秋華賞の前になんか書いとるわ!くらいのノリでお読みくださいな。
それでは今回もよろしくお願いします。
12月の第2日曜日の阪神ジュベナイルフィリーズ。第3日曜日の朝日杯フューチュリティステークス。そして年末のホープフルステークスの3レースはジュニア級のレースの
それだけに世間の注目度もかなり高く、トレセン学園の掲示板では誰もが知る年末の
…なっているのだが。まさか私が朝日杯のポスターの写真撮影の
……女性カメラマンの『これで撮影は終わりです!いい写真が撮れたのでポスターになるのを期待して待っててくださいね!』って言葉に既にイヤな予感はしてたよ?してたけどさぁ、こんな時だけ当たらなくていいじゃん!『おお、よく撮れてるじゃねぇか!数枚やるから実家にも送っとけ!』なんて宣ったトレーナーに
…お母様に送らずに紙飛行機にして飛ばせばよかった…。いやそれだと誰かが拾っちゃうから余計ダメなのか。
そんな感じに怒りにふるふると震えていた私にトレーナーが上機嫌で言った。
「そうだメルクーリ、阪神レース場の特徴を勉強してこい!生で」
「……はい?」
〜〜〜〜〜〜
そんなわけで私はウオッカさんとスカーレットさんの3人で朝日杯の前週の阪神JFを観戦に来ていた。
東京から新大阪まで新幹線に乗ること2時間半。迷路を抜けて阪急に乗り揺られること更に30分。私はげんなりとした表情を隠しすらしてなかった。ケンカするほど仲がいいとは良く言うけど、この2人は窓側に座るのはどっちだとか、お昼ご飯を何食べるかとか取り敢えずみたいな感じで絶えずケンカが続く続く。
新幹線の車内で騒がれたら他のお客さんの迷惑になると思って仕方がないから真ん中に私が入ることで解決しようと思ったんだけど、そこで身長160cmオーバーの2人に対して145cmしかない私。この身長差によって何が起きるかというと…。
「俺の方が朝早く起きた!」
「アタシの方が準備は早かった!」
「ぁぅぅ…」
…ちょうど耳のあたりに2人の口元があるわけで、両側から大きな声が飛んできた私はふらっときてしまった。
「「あっ、
「……大丈夫」
この2人がケンカを始めても二度と仲裁なんてことを考えないようにしよう。…そう固く誓ったのだった。
そしてやっとの思いで着いた阪神レース場には、ジュニア級の最初のG1ということでお客さんもたくさん入っているらしい。
「いやー着いた着いた!なんか好きなんだよなぁ、ココ!」
「あら、珍しく気が合うわね。外回りコーナーが特に走りやすいのよねぇ」
「……疲れた、レース出るより疲れた」
どうやらレース場に良いイメージを持っているらしい2人に着いていきながら思わず愚痴る。…あのやり取りを帰りも聞かなきゃダメなのだろうか。…いけない、思わず意識が遠くなってレースどころじゃなくなっちゃう。
「…ん?あれってチームスピカのウオッカとダイワスカーレット、それにスバルメルクーリじゃね?ピスタチオノーズの偵察かな?」
「えっ!?マジじゃん、初めてこんな近くで見た!」
「来週の朝日杯、応援してますよ!頑張ってください!」
……げんなりしていたらどうやら一般の人からの注目を浴びていたらしい。やっぱり銀髪って目立つのかな。…ちょっと隠れよっと。
「ん?メルどうした?」
「……いいから、そのまま行って」
「??…あーなるほどな。よいしょっと!」
「えっ!!ウオッカさん!?」
「…って軽ッ!?ちゃんと食ってるのかメル?」
「食べてるよ!……じゃなくて!」
なんで私はウオッカさんの後ろに逃げられたかと思ったら肩に担がれてるんでしょうか。隣のスカーレットさんもなんか手を振ったりどこからか取り出したペンでサイン描いたりしてるし。誰かなんとかしてぇ…。
「ほらほら、なんかカッコいいこと言ってやれよ!」
「……頑張りまーす」
「お前なぁ…」
「…あーもう!恥ずかしいから早くレース場に入ってッ!!スカーレットさんも行くよ!!というかなんで私を肩に担いだのさ!!」
〜〜〜〜〜〜
「おぉ〜これが関係者室ってヤツかぁ!」
「アンタねぇ…くれぐれも暴れないでよ」
「はぁー???お前が先に暴れるから俺はそれを止めてんだろ!?」
「なんですってぇ!?」
また2人がケンカを始めたけど、さっきの教訓を生かして無視を決め込んでターフのコースを見下ろすことにした。
…思ったよりコーナーは緩やかだ、トレセン学園のターフより大分緩い気がする。…あそこでゲートイン待ってるのはピスだな。アイツの勝負服は撮影の時にも見たけど鼻にテープ貼ってるのはナリタブライアンさんリスペクトか何か?チームの先輩だし。
「メルちゃんどう?何かわからないことある?」
「…芝の状態が知りたいかもしれない」
「あー、いい着眼点だぜそれ。この時期のここの内枠はあんまり入らない方がいいな、思ったより荒れてんだ。俺も走った時は大変だったぜ」
「そうね、外に出た方が走りやすいとはアタシも思うわ。見ての通りコーナーが緩いでしょ?だから外に抜け出した方が楽に走れるのよ」
「…ふーん」
あ、ファンファーレ始まるな。密閉された部屋だけど、少し耳閉じておこっと。
「なぁスカーレット」
「なにウオッカ」
「…これ誰勝つと思う?」
「そうねぇ…13番の子、かしら」
「なんか今日は妙に話が合うな、俺もそう思う」
13番って誰だ…ってピスじゃんか。そんなに傍目から見て突出してるんだなアイツ。
「…なんでそう思うの?」
「着いた直後にあの子が走ってんの見たんだけど、走り方が分かってる奴の走り方だったのよ。リギルでしょ、あの子」
「多分普通にぶっちぎるぜ、アイツ。マヤノと一緒のレース出てた奴だろ?あの時もすげぇ差しだったんだぜ?マヤノもアホみたいな大逃げでさっさと差をつけてなきゃ負けてたかもな」
2人の解説を聞きながらじっとゲート入りを見る。ゴネる子もおらずに綺麗にスタートが…切られた。
スカーレットさんが部屋のスピーカーを少しいじったらしく、解説の音が聞こえてきた。
『さぁ1番人気ピスタチオノーズは後方からのレースとなりました。先頭から最後方まで7バ身ほどの前半は46秒で流れます!』
2人が解説した通り、内枠の人が走った後はターフが少しえぐれて舞っている。本当に荒れてるんだなぁ。ピスは中団からすこし離れた位置で走っている。
…なんて見ていたらそのピスが少し笑ったような気がして、踏み込みが一気に速く強くなった。…あぁ、これは2人に言われるまでもない。ピスが勝つ。
『コーナーを抜けて外から13番ピスタチオノーズだ!ピスタチオノーズが一気に捲ってきた!そのまま差し切ってゴールイン!!!やりました、ピスタチオノーズ!末脚爆発!見事1番人気に応え、1つ目のG1の冠を手に入れました!阪神ジュベナイルフィリーズはピスタチオノーズ!ピスタチオノーズです!』
「っかぁー、予想したのは俺らだけどアイツやるなぁ!俺が勝った時より上がり3ハロン速いんじゃねぇか?」
「アンタねぇ…メルちゃんを不安にさせてどうすんのよ。…どう?イメージはできた?」
「………はぁ」
ピスのあの走りを真似をする気は一切ないけど、あのコース取りの仕方はほぼ完璧だったことは見てるだけでよくわかった。
ウィナーズサークルに向かいながらニコニコで手を振るピス。それを眺めて椅子に座りながら伸びて天を仰ぎ見る私。…ムカつくわぁ。
その体勢のまま目を開くと部屋の壁に『世代最強へのファースト・アプローチ マヤノトップガン』、『勝ちへの嗅覚は鈍らない ピスタチオノーズ』というポスターと一緒に『燦然と輝く白銀 スバルメルクーリ』と書かれたポスターが飾られているのが逆向きの視界に入りこんだ。…この前撮った奴じゃん。
…はぁ、恥ずかしい。伸びなんかするんじゃなかった。
なんとは言わないけど挟まっちゃダメなんです、いいですね?
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