うちの学園はオグリさんもカサマツから転入してきてないし、アメリカからタイキさんも来てません。ファルコさんもいません。ぴえん。
新潟 芝 1800m
『国民的スポーツエンターテインメント、トゥインクルシリーズ。実況は私相場と、解説は待元さんでお送りします』
『よろしくお願いします』
『本日はまず初夏の風が吹き渡る新潟レース場から、メイクデビュー戦をお届けします』
『この日を今か今かと待ち望んだ娘たちが今日も集いました。どの娘も好走を期待したいですね』
『来年のクラシックに向けてのスタートダッシュを迎えた16人のウマ娘たちがそのゲートを開かれるのを心待ちにしています新潟レース場。雨もなく綺麗な良バ場発表となっております』
パドックでのお披露目タイムも終わってレース開始前の最終チェックとして体を伸ばしたり軽くダッシュをしているとそんなスピーカー音が聞こえてきた。…どうやら中継も始まったらしい。それにあわせて少し観客の歓声が上がったようで、やっぱりうるさい。
今日の新潟レース場はカラッとした青空が広がって芝の状態も綺麗。良バ場発表もさっきされたようだ。初夏の風が吹き渡って、走ると気持ちが良いかもしれない。
『さて待元さん。今日のこのレースですが特に注目の娘っていうのはいますかね?』
『そうですねぇ、私は4枠8番のスバルメルクーリに注目しています。所属がチームスピカというのもそうですが、パドックでの柔らかな身のこなしやスタート直前のダッシュを見ていると惚れ惚れとしてしまいました。1番人気に推されているのも納得です』
『なるほど、ありがとうございます。さて、そろそろファンファーレ、ゲートインの時間です』
ファンファーレか、耳塞いでおこう。そうでもしないと目眩を起こして倒れそうだし。…塞いでいても地鳴りのようなうるささが隙間から入ってきてイヤになる。
…終わったか、パッと見観客が沸いてるし。奇数番がゲートイン始めたし。
『さぁ各ウマ娘のゲートインが進んでおります。落ち着いたゲートインになっております』
『嫌がる娘も出ていませんし、落ち着いたメイクデビューになりそうですね』
係の人に促されてゲートに入るとスズカさんやテイオーたち、チームスピカの面々が見えた。見えたんだけど…何アレ。
まずゴルシ。何そのハッピと立ち売り箱、駅弁でも売るの?次にゴルシ、なんでルービックキューブ持ってんの?最後にゴルシとトレーナー以外、なんでみんな私に向けて波動砲撃ってるの??トレーナーもなんか疑問持ちなよ…。
「「「「「「「勝てー、勝てー」」」」」」」
「「スイーツ、スイーツ!」」
…食い意地張ってる2人がいたことは覚えておこう。
『各ウマ娘、ゲートイン完了!スタートの準備が整いました』
あ、ゲート開くらしいし走る準備するか。
ゲートが…開いたっ!
『スタートしました!横一線、綺麗なスタートの中で飛び出たのは1番人気スバルメルクーリ!』
「「「「「「「「……えええええええっ!?」」」」」」」」
「おいトレーナー、アイツの脚質って追込なんじゃねぇのかよ!」
「…いや、本人からは特にコレが得意!とかは聞いてないからレースの中で見極めようと思ってたんだがな。流石に予想外だぞコレは…」
「「あわわわわ、スイーツが!」」
……やっば、余計なこと考えてたら飛び出しちゃったわ。しかもこれ以上ないくらい綺麗なスタートだし。
…しょうがないからこのまま逃げようかな。せっかくだしタイムアタックでもするかぁ。
『さぁポーンと前に出たスバルメルクーリ、どんどん加速していきます!リードがもう3バ身4バ身…どんどん離していきます!』
『新潟の長い直線でこれだけ加速するとコーナーを曲がるときに大回りになりやすいので少し心配ですね』
『さあ前半600mの通過が…34秒9!?とても速いペースとなっております新潟レース場メイクデビュー戦。先頭は依然スバルメルクーリのひとり旅となっております、後ろのウマ娘たちは追いつけるのか!?』
コーナー前から上り坂になってるのか、このコース。少し歩幅を狭めて曲がる準備をするか。
『さぁ先頭のスバルメルクーリ、コーナーでもほとんど減速しません!速い、速いぞこれは!後続とはもう8バ身はあるでしょうか!』
『驚きました、これはレコードを期待できるかもしれません』
うわぁ、第3コーナーの途中で下り坂になってるのずるいなぁ。第4コーナーで体が振られないように気をつけなきゃ。
…にしても今日のターフは本当に走りやすいなぁ。肌に心地いい風が当たって気温よりは涼しいし。…っとと、このコーナー本当にきっついな。まぁここを抜けたらあとはずっと直線だし、体勢を低くしてペースを上げるかぁ。
『止まらない止まらない!スバルメルクーリの快速が止まらない!体勢をさらに低くしペースを上げました!』
『後続はそろそろペースを上げないと間に合いませんよ』
コーナーを抜けたらあとはゴールまで600mくらいの長い直線を走り切るだけ。…一気に加速しようかな。後続は…大分遠いな、これなら差されない。
『誰も来ない!誰もついてこれない!…圧倒的、スバルメルクーリ!今1着でゴールイン!タイムは1分48秒9!コースレコード、言うまでもなく大差です!これはお見事!初夏の新潟に鮮烈な新風が吹き荒れました!待元さん、このレースいかがでしたか?』
『いやぁ、我々の想像を超えるスピードを目の当たりにしました。今からでもクラシックの三冠の最有力候補といって差し支えないでしょう』
『新潟レース場芝1800mメイクデビュー戦、1着は8番スバルメルクーリ、2着は3番……』
…ふう、気持ちよく走れた。とりあえずスピカの面々に挨拶だけしとこうかな。
「メルちゃーん!ナイスラン!」
「レコードおめでとうございます!」
「ありがと、みんな。…マックイーンさんとスペさんはスイーツ食べられてよかったですね」
「「ええっ!?聞こえてたんですか(の)!?」」
「『スイーツ、スイーツ!』ってやってましたもんね、もちろん聞こえてました」
真っ赤になっているスペさんとマックイーンさんを放置しつつ、私はトレーナーに向き直る。トレーナーはトレーナーで何か言いたいことがありそうな顔をしていたから。
「どうでしたか?私の走りは」
「…正直、驚いた。追込が得意なもんだとばかり思ってたからな」
「あははは…」
まぁ間違ってはいないんだけどね。追込は1番前の動きを見ながらそれに合わせる感じで、逃げはなりふり構わずうるさい音から逃げる感じ。どっちが得意とかどっちが苦手とかはない。…バ群に飲まれなければ、ね。
「メルクーリ、後で細かい話はするからとりあえず来てくれた方にアピールしとけ!ひとまずお疲れさん」
「……あぁ、はい」
…それもそうか。
とりあえずターフの真ん中に戻った私は観客席に向かって大きくにこやかな感じに手を振ってやった。
それに沸きたったレース場はやっぱりうるさかったけど、それでもやってよかったとは思えた。
……鋼の意思、不発。どんなスキルも発動しなきゃ持ってないのと同じですよと。ライブまで書いたら文字数が…ね?その…ね?うん(自己諦念)
感想、お気に入り登録、UA等々いつも本当にありがとうございます。いつのまにかお気に入り150件突破してました。いえーい。
次回は本当にライブ、書きます。書かせてください(鋼の意思)