…本当は昨日清書が終わってて送り出せたはずだったんです。まぁ送り出せなかったんですけどね。ぴえん。
それではよろしくお願いします!
控室に戻った私は、トレーナーのケアを受けながらライブの曲目を確認していた。…ってこの曲かぁ…。
「さてメルクーリ、改めてデビュー戦お疲れさん。どっか痛かったり張ってたりしてないか?」
「……大丈夫。どこも健康そのものだと思う。…普段からレース終わりにこんなにケアとかしてるの?」
「いや?メイクデビューでコースレコードなんて大それた記録をだしたどっかのおバ鹿さんがいたからな。筋肉へのダメージが多いかもしれんと思った俺の特別サービスだ!…にしてもこのトモ、どうなってんだ?しなやかで柔らかいかと思えばきっちりしまってる所はしまってるし…」
触り方がケアのそれから完全に逸れてるんだけど。うんうんとか頷いてるし。
「…この足で蹴られたいってこと?お望みなら本気で蹴るけど」
「ヒェッ」
「…ウソだよウソ。色々めんどくさいしやらないって」
一気に顔が青ざめたトレーナーを見てちょっとため息を吐く。ニンゲン相手に本気で蹴ったら怪我じゃ済まないでしょ。…済まないでしょ?
「…で?なんでこんなことやってんの?」
「…だーから言ったろ?ダメージ入ってないか不安になったんだって」
「それだけじゃない。レース前からずっと不安そうな顔してたの気づいてるんだよ私は」
そこまで言うとトレーナーはため息を1つついて頭をかいた。…そういえば今アメ舐めてないなこの人、珍しい。
「レース前の移動中に寝ながら異常な汗をかいていたこと。そんでレースはいきなり飛び出して逃げ始めたこと。そんでもって
「…そっか、焦った顔をしてたか。それでトレーナーはそれに気付いてた。顔を下げて重心もかなり落として走ってたのに、めざといね」
「まだまだなってから時間が経ってないけどな、俺はお前のトレーナーだ。そういう細かいことにも気づくんだよ」
なるほどなぁ、トレーナーはよく見てるね。私のことも、多分それ以外のチームメンバーのことも。普段割とテキトーそうなトレーニング内容だけど不満がでないのもそういう観察眼の賜物なのかもしれない。
「トレーナーから見て、今日の私はどんな感じに見えた?」
「…まるで
「………そっか」
「なぁメルクーリ、どうしたんだ?俺が力になれr 「大丈夫」…でも」
「大丈夫だから。とりあえず気にしないで。お願い」
誰かと競り合いをして、負けた時か。……そっか。本当によく見てるな、トレーナーは。ってそれよりも。
「ねぇトレーナー、1つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「ウイニングライブの曲、変えることって出来ない?」
「……………。は?」
〜〜〜〜〜〜
「メルクーリー!!!これからも頑張れよぉー!!!」
「応援してるから!!三冠ウマ娘になれよぉーー!!!」
「………はぁ、うるさ」
ライブの曲を変えるのは普通に無理でした。まぁそうだよね。私1人の好き嫌いで直前で変えられるほど甘くない。できるとしたら引退ライブくらいなものだろう。
「………♪」
今日のウイニングライブの曲は"ENDLESS DREAM!"。ジュニア級のウイニングライブといえばコレ!みたいな感じの曲だけど…ねぇ。
夢や目標なんてものを無くした私には何というか、ウイニングライブの曲目って眩しすぎる。夢にむかって駆けだせる時点で恵まれてると感じてしまう。
そんな卑屈な私にこういう曲を歌わせるなんてなんというか、私への当て付けかな?って思ってしまう。本当にほかの娘が歌った方が絶対曲に合ってると思う。
…いやわかってる。"ウイニング"ライブなんだから勝者が歌うような歌になるのはわかってる。それに合わせることができない私が悪いのだ。
それとも神がウイニングライブで私が歌うことが分かっていてこの曲を設定したんだろうか。そしてこうやって歌っている私を
…そうだとしたらやっぱり私は神が嫌いだ。心からそう思った。
「……♪。…ありがとうございました」
『『『うぉぉぉぁああああ!!!!』』』
『おめでとう!』
軽く一周してペコリとお辞儀をする。そしてそそくさと逃げるようにライブ会場から出た。……ぅあーもう、本当に耳が潰れちゃう。
ちなみにだが、次の日の記事に表情が完璧に死んでいる私が撮られていて表紙にされていたそうだ。知るかそんなこと。
〜〜〜〜〜〜
「おつかれ〜メルちゃん!ライブしっかり踊れてたね!」
「無表情で振り付けだけはカンペキだから逆に怖かったけどね」
「ただいま。マヤノとテイオー」
もうすっかりおなじみになった2人のお出迎えに少しだけ安心して控え室に向かう。
「いつライブの練習なんかしてたの?夜こっそりとか?」
「実家でお母様に一通りやらされたからそれが残ってた。最近の曲以外は全部踊れると思う」
多分あのうまだっちとかなんとか言ってる奴以外は歌えるし踊れると思う。
そんなたわいないことを話していると控え室の前に着いた。…早く部屋に戻って寝たい。なんてことを思っていたらマヤノとテイオーに扉を塞がれた。
「…なにしてんの、2人とも」
「行くよメルちゃん、びっくりしないでよ!マヤノ、行くよ!!」
「アイ・コピー!☆」
「……?」
2人で思いっきり開けた控え室にはスピカのメンバー全員とトレーナー、そしてありったけのご飯が用意されていた。あの…着替えはどこで…?
「メルクーリ、メイクデビュー勝利おめでとう!」
「「「「「「「「おめでとう!!」」」」」」」」
「そ・し・て!メルクーリの勝利を祝して、かんぱーい!」
「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」
「……あ、ありがとう?」
いつの間にかにんじんジュースの紙コップを持たされてパーティ帽子も被らされてました。…いや、みんな元気すぎる。私しか走ってないとはいえ、みんな朝4時に起きたんだよね?そこからお昼寝なしでこんなに騒げるの?
…いやにんじんジュースは美味しいけども。新潟のお米は美味しいしにんじんハンバーグに合うけども。にんじんケーキもにんじんジュースももっと欲しいけども。
唐突に始まった食事会は2時間以上続き、食い意地が張ったスペさんがお腹を丸く膨らませて満足げにしていたことをここに記録しておこうと思う。
このサイトの楽曲使用の規定がよくわかってないから歌詞を出しませんでしたが、例の棒立ち曲です。
メルちゃんの雰囲気が少し暗い→せや、ご飯会をして少しでも盛り上げよう→いけ、スピカの面々!!→よっしゃー!やったらーい!
これをあっという間にできるトレーナーとメンバー(特にゴルシ)は間違いなく空気読みの達人だよねって話。あると思います。
次に簡単なメルちゃんのプロフィールを投稿したら第1章はキリがいいし終わりにしようと思います。感想、お気に入り登録、UA等々本当にありがとうございます。