それでは今回もよろしくお願いします。
マヤノとテイオーとプレゼントを買いに行った次の日。
「「「「「「メリークリスマース!!!かんぱーい!!!」」」」」」
はい、クリスマスパーティ当日です。メンバーは私、マヤノ、テイオーのほかにネイチャさん、マーベラスさん、アケボノさんのいつぞやお鍋を食べた人たち。アケボノさんはさっきまでまたビデオ通話してたけど、料理が終わるとほぼ同時に終わったらしい。友達が多いんだなぁ。
「いやはや〜今年ももうこんな時期ですかぁ。なんというか、寮に入ってから一年が過ぎるのが早いといいますか」
「うんうん!マーベラスってことだね!」
「……えっと、ネイチャさんって中等部だよね…?」
なんだか見た目に似つかわしくない発言をするネイチャさんはクリスマスツリーっぽい色合いのサンタ服。ついでにいつもの耳カバーには星の装飾が付いていてクリスマスツリーっぽさを高めてる。
マーベラスで全てを解決しようとするマーベラスさんはトナカイっぽい色合いの服にツノっぽい耳飾り。ツインテールのボリューム感も相まってどちらかというとトナカイっていうよりはヘラジカみたいになってるのはいいのかな。
「ぶーぶー!マヤもご飯いっぱい食べたい!」
「あはは、流石にあたしも食べすぎない方がいいかなって思うなぁ〜」
「マヤノはホープフルあるでしょ。代わりにボクが食べておくから安心してよ」
「ヤダヤダヤダぁ〜!」
「………ホープフル終わったら私とテイオーで何か作ってあげるから、我慢して」
「えっ」
口を尖らせてるマヤノはなんか天使のリングと羽がついた服を。困ったように笑うアケボノさんは雪だるまのようなワンピースを。そしてテイオーは真っ赤な服に白い付け髭を付けていた。…まぁにんじんジュースでお髭はすぐに汚れちゃったけど。
…そう、みんなクリスマスのコスプレ?をしています。クリスマスツリーにトナカイ(ヘラジカ)、天使に雪だるまにサンタクロースという、まぁよくもまぁ被らなかったねって感じの面々。……
「…ホープフル終わったら、なんでも作ってくれる?」
「いやそこまで期待しないで欲しいんだけど。……まぁ期待に添えるようにはする」
「さっすがメルちゃん!!まるでちゃんとしたシスターさんみたいだね!!」
「………はいはい、写真撮っておいで。私はちょっとご飯食べるから見てたら食べたくなっちゃうよ?」
「えへへ、はーい!」
私のオススメに従って写真を撮りに行ったマヤノを見送り、思わずため息をつく。
…鏡見たくないなぁ。
いきなりだが話は1時間くらい前に遡る。
〜〜〜
「…今日も晴れ。雪は降りません、っと」
ぼんやりと外を眺めながら思わず呟く。お母様に見せてもらったアルバムには雪景色の日本が写っていたから少しだけ期待していたんだけど、やっぱりあんまり降らないらしい。…札幌とか新潟とかに行かないと見れないのかな。
コンコン、という音でふと現実に引き戻される。…2人分の足音だったから多分マヤノとテイオー。次点で…マックイーンさんあたりも微妙にありえるかも。
「メルちゃーん、今大丈夫?」
「…大丈夫」
マヤノの声ってことは2人目は多分テイオーだよね。…集合時間にはまだ早いはずなんだけどどうしたんだろ?椅子から立ち上がってドアを開ける。
「どしたの?」
「はいメルちゃん確保〜!マヤたちの部屋までごあんな〜い!」
「…えっ?」
「ボク達の部屋からそのままパーティ行くからプレゼント取っておいで!」
……ええっと。これはどうするのが良いんだろうか。っていうか貴女たち隣の部屋でしょ。
「ほらほら!早く準備しないと間に合わないから!」
「間に合わないって…ご飯作って食べるだけでしょ?んでその後にプレゼント交換やるんじゃないの?」
「ぶっぶー!メルちゃんは日本のクリスマスをわかってない!その調子だと制服で行こうとか思ってたでしょー?」
「………」
いや良いじゃん制服。フォーマルな場でもちゃんと認められるよ?…言わないほうがよさそうだけど。
てこでも動かなさそうな2人を見て仕方なしに室内にプレゼントを取りに戻る。流石にこの時期に廊下に立たせてるのは忍びないし、そのせいで万が一マヤノが風邪でも引いて出走取消にでもなろうものなら…考えるだけでも怖い。
「…これで良い?」
「よーし、メルちゃん確保してしゅっぱーつ!」
「…はぁ」
「とうちゃーく!」
「…うん、そうなるよね」
5秒もかからずに私の連行は解除された。いやまぁ隣部屋だしそうなるのは目に見えてたんだけどさ。
そういえばマヤノとテイオーの部屋って見たことあったっけ。……ないなぁ、多分。他人の部屋に入った記憶も自分の部屋に入れた記憶もない。
部屋に入って右側の額縁に『TOP GUN』って書かれたポスターが、左側には
「じゃあやろっか!」
「……???」
「「じゃん!けーん!」」
「……ぽい」
グー、パー、パー。見事に私の1人負けである。なんのじゃんけんなのか全くわからないまま負けたんですけど。
マヤノとテイオーのじゃんけんはテイオーの勝利。
「じゃあボクはこれ!」
「あー、サンタさん取られちゃったかぁ。じゃあマヤはこれ!メルちゃんはこれ着てね!」
マヤノから渡された服を手にする。黒いローブみたいな服とそれと合わせるようの頭巾。それに黒いハイソックスまで渡されたんだけどこれって…。
「…修道服??」
「のコスプレ衣装でーす!メルちゃんには今日はこれを着て過ごしてもらいまーす!」
「……えっ???」
これ着るの??ホントに?仮装祭か何かと勘違いしてない?いや仮装祭でも私は着ないような服だけど。
だって修道服なのにミニスカートだし髪まとめるやつもないしでこれは一体どういうことなんでしょう。
「じゃあまずこういうのに慣れてないメルちゃんから着替えさせちゃおっか!」
「…えぇ」
「アイ・コピー☆じゃあメルちゃんバンザイして!」
「……せめて自分で着替えさせて欲しい」
私がなんとか引き出せた妥協点がこれだった。よよよ…。身だしなみの確認をしてるときにマヤノとテイオーがウマホを向けてた気がしないでもないけど、気のせいってことにしたい…。
「ボクもマヤノも着替え終わったし、行こっか!」
「……本当にこの格好で行くの…?せめて髪まとめた方が修道服っぽくない?」
「メルちゃんは髪出してた方が綺麗でカワイイからいいの!行こっ?」
天使とサンタさんに連れられる修道女って言葉の響きだけはなんかの絵画にありそうだよね、あはは……はぁ。
〜〜〜
…んくんく、にんじんジュース美味しいなぁ。ケーキもほどよく甘くて美味しいなぁ。恥ずかしいから鏡見たくないなぁ。
「………はぁ」
「どしたー?幸せが逃げちゃうぞ〜?」
「…ネイチャさん」
思わずため息を吐いてしまったら横にクリスマスツリー、もといネイチャさんが横に来た。
「…こういうたくさんの友達と過ごすクリスマスって初めてで。もちろん楽しいんですけど…その、これ恥ずかしくて」
「いやいや何をおっしゃいますかメルクーリさんや。完璧に着こなしてるじゃないですか〜」
「……マヤノとテイオーが渡してきたんですよこれ。元々制服で参加する予定だったのに…」
ぱくり。…このお肉、美味しいなぁ。さすがアケボノさん。
ぱくぱく現実逃避している私とネイチャさんの視線が重なった。…どうやらじっと見られてたらしい。
「なんか、ちょっと意外だな」
「…んえ?」
「メルちゃんってさ、大逃げか1番後ろから追込かみたいなわかりやすく派手なレースするじゃん?パドックの時もすごいアクロバットするし、派手なことだったり目立つのが好きなのかなってネイチャさんは勝手に思ってたわけですよ」
「………」
「でさ、実際に話してみたら全然そんなことないというか、むしろあんまり目立とうってタイプじゃないじゃん?そこらへんがなんか意外だなって」
…なんか盛大な思い違いをされていたらしい。…いやまぁ言いたいことはわかる気がするけど。普通にレースするなら多分先行策とか差しとかが割と王道だもんね。私はやったことないけど。ぱくぱく、クリームシチューも美味しいなぁ。にんじんしっかり煮込まれてるし。
「…もしかしてネイチャさんの私への第一印象ってみんな持ってたりします?」
「さぁ、そこまではわからないけど…。学園のメルちゃんのイメージってちょっと前は七不思議一歩手前の子ってところから、今は派手なレースでジュニア級のG1を無傷で勝ったすごい子ってなってるんじゃない?」
「……七不思議??」
…一体なんの話だろう、全く身に覚えがない。いやまぁそもそも世間の評価みたいなものをあんまり知らないんだけどさ。
「…ネイチャさん、もうちょっと詳しく聞かせ「メルちゃん!ネイチャちゃん!そろそろプレゼント交換会やろ?」…わかった」
「ほいほーい、今行きますよー。…また今度、お喋りする?」
「…うん」
マヤノの呼び声にはっと気づき時計をふと見る。…いつの間にか結構話し込んでいたらしい。食べかけのご飯を持ちながらネイチャさんと一緒に向かうことにした。
〜〜〜
クリスマスパーティがお開きになった直後、私は実家のお母様にテレビ電話をかけていた。
「…という感じで友人とクリスマスパーティをしました。プレゼント交換会で貰った自撮り棒?なるものをいただきましたのでテイオー…あぁ、プレゼントを用意してくれた友人に使い方を教えてもらってこうやってテレビ電話をしてみてます」
『良い友人を持ちましたね。その耳カバーも友人に作ってもらったものでしょう?』
「はい。私のためにわざわざ予約までしてくれたみたいです。ありがたい友人を得ました」
『…ふふっ』
「…??どうしましたかお母様」
『…いえ、ちゃんと学園生活を楽しめているようで少し安心しました。…ときにメルクーリは交換会に何のプレゼントを出しましたか?』
「交換会なるものがあまり想像がつかなかったのでマフラーを出しました」
私が答えると画面のお母様はピタリと動きが止まった。…あれ、ちょっと回線が重いのかな。
『メルクーリ』
「…?はい」
『マフラーをプレゼントするということの意味、わかってますか?』
「…え?暖かくなるし今の時期にちょうど良いかなぁって思って出しました」
『…はぁ。今度からはちゃんと調べてから渡すこと。いいですね?』
「……えっと、はい」
…もしかしてやっちゃった?誰が貰ったんだっけ私のプレゼント。
〜〜
「…えへへ、メルちゃんが選んでくれたマフラーあったか〜い☆」
〜〜
…まぁ、大した話じゃないでしょ。今度から気をつけよう。
「…気をつけます」
『あぁそれと、話は変わりますが年末年始はどうするのですか?帰ってくるなら空港に迎えは手配できますが』
「……いえ、こちらに残ります。そちらに帰るのは最短で半年後だと思います」
『……そうですか。くれぐれも無理はしすぎないように。朝日杯、映像見ましたがかなり無理しましたね?』
「……怪我とかは無いです」
『…頼れるものに頼りなさい、それができる環境がそこにはありますから。…ではこのくらいで。おやすみなさい、メルクーリ』
「…はい、おやすみなさいお母様」
お辞儀をして電話を切る。…頼れるものに頼る、かぁ。
まぁいっか、お風呂入る準備…あっ。マヤノとテイオーの部屋に私の制服置きっぱなしだわ。取りに行こうっと。
「マヤノ、テイオー。そっちに私の制服…あっ」
〜〜〜〜〜〜
ホーム画面に戻ったスマホを見て思わずスバルメルクーリの母親はため息をついた。
「……また褒められなかったぁ〜」
この娘にしてこの親あり。スバルメルクーリの母親もまた、口下手なのであった。
本当は朝日杯での勝利をしっかりと褒めたかったし、コスプレ衣装が似合ってることも伝えたかったのに伝えきれずに電話を切ってしまうこの人は間違いなくスバルメルクーリの母親なのであった。
「ショウとかテンちゃんならどう言ってたかしら…意外とリンちゃんがこういうの1番うまいかもなぁ…。久しぶりに電話しようかな」
スマホをそのまま操作し電話帳を広げた。かつて共に切磋琢磨した仲間と久しぶりに話すのも、悪くない。そんなことを思ったメルクーリの母親だった。
Tips:マフラーをプレゼントで贈ることは『あなたに
次回諸事情で投稿遅れます。マヤノのホープフルです。
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それでは次回もよろしくお願いします!