メルちゃんって耳飾り左耳だから体操着がブルマなんですよね。つまり弥生賞とかロイヤルカップとかブルマで走ったんですよね。他意は無いですけど。
それでは今回もよろしくお願いします。
病院から帰った日の夜。私はまたというかいつものようにというか、ともかくマヤノに拉致されてテイオー共々勉強会という名のお菓子パーティに参加させられていた。
……マヤノにもテイオーにも、ついでに今はいないゴルシにももう指で数えられないくらいの回数引っ張り回されてるから拉致されることに関しては諦めた。レース出走直後に走るわけにもいかないし。倒れたし。…はぁ、はちみーチョコうまぁ。
「それでねそれでね!数学はこことここが出るって言ってたんだけど、マヤ的にはこっちの方が多めに出ると思うなぁ」
「……そうなの?」
「こっちの問題の方がちょっと解説の時間長かったもん!でねでね、この問題の解き方はね〜♪」
…いつになくテスト勉強に対してやる気を見せるマヤノを見ながら思わずテイオーと顔を見合わせる。マヤノが勉強できるのは知ってるけど、流石にお菓子に目もくれずに鼻唄混じりに問題を解いてるのは見たことがない。
結果としてテスト勉強をするマヤノを私とテイオーでお菓子を食べながら見守るような構図になってるんですけど。…このにんじんぷりんも口溶けが滑らかで美味しいなぁ。
「……ねぇテイオー。なんでこんなにマヤノ元気なの?…このにんじんぷりんおいしいね」
「ボクに聞かれても…今日ずっとこんな調子だし。…でしょ?メルちゃんのお見舞いにって思って買ったんだ〜。折角だし今日一緒に食べようかなって」
…そっか、テイオーも心当たりがないのか。となると病室での会話でここまで掛かってることになるんだけど。まさかこんなにやる気になるとは思ってなかった。
「メルちゃんホントに体大丈夫なの?…このポッキー食べていい?」
「……うん、湿布もらっておわりだった。…ん、どうぞ」
私がこっそり病院で買っていたいちごポッキーをそっとテイオーに渡そうとすると上からひょいっと回収された。…つられて前を見るといつの間にか問題を解き終えたマヤノが私たちの前に仁王立ちをしていた。
「もー!メルちゃんもテイオーちゃんもひそひそお喋りしてないでテスト勉強しよ!メルちゃんはいくらレース直後とはいえお菓子食べ過ぎ!ぼっしゅー!!」
「えっ?ぁぁっ…、私のいちごポッキー…」
…一体いつからその伊達メガネをつけたんだい、マヤノさんや。ハーフリムなところに並々ならぬこだわりを感じるけど。
〜〜〜
「でね、マヤ的には英語はむしろメルちゃんに教えてもらいたいな〜って思ってるんだけど、解くコツとかあるの?」
「……えっ、そこ私なの?ろくに授業受けてないけど」
「あー!この中で1番英語できるのメルちゃんだし、ボクも教えてほしいかも!」
……えぇ。2人とも英語の成績は悪いどころかむしろいい方じゃん。解くコツって言ったって何教えればいいのさ。
「……えっと」
「「わくわく」」
「……なんでそこ噛み合うの。大したこと教えられないんだけど」
……2人からの期待の眼差しが痛い…。何を教えればいいんだ、これ…?
「ほらほら、テスト前にこれやってるとかあるでしょ?単語集とか」
「…………何も」
「文章題は?どうやって解いてるの?」
「……どうやってと言われても日本語とやってることあんまり変わらないよ。書かれてる文章を読んでそのまま答えるだけ」
「じゃあこれは?」
マヤノから渡された紙に目を通す。…ふむふむ、なるほど。
「……要は『イギリスやアイルランドのウマ娘のレース』についての話で、どのくらいの規模でとかどんなレース傾向が…みたいなのが書かれてるね。…確かファインモーションさんがアイルランドの王家なんだっけ」
「えっ、もう読めちゃったの!?メルちゃん文章読むの早くない?」
「……英語は大体最初に主語が来て次に動詞が来るから慣れれば読みやすいの。後ろの言葉は最初の主語と述語をわかりやすくするための補足説明…みたいなものっていうか」
「「???」」
…ダメだ、あんまり伝わってない。普段から流れでやってることを説明するのは……難しい。
「……うーん、日本語だと『私はりんごが好きです』みたいに文章の真ん中で情報を増やしていくんだけど、最後まで聞かないと好きか嫌いかわかんないでしょ?それに対して英語は"I like apples"って言って動詞を先に置いて好きか嫌いかを明確にしてから、何が好きなのかって情報を増やしていく……って言えば分かる?」
「むむむ…じゃあこれは?」
今度はテイオーから渡された紙に目を通す。あー、うん。大体わかった。
「……後ろの情報が単語じゃなくて文だからわかりにくいんだけど、主語と動詞は変わんない。『あの蹄鉄は高い』っていうのが基本の情報で、蹄鉄の説明として『貴女が見ていた』ってのがついてくるから『貴女が見ていたあの蹄鉄は高い』ってなる」
「「ほへー…」」
「……多分」
「じゃあこれは?」
「これはどうなの??」
「……うええ」
〜〜〜
「じゃあ今日は終わり!続きは明日やろ☆」
「「……明日もやるの…?」」
マヤノの宣言と同時に私とテイオーは机にへたり込む。……つ、疲れたぁ。学園入ってからここまで勉強らしい勉強をしたのは久しぶりかもしれない。
教える側がここまで疲れるとは思わなかったし、なぜか途中から教科が変わって国語の現代文まで教える羽目になってたのは抗議してもいいのかな?…というか2人のほうが日本語使うのに関しては明らかに上手いでしょうに。
「……で、どうしてマヤノはそんなに期末テストやる気なのさ。パパッと高得点取るタイプでしょ?」
机に倒れ込んだままマヤノに素直な質問をぶつける。私の知る限り、マヤノはここまでしっかり対策するタイプじゃない。…というよりむしろ「わかっちゃった!」とかいってさらっと解き終わるタイプじゃん。
当のマヤノはん〜、とかいいながら人差し指を顎に当てながら困り眉になっていた。
「たまにはこういうのも良いかなぁ〜って。それにそれに!メルちゃんと一緒に皐月賞走るのに変なところで引っかかってられないなって!」
「……私、その前に多分ゲート再試験だけどね」
……弥生賞のレース映像をまだ見てないし、自分では全く自覚してないんだけどね。発走を遅らせておいて再試験がないというのは流石にありえないというのは自分でもわかってる。
テストの次は試験ですか。…イヤだなぁ。
「ゲート試験なんかメルちゃんならへっちゃらでしょ?マヤ、メルちゃんにもゼッタイ負けないから!皐月賞頑張ろうね⭐︎」
「……これでも私、初めて負けた直後なんですけど」
「……2人で盛り上がってるところ悪いんだけど、ボクもいるんだよね」
「テイオーちゃんは次走大阪杯だよね」
「…応援してる」
「…もー!!ボクもマヤノとメルちゃんともう一回皐月賞走る!それで三冠ウマ娘になる!」
「「
ふんすっ!と拗ねるテイオーの口にはちみーのチョコを入れながら、こっそり私のいちごポッキーを取り返したのだった。
二週間後、返却されたテストの成績の順位を見てどこかのピスが悲鳴をあげてたらしい。
「なんで順位が2つも下がってるんですのー!!?」
お気に入り1450件、UA13万。いつも本当にありがとうございます。誤字報告もいつも助かってます。
それでは次回もよろしくお願いします!
…バレンタインの話は書いてたけど没にしちゃいました、ごめんなさい。その辺のイベントまとめた話は間話で作りたいところ。
メルちゃんは片手で渡してくるタイプってとこだけは覚えててください。