その日の夜はティガレックス希少種を倒したと言う事でお祭り騒ぎだった。
皆がアリスを褒め称える。
流石は筆頭テイマーだと。
それを良く思わないのはハンターだ。
討伐されたティガレックスの素材は全て村で回収されてしまい、危険を犯したにも関わらず成果は0。
それだけではなくこの祝宴にも呼ばれず仕方ないからと寝床を貸し与えられたのみ。
それに不満がたまっていた。
「隊長。なんで言うこと聞くんですか?
あんな野放しなモンスター危険ですよ。」
「やめとけ。あのアリスって女。モンスターのテイムだけじゃねぇよ。
恐らく武器の扱いも上手い。
それこそ、俺達ハンター並みにな。
そうなりゃ俺達に勝ち目はねぇさ。」
隊長と呼ばれた褐色肌のハンターがそう言って酒をあおる。
「キュイィィー」
バルファルクが咆哮をあげる。
「なんでしょうね?」
「さぁな。俺たちゃ関係ねぇことさ。」
ハンター達はそう言って静かにしていた。
「アリス!ハンターが来たらしい。」
「えぇ、知ってるわ。ティガレックスを怒らせたハンターでしょ?」
男と女の声が聞こえた。
女の方はアリスの様だ。
「ちげぇよ。ギルド公認のハンター、ギルドナイトだ。何でも
「龍歴院?確か、
アリスが言った。
龍歴院と言えばベルナ村を拠点とする調査隊だ。
バルファルクの生態調査をしていたなんて話も聞く。
「あぁ、ルークね。」
アリスは納得した様にそう言うと広場へ向かった。
「あなたが筆頭テイマー様ですか?」
そこにいたのはアリスと変わらない位の身長の少女だった。
茶髪ツインテールに翡翠色の瞳をしている幼い顔立ちの少女。
しかし、実力があるのは良くわかる。
彼女の装備は通常のギルドナイトの装備では無く、緑を基調とした染色の施された特別なギルドナイト装備であった。
白いブラウスに黄緑色のプリーツミニスカートで黄緑色のコートを着ており膝下までの茶色い編み上げブーツをはいている。
背中には弓を装備しており弓は蒼く輝いている。
弓を良く見るとそれはナナ・テスカトリの素材だとわかる。
つまり、この少女はナナ・テスカトリを討伐できる程のハンターであると言うことだ。
「シナツ村の筆頭テイマー、アリスです。」
アリスがそう言って手を差し出す。
「龍歴院所属ギルドナイトのエリシアです。」
エリシアがそう言って握手をする。
するとそこにのそりのそりとバルファルクがやってきた。
「私のテイムしてるバルファルクのルークだよ。
こう見えて大人しくて良い子だから。」
そう言ってアリスが頭を撫でてやるとバルファルクはその場に座って嬉しそうに頬擦りをした。
「こんなに懐くなんて驚きだよ。」
「そう?私のテイムしたモンスターは皆こんな感じだよ。」
アリスが言った。
「バルファルクは凶暴と言われていてね。
別名凶星と呼ばれているの。
紅い光は破滅の光。破壊の権化がやってくる・・・なんてね。」
エリシアが言う。
この島にはルーク以外のバルファルクはいない。
と言うか、ルークもこの島の出身ではない。
どこからともなくこの島に来たのだ。
だが、出会った頃からルークは大人しかった。
「ルークは野生の時からこうだよ?きっと、それが上手くいかなくて仲間とはぐれちゃったのかもね。」
私がルークの頭を撫でるとルークがくぅ~んと鳴く。
それだけでエリシアが驚くのを見る限り、やはりかなり珍しいのだろう。
「博士がいたら大変だったかも。」
エリシアが苦笑いする。
そこに、アイルーがやってきた。
「エリシア様、そろそろ本題に。
こちらも時間はあまり無いニャ。」
アイルーが言った。
「そうだね。」
エリシアがそう言ってアリス達の方を向く。
いつの間にか村の皆が集まっていた。
「改めて自己紹介を。
私は龍歴院所属のギルドナイト、エリシアと申します。そして、こちらは・・・」
「ハンターズギルドの公認使者、ニャーバントだニャ。今回の訪問はハンターズギルドより公式の使節団と言う事になるニャ。
突然の訪問となり申し訳無いとギルドマスターやり言付かっているニャ。」
アイルーがそう言ってペコリとお辞儀をした。
「話があるのは筆頭テイマーのアリスさんですが、この話は村の皆さんにも関係があると思い、皆さんにも聞いて頂きたくお集まり頂きました。」
エリシアが言った。
「ご丁寧にどうも。それで、ギルドのハンターさんがウチに何の用だい?」
おばば様はそう言って微笑む。
「えぇ、アリス様にお力をお貸し頂きたく、参上しました。」
エリシアはそう言うとギルドマスターから預かった文書を広げる。
「シナツ村筆頭テイマー、アリス殿。
突然のご訪問、お許しください。
この度はそうしなければならない理由が御座います。
シナツ村周辺では確認できて居ない様子ですが、現在本大陸では紅い瘴気に悩まされております。
この瘴気に触れたモンスターは凶暴化し、襲い掛かって来ます。
力も強くなっており、ハンターズギルドでも手を焼いている所存です。
ライダーに協力依頼をしたのですが、ライダーでも手を焼く事となりました。
瘴気に触れたモンスターはライダーでも使役出来ず、絆石の効果もかきけされて仕舞う始末。
そこで、筆頭テイマーであるアリス様にお力添えを頂きたいとこの度遣いを送りました。
詳しい話は遣いのニャーバントよりご説明させて頂きます。
ハンターズギルド本部ギルドマスタートウエイ。」
エリシアがそう文書を読むとそれが本物であると証明の為に文書をアリス達に見せる。
「紅い瘴気・・・」
「島じゃ聞かねぇな。」
「ここは本島から離れているからねぇ。届かないのかも知れないねぇ。」
おばば様がそう言ってニャーバントをチラリと見る。
「今回、アリス様には対紅い瘴気部隊である新部隊『ギルドハーツ』として各地を周り、紅い瘴気の謎を解明して頂きたいのです。
博士達も同行しますがアリス様は我々の知らないモンスターの生態もご存じと聞きますから。
その知識と、そして、その強さをお借りしたいのです。」
ニャーバントが言った。
「ふぅむ、その紅い瘴気は広がっているのかい?」
「各地で発生は確認されています。
範囲が拡大する事は今のところありませんが紅い瘴気の発生して居ない地域に次々と発生が確認されています。」
「そうかい。アリス、あんたが決めな。
村の事は考えずにあんたが行きたいかで決めるんだ。
なに、アリスが産まれる前からこの村はあるんだ。
アリスが居なくなって村が絶えるなんて無いから安心しな。
アリスの影に隠れちまってるだけでこの村のテイマーは皆優秀さね。」
おばば様がそう言ってアリスを見上げる。
「ありがとう、おばば様。
私、行くよ。もしかしたらこの島にも紅い瘴気が発生するかもしれない。
なら、その前に原因を突き止めたいから。」
「その意気だぜ!」
「この村は我々に任せてくれ。
だから、アリスに紅い瘴気を任せる!」
村のテイマー達がアリスを囲んで応援する。
「ありがとう。けど、ルークは置いていく。
これくらいはさせて?
私はヒメが居れば充分戦えるから。
それに、ルークとは心が繋がってるから。
遠く離れてもルークの飛行速度ならすぐ合流できる。
だから、必要な時はルークを呼ぶよ。」
アリスがそう言ってルークの頭を撫でる。
「わかった。ならばワシがルークの面倒を見ようじゃないか。
これでも元筆頭テイマーさ。バルファルク位扱えるよ。」
おばば様がそう言ってルークの頭を撫でる。
「うん、おばば様。お願いします。」
アリスはそう言って頭を下げると今度はエリシア達の方に向き直る。
「これからよろしく、アリスちゃん。」
「エリシアもギルドハーツ所属になるニャ。
勿論、ボクもニャ。」
こうしてアリスはエリシア、ニャーバントと共に島を出るのだった。
どうも、ヤシューです。
ついにストーリーズ2発売しましたね。
今回からこの後書で設定とか解説できたらと思います。
と言うことで今回はテイマーとそのテイマーのみが扱う特殊な装備についての解説です。
テイマーとは心と心を通わせ、何の道具も使わずモンスターをテイムし共に戦う人の事です。
ライダーと違い絆石や鞍を必要とせず、また卵からの孵化より野生のモンスターをテイムして使役するのがメインです。
自然と一体となり暮らすのがテイマーであり、巣から卵を持ち出しオトモンとするライダーとは違います。
テイマーの場合は毎日巣に足を運び、母親モンスターと共に孵化を手伝い、孵化したモンスターの力を借ります。
また、基本的に野生のモンスターに力を借りるだけであり、時により野生に返します。
また、テイマーはモンスターとの意志疎通を計る道具の1つとして風切り石と呼ばれる穴の空いた石を用います。
これは振り回すと風で音がなる特殊な石でこの石の音と指笛がメインとなります。
そして、この風切り石を装着した武器がテイマーズロッドです。
操蟲棍と似た武器で先端が薙刀になっており柄の先端に風切り石を嵌め込みます。
テイマーズロッド最大の特徴は操蟲棍の猟虫と同じ役割をテイムしたモンスターが担うと言う点です。
つまり、猟虫攻撃と同等の攻撃をモンスターが行う。
もちろん、猟虫より攻撃力も範囲も広く、モンスターの攻撃を主流とした武器です。
テイマーはこれとは別にサブウエポンとして4つの武器を持ちます。
アリスの場合は大剣、弓、双剣、狩猟笛です。
それぞれの武器には斬、突、打、弾の属性があり、武器の技毎に違う属性を持ちます。
大剣の溜め切りは斬、タックルは打と言った感じです。
次回はアリスについて解説していきます。