そのウマ娘が“白銀の突風”と呼ばれるまで   作:乃亞

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長距離のチャンピオンズミーティングは1番プレイヤーの手持ちが問われるから私みたいな小市民には勝てない…。
おとなしく好きな子だして楽しもうと思います。
それでは今回もよろしくお願いします。


第25話 新たな戦いへの招待券:full-dress uniform

 マ子にも衣装、という言葉がある。ウマ娘の子供のように可愛らしいものに衣装を着せれば完璧って意味らしいけど、なるほどなぁと思う。

 ……で。なんでこんなことを考えているかというと。

 

「どうどう?似合ってる?カッコいい?」

 

 

 それは目の前のマヤノの勝負服が彼女に完璧に合ってるからに違いなくて。思わず私は少し前の記憶がフラッシュバックした。

 

 〜〜〜

 

「寒くなってきていよいよ冬って感じだね!メルちゃん冬の食べ物で何が好き?」

「…うーん、定番といえば定番だけどお鍋は好きかも。マヤノは?」

「マヤもお鍋好きー!ボーノちゃんと一緒にちゃんこ鍋作るんだ〜♪今度一緒に作る?」

「…みんなと一緒にね。……にしてもこんなに寒かったっけ日本って…?」

「ちょっと今年は寒いかもね、早く部室入ろ!」

 

 

 一緒にスピカの部室に入った私とマヤノはすぐに違和感に気づいた。…なんでみんな集まっててしかも私たちに何とも言えない緩い笑みを浮かべるんだろう?

 

「よーしマヤノとメルクーリ来たな、今日はお前たちにいいものが届いてるぞ!」

「…それって」

「そう!遂にお前たちの勝負服が届いたんだよ!さ、一回着てみろ!」

「いやトレーナーは外でろよ、メルもマヤノも女だぞ。てかスペの時もやったろこのやりとり」

「懐かしいですねぇ、そのやりとりも。あ、私たちも外で待つので2人で着てみてください!着られたら私たちに見せてくださいね!」

「あ、あっ…。えっ?」

 

 

 誰か着るの手伝ってくれたりとかはしないんかい!…ってツッコむ隙すら与えずにツッコむ相手がもう出て行ってたから口には出さないけど。

 

 〜〜〜

 

「メルちゃん?メルちゃーん??」

 

 …はっ、何考えてたんだろ私。

 部室に残されたマヤノと私はじゃんけんで順番を決めてお互いがお互いの衣装を着るのを手伝うことにした。もっとも着る服を手渡しするとかくらいしかやることなかったけどね。

 

 改めてマヤノの勝負服を見る。身体計測の時に言っていた通り、パイロットが着ているような濃い緑のフライトジャケットに黄色のチューブトップを合わせ、白いホットパンツに焦げ茶のオーバーニーソックスでまとめた勝負服は活動的なマヤノにピッタリだと思う。……強いて言うならおへそが出てるから冬は寒そうで心配になるくらい。この服で雪の日に走ったら次の日は風邪ひきそうだよねぇ。

 

「メルちゃーん?もしもーし?」

「…あぁ、ごめん。カッコいいし可愛いよ、マヤノにぴったりないい服だね」

「えへへ…。メルちゃんはマヤ検定2級、ごうかーく!」

「…ありがとうだけど、マヤ検定ってなに…?」

「マヤ検定はマヤ検定なの!…じゃメルちゃんもお着替え、する?」

「…するかぁ」

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

「……」

「うわぁ…!わぁ…!」

 

 

 ……あるぇーー?こんなにフリフリにしたっけぇ…?というか材質こんなに薄かったっけぇ…?なんというか…その、恥ずかしいです…。お願いだからマヤノはそんなにキラキラした目で見ないで…!

 

 私が描いた勝負服の絵はこんな感じ。まず上半身には白いシュミーズを着てその上から紅の肩当てがついた長袖のボレロを着込む。それでボレロにつけた肩章から紐を通して表が照り返しがないシルバーグレー、裏が紅色をベースにしたバラの刺繍を施したマントを右肩に羽織る。いわゆる片マントっていうやつ。

 最後にシュミーズに一緒についてるタイの根本、つまり首元に紅白のまだらのバラを模したチョーカーをつけて、白いドレスグローブを両手につければ終わり。

 

 それで下半身はもっと簡単。白い短パンを履いた上から青味の強い藤色のコルセットスカートを履いて、薄手の白いストッキングを履けば終わり。

まぁ、そのいわゆるちょっとしたドレス服風の勝負服って話で終わりだったはずなんだ……!

 

 それなのに実際届いた服を着たら想像の5倍背中が空いてるし、短パンは短いフレアパンツに変わってるし、コルセットスカートは想像の3倍ふわっふわしてるんですけど…!恥ずかしいから私の絵では背中は空けてないし、スカートもふわっふわさせてないのに…!どうして…??わざわざフリフリのパンツまで用意しやがって…!

 

 ってあれ、勝負服の入ってた袋の底になんか紙があるな。なになに…?『スバルメルクーリさん、貴女のアイデアを貴女に合うように少しだけ改変させてもらいましたわ』

 

……。

…………。

………………。

¿¿¿???

 

 

「……ぁぅぅ…」

「大丈夫!メルちゃん王子様みたいで似合ってるから!一回しっかり立ってみて!」

「…はずかしい…はずかしくて消えそう……」

「メルちゃーん?メルちゃーん?」

 

 鏡を見なくてもわかる。今私の耳はあっちゃこっちゃ忙しく回ってるに違いないし顔は真っ赤。マジかぁ、これ着て走るのかぁ…。嫌か嫌じゃないかでいえば嫌じゃないよ?全然嫌じゃないけど、可愛すぎて私には不釣り合いというかなんというかこんなふわっふわスカートの衣装は私よりもっと可愛い子が着るべきな衣装な気がするというかあーもう少しデザインセンスが私にあればよかったなぁというか衣装デザイナーにお願いすればよかったなぁいくら記憶の中のお母様がこんな感じだったような気がするとはいえなんかもうちょいあったような気がするというかその衣装デザイナーの改変があったからこんなことになってるのかもっといえばお母様はお母様私は私なんだから私らしく無難な奴にしとけばよかったかnぱちん!

 

 …ぱちん?

 …ふと目の前を見ると、マヤノが私の耳の前でうるさすぎないくらいの柏手を打っていた。

 

「メルちゃん!」

「……はい」

「落ち着いた?」

「……はい」

 

 

 マヤノにぐぐっと近づかれて目をみられる。そのオレンジの目に全て飲み込まれるような気がして、一気に思考が冷静になるのがわかる。

 

「いい、メルちゃん。メルちゃんの勝負服、ちゃんと似合ってるよ。堂々としてればちゃんとかっこいいから堂々としよ?」

「…頑張る」

「じゃあじゃあ、2人で自撮りを…パシャッ⭐︎」

「えっ」

「やったぁ!2人の勝負服の自撮り撮れたーー!今送るね!」

「えっ」

「ほら、マヤもメルちゃんも完璧でしょ?心配しなくて大丈夫だよ!メルちゃん可愛いんだから!」

 

 …どうやらマヤノは自分の目に視線を釘付けにして背後からウマホを構えていたらしい。それを理解した頃には私のウマホに既に画像が送信されたという通知が来ていた。それを開くと状況を理解できずにきょとんとした私の顔としっかりウインクをしてばっちり決めたマヤノの顔が写っていた。これで本当に大丈夫??

 

 …どうやらマヤノに一本取られたらしい。これは負け…なのかなぁ。

 

「マヤノ〜メル〜そろそろ着られたか?そろそろ外寒いんだけど!」

 

 

 ゴルシの寒そうな声に私はマヤノと顔を見合わせた。そういえばみんなを外に待たせてるの忘れてた。とりあえずみんなを中に入れてあげよう。マヤノの顔を見るとマヤノもどうやら同じ考えだったらしい。

 

「「おまたせ!!」」

 

 

 




この章を進めるにあたって1番大切かつ難しい所、勝負服の描写でした。詳しく描写しようと思うと却ってわかりづらくなっちゃうけどでも細部までこだわりたい…ってなるのに、語彙力も服装の知識もないから難しい、ぴえん。

スプリンターズSと凱旋門賞見て心を癒そう…癒せるかな…メイケイエール…。
感想、評価、お気に入り登録いつもありがとうございます!次回もよろしくお願いします!

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