そのウマ娘が“白銀の突風”と呼ばれるまで   作:乃亞

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アプリでフォローしてる方がいつのまにかイベントの新規サポカヘイローを完凸しててびっくりした朝にお届けです。よろしくお願いします。


第2話 制限:limitation

「……」

「メルちゃん柔軟は終わった?じゃあボクと併走しようよ!」

「あっ、テイオー抜け駆けずるい!終わったらマヤともやってねメルちゃん!」

 

 

……。

…………。

………………。

戻ってきてしまった、またこのターフに……。

 

 授業が終わった瞬間に抜け出したはずなのに、気づいたらトウカイテイオーとマヤノトップガンが両隣でニコニコしてた。どういうこと?

 そしてまた気づいたらジャージに着替えさせられ、ターフの上でマヤノトップガンに押されて柔軟をさせられた上でトウカイテイオーと併走をすることになってた。

 

 

 ターフを走るなんて本当にいつぶりだろうか。入学試験の時に走ったのは覚えてるんだけどそれ以来かな。さすがにそれはない…と言い切れないくらい走ってない気がする。

 

 

 仕方ないので少し前を走ってるトウカイテイオーを観察する。跳ねるような軽さを伴った走り方から見るに相当体が柔らかくてバランス感覚が優れてるって感じかな。小柄な体格から出る瞬発力も相当スゴいかもしれない。

 

 次に併走したマヤノトップガンは、すごく器用な走り方だ。相手を見て戦い方を変えられるタイプのウマ娘。私がうまく逃げられなかったのもこの観察眼のせい……だと思う。

 

 

 

 1600mをトウカイテイオーとマヤノトップガンの2人と2回ずつ。最後に3人で1回。合計8000mを走ったんだけど、相変わらずターフの上は…はぁ。

 

「はぁ…はぁ…。メルちゃん、速いね!ボク、びっくりしちゃった!」

「……あ、ありがとう?」

「はぁ…、マヤもう疲れちゃった〜。ちょっと休憩しよ?」

「う、うん。じゃあ飲み物とってこよ「「あーっ!メルちゃんまた逃げようとしてる!?」」…ちぇっ」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

「…はちみーの屋台?」

「そう!ボクはちみー好きなんだー!店員さん、はちみつ硬め濃いめ多めで!」

「テイオーちゃんホントにはちみー好きだよねー。あ、私は普通で!メルちゃんは?」

「…じゃあ普通で」

「はーい、こちらになります!ありがとうございました!」

 

 

 しっかり両脇を2人に挟まれて2時間半くらい走りこんだ後の帰り、そのまま帰ろうと思っているとトウカイテイオーがどうしても寄りたい所があるといって譲らないから3人で寄ることにしたんだけど、どうしても寄りたい所ってはちみーの屋台か。はちみつ硬め濃いめ多めってどういうことなの?濃いめ多めはまだしも硬めって…?

 

「……トウカイテイオーはなんではちみー好きなの?」

「はちみーはね、朝飲んでも夜飲んでも美味しい飲み物なんだよ!」

 

 

 それは微妙に受け答えになってない気がする。マヤノトップガンと一緒にはちみーを受け取って一口飲む。たしかに美味しいけど少し甘すぎる気がした。これを硬め濃いめ多めで飲むトウカイテイオーはどんだけ甘党なんだ。

 

「ていうか〜!メルちゃん!」

「?」

「ボクのことトウカイテイオー、トウカイテイオーって長くない?テイオーって呼んでよ!」

「あーっ!それマヤも思ってた!マヤのこともマヤノって呼んで!!」

「…えっ?いやそうい「「3、2、1、はい!!」」………テイオー、マヤノ」

 

 

 私がおかしいのかもしれないけど、ウマ娘って全体的に距離感近くない?そんなことない?そんなぁ。

 

「そういえば今日、なんか練習見にきてる人多くなかった?カイチョーも来てたしびっくりしちゃった」

「……そうなの?いつもはあんなに多くないの?」

「うーん、普段はもっと少ない気がするなぁ。あ、でもでもマヤわかっちゃった!メルちゃんが目的なんだ!」

「……は、私?」

「普段トレーニングに来ない人がトレーニングに来たらみんな気になっちゃうよね」

「……ふーん、道理で」

 

 ……道理でイヤにうるさかったわけだ。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 トウカイテイオーの言っていた通り、カイチョーこと皇帝シンボリルドルフは副会長エアグルーヴを伴ってスバルメルクーリたち3人の練習を見に来ていた。周囲には幻のウマ娘を一目見たいというウマ娘たちの他、有名チームのトレーナーも数多く視察に来ているあたり、スバルメルクーリの注目度の高さが窺える。

 

「やけに観客が多いですね。これまでトレーニングをサボっていた奴に対する注目度ではない」

「ふっ、エアグルーヴは手厳しいな。だが彼女、スバルメルクーリにはそれだけ注目されるだけの理由がある」

「……彼女に向けて『甘えるな』と手厳しく叱責したのは会長では?」

「ははは」

 

 

 そう話している間に3人の併走トレーニングはひとまず終わったらしく、3人はなにやら集まって話している。その間にトレーナーたちの品評会も始まったようだ。

 

「なぁ、今の併走どう見えた?」

「スバルメルクーリは完全に調整不足ですね。一回もトウカイテイオーとマヤノトップガン相手に勝てませんでしたし」

「相手があの2人なのを差し引いても一回も勝てないのはなぁ。少し期待しすぎたか」

「次の選抜レース、1番の注目株だと思ってたんだけどなぁ」

「スバルメルクーリより、あの子(モブ娘)の方が期待が持てるな」

「あっ、その子は私も期待してたんだよね〜」

 

 

 

「…というのが世間の評価というやつか。エアグルーヴ、君はどう見た?」

「……トウカイテイオーの軽い足捌き。マヤノトップガンの変幻自在な動き。これらに比べるとやはり見劣りするかと。とてもではないですが、サボってたのをわざわざあの2人を監視につけて練習させる意味はないように感じました」

 

 

 エアグルーヴの意見にシンボリルドルフは瞑目したまま頷いた。まぁ無理もない。スバルメルクーリの走りは傍目から見て精彩を欠いているようにしか見えなかった。……気づくのはそれこそシンボリルドルフのような超一流くらいなものだろう、と言うくらいには。

 

「……よし、では聞き方を変えようか。スバルメルクーリの走った併走、テイオーとマヤノトップガンとの着差は把握しているか?」

「着差、ですか。そうですね…全て大体2バ身だったかと思いますが……まさか!?」

「そのまさかだ。スバルメルクーリはあの併走トレーニングで全力を出していない。息が一切上がってないのがその証拠だ。彼女はテイオーとマヤノトップガンに対し、2バ身を常にキープしていて走っていた」

「…そんな器用なことができるのですか?」

「意識的か無意識かは彼女のみ知る所だろうが、理事長からもらった資料にはこんなものが載っていた」

 

 

 本当はあまり見せてはならないものかもしれないが、と思いつつシンボリルドルフはエアグルーヴにその資料を見せる。

 エアグルーヴがその資料を覗いたところ、どうやら入学試験の成績が細かく記載されているようだった。

 

 将来を嘱望されていたり、もうチームに入っていたりする名だたるウマ娘たちがいる中、その1番上に『スバルメルクーリ』の名前が記載されていた。

 

 

 




本編より前書きと後書きの方が何書けばいいか分からない説、ありません?
感想、お気に入り、評価等々ありがとうございます。正直予想以上の伸びを見せていてウマ娘というコンテンツの強さをひしひしと感じてる今日この頃。
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