そのウマ娘が“白銀の突風”と呼ばれるまで   作:乃亞

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ヴァルゴ杯負けて泣いてます、ぴえん。
グラスさんとフジさんと魔改造ファル子さんは頑張った、うん。
今回もよろしくお願いします。


第22話 勝負服:For the GradeⅠ

「……身体計測ぅ…?」

「そうだ、身体計測。メルクーリとマヤノには今から身体計測を受けてもらう!」

「「……???」」

 

 レース明けの練習初日。午前の授業をサボって屋上で寝ていた所をマヤノに捕捉され、部室に引っ張られた私と引っ張っていったマヤノにトレーナーが告げた謎の言葉、身体計測。

 

 ……。

 …………。

 ………………いや、なんで?

 

 

「…お疲れ、私帰って寝るわ」

「マヤも帰ろっかなぁ。ごめんねメルちゃん引っ張っちゃったりして、練習しないんだったらマヤもコスメ見たかったんだぁ」

「待ーて待て待て!!!!これは大事なことなんだよ!お前たちに今一番必要なことと言っても過言じゃない!」

「季節外れにも程があるでしょ、なんでこの時期に身体計測なんかしなきゃいけないのさ」

 

 

 普通身体計測って4月の最初にやるものだし実際やったでしょ?……いやまぁ私途中で面倒になって帰ったけど。いつの間にか郵便受けに入れられてた結果報告の紙を見たら半分くらい空欄だったはず。

 呆れて三白眼になってる私と疑問符が4つくらい浮かんでそうなマヤノを見て溜息をつくトレーナー。

 

「…いいかお前ら、お前らの次走は何だ?」

「朝日杯」

「マヤはホープフルだったよね?」

「ということはだ。なんか必要なもんあるよな?」

 

 

 ……あー、そういうこと。横のマヤノもどうやらわかったらしい。尻尾をブンブン振ってる。

 

 

「「勝負服(だね)」」

「そうだ!ウマ娘は本格化を迎えると体格が一気に変わることもあってな、4月の身体計測の時のデータが役に立たないことがあるわけ。そこのズレを調節したり、より合ったモノを作るために初めてのG1レースが決まったら改めて採寸するのが慣わしになってるんだよ。そういうことだからわかったら早く着替えろ〜、早くしないとその分トレーニングできねぇぞ〜」

「トレーナー、説明終わったー?こっちの準備はできてるわよ!」

 

 

 なんでかわからないけどドヤ顔のトレーナーを後押しするかのように巻尺を持ってスカーレットさんが入ってきた。裏でもう準備してるのね。

 

「ってことだ、早く着替えるんだぞお前ら」

「アイ・コピー!ほらほらメルちゃん、早く着替えよ?」

「あっ、ちょっとマヤノ引っ張らないで…元気すぎるでしょ」

 

 

 …この部屋で着替えるわけなんだから引っ張ってもしょうがないのに気づいてマヤノ。私の制服は引っ張っても脱げないの、っていうかトレーナーは早く出てけ!

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

「…ほい、マヤノの身長は143センチ、メルの身長は145センチか。お前らちっちゃいなぁ、早くアタシみたいに成長しろ〜?にんじん食べてるか?」

「…うるさいゴルシ。170センチって何食べたらそんなになるのさ」

「鯛とか?」

「…聞かなきゃよかったね、メルちゃん」

「……うん」

「ほらほらお前たち椅子座って腕伸ばせー、測るから」

 

 

 私とマヤノの身長を測りながら微妙に煽ってくるゴルシを見上げる姿勢になって私は溜息をつく。ゴルシめ、実際にプロポーションがモデル顔負けだから困る。そういえばこの前ゴルシの勝負服を見たけど、真っ赤な服に白いグローブとスパッツ、胸のあたりをベルトで締めるといういかにもゴルシらしい派手な服だった。

 

 

「そういえばメルちゃんは勝負服のデザインはどんなのお願いしたの?マヤ、気になるなぁ〜?」

「………」

「あれ?メルちゃん??」

「…まだ教えない。マヤノは?」

「マヤはねぇ〜、パパとママに見せたら『若い時のパパみたいでカッコイイね』って言ってくれたの!」

「……パパみたいなの?」

「うん!マヤのパパはね、パイロットなの!それで小型ジェットに乗せてもらったことがあるんだけど、その時のワクワクを勝負服に込めたの!」

「…いいね、それ」

 

 

 勝負服は着られる舞台が限られてて、有マとか宝塚みたいなG1だけ。つまりレースに出たいウマ娘にとっては最高の晴れ舞台なので、それはもう思いを込めてデザインを仕立てるウマ娘が多いんだとか。『勝負服のデザインをするのはいいですが、それで授業をサボらないように!』って先生は言ってたらしいし、昔の話だけど『憧れの結晶を具現化するのが勝負服です。しっかり考えてデザインなさい』なんてお母様に口酸っぱく言われたっけ。

 

 

「……私もそれなりに考えたから。来たら見せ合いっこする?」

「するする!メルちゃんの勝負服を最初に見られるってことでしょ?したい!」

「いいわね、2人。アタシ達もあんなことしたわね」

「絶対オレの方が良かったけどな」

「なんですってぇ…!?」

 

 

 後ろの方で私達のデータを指示通り記入してたスカーレットさんとウオッカさんがデータそっちのけでいつも通りの取っ組み合いを始めてテイオーとマックイーンさんが仲裁に行った。…うーん、いつも通りだなぁ。

 

「…ふふっ」

「?」

 

 

 …もしかしたら私もみんな(スピカ)に毒されてるのかもね。それがいいのか悪いのかは知らないけど。




評価が赤くなっててびっくりしてます、本当にありがとうございます。
ヴァルゴ杯ダメだった代わりに神戸新聞杯でステラヴェローチェとレッドジェネシスの推し馬たちが12フィニッシュしててニコニコしちゃいました。
改めて感想、評価etcありがとうございます。次回もよろしくお願いします!
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