レベル:272
生まれ:従軍経験者
体力:40
持久力:44
筋力:95
技術:71
血質:42
神秘:30
になりました、かなりの時間潜っていたので前回の最初に比べ合計で10レベ近く上がりました、此からもハジメ達が休息の時間を取る際にはマラソンさせていきます。では、ホンへ
「だぁー、ちくしょぉおおー!」
「……ハジメ、ファイト……」
「お前は気楽だな!」
「そう言う貴公も未だ未だ余裕がありそうだな、ハジメ」
現在、狩人の隣でハジメはユエを背負いながら猛然と草むらの中を逃走していた。周りは百六十センチメートル以上ある雑草が生い茂り、前傾で走る狩人の姿を隠してしまっている。ユエならば普通に立っているだけでも姿は見えなくなっていただろう。
そんな生い茂る雑草を払いのけながら、ハジメ達が逃走している理由は、
「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」
二百体近い魔物に追われているからである。
ハジメ達が準備を終えて迷宮攻略に動き出した後、十階層ほどは順調に降りる事が出来た。ハジメの装備や技量が充実し、且つ習熟してきたからと言うのもあるが、狩人の高い能力と多岐に渡る攻撃手段やユエの魔法が凄まじい活躍を見せたというのも大きな要因だ。
ユエは全属性の魔法を何でもござれとノータイムでノータイムで使用し的確にハジメを援護し、狩人は高い機動力と地獄の様な一夜を二周した戦闘経験、全体的に高い戦闘能力でモンスター達を蹂躙していった。
ただ、そんな二人でも回復系や結界系の魔法は得意では無いらしい、ユエには“自動再生”があるからか、無意識的に不要と判断しているのだろう。一方の狩人は“星歌の鐘”を使えば即時的に範囲内の味方と自分を回復出来るが、一度に持てる水銀弾の数が20発という事もあり、基本的に使う事は無く、水銀弾の使い道は先ずパリィ等の牽制に使っている。尤も、ハジメには神水があるので何の問題も無かったが。
そんな三人が降り立ったのが現在の階層である。先ず見えたのは樹海だった。十メートルを超える木々が鬱蒼と茂っており、空気は何処か湿っぽい、しかし、禁域の森ほど陰鬱としている訳でも無く、依然通過した密林の階層と違い、其程暑くは無いのが救いだろう。
狩人達が階下への階段を探して探索していると、突然スズンッという地響き響き渡った。何事かと身構える三人の前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だ。見た目は完全にT-レックスのそれである。
但し、何故か頭に一輪の花が咲いていたのだが……
鋭い牙と奔る殺気が議論の余地も無くこの魔物が強力である事を示していたのだが、視線を上へと向けてみれば星輪草や向日葵に似た花が揺り動く。嘗て無い程シュールな光景に、この迷宮の主はシュールレアリストなのだろうかと疑う程であった。
T-レックス(仮称)が咆哮を上げ、狩人達に向け突進して来る。
ハジメと狩人は慌てる事無くドンナーを、そして“獣狩りの曲刀”を構えようとして……それを制する様に前に出たユエがスッと手を掲げた。
「“緋槍”」
ユエの手元に現れた炎が渦巻き円錐状の槍を形作り、一直線に体羅のの口内へ飛翔し、T-レックス(仮称)の身を貫通した。周囲の肉を容赦無く溶解させ、一瞬にして絶命させた。地響きを立てながら横倒しになるT-レックス。
そして、頭部の花がポトリと地面に落下した。
「……」
様々な意味で思わず押し黙る狩人とハジメ。
近頃、ユエの無双が激しい。最初はハジメと狩人の援護に徹していたのだが、何故か途中からハジメと狩人に対抗する様に先制攻撃により魔物を即殺するのだ。
その所為で狩人は、最近の出番が著しく減ってしまい、手持ち無沙汰となってしまっていた。その為、狩人は“獣狩りの曲刀”を連続で変形させる。武器を何度も変形させる行為は狩人にとって一種の暇潰しであり、ルーティーンでもある。尤も、意味を教えていない為、ハジメとユエは狩人が何の目的で武器の変形機構を連続で作動させているのか疑問に感じているのだが。そして、彼等にとっての謎が解けるのはかなり後の話になるだろう。
狩人が暇を潰す傍ら、ハジメが抜きかけのドンナーをホルスターに仕舞い直すと苦笑いしながらユエに話し掛けた。
「あ~、ユエ?張り切るのは良いんだけど……最近、俺、余り動いてない気がするんだが……」
「……私、役に立つ。……パートナーだから」
如何やら、ハジメの援護しているだけというのが我慢ならなかった様だ。
確か、少し前にハジメがユエに対し一蓮托生のパートナーである旨の発言をしていたのを思い出し、一人マスクの下で納得の表情を浮かべる。
当時はユエが魔力が枯渇するまで魔法を使い、戦闘中に倒れてしまい、多少の窮地に陥り、辛くも脱した後にその事を酷く気に病んでいた為、ハジメがユエを慰める意味で言ったのだが……如何やらユエの心の琴線に触れた様であった。パートナーとして役に立つ所を見せたいのだろうが、果たして其れだけかと言われれば疑問も残る所ではある。
「はは、いや、もう十分役に立ってるって。ユエは魔法が強力な分接近戦は苦手なんだから後衛を頼むよ。前衛は俺と狩人の役目だ」
「……ハジメ……ん」
ハジメに注意され、若干シュンとするユエ。
ハジメは如何にもハジメの役に立つことに固執する嫌いのユエに苦笑いしつつ彼女の柔らかな髪を撫でる。そんな光景を眺めながら狩人は、真っ当な人間の営みを見て一人静かに微笑む。
彼等の遣り取りを見ているとヤーナムでの地獄の様な悪夢を乗り越え、この地に目覚めたのも悪いものでは無かったのだと思える。たまにではあるがヤーナムに居る様な死を意識する程強力な獣と相対出来ていないのは残念な事ではあるが。
狩人が物思いに耽っていると狩人の“気配感知”と“微音感知”に反応があった、如何やらハジメも“気配感知”によって魔物の接近に気が付いた様だ。
十体程度の魔物が取り囲む様に狩人達の方へ向かって来る。統率の取れた動きに二尾の狼の様に群れを成す獣だろうかと訝しみつつ、ハジメがユエを促し現場を離脱する。数的不利故に多少なりとも有利に動ける場所へ移動する為である。
円状に包囲しようとする魔物に対し、ハジメと狩人は自らに最も近い二体目掛け自ら突進していった。そうして、生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には体長ニメートル強の爬虫類、例えるならばラプトル近縁種の様な魔物が居た。
頭からチューリップの様な花をひらひらと咲かせて。だが狩人にそんな物は関係無い。獣とあらば何者であろうと狩る、其れが狩人なのだ。一片《ひとひら》の慈悲も感じさせる事も無く槍形態の“ノコギリ槍”で刺し貫き、鋸刃で引き裂く様に魔物の首と胴を泣き別れさせ、容赦無く二体の内一体の魔物を血の海に沈めた。
「……無慈悲」
「マジで容赦ねぇな……」
「獣に掛ける慈悲は無い」
こんな会話をしているが、ハジメとユエの視線は魔物の頭上に向いていた。狩人も内心では思っていたのだ、シリアスな空気を途端にシリアルに変えてしまう魔物の頭上の花、其れは流行なのだろうかと。
仮称ラプトルは、仮称T-レックス同様に花など知らぬとばかりに殺気を撒き散らしながら低く唸っている。臨戦態勢である。花は魔物が動く度にゆらゆらと揺り動いているのだが……
「シャァァアア!!」
仮称ラプトルが花に注目して立ち尽くす狩人達に飛び掛かる。その強靱な脚には二十センチはありそうな鉤爪が付いており、ギラリと凶悪な光を放っていた。
ハジメとユエは左右に分かれる様に飛び退き回避し、狩人はバックステップで躱す。
其れだけでは終わらずハジメは“空力”を使い、三角飛びの要領で仮称ラプトルの頭上を取った。そして、試しにと頭のチューリップを撃ち抜いてみた。
ドパンッと言う発砲音と同時にチューリップの花が四散する。
仮称ラプトルは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと着地に失敗してもんどり打ちながら地を転がり、木に衝突して動きを止めた。シンとした静寂が辺りを包む。ユエもトコトコとハジメの側に寄り仮称ラプトルと四散し、地面に散らばるチューリップの花弁を交互に見遣った。
「……死んだ?」
「いや、生きてるっぽいけど……」
「意識を失っているだけだろう」
ハジメと狩人の見立て通り、ピクピクと痙攣した後、仮称ラプトルは何事も無かったかの様に起き上がり、辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見付けると徐に歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏み躙り始めた。
「え~、何その反応、如何言う事?」
「……イタズラされた?」
「いや、そんな背中に張り紙付けて騒ぐ小学生じゃねぇんだから」
「或いは、寄生の類いか……」
「其れが一番有り得そうだがたまに中々エグい事言うよなお前……」
仮称ラプトルは一通り踏み躙り満足したのか、如何にも「ふぅ~、良い仕事したぜぇ~」と言わんばかりに天を仰ぎ、「キュルルル~!」と鳴き声を上げた。そして、ふと気が付いたと言う様に狩人達に顔を向けビクッとする。
「今気付いたのかよ。どんだけ夢中だったんだよ」
「……やっぱりイジメ?」
「始めから我々を認識していなかっただけではないか?」
ハジメがツッコミ、ユエが同情した様な眼差しで仮称ラプトルを見、狩人は実に的を射ているであろう推測を口にする。
仮称ラプトルは暫く硬直したものの、直ぐに姿勢を低くし牙を剥き出し、一気に飛び掛かって来た。
ハジメはスッとドンナーを掲げ、大きく開けられた仮称ラプトルの口に照準を合わせ、電磁加速されたタウル鉱石の弾丸を撃ち放った。
一筋の閃光となって狙い違わず仮称ラプトルの口内を蹂躙し、後頭部を粉砕して飛び出た弾丸は、背後の樹をも貫通して樹海の奥へと消えていった。
跳躍の勢いのまま地面を滑ってゆく絶命した仮称ラプトル。ハジメとユエは何とも言えない顔で仮称ラプトルの死体を見遣ったが、狩人は一瞥しただけで直ぐに周囲の警戒を開始した。
「ホント、一体何なんだ?」
「……イジメられて、撃たれて……憐れ」
「いや、イジメから離れろよ。絶対違うから」
「催眠か、ロイコクロリディウムと似た寄生花の類いかも知れん、気を付けろ」
「お前は何で毎回そう言う気味の悪い発想に至るんだよ、有り得そうで寒気がする」
ハジメは狩人の発言も含めて訳が分からないものの、抑も迷宮の魔物自体訳の分からない物ばかりなので気にするのを止めた。包囲網がかなり狭まって来ていたので早急に移動しつつ、有利な場所を探る。
程なくして直径五メートルはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。隣り合う太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊の様である。
ハジメは“空力”で、ユエは風系統の魔法で頭上の太い枝に飛び移り、狩人は樹の下で変形させた“狩人の斧”を構える。ハジメは集まってきた魔物達を頭上から狙い撃ちにし、殲滅するつもりだろう。狩人はと言うと地上戦の方が圧倒的に得意な為地上に残り、面制圧力の高い“狩人の斧”で地上から掃除していく算段である。
五分もかからず眼下に続々と仮称ラプトル達が現れ始めた。“焼夷手榴弾”でも投げ落としてやろうと思っていたハジメは、しかし硬直する。隣で魔法を撃つ為手を突き出した状態でユエも固まっていた。
なぜなら……
「何で何奴も此奴も花付けてんだよ!」
「……ん、お花畑」
ハジメの言う通り、現れた二十体以上の仮称ラプトルは全てに花を付けていた。其れも色取り取りの花を。
そんな事は如何でも良いとばかりに狩人が“時限式爆発瓶”を群れのド真ん中に投擲し、数秒を置いて爆発した。その音を聞きハジメ達がハッと眼下を見やれば其処には重厚で肉厚な大斧による回転斬りで三体の仮称ラプトルを暴力的な力で切断しながら吹き飛ばす様が目に入り、気を取り直した。
ハジメは“焼夷手榴弾”を投げ落とすと同時に、その効果範囲外に居るものから優先してドンナーで狙い撃ちにした。ユエも同じく緋槍を使って周囲の個体から仕留めていく。狩人は“スローイングナイフ”で牽制し、“狩人の斧”による回転斬りや薙ぎ払いで手当たり次第に暴力的な力で挽き肉にしていく。
きっかり三秒後、群れの中央で“焼夷手榴弾”が爆発し、摂氏三千度の燃え盛るタールが飛び散り周囲の仮称ラプトルを焼き尽くしていった。この階層の魔物にも充分効いている様だと胸を撫で下ろすハジメ。やはり、あのサソリ擬きが特別強かった様だ。
結局十秒もかかる事無く殲滅に成功した。しかし、ハジメの表情は冴えない。ユエが其れに気が付き首を傾げながら尋ねた。
「……ハジメ?」
「……ユエ、可笑しくないか?」
「?」
「ちょっと弱すぎる」
「そうだな、上の階層の獣や虫の方が明らかに強力だった。この階層の獣は余りにも手応えが無さ過ぎる」
ハジメの言葉にハッとなるユエ。
狩人もその事に疑問を持っていたのか枝の上に飛び移りながら狩人が私見を述べる。
確かに、仮称ラプトルも先の仮称T-レックスも動きは単純其の物で特殊な行動も無く容易く殲滅出来てしまった。其れ処か殺気はあれども何処か機械的で自然的な動作では無かった。花を失った仮称ラプトルが怒りを露わに花を踏み付けた光景を見た後と言う事もあり、尚の事花を付けた仮称ラプトル達に違和感を覚えてしまう。
慎重に進もう、ハジメが二人にそう言おうとしたその時、ハジメと狩人の“気配感知”が再び魔物の接近を捉えた。全方位から夥しい数の魔物が集まってくる。ハジメの感知範囲は、現在半径二十メートル、狩人に至っては五十メートル以上と言ったところだが、その範囲内に於いて既に数え切れない程の魔物が一直線に向かってきていた。
「拙いな……アレだけの数を相手にするのは分が悪すぎる」
「ユエ、ヤバいぞ。三十、いや、四十以上の魔物が急速接近中だ。まるで、誰かが指示してるみたいに戦包囲から囲む様に集まって来やがる」
「……逃げる?」
「いや、此処での撤退は最早無理があるだろう。全方位から迫って来る敵の数から考えれば隙間など無いに等しい。現状では最も高い箇所からの殲滅が定石だろう」
「ん……特大のいく」
「おう、かましてやれ!」
「任せたぞ、ユエ嬢」
狩人達は高速で移動しながら周囲で最も高い樹を見付ける。そして、その枝に飛び乗り、ハジメはドンナーを、狩人は“ガトリング銃”を構えながら静かにその時を待つ。狩人はハジメに頼み水銀弾と同じ大きさと形状の銃弾を役三百発用意して貰い、“ガトリング銃”に装填する。血質に依る威力の増大は無いが、牽制上からの牽制ならば充分である。
斯くして、第一陣が各々の間合いに入り込んだ。仮称ラプトルだけで無く、仮称T-レックスまで居る。仮称T-レックスは樹に体当たりを開始し、仮称ラプトルは器用にも鉤爪を用いて軽々と樹を登って来る。
ハジメはドンナーの引き金を引いた。発砲音と共に閃光が幾筋も降り注ぎ、鉤爪で樹にしがみ付いていた仮称ラプトルを一体も残さずに撃ち抜く。
狩人も又引き金を引き、趣味で六段階強化されたガトリング銃による牽制の重弾幕射撃を行う。血質による上乗せの無い火力であっても六段階の強化が施されたガトリング銃の威力は十二分であった。その有様は正に只の牽制では無く、数発の弾丸が命中すれば魔物達は息絶えてゆく。確かに適当に撃っているが故に撃ち漏らしは多いが、そんな事を気にする必要は無い。只魔物をこの場所に到達させなければ良いだけなのだから。
そう言った遅滞戦闘をしていてもアレだけの数の魔物を相手に適当に撃っていれば限界はある。ガトリング銃の射程外となる眼下では優に三十体を越える仮称ラプトルと仮称T-レックスが犇めき合い、狩人達の居る大木をへし折ろうと、或いは登って襲おうと群がっているからである。
「……ハジメ?」
「まだだ……もうちょい」
「未だ引き付けるぞ、外縁部は私が掃除しよう」
そう言いながら狩人は魔物の群れの最も外側に照準を合わせ、端から掃討していく。
そうやって二列ほどの魔物を処分していった所で漸く眼下の魔物の総数が五十を上回り、今や余りの多さに判別は困難を極めるが、事前の“気配感知”で捉えた魔物の定数に達したとの判断に至った所でハジメは、ユエに合図を送った。
「ユエ!」
「んっ!“凍獄”!」
ユエが魔法のトリガーを引いた瞬間、ハジメ達の居る樹を中心に眼下が一気に凍て付き始めた。ビキビキと言う急速凍結特有の音を立てながら、瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物へと到達すると花が咲いたかの様に氷がそそり立ち、氷華を創り出していく。
魔物は瞬き程の抵抗すら許されず、その氷華の柩に閉じ込められ目から生命の輝きが失われていった。氷結範囲は指定座標を中心に十五メートル四方。その様は正しく“殲滅魔法”と言うに相応しい代物である。
「はぁ……はぁ……」
「お疲れさん。流石は吸血姫だ」
「素晴らしい威力だ。彼のカインハーストでも此処までの威容は無かったからな」
「……くふふ……」
周囲一帯、正に氷結地獄と化した光景を見て純粋な賞賛をユエに送るハジメと狩人。ユエは最上級魔法を使った影響で魔力が一気に消費され、肩で息をしている。恐らく相当な倦怠感に襲われている事だろう。
ハジメにユエを任せ、狩人は高所の強みを生かして周辺へと目を走らせる。だが、大半が樹木と背の高い草で肝心の洞の入口の様な物一つ見付からず、いっその事火炎放射器で草叢を全て焼き尽くそうかと考えたその時。狩人の“気配感知”と“聞き耳”、“微音感知”に感があった。足音だけでは判別が付かないが、その気配は優に百を超えている。
数秒遅れてハジメも気付いた様で険しい表情を浮かべている。
「ユエ、更に倍の数だ」
「あぁ、恐らく百は優に超えているだろう」
「!?」
「こりゃ幾ら何でも可笑しいだろ。たった今全滅させたところだぞ?なのに、また特攻……あの花……もしかして」
「やはりか……」
「……寄生」
「ユエもそう思うか?全面的に狩人の読みが当たってたって訳だな……」
「花ならば花粉を撒く本体が居る筈だ、其れを探し出し、狩る意外に無いだろう。然もなくば我々は永遠に奴等の相手をしなければならない。そうなれば倒れるのは必然的に我々だ」
狩人の推測と提案に二人は無言で頷く。
狩人達は物量で押し潰される前に、恐らく魔物達を操っているであろう魔物の本体を捜索する事にした。然もなくば、とても階下への階段探しなど到底出来たものでは無い。
座り込んでいるユエに血を吸わせている暇など無い為、ハジメはユエに神水を渡そうとする。しかし、ユエは其れを拒んだ。訝しむハジメにユエが両手を伸ばして言う。
「ハジメ……だっこ……」
「お前は幾つだよ!ってまさか吸血しながら行く気か!?」
ハジメの推測に「正解」とでも言う様にこくんと頷くユエ。確かに、神水でユエの魔力回復が遅い事は狩人も本人から話を聞いて把握しているが、不測の事態に備えて回復はさせておきたいおきたい所ではある。
狩人が思案している間にハジメが覚悟を決めたのかユエを背に負い始めた。そうして狩人達は本体探しに飛び出していった。
そうして冒頭の光景へと戻る。
狩人達は現在、二百体近い魔物に追われていた。草叢は鬱陶しいが、姿勢を落とせば自らの姿を隠せる為、気にしている場合では無い。現状を鑑みれば姿を隠したところで殆ど意味は無いだろうが。
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
という地響きを立てながら迫ってきている。背の高い草叢に隠れながら仮称ラプトルが併走し、四方八方から飛び掛かってくる。其れを迎撃しつつ探索を行った結果、最も怪しいと考えられる場所へと向かい、狩人達は只管疾駆する。ユエも魔法を撃ち込み致命的な包囲はさせまいとする。
狩人達が睨んだのは樹海を抜けた先、今走っている草叢の向こう側に見える迷宮の壁、その中央付近に存在する縦割れの洞窟らしき場所だ。
何故、その場所目星を付けたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性が在ったからである。狩人達が魔物を迎撃しながら進んでいると、ある方向へと逃走を試みた時だけやけに動きが激しくなるのだ。まるで、その方向へは行かせぬとでも言う様に。このまま当て所なく捜索を続けた所で魔物は増える一方である為、一か八かその方向へ突貫を仕掛ける事にしたのである。
前述の通り草叢に隠れながらと言うのは既に失敗している為、ハジメは“縮地”と“空力”で跳躍し、“縮地”で更に加速する。狩人は“狩人の遺骨”による“加速の業”を発動し、ハジメに追随する。
「ユエさん!?さっきからちょくちょく吸うの止めてくれませんかね!?」
「……不可抗力」
「嘘だ!殆ど消耗してないだろ!」
「……奴の花が……私にも……くっ」
「何をわざとらしく呻いてんだよ。奴の所為にするなバカヤロー。て言うか余裕だな、おい」
「そう言う貴公も充分余裕に見えるな、そんな話をしている暇があるのならば周囲を警戒しながら走り給えよ」
「そう言うお前も未だ未だ余裕じゃねぇか……」
こんな状況であるにも拘わらずハジメの血に夢中になるユエ。元王族なだけあって肝の据わり方は半端な物では無いらしい。そんな様子で戯れながらもしっかりと迎撃を熟していた。
狩人も又ヤーナムというこの世界を遙か上回る修羅場の様な世界を潜り抜けただけあり、軽口を叩きながらも片手間迎撃していく様はいっそ鮮やかですらあった。その鮮やかさの一因には武器もあるのだろう。狩人は“レイテルパラッシュ”の変形後の射撃形態と変形前となる剣の形態を使い分けて迎撃に当たっている為か、まるで舞っている様にすら見えるのだ。魔物の鉤爪を潜り抜け、標的から確実に血の華を咲かせる刀身、斬撃に依る旋回の中であるにも拘わらず狙い違わず変形後に現れる銃口から放たれ、魔物を死に至らしめる銀の弾丸。極め付きは一連の動作の端々で放たれる鋭い突きである。そういった技術を狩人は練習していた訳では無い。糧となった血の遺志が自らの身体に技術を、技を再現させているのである。
そうして狩人達は二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れへと飛び込んだ。
縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる程の狭さだ。仮称T-レックスは当然通る事が出来ず、仮称ラプトルでも一体づつしか侵入出来ない。何とか狩人達を引き裂こうと侵入して来た仮称ラプトルの一体が鉤爪を伸ばすが、その前にハジメのドンナーと狩人の血弾エヴェリンが火を吹き、吹き飛ばした。そして、すかさず錬成で割れ目を塞ぐ。
「ふぅ~、此で取り敢えず大丈夫だろう」
「……お疲れ様」
「そう思うなら、そろそろ降りてくれねぇ?」
「……むぅ……仕方ない」
ハジメの言葉に渋々、本当に渋々と言った様子で背から降りるユエ。余程彼女にとってハジメの背中は居心地が良いらしい。
「余り気を緩めない事だ。此処は魔物共の動きが最も活発だった場所だ。何時、何処から襲われても可笑しくは無いぞ。」
「ああ」
「ん」
錬成で入口を閉じた為薄暗い洞窟を三人は慎重に進む。
暫く道なりに進んでいると、軈て大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。恐らく階下への階段で在る可能性が高い。狩人とハジメは辺りを探る。“気配探知”及び“聞き耳”、“微音感知”には何の反応も無いが、狩人の感は何者かがこの場所に潜んでいる事を示す様に警鐘を鳴らす。“気配探知”を誤魔化す、或いは抑も足音等がしない魔物などこの迷宮にはごまんと居るのだ。
狩人達が部屋の中央までやって来た時、其れは起きた。
全方位より緑色のピンポン球の様な物が無数に飛んで来たのだ。ハジメとユエは一瞬で背中合わせとなり、狩人はその二人の側面に付くようにして“火炎放射器”を構え、飛来する緑の球を迎撃する。
しかし、その数は優に百を超え、尚も激しく撃ち込まれる為ハジメの錬成により石壁を作り出し防ぐ事に決めた。石壁に阻まれ貫く事も出来ずに潰れていく緑の球。大した威力も無いのだろう。ユエの方も問題無く、速度と手数に優れている風系統の魔法で迎撃している。狩人も又サイドステップや前ステップを駆使し、迎撃仕切れない分を“火炎放射器”で焼き落としていく。
「ユエ、狩人、恐らく本体の攻撃だ。何処に居るか分かるか?」
「いや、攻撃がほぼ全方位から来る物だ、私にも見当が付かん。だが、私の予想を述べるのならば、奥の暗がりが最も怪しいだろう」
「……」
「ユエ?」
ハジメがユエと狩人に本体の位置を特定出来るか尋ねた。狩人も特別な勘や鋭い五感を有しておりハジメのや本人の“気配感知”とは異なる観点で有用な索敵となる事があるが、今回狩人は回避に全力を注いでおり五感は其方に研ぎ澄ましている為、詳細な位置は分からない。だが、狩人は勘に従い自らが睨んだ方面を指しながら自らの予測を述べた。
ユエも又、勘は持ち合わせては居ないが狩人にも似た鋭い五感を持つ上に回避を主軸とした狩人より余裕がある分その五感はある程度索敵に回しているだろうと思ったのだが。
ハジメの質問にユエは答えない。訝しみ、ユエの名を呼ぶハジメだが、その返答は……
「にげて……ハジメ!」
何時の間にかユエの手がハジメへと向いていた。ユエの手に風が収束する。本能が激しく警鐘を鳴らし、ハジメは、その場から全力で飛び退いた。刹那、ハジメの居た場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断する。
「ユエ!?」
「ユエ嬢、如何したのだ!」
まさかの攻撃にハジメと狩人は驚愕の声を上げるが、ユエの頭の上にある物を見て事態を理解する。そう、ユエの頭の上に花が咲いていたのだ。それも、ユエに似合わせたのだろうかと疑いたくなる程によく似合う真っ赤な薔薇が。
「くそっ、さっきの緑玉か!?」
「如何やら、種は割れた様だな」
ハジメは、自信の迂闊さに自分を殴りたくなる衝動を堪え、ユエの風刃を回避し続ける。狩人は周辺を警戒しつつ“ヤーナムステップ”による回避を続ける。
「ハジメ……うぅ……」
ユエが無表情を崩し悲痛な表情を浮かべる。仮称ラプトルを撃った時、仮称ラプトルは花を憎々しげに踏み躙っていた。即ち、花を付けられ操られている間も意識はあったのだろう。身体の自由だけを奪われている様だ。
だが、其れならば解放の手立ては既に分かっている。ハジメと狩人はユエの頭上に咲く花に照準を合わせ、引き金を引こうとした。
しかし、操っている者もハジメが花を撃ち落とした事や、狩人とハジメの飛び道具を知っている様であり、そう簡単には行かなかった。
ユエを操り、花をかばう様に動き出したのだ。上下移動を多用しており、外せばユエの頭部を吹き飛ばしてしまうだろう。狩人の銃も又、獣に対してはパリィ用の牽制にしかならないが、人体を破壊するには十分すぎる代物である。血質次第では一周目の一部の獣なら一撃で屠る程の火力が出るエヴェリンなど以ての外である。ならばと接近し、斬り落とそうとすれば突然ユエが片方の自分の頭に押し当てると言う行動に出た。
「……やってくれるじゃねぇか……」
「中々悪知恵の働く獣だ……面倒な事この上ない」
つまり、ハジメ或いは狩人が接近すればユエ自身を自らの魔法の的にすると警告しているのだろう。ユエは狩人には及ばないとは言え一定の不死性を有する。しかし、上級以上の魔法を一気に使い一瞬で塵にされて尚“再生”可能かと問われれば不可能だろう。そして、ユエは最上級ですらノータイムで放てるのだ。特攻などと言う巫山戯た賭けに出るのは避けたい所だ。
狩人達の逡巡を察したのか、其れは狩人の勘が告げた通り、奥の縦割れの暗がりから現れた。
アルラウネやドリアード等と言う人間の女と植物が融合した様な北欧辺りの神話上の生物を彷彿とさせる魔物が出て来る。狩人達の前に現れた魔物は正しくそれであった。尤も、神話では美しい女性の姿で人類に対して友好的な態度を取る者、敵対的な態度を取る様な森の守護者たる役割を担う者ではあるのだが。目の前の似非アルラウネには、そんな印象は皆無である。
確かに、外見は人間の女に限り無く近いのだが、内面の醜さが溢れているかの様に醜悪な顔をしており、無数の蔓が触手の様にうねうねとうねっていて狩人に言い知れぬ嫌悪感を覚えさせる。まるで上位者の眷属、あのナメクジ共を彷彿とさせる様に。その口元は、何が楽しいのかニタニタと嗤っている。パッチの恨めないがイラつく、一発殴りたくなる様な笑顔とは似ても似つかぬ絶大な不快感を感じる。
ハジメはすかさず似非アルラウネに銃口を向けた。しかし、ハジメが発砲する前にユエが射線に入って妨害する。
そんな中、狩人と言えば何やら
そうして、ハジメも又覚悟を決めた……と言う表情では無いが何やら
と広間に銃声が響き渡る。狩人は、ユエが何を言ったかは分からないがユエの言葉を聞いた瞬間、ハジメは、何の躊躇いも無く引き金を引いた。広間を冷たい空気が満たし静寂が支配する。流石に良く分からない状況になってしまい、狩人も硬直してしまった。そんな中、くるくると宙を舞っていた薔薇の花がぱさりと地面に落ちた。
今頃ユエと似非アルラウネは何が起きたのか良く分からないと言った表情を浮かべている事だろう。尤も、狩人居る位置からでは見える筈も無いのだが。
ユエがそっと両手で頭の上を確認すると、其処に花は無く、代わりに縮れたり千切れたりしている自身の金髪があった。似非アルラウネも事態を把握したのか、何処か非難する様な目でハジメを睨む。
「いや、お前がそんな目をするなよ」
ハジメが言葉を発する直前に気を取り直した狩人が又極力音の鳴らない武器の中で技量を重視された武器、時計塔のマリアが用いた“落葉”を変形させずに構え、袈裟懸けに振り下ろした。ドパン!!という乾いた音と、ビシッ!と言う鋭く緑の液体が飛び散る音は奇しくも同時に響いた。電磁加速された弾丸は狩人が放った刃が似非アルラウネの肩口から脇腹に掛けてを切り裂き終ると同時に命中し、似非アルラウネの頭部を爆散させたと言った所である。そのまま頭部を失い、左肩から右脇腹を切り裂かれた上半身がずり落ち、それと同時に胴体と繋がっている右肩と神経が丸々切断された脚部をビクンと痙攣させながら地面に倒れ伏した。
「で、ユエ、無事か?違和感とか無いか?」
「ユエ嬢、大事無いか?頭上を綺麗に銃弾が掠めた様だが」
気軽な様子でユエの安否を確認するハジメと狩人。だが、ユエは未だに頭をさすりながらジトッとした目でハジメを睨む。
「……撃った」
「あ?そりゃあ撃って良いって言うから」
「……躊躇わなかった……」
「そりゃあ、最終的には撃つ気だったし。狙い撃つ自信はあったんだけどな、流石に問答無用で撃ったら故がヘソ曲げそうだし、今後のためにならんだろうと配慮したんだぞ?」
「……ちょっと頭皮、削れた……かも……」
「まぁ、それくらい直ぐ再生するだろ?問題無し」
「うぅ~……」
ユエは「確かにその通りなんだけど!」と言いたげな顔でハジメの腹部をぽかぽかと殴る。
そんな状況の中、狩人は一人
≪≪♢♢♢≫≫
ハジメが似非アルラウネを問答無用で
あの後、気を失うまで血を吸われたハジメ。その甲斐はあった様で何とかユエの機嫌を直す事に成功し、再び迷宮の攻略に勤しんでいた。
そして遂に、次の階層でハジメが
その一歩手前の階層で、ハジメは装備の確認と補充にあたっていた。一方で狩人も又、狩人の夢に戻り、消費した水銀弾やその他狩り道具の整備や補充しを行っていた。
長らく複数の狩り道具を代わる代わる使っていた為、整備すべき武器は多い。その中であっても未だに殆ど使われていない武器は勿論ある、その最たる例を挙げるとすれば、やはり月光だろう。月光に至っては正直な所、使いたいのは山々なのだが使い処が無いのである。やはり月光、真意に聖剣と言うのならばやはり開帳する場面は選びたい。
本来
そんな事を考えながら狩人が装備の補充、整備、確認を済ませ、二人の所へ戻った頃には、丁度二人も出発の準備は済んでいた。
因みに、現在のハジメのステータスはこうなっている。
──────────────────────────
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76
天職:錬成師
筋力:1980
体力:2090
耐性:2070
敏捷:2450
魔力:1780
魔耐:1780
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
──────────────────────────
となっている。
全ての準備を終えたハジメとユエ、狩人達は、階下へと続く階段へと向かった。
その階層は、無数の巨大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と樹の蔦が巻き付いた様な彫刻が施されている。柱の並びは規則正しく、一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはあるだろう。地面も荒れた所は無く平らで綺麗なものである。何処か荘厳さを感じさせる空間だった。
禁域の森やビルゲンワース、メンシスの悪夢、カインハーストにも彫刻が施されていた柱等はあったが、その何れもが冒涜的な模様だったのに対し、ここにある柱は芸術色が強く、美しい模様となっている。
狩人はその美しさに小さく「ほう……」と感嘆の声を上げた。そうして狩人達が
狩人達は、暫く警戒していたが特に何も起こらないので先へ進む事にした。感知系の技能を歩みを進める。
二百メートル程進んだ頃、前方に行き止まりを見付けた。否、行き止まりなどでは無く、其れは巨大な扉だった。全長十メートルはある巨大な両開きの扉で、此又美しい彫刻が施されている。特に、七角形の各頂点に描かれた何らかの模様が印象的である。
「……此は又凄いな。もしかして……」
「……反逆者の住処?」
「恐らくこの先がそうだろう。こう言う無駄に広い場所に余り良い思い出は無いが……」
如何にも大物が出る部屋と言った雰囲気。実際、感知系技能には反応が無くともハジメと狩人の本能が警鐘を鳴らしていた。この先は拙いと。それをユエも感じているのか、薄らと冷や汗を浮かべている。
「ハッ、だったら最高じゃねぇか。漸くゴールに辿り着いたって事だろ?」
「そうなるな。どうせ進まねば此所から出られんのだ、何があろうと、征くしか無いだろう」
狩人は本能に従って静かに口角を上げ、マスクの下で三日月の様な笑みを浮かべる。漸くこの大迷宮に於いて最も強い存在との戦闘になるのだ。高揚するなと言う方が無理と言うものだろう。
「……んっ!」
ユエも覚悟を決めた表情で扉を睨み付ける。
そして、三人揃って扉の前に行こうと最期の柱を越えた、その瞬間……
扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔方陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つ様にドクンドクンと音を響かせる。
ハジメと狩人は、その魔方陣に見覚えがあった。忘れ様も無い、あの日、ハジメが奈落へと落ちた日に見た、自分達を窮地に追い込んだトラップと同一の物だ。だが、ベヒモスの魔方陣が直径十メートル程度であったのに対し、眼前の魔方陣は3倍程の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密な物となっている。
「おいおい、何だこの大きさは?マジでラスボスかよ」
「ほお……此は又中々の物だ。相手にとって不足は無いだろう」
「……大丈夫……私達、負けない……」
ハジメが流石に引き攣った笑みを浮かべるが、狩人は普段の様子を崩す事無く魔方陣を見据え、ユエは決然とした表情を崩さずハジメの腕をギュッと摑んだ。ユエの言葉に「そうだな」と頷き、苦笑いを浮かべながらハジメも魔方陣を睨み付ける。魔方陣はより一層輝くと遂に弾ける様に光を放った。咄嗟に腕を翳し、目を潰されない様にするハジメとユエ、狩人は防止をより目深に被り、光を遮る。光が収まった時、其処に現れたのは……
体長三十メートル、それぞれ色違いの紋様が額に刻まれた六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い目の化け物。例えるならば神話の怪物──ヒュドラであった。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
不思議な音色の絶叫を上げながら六対の眼光が狩人達を貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようと言うのか、常人ならば其れだけで心臓が停止してしまうかも知れない凄絶な殺気がハジメ達に叩き付けられた。
「正に、深奥にて立ちはだかる者と言うに相応しい存在ではないか」
狩人はそう言って、静かに自らの獲物、“回転ノコギリ”を構えた。
はい、非常に遅くなりましたが、六話仕上がりました、最近忙しく書いてる時間を取れずちまちまとしか書けませんでしたが筆は折れては居ません。何時終わるかは分かりませんが次話も又読んで貰えると有難いです
狩人の能力値、99のカンストを越えさせる?
-
越えさせる
-
越えさせない
-
任せる