オグリ無い、デジも無い、チョコも夏も無い!(無ぇ)
モンク無い、和服ない、ファル子倒せない(ねぇ!)
勝ち目ない、勝ち目ない、勝った勝ち目ない!
はーい解説動画探して
……今回もよろしくお願いします。
「スバルメルクーリさん、準備お願いします!」
「……はい」
「…なぁ、メルクーリ。本当に今日じゃなきゃダメなのか?」
「……怪我してないんだから。こんなのさっさと終わらせるって。逆にトレーナーはなんでそんなに私がゲート再審査を受けるのに乗り気じゃないのさ」
「お前が本調子じゃないのは一眼見りゃわかるからだよ。別に今日じゃなくてもう少し間を開けてからでも「いいから!今日受ける」…はぁ。……少しでもおかしかったら止めるからな」
「……ん」
トゥインクル・シリーズにはレースの公平性を期すため、あるいは円滑な進行を妨げたウマ娘への制裁のために再審査という制度がある。
例えば出走直前にストレスのあまりゲートを蹴り付けてゲートを開かなくしたり、あるいは狭いところに耐えきれなかったためにゲートをくぐり抜けたりしたウマ娘にはゲートの再審査を。レース中に思いっきり他の娘とタックルしたり逸走したウマ娘には平地の再審査を…といった感じ。
「……はぁ」
私は予想通りというかなんというか、弥生賞でのゲート入りの遅れがあまりにも長かったためにゲートの再審査判定を受けていた。ゲートの再審査は2回ちゃんとゲートに入ってスタートするだけ。そこまで難しい試験じゃない…はず。
再審査になったのは……まぁしょうがない。なぜか弥生賞の映像を見ることにいい顔をしなかったトレーナーをあの手この手でなんとか説得してゲートインまで見た私が断言する。……アレは流石にひどすぎる。
〜〜〜
「……ファンファーレの時から動いてないね」
「ここからピクリとも動かなくなるから見てるこっちは冷や冷やだったんだからな?」
『2番人気は…おっとここで1番人気のスバルメルクーリにアクシデントか?ゲート入りを促されても一歩も動きません!』
『これまでのレースではゲートを嫌がっている印象はなかったんですがねぇ、どうしたんでしょうか』
「……本当に動かないね」
「…もういいか?」
「……いや、ゲートインまで見ていいって話だったじゃん」
『解説には日本中央トレセン学園元トレーナー、
『いやぁ、本人に聞いてみないとちょっとわからないですねぇ。風が気になるとかバ場が気になるとか色々原因はあると思うんですけど…』
「……いやほんと動かないね」
「何回言うんだよメルクーリ」
〜〜〜
シューズのほつれが無いかを確認してから弥生賞の時と同じ、9番のゲートにゆっくりと入る。……というかただの
スピカのメンバーはまぁ分かる。ネイチャさんとかマーベラスさんが来てるのも……仲良くしてくれてるしまだわかる。それ以外のよく知らない人がちょくちょく見にきてるのはなんなのさ。トレーナー、ウマ娘合わせて30人くらいいるけど。……あと角の隅で隠れてるつもりなのか知らないけど耳と尻尾見えてるぞ、ピスタチオノーズ。あんたもよく知らない人枠だからな。
「メルちゃーん!落ち着いて!」
「平常心よ平常心!」
「邪魔なゲートなんて蹴り上げちま…むぐむぐむぐ」
「ゴールドシップさん!」
「……はぁ。ゲート蹴り上げたら合格不合格の前に足怪我するでしょ」
なんかいつも通りに応援…?してくれるスピカのメンバーに苦笑いしながらいつものようにスタート体勢を取る。
1回目は……逃げ想定で一発でしっかりと出よう。…最善のスタートのために体勢を落として…ここかな。
ガコッ!というゲートの音とほぼ同時にスッと出ながらぐんぐん加速していく。弥生賞の時よりもいいスタートだったかも。
走りながら脳内で皐月賞のシミュレーションを軽くしてみる。
……このスタートをできるなら多分私が1番前。中山の2000mは枠番の有利不利は割と少なめだし、実際に弥生賞は外枠から強引にハナを奪えた。
皐月賞に出てきそうなメンツの中でまず間違いなく私のことを一番知ってるのはマヤノ。マヤノなら私が見えない位置に行ってマークできなくなるのが1番怖いだろうから3.4番手の好位、もしかしたら2番手で追ってくるかもしれない。
ハナを取ろうとはしてこない。弥生賞でのあのハイペースを見てわざわざついてこようなんて……うーん、マヤノならそれも可能性としてはなくもない気がする。作戦を自分の心一つで変えられるってやっぱり厄介だなぁ。私?先行と差しはムリだし、自在じゃないと思う。
……私が後ろからレースをした時は?
恐らくバ群のコントロールをしつつ、マヤノ自身が良いと思ったタイミングで飛び出すんじゃないだろうか、ホープフルの時と同じように。恐らくその時は私のマークを最後のコーナー前まで切ってくる。私の後ろからのレースっていうのはバ群を避けて最後方からのマクリだってことはマヤノはわかってるから序盤はマークする必要がないってわけだ。
他の娘に関してはきっと私のことを前走で心房細動を起こした娘という認識しかないだろうから私が前に出ようが後ろにいようが関係なく走るに違いない。多少は私が前に出ることでバ群が伸びるかもしれないけどそれだけだと思う。
「はい、じゃあ2回目やるので戻ってきてください」
「……はい」
…コーナー前で緩やかに減速し、ゲートの方に進路を戻す。ってあれ…、コーナー前?結構長いこと考えながら走ってたと思うんだけど。今のスタートができて逃げなら第1コーナー途中までは走れてる想定だったんだけど。
……もしかして、感覚がずれてる?久しぶりに走ったから?
……うーん。今そこを直す時間はないし、とりあえず再審査の方をさっさと終わらせちゃおう。あんなに無様でボロボロだったとはいえ、せっかく弥生賞で優先出走権も確保したんだし、皐月賞に出るためにもこんなのさっさと終わらせないとね。今日失敗したらいよいよ後がなくなって除外処分になっちゃうし。
ゲート再審査が終わったらまずはこの感覚の誤差を無くすところから始めなきゃ。勝負どころでこの感覚のズレは致命傷になりうる。
……。
……………。
……ってあれ…?
なんで私、ここまで意固地になってるんだろ。
目的を見つけるために今年の6月までは少なくとも走る、それはいい。
だけどそれは既に走る目的を見つけてその夢に向けて一生懸命に努力している他の娘を踏み躙ってまでやっていいことなの…?
私なんかが?
……
そんな私が、あろうことかクラシックの初戦に向けてじゅんび???
……あれ、
なんで、わたし、ここにたってるんだろ
ほかのこならともかくわたしが、わたしふぜいがのうのうとたっていいばしょじゃないくらい、わかってたのに
ごめん、なさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「……ッ!!ッはァ、ハぁッ!!」
「……ルクーリ、メルクーリ!…すいません、再審査は中止でお願いします!」
〜〜〜
気がつくと私はスピカの部室のパイプ椅子に座らされ、背中を撫でられていた。
2回目のゲートの記憶がないあたり、多分ダメだった…んだろう。ゲートに入ったのか入る前にダメだったのか、それすら思い出せない。
……ただ、それでもみんなの心配そうな表情を見てれば察せられる。
あっ、ダメだったんだって。
……まさか再審査すらダメになるなんて、ね。
まともにゲートすらこなせない。みんなに口を大にして言えるような目標も何もない。挙げ句の果てにレース直後に心房細動で倒れて病院直行。
こんなのがトゥインクル・シリーズに出て、あまつさえ最優秀ジュニア級ウマ娘に選出??三文芝居でももうちょっと頑張れるんじゃないの?
……まぁ、うん。ピリオドを打つべき時が来た、単にそういうことなんじゃないかな。思ったより
そうと決めたらそれにふさわしい表情で、具体的には笑顔で。
「……あはは、ダメだったわ。ごめんトレーナー、ごめんみんな」
……あれぇー、私の笑顔ってそんなに説得力ない?全然空気変わらないんですけど…。あのゴルシですら何を言っていいのか迷ってる表情してるんですけど。
「……次はパスできるようにするから。今日は一旦帰って寝るね」
…その次が来ることはきっとない、けど。
部屋を出ようとする私に声がかけられたのはその時だった。
「なぁ、メルクーリ。ちょっとドライブ行かないか?」
「……は?」
「ドライブだよ、ド・ラ・イ・ブ。ちょっと帰るの遅くなるから着替えて外泊許可証出してこい!」
振り向くと、いつもの胡散臭そうな笑顔と一緒に車のキーをクルクル回してるトレーナーが真っ直ぐに私を見ていた。
「……教え子をナンパとか正気?」
「ちげぇよ!早く準備してこい!!」
〜〜〜〜〜〜
言われた通りに着替え、外泊許可証を出し、フジキセキさんに「キミが外泊許可証を出すなんて…!」と驚かれてからトレーナーの車に揺られることはや数時間。窓から見える夕暮れの景色は都会のそれからとっくに山間のそれに変化していた。
やることも特になかった私はリクライニングを倒し、ぼんやりと天井を眺めていた。
「……前から思ってたけど、トレーナーって思ったより運転丁寧だよね」
「ウマ娘を乗せるためには必須なんだよ、こういうの。お前の聴覚が鋭いみたいに揺れに敏感なウマ娘もいるわけ」
「……ふーん、大変なんだね。…トレーナーも」
「まぁな…っと、着いたぞメルクーリ。前見てみろ」
トレーナーに促され、ゆったりと体を起こした瞬間だった。目の前の光景から私は目を離すことができなくなった。
……故郷で見ていた
「……わぁぁ…!」
「流石にお前の実家の近くの再現とはいかないけどな、悪くないだろ?」
人っ子ひとりいない湖と、それを囲むような桜の木々。窓を開けてみると、木々の合間をさわさわと吹き抜ける風とわずかな鳥の鳴き声以外には何も音がない静かな空間がそこにはあった。
「外出てみるか?」
「…いいの?」
「もちろん、ここが目的地だからな」
トレーナーが答え終わるよりも早く、私は車を飛び出し湖のほとりに向かって歩みを進めていた。
「っぱはえーなぁ、メルクーリ。怪我すんじゃねぇーぞ!」
「わかってる!」
湖のほとりに立って風を感じる。…実家の近所よりは湿度が高いような気がする。でもそんなにイヤじゃない湿度。
…実家にいた時もこういう風に近所の湖で休憩してたなぁ。朝から走って、湖とか川のそばで休憩がてらお昼ご飯を食べて、夕方まで走る。そのそばには大体あの子がいて……。
背後にトレーナーが来たのが音でわかった。…数時間運転し通しだったのに疲れを見せないあたり、このヒトも大概おかしいと思う。
「……よく知ってたね。私がこういう所が好きだって」
「ちょっと前にお前の親御さんに電話してな。お前の好きそうな場所を聞かせてもらったんだ」
いつの間にお母様とそんなやりとりをしたのさ。そういえば入院したこともお母様は知ってたし、生徒情報かなにかの資料に載ってるのかな。
…ふぅ。
意を決して私はトレーナーに振り向く。
「……ねぇ、なんで?」
「最近のお前は色々限界そうだったからな。本当は先にリフレッシュさせてからゲート再審査にしようと思ってたんだがな」
「じゃなくて!……なんで私にここまでしてくれるの!?……わたし、なんかに…ぁぅっ」
「あのなぁメルクーリ、そんな当たり前のことを聞くな」
私の頭にぽんと手を置きながらのトレーナーの言葉に私の言葉は途中で遮られた。
「俺はお前…っていうかお前たちのトレーナーだし、お前らのファンだからだよ」
「……は?ファン?」
「お前の走りに俺だけじゃなくてたくさんの人が魅せられてるんだぞ?気づかなかったか?」
そういって見せてきたのは…ウマッター?のフォロワー数??52,168フォロワー……ってそんなに私フォローされてるの?数えるほどしか投稿してないのに?
「…なん、で。こんなに」
「それくらいお前の走りに夢を見てる人が多いってことだ。……ちょうどいいからメルクーリにも俺の夢を教えてやる。マヤノとメルクーリが来る前に他のメンバーには言ったんだけどな。。俺はな、お前たち全員が走るレースが見たいんだよ!メルクーリ、もちろんお前もだ」
「…私たち全員…?そんなの「無理じゃない。俺はみんなを信じてるからな」……それ、は」
なんてはちゃめちゃな夢だろう。しかもトレーナーだけではそれは達成し得ない夢だ。フルゲートが18人だとしたら私たちで半分占領することにもなる。
なのに…それ以上に。その夢を語る時のトレーナーの表情がなんというか…その。決意に満ち溢れてる気がして、羨ましく思えた。思えてしまった。
「……その。いい夢、なんじゃないかな。多分」
「だろ?もちろんお前も「だけど、その夢に私はいらない。……というよりはいちゃいけないよ、確実に」…どうしてだ?」
真っ直ぐに見つめてくるトレーナーに、私はため息を1つついて覚悟を決める。……もう、逃げも隠れもできないかな。
「……私ね、殺しちゃったの。大切だった友達を」
前書きを書いたのが3日前、後書きを書いてるのが投稿直前。…その間何やってたかって…?聞かないでください(泣き)(魔改造失敗) (Bグループ3位)
アプリウマ娘一周年、おめでとうございます。誰でもいいので新規の子下さいお願いします何でもはできません。
お気に入り登録、感想、誤字報告いつもありがとうございます。本当に助かってます。
それでは次回もよろしくお願いします!