そのウマ娘が“白銀の突風”と呼ばれるまで   作:乃亞

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なんか昨日めっちゃUA多いなあって思ってたらどうやら日間ランキングに載ってたらしいです。ありがとうございます。
それでは今回もよろしくお願いします。


第23話 いつものスピカ:sudden relay

 最近はあのレースの日よりも気温が1段階さがっていて、ジャージを着ていても少し肌寒く感じるようになってきた。いよいよ冬が来るな…と思いながら私はボヤいた。

 

「…なんで私が」

「マヤはメルちゃんと対戦できて嬉しいけどね♪」

「メルちゃーん、準備大丈夫?マヤノは強いけど関係なくやっちゃいなさい!」

「マヤノー!いくらメルクーリと言っても遅れを取るなよーー!」

 

 そう、なぜか私とマヤノは身体計測をしていたと思った次の瞬間にターフの上に立っていたのだ。私は赤、マヤノは白のバトンを手にしながら。一体なんでこんなことに…。

 

 ……話を整理しようか。さっきまで私とマヤノは勝負服の作成のために身体計測をしていた。そこでスカーレットさんとウオッカさんがいつもの取っ組み合いを始めた。それを仲裁するためにテイオーとマックイーンさんが突っ込んだら今度はその2人が小競り合いになって被害が拡大。いやなんでそこが競り合うの…?

 

 それを面白そうに見ていたゴルシの『お前ら一旦決着つけてみたらどうだ?』の一言で一気にヒートアップした4人が私とマヤノをターゲットオン。スカーレットさんとマックイーンさんが私を、ウオッカさんとテイオーがマヤノをそれぞれ拉致(スカウト)して即席チームが結成された。いやなんで私たち巻き込まれてるの…?ちなみに隣にいたマヤノはそれはもうこれ以上ないくらいの笑顔でやる気満々だった。もうこのチームがわからない、わからないよ私は。

 

 流石に止めるだろうと思っていた頼みの綱のトレーナーも『いいんじゃねぇの?普通のレースとは違う勝負感とか連帯感が鍛えられるだろ』とこっちもなぜか乗り気。最初に仲裁案を出したゴルシをスターター兼ゴール判定係に、補習に引っかかって遅刻してきたスペさんをタイムキーパーにそれぞれ任命してさっさとリレーの準備を始めてしまった。いやなんで止めないの…?

 

「んじゃ改めてチームスカーレット対チームウオッカのチーム対抗リレーのルール説明するぞー!1人あたり1200メートルの計3600メートル走って勝敗をつける!そこのスペがタイム測るから手ぇ抜くなよ!ちなみに勝ったチームにはトレーナーからご褒美としてパフェが贈られる!…もっとちなみに言うとアタシはパフェを貰える!スペは補習で遅刻したからナシ!以上だ!存分に争え!」

「えぇーっ!ゴールドシップさん、それは酷いですよ!」

 

 ……ふーん、スイーツねぇ。いや私は別に欲しくないし欲しくなったら全然自分で食べに行くけどマックイーンさんがスイーツ大好きなのはこの間のスイーツ会でよくわかったしスカーレットさんもきっとスイーツ好きだろうし少し頑張ろうかなぁー??いや全然、ホント全然いらないけどね?

 

 

「マヤノ」

「どしたのメルちゃん?」

「悪いけど、勝たせてもらうね」

「……!!マヤが勝っちゃうもんね!」

「お?珍しくやる気だなメル!んじゃ行くぞー」

 

 

 バトンを手の上で回して体の調子を確かめる。…よし、悪くない。スターターのゴルシの音を耳で捉えながら集中力を高める。

 

 

「よーい……スタート!」

「ふっ!」

「わっ、流石メルちゃん!…でも負けないよー!」

 

 

 ゴルシが旗を振り下ろした音と全く同時に飛び出す私に対し、マヤノがうまくついてきたのが聞こえる。…さてはこれ、マヤノは私が逃げを選ぶのわかってたねこれ。まぁ1200メートルなんて短距離で追込は選ぶの躊躇うよね。

 

 マヤノは少し後ろで上手く私を風除けに使ってセーブしてるけど、そのままだったら私もう行くよ?なんて思ってたら残り500メートルくらいでマヤノの足音が重く変わった。……来るね。

 

 

「あんまりメルちゃんだけに美味しい思いさせたくないよね!マヤちん、テイクオーフ!!」

「メルクーリさん頑張ってくださいまし!マヤノさんが後ろから来てますわよ!」

「いけーマヤノ!メルちゃんなんか一気に差しちゃえ!」

 

 

 …これ思ったよりもマヤノの加速のキレがいいね。じゃあこれなら…!

 

「…ふッ!」

「あっ!?」

 

 

 詰まった距離をもう一度少しだけ広げて次走のマックイーンさんにバトンを渡す!

 

「…よろしく!」

「お任せあれ!」

 

 …あれっ?渡した時に触った手が少しだけもっちり……いや流石に気のせいか。

 

 

「テイオーちゃんごめん!お願い!」

「天皇賞の時よりは近いからダイジョーブ!」

 

 

 マックイーンさんが行ってすぐにマヤノとテイオーがバトン渡しを終わらせてテイオーが走り出していった。……うーん、テイオーの足がかなり軽いね。

 

「お疲れマヤノ。まず一勝ってことで」

「…むー、あそこで行けば追いつけると思ったのになぁ。次は負けないもん!」

「それはどうだろうねぇ」

 

 

 膨れっ面のマヤノをターフの外に連れ出してレースの展開を見守ることにした。思ったよりペースがあがらないマックイーンさんに対して快調そのもののテイオー。

 ギリギリ追いつかれないくらいかなぁってぼんやり眺めてたら異常なスプリントで一気にマックイーンさんに追いついてきたところで2人ともバトンタッチ。勝負はスカーレットさんとウオッカさんの2人に託された。

 

 …にしてもマックイーンさん、全然スピードが乗ってこなかったな。以前本人から長距離(ステイヤー)気質だって話は聞いてたけどそれにしたってスピードあがらなさすぎだよね、これ。まさか…ねぇ?これ以上詮索するのはマックイーンさんのためにもやめておこうかな。

 

 マヤノにドリンクを渡しながらレースに目を向ける。ちょうどスカーレットさんとウオッカさんが競り合ってハナを取りに行ってるところだった。元気だなぁ、2人とも。

 

 

「スカーレットさんとウオッカさんってよく喧嘩してるけど仲良いよね」

「マヤ少し前までトレーニングに付き合ってもらってたから知ってるんだけど、2人ってそっくりなんだよ!マヤに教えるときは息ピッタリだったのに2人で話してる時はケンカばっかりしてるんだ〜。ケンカップルたまらん!ってデジタルさんが言ってたけどどういう意味なのかな??」

「……わかってるだろうけど絶対に2人には言わない方がいいよ、それ」

 

 

 競り合いながら『アタシの方が速い!』『いやオレの方が速い!』って言い合ってるのが耳を澄ませなくても聞こえてくるし、本当のレースなら失格になりそうな衝突の仕方してるけどアレがあの2人のコミュニケーション方法なんだろうね、よくわかんないけど。……あ、もつれながら2人一緒にゴール板駆け抜けた。

 

 

「ただいまの勝負…両チーム引き分け!敗者トレーナーとスペ!トレーナーはスペ以外の全員にスイーツを奢ること!」

「なしてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 写真判定もなしにゴルシが全部決めちゃったけど、まぁゴルシだし。ゴール判定をゴルシに任せたトレーナーが悪いよね。あとスペさんは…ドンマイ。勉強はちゃんとやった方がいいっぽいね。

 

 

 後日、スペさん以外の全員にコンビニで買ったらしいシュークリームが悲しそうな表情をしたトレーナーから配られた。マックイーンさんがなんとも言えない顔でそれを見つめていたのに気づいたのはゴルシと私だけだと思う。




ヒント:脚質適正、バッドステータス

今回も読んでいただきありがとうございました。感想評価お気に入り等々も感謝です!次回もよろしくお願いします!



めっちゃびっくりしました、なんかいきなりめちゃくちゃお気に入りとかUAとか増えてるんだもん。本当にありがとうございます。
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