

 

「トレーナーさん。私、いまとっても幸せです」

 

 ライトハローはトレーナーを見つめて微笑む。

 

「あなたがいて、ファル子さんがいて、他のみんなが賛成してくれて……そのお陰で無事グランドライブを成功できました」

 

「いえ、そんな……ハローさんがずっと頑張ってきた結果ですよ」

 

「特にトレーナーさんには、プライベートでもずっと付き合って頂いて……本当に、色々といい刺激をもらいましたっ」

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

 美術館、ライブ、山登り──多くの時間を二人で過ごしてきた。

 

「そういえば、正月に二人でカラオケにも行きましたね。あのときも、このくらい酔ってたような」

 

「その節はご迷惑をおかけしましたっ……! トレーナーさんに会えた喜びで、つい」

 

 彼女の頬が赤いのが、酔いのせいではないことは──トレーナーにも、流石にわかった。

 

「好き、ですっ……あなたのことが。あなたの優しさも、聡明さも、懸命さも。まだまだ至らない私ですが、これからも……共に歩んでくれますか?」

 

 向けられた細く白い掌に、彼は迷うことなく己の手を添えた。

 

「俺も……ずっと好きでした。自分なんかでよければ、是非」

 

「~~~~っっっっっ、はいっ!!」

 

「わっ」

 

 胸の中に飛び込んできた彼女を、優しく抱き留める。むぎゅうと甘えるように密着する彼女の背中を、トレーナーは優しく擦った。

 

「……よくよく考えたらいまのちょっと、プロポーズっぽいですね」

 

「ふえっ!?」

 

 まったく意識していなかったのか、ライトハローが動揺の反応を見せた。カバーするようにトレーナーが「あっ、でも言葉自体はめちゃくちゃ嬉しかったですし、いずれはその……そうなりますから!」とカバーした。

 

「ふふっ……そうですね」

 

 優しく微笑んで、ライトハローはそっと口づけを落とす。

 

「末永くよろしくお願いしますっ」

 

「こ、こちらこそ」

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