そのウマ娘が“白銀の突風”と呼ばれるまで   作:乃亞

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いつのまにか評価バーに色ついてるし、UA5000超えてるし、お気に入りが3桁行ってるし、なんか色々びっくりしました。いつも本当にありがとうございます。これからも精進します。


第8話 標:asterisk

 次の日の朝。私とマヤノはテイオーに引っ張られてスピカの部室に連れ去られていた。

 

「はい、お前ら挨拶!」

「「「「「「「ようこそ、チームスピカへ!」」」」」」」

「…スバルメルクーリ。よろしく」

「マヤはマヤノトップガン!ユー・コピー?」

 

 …いや朝から元気すぎない?しかもみんなハモってるし。ちなみにマヤノは昨日部室で入ることを宣言した時に『マヤもこのチーム楽しそうだから入る!』とかなんとか言い出して半ば強引に入った。

 

「さて、メルクーリとマヤノはこれからメイクデビューをして、トゥインクル・シリーズに乗り込んでいくわけだが。そこで2人の目標を聞かせて欲しい。お前たちはどんなウマ娘になりたい?」

「マヤはね、キラキラワクワクするウマ娘になりたいの!そのためにトレーニングもレースもライブも頑張る!」

「キラキラなウマ娘か…良い目標だな!メルクーリは?」

「私は……。うーん……?」

 

 目標…かぁ。私の目標ってなんだろう…?チームに体験入部という形とはいえ入ってなお、私には夢と言えるものも目標と呼べるものも見つかってない。…一体目標ってなんだ…?この前はテイオーとマヤノのために走ったけど……いつでもそういうわけにもいかないし。

 

 テイオーは憧れのシンボリルドルフを超えること。マヤノはキラキラワクワクするウマ娘になること。スズカさんは…観てくれる人に夢を与えられるウマ娘になること…だっけ?それに比べて私は…なんのために走るんだろう。わからない。いやまぁ昨日の今日で見つかるくらいなら今までこんなに悩んでないんだけど。

 

「………うーん……わからない、です」

「…昔のスズカにちょっと似てるな、お前。じゃあよし、メルクーリの今後の目標は『目標を見つける』だ!何も夢や目標がない奴が勝てるほどレースは甘くない。まずはしっかりそこから決めよう」

「…はい」

 

 見つけられるのだろうか。何もかもが空っぽな私に。

 

「……ウマ娘の登録名には規定により2種類あります。1つは本名をそのまま登録名にするパターン、もう1つは……スバルメルクーリさん?聞いてますか?」

「………はい」

 

 何もかもが上の空のまま、午前の授業は半分以上サボってしまった。

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 退屈な授業が終わって、私とマヤノは柔軟しながらトレーナーからの指示を聞いていた。

 

「さーて2人が入って最初のトレーニングだが、メルとマヤノにはまずインターバル走を走ってもらう」

「「インターバル走?」」

「そう、インターバル走。特定の距離を俺が指定したタイムになるべく合わせて走ることだ。今回は…そうだな、2000mを4分10秒で5回走ってもらおうか。インターバルは4分でこのサイクルを5回続けてもらう」

「えーっ!ちょっと遅くない?マヤもっと速く走れるもん!」

「ふっふっふ、マヤノはそう思うか。メルクーリはどう思う?」

「…走れと言われたら走る…ります。それだけ」

「お前なぁ…」

 

 このトレーナー、思った以上に眉に感情が出るのね。綺麗な逆ハの字になってたね、今。

 

「マヤノ、いける?私はいけるよ」

「うん、いっくよ〜!メルちゃんにも勝っちゃうもんね!」

「トレーナー、タイム測って」

「お、おう。…行くぞー。よーい、ドン!」

 

 マヤノと2人で駆け始める。…ラフな併走トレーニングとも、何もかもがうるさい選抜レースとも違う独特な緊張感。そして少し水を撒いたのかな、蒸せ返るような芝の匂い。……結構嫌いじゃない。

 

 トレーナーは4分10秒で2000mって言ってたけど、割と難しいと思う。皐月賞のタイムの大体倍くらいの時間設定だからあんまり速く走りすぎても、ゆっくり走りすぎてもいけない。いけない…んだけどマヤノがちょっと速いな。

 

「マヤノ、ペース落として。速すぎる」

「えーなんでー?速く着くのは良いことじゃないの?」

「正確に走るのが目的なんだと思う。今のペースだと3分どころか2分58秒ペースだからもっとゆっくり行こう」

「…ふーん、まぁメルちゃんが言うならそうするけど…!」

 

 〜〜

「このペースだと4分20秒か、ちょっと上げよう」

「アイ・コピー!いっくよー!」

 〜〜

「このペースは速いか、3分50秒ペースだから落とすよ」

「えぇ〜!」

 〜〜

「ちょっと遅い。4分17秒ペースだからほんの少しあげるよ」

「…はぁ、はぁ」

 

 〜〜〜〜

「よーし、2人ともお疲れさん!よく頑張ったな」

「…はぁ、つ、疲れた…」

「はい」

「さーて、インターバル走の結果だが」

「1回目4分7秒、2回目4分11秒、3回目と4回目4分10秒、5回目4分15秒でしょ?」

「……せ、正解だ。すごいなメルクーリ」

「これくらい誰でもできるでしょ?」

(((いやそんなわけない)))

 

 マヤノとトレーナーと側で見てたテイオーが怪訝な目で私を見てるけど、これくらいきっちりと体内時計合わせてないと門限ブッチで捜索願出される。それは面倒じゃん?

 …それはさておき、いくらゆっくり走るとはいえほぼぶっ通しで10000m走るのはかなり疲れる。横のマヤノなんか疲れすぎて地面にハグしてるしな。

 

「このあとは?」

「…そうだな、とりあえずクールダウン前に気持ちよく走ってみるか」

「わかっ…りました。マヤノ、いこう?」

「……ちょっと待って、もうちょっとだけでいいから」

 

 ……とりあえず地面にハグしてるマヤノをひっくり返しておこうか。




メルちゃんの身長とか誕生日とかのデータ…いります?いつ出せばいいかわからなくなっちゃいました()
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