ソダシさんはやっぱり映えるけどユーバーレーベンさんも綺麗で良いのよね、シロイアレノムスメさんですし。
それでは今回もよろしくお願いします。
『おはようございます、お婆様』
『おはようメル、今日も早いわね』
『はい。この後またルゥと遊びに行くと言ったら、行く前にダンスの練習をしなさいとお母様に言われたので今からやってきます!』
『ふふふっ、メルは若いわね。怪我に気をつけてしっかりやりなさいね』
『はい!』
『知ってる?お母さんにダンスを教えたのは他でもない私なのよ』
『えっ、そうなんですか?』
『えぇ。あの娘はメルよりもじゃじゃっ娘だったからねぇ、教えるのが大変だったのよ?練習中にどこかに逃げだしたり適当に踊ったりなんかは日常茶飯事だったんだから。あ、お母さんにこのことを喋ったのは内緒よ?』
『はい!…ふふっ』
…あぁ、これは夢だ。わざわざ確認しなくてもはっきりとわかる。今よりも視点が低いし、そもそもトレセン学園じゃなくて実家の廊下だし。なんなら目の前にいる綺麗なウマ娘は私のお婆様だし。
そんなことをぼーっと思い返していると夢の中での私と婆やは廊下からバルコニーに出て外を見上げていた。うーん、気持ちのいいくらいの快晴。静かに風がさわさわと森を吹き抜ける気持ちのいい音が私の耳を撫でる。…気持ちいいなぁ。
『今日も気持ちのいい天気になりそうですね』
『そうねぇ、傘は要らなさそうね』
『…よかったぁ、雨はあんまり好きになれないですし』
『…折角だし、メルにいいことばを教えてあげましょう。“雨のあとは必ずよい天気がくる”』
『……???』
『雨が降ることは辛く苦しいこと。でも雨が降ったあとにはすっきりと晴れて、虹がかかることもあるわよね?どんな辛いことも必ず終わっていいことがあるって言葉なのよ』
『…今の話、なんか関係あった?』
『なかったかもねぇ』
『…ふふっ、行ってきますね』
『はい、いってらっしゃい』
お婆様に手を振って駆け出す。きっといつものようにお母様がいるダンスの練習部屋に行くのだろう。そしてその後にアイツ…ルゥと走りに行くんだろうな。
…意識がだんだんはっきりしていくのを感じる。どうやら今日の夢はここまでらしい。上から白い光が降りてきて夢の映像が薄ぼけていく。
……この夢が終わらなければいいのに。そうすればきっと…。
〜〜〜
「……なんか夢を見ていた気がする」
なんの夢を見てたのかいまいち覚えてないけど。寝覚めがあんまり良くないのをみるかぎり多分昔のことを思い出してたんだろうな。
そばにあるウマホを光らせると、06:30という無機質な表示が私を照らした。どうやら今日の私は見た目だけなら健康優良児らしい。…起きるかあ。
カーテンを開けると雲ひとつない青空が広がっていた。どうやらまだまだ秋晴れが続くらしい。その日差しの眩しさに少し目を細めながら私は軽く伸びをした。
…そういえば今日は取材の人が来るんだっけ。早く終わればいいなぁ。
〜〜〜〜〜〜
「今回はわざわざこのような場を用意していただき、ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ担当ウマ娘を取材していただけるのはありがたい限りです。本日はよろしくお願いします」
真ん中に座ったトレーナーがお辞儀をするのに合わせて私とマヤノもお辞儀する。対面に座っている人は『月刊トゥインクル』の記者さん。名前は…確か乙名史さんだったかな、前のサウジアラビアロイヤルカップの取材の時にもいたのを覚えてる。
「さて、まずはスバルメルクーリさんのお話からお聞かせください。まずは簡単なところから!にんじん以外で好きな食べ物は?」
「…ぶどうです。フルーツ全般好きです」
「あぁ、美味しいですよねぶどう。ちょうど旬な時期ですもんねぇ。じゃあ次はご自分の思う長所をひとつあげてみてください」
「長所…バランス感覚ですかね。親指と人差し指、中指の3点で倒立ができるくらいバランス感覚に自信はあります」
今は勝負服でスカートだからできないですけどね、と付け加えて少しだけ笑う。流石に雑誌に無様なパンツ姿は載せたくない。
「なるほどなるほどバランス感覚ですか。たしかにスバルメルクーリさんの走り方を見ていると姿勢がとても低くて体幹の良さを感じさせてくれますよね。この低い体勢からの加速を使ってメイクデビューでは一回も先頭を譲らない逃げで、反対にサウジアラビアロイヤルカップでは第3コーナーからスパートをかけて最後方からまとめて抜き去る追込でそれぞれ勝利しましたね。レースでの走り方としてはすこーし異質なように見えますが、このスタイルに行き着いたきっかけというのはありますか?」
「きっかけ…。うーん」
きっかけ…かぁ。まぁそれくらいならいいのかな。
「…昔実家にいたころに色々教えてもらったのが元になっています。きっかけといえるかはわかりませんが」
「なるほどなるほど…ご実家での経験が元になっているんですね。もう少しご実家のことをお聞きしたいのですが大丈夫でしょうか?」
「……実家の者に確認とってないのであんまり話せませんが、祖母も母も競走バをしていたらしいです。詳しいことは教えてもらえませんでしたが」
…ジャーナリストってホントに筆記早いんだなぁ。私が話し終わるのとほとんど同時に書き終わってる。
「…ふむ、では次の質問をさせてください。スバルメルクーリさんがクラシック三冠最有力という見方をしているファンが早くも出てきていますが、スバルメルクーリさん本人は三冠についてどうお思いでしょうか?」
あー………、うん。取材って時点でこの質問は正直来るとは思ってた。ってかクラシック三冠最有力ってどこの誰が言ってるんだ、初めて聞いたわ。マヤノなんじゃないの?チキンなピスはクラウン路線でしょ。リギルのチーム方針知らないけど。
「………うーん、正直まだなんとも言えません。トレーナーに出ろと言われたら出るくらいの感覚です。…オフレコにできませんか?」
「あはは…、分かりました。じゃあこっち聞こっかな!マヤノトップガンさんは同じクラシックを戦う仲間なのと同時にライバルでもありますよね。そんなマヤノトップガンさんに対しての印象を教えてもらえますか?」
マヤノの耳がこっちに向いたのが見なくてもわかる。…尻尾ブンブン回すのって意外と音大きいよね。
「マヤノの印象…か。元気でみんなのことをよく見てるし気を使ってくれるから…なんて言うんだっけ、気の置けない仲?です」
「好き?好き?」
「なんでマヤノが聞く側に回ってんのさ。………………好きだよ」
「!!!…わーい!マヤがプロポーズされちゃった!!」
「してない!…ターフの中での印象は勝負勘がすごく良いので最後まで気が抜けないなって思ってます」
「なるほどなるほど、ありがとうございます。ふふっ、仲が良いんですね。それでは次にマヤノトップガンさんに色々聞いていこうと思います」
…言わなきゃよかった、顔が赤くなるのを感じる。マヤノ?見なくてもぴょんぴょん跳ねてることくらいわかる。
その後、マヤノとトレーナーが乙名史さんの質問に何か答えていたのはわかっていたが碌に聞いてなかった。理由?知らない知らない、私は何も知らないから。
〜〜〜〜〜〜
「…では今回の取材はこのくらいで終わりにしたいと思います、お疲れ様でした。最後にスバルメルクーリさんとマヤノトップガンさんは少しだけ写真の撮影にお付き合いください!」
「…はい」
「えーっと、この取材の記事は12月初週発売の『月刊トゥインクル』に掲載予定ですが、事前にトレーナーさんの方に掲載予定の記事をお渡しして確認の方をしていただく予定ですのでよろしくお願いします」
「はい、こちらこそありがとうございます。お前らも挨拶!」
「ありがとうございました☆楽しみだね、メルちゃん!」
「…ありがとうございました。……恥ずかしい」
少し現実に帰ってきたところでちょうど取材が終了していました。…酷い目にあった、本格的に。
…これが世間様の目に晒されるの?
……。
…………。
………………。考えるのやめよう。
12月初週に予告通り『月刊トゥインクル』が発売され、チームメンバーはもとよりチーム外のメンバーからもしばらく温かい目で見られたことを追記しておく。
次回は月刊トゥインクルの記事を予定してますが、もしかしたらそれに掲示板の民の反応集が加わるかもしれません。加減で決めます。
そして毎度のことですがお気に入り登録、感想、評価、誤字訂正等々ありがとうございます。
それでは次回もよろしくお願いします!