新訳・機動戦士ガンダム0083~星屑の光、裁きの剣~ 作:アライズ
テストのため核弾頭を搭載した状態だった試作2号機、それをアナベル・ガトーが強奪したためコウ・ウラキは残された試作1号機に乗り込む。
だが急な出撃でビームライフルを所持していなかったことと、コウ自身の未熟さもありガトーは逃走に成功する。
ガトー:連邦にもまだ骨のあるパイロットが残っていたか。教えてくれ、私は後何回同胞の死を見届ければいい?
ノイエン:その見た目で感傷に浸っていると弱音を吐いてると思われるぞ、ガトー少佐。
ガトー:キンバライト基地での打ち上げの準備は出来ましたか、ノイエン・ビッター少将。
ノイエン:私の方が階級が上とはいえ『ソロモンの悪夢』に敬語を使わせるのは忍びない。
ガトー:はっ、しかし私はこういう性格なのです。
ノイエン:それよりも、厄介な奴がやってくる。お前のことは何としても宇宙へ上げてやらねばな。
ガトー:この機体と核弾頭は宇宙へ上げさせてもらう。ジオン再興のために!
コウ:でも貴女は……正直戦うような雰囲気じゃなかった。
ガトー:ええい!見た目に騙されるな!我々はスペースノイドの真の解放を掴みとるのだ…!地球からの悪しき呪縛を我が裁きの剣によってな…!
ノイエン:全ては新しきジオンの為だ、挑発に乗るんじゃない。
ガトー:分かってます。しかしそのイフリート・リペアードとやら、使えるのでしょうか?
ノイエン:少なくとも問題なく動くさ。
アルビオンの護衛をベイトとアデルに任せていたウラキとチャンドラは、ノイエンの乗った機体を見て驚く。
コウ:あれはイフリート!教科書には8機しか無いとあったけど……
チャンドラ:ウラキのいう通りね、まさか9機目があったの?
ノイエン:オープンチャンネルでそんな話をするとは驚きを隠せないようだが、それは違うな。
チャンドラ:別に聞かれて困ることじゃないし……
※メタいこというと会話させるためである
ノイエン:これはお前達連邦に破壊されたイフリート達と予備パーツを組み合わせたイフリート、つまり9機目ではない。
コウ:このままじゃアルビオンが!しかしあの機動性、追い付けない!
チャンドラ:170mmキャノンで足止めくらいなら!
ノイエン:そんな物、当たるか!それにこの戦い、私の勝ちだ。
コウ:しまった、HLVが!
ノイエン:だがまだ私の戦いは終らん、お前達の母艦もやらせて貰う!
コウ:させるかー!
アルビオンに肉薄する勢いで突貫したノイエンは、ビームライフルの一撃に気づくことが出来ずそのまま撃ち抜かれるのだった。
しかし彼の活躍によって無事傷ひとつなく試作2号機を宇宙へと持ち帰ることのできたガトーは、エギーユ・デラーズに報告を行う。
デラーズ:ご苦労だった。だが、惜しい人間を失ったな。
ガトー:ノイエン少将の散り様は、まさに武人の鑑でした。
デラーズ:彼の思いに報いるためにも……これからの放送、付き合ってくれるか。
ガトー:勿論でございます、デラーズ閣下。
デラーズ:地球連邦軍、並びにジオン公国の戦士に告ぐ。我々はデラーズ・フリート!
デラーズ:所謂一年戦争と呼ばれた、ジオン独立戦争の終戦協定が偽りのものであることは、誰の目にも明らかである!
デラーズ:何故ならば、協定は『ジオン共和国』の名を騙る売国奴によって結ばれたからだ。我々は些かも戦いの目的を見失ってはいない。それは、間もなく実証されるであろう。
デラーズ:我々は日々思い続けた。スペースノイドの自治権確立を信じ、戦いの業火に焼かれていった者達の事を。そして今また、敢えてその火中に飛び入らんとする若者の事を。
デラーズ:スペースノイドの心からの希求である自治権要求に対し、連邦はその強大な軍事力を行使して、ささやかなるその芽を摘み取ろうとしている意図を、証明するに足る事実を私は存じておる。
デラーズ:見よ、これが我々の戦果だ。このガンダムは、核攻撃を目的として開発されたものである。南極条約違反のこの機体が、密かに開発された事実を以ってしても、呪わしき連邦の悪意を否定出来得る者がおろうか!
デラーズ:省みよう。何故ジオン独立戦争が勃発したのかを!何故我等がジオン・ズム・ダイクンと共にあるのかを!
我々は三年間待った…。もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者はおらん。
デラーズ:今、若人の熱き血潮を我が血として、ここに私は改めて地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである。
仮初の平和への囁きに惑わされる事なく、繰り返し心に聞こえてくる祖国の名誉の為に、ジーク・ジオン!!
ガトー:付き合うとは申しましたけど、デラーズ閣下……
デラーズ:メイド服、似合っておったぞ?
ガトー:士気向上と宣伝、そして閣下のご命令とはいえ……いや、3年前の屈辱に比べれば確かにこの程度は屁でもありません。
デラーズ:その意気だ、ガトー。
続く