ーーそれは、いつかの物語。
誰かに語られたはずの、魔法の世界の話。
そこで出会った、狂戦士の話。
R『あっ、一回聞いたね。夢かもしれなくて、そうじゃないかもって話』
Yu「うん。そっちにもRoseliaがいた。で、そいつはRoseliaを護ってた」
ダメだ。姿は出てくる。
声も出てくるのに、名前だけ出てこない。
むず痒い。
そして、ふがいない。
忘れていいわけない名前だったはずだ。
なのに、何故?
R『夢だったら、おぼろげになるのも......』
Yu「だとしたら、尚更思い出したい。夢で終わらせたくない」
これは俺のわがままだ。
R『......そっか。じゃあ、探そっか』
Yu「......!いいの?」
R『うん。実は、私もあんまりよく覚えてないの。だから、一緒に探そう?』
Yu「......うん」
まず覚えているのは、この世界で初めてソードスキルを発動させた木の下。
この付近で倒れていた俺は、アインクラッドじゃないことに気付いてすごく焦った記憶がある。
Yu「......っ!!」
木の幹にソードスキルを打ち込む。
あの時と同じ順番で。
二本目の剣まで抜いて、撃てる技をすべて打った後、体に残る違和感に一種の安心感を覚えた。
今までの動きは再現しているだけ。
限りなく本物に近づけていたって、所詮は模倣。
それ以上は、行かない。
Yu「はぁっ......はぁっ......」
R『どう......?何か、思い出せた?』
Yu「いや......さっぱり。無駄に疲れただけだ......?」
この感じ。
俺が芝に倒れ、りんがそれを見下ろしてる図。
俺が
Yu「......よし、移動しよう。もうちょいで、何かつかめるから」
R『うん』
次にやってきたのは、闘技場。
どうやら今は、レアアイテムをかけてタイマンのデュエルを行ってるようだ。
飛び込み参加も可能と書いてある。
R『やりたいの?』
Yu「......なんか、見覚えがあってね。いい?」
R『ゆい君、今自分の状況、わかってる?』
Yu「......あ」
忘れてた。
この世界はSAOでもなければ、旧ALOでもない。
つまり、今の俺はレベル1。
いわば、雑魚キャラだ。
R『アーマーぐらいならあげるけど......本当にやるの?』
Yu「ありがとう。......行ってくる」
そう言って、闘技場に上がる。
「お、兄ちゃんやるかい?」
Yu「あぁ。よろしく」
「みたとこレベル低そうだからなぁ......どうだい、ハンデで俺は魔法しか使わねえ」
Yu「......わかった」
「おっしゃ。制限時間は1分。時間になった時にHPが多い方が勝ちだ。回復魔法とかもありだからな。さ、準備は良いか?」
Yu「あぁ。いつでも」
「じゃあ、行くぞ......!」
対よろ、と心の中で言い、剣を抜いて床を蹴る。
ハンデで魔法しか使わないのなら、距離を取るのは間違ってる。
なら、直線状に突っ走る!
と、相手の手がきらめく。
咄嗟に横回避を入れたおかげで助かったが、入れていなかったら今頃の俺の体は丸焦げだったろう。
「おう、よく避けたな。じゃあ、こいつはどうかなっ!?」
Yu「っ!?」
今度は足元が凍った。
1秒遅ければ俺の足は凍結されていた。
「ほぉ、兄ちゃん反射神経良いな。リアルでなんかやってんのか?」
Yu「あいにくと俺は、ゲームだけが生きがいなもんでな......っ!」
飛んでくる魔法を避けつつ、接近を試みるが、近づくと大範囲の炎攻撃が来る。
まるでボスの思考ルーチンだ。
幸い距離は短いので、ちょっとバックステップを入れれば目の前で消えるのだが、後ろに下がると今度は追尾式の闇攻撃が来る。
「お、残り10秒だな。俺のMPもそろそろ尽きちまいそうだ」
Yu「......っ!」
別に、この試合の勝敗に意味はない。
ただ、勝たなきゃいけない気がする。
元『選定の剣士と呼ばれる俺のちっぽけなプライドが、そうさせるんだ。』
また、なにか思い出した気がする。
......そうだ。
ーー別に避けなくたっていいじゃないか。
そう考えた俺は、まっすぐ突っ込む。
速度の関係上、間に合わないと踏んだ相手は、扇状の大範囲炎魔法を放つ。
さっきまでなら、ここで後ろに下がっていたが。
Yu「
剣を横に薙ぐ。
炎はそれだけで消え去り、俺の目の前は開けた。
Yu「はぁぁぁ!!!」
「っ!?」
再び、俺の目の前に炎魔法が展開される。
Yu「もう、効かねぇ!!」
魔法ごと、相手の腹を切り裂く。
残念ながら、深い傷とはならなかったが、俺が勝利するHPの減り方はした。
俺の方が、多く残ってる。
「兄ちゃん、やるな」
Yu「ありがとう。......これは」
「俺に勝った報酬だ。持ってけよ。使えるかどうかは、兄ちゃん次第だがな!がはは!!」
俺の肩を叩いて、上機嫌に去っていった。
アイテムボックスに送られていたアイテムは武器のようだった。
R『お疲れさま。すごかったね』
Yu「うん、疲れた......当分PvPは良いかなぁ...」
R『そういえば、何をもらったの?レアアイテムって?』
Yu「あぁ、見てみようか」
ストレージを展開し、「???」となっているアイテムを取り出そうとして、エラーが出る。
R『あ、この武器。ネクロマンサー専用みたいだね。ゆいくん、クラスチェンジしよっか』
Yu「あぁ......まぁ、レベル2だし、いっか」
一旦始まりの村に戻って、りんに言われた通りの手続きを教会で行うと、俺の姿はナイトから黒いローブを羽織ったいかにもという格好になった。
R『ふふっ。似合ってるね』
Yu「そうか?......なんだか悪趣味に見えるぞ......?」
R『それより、これでさっきのアイテムが見れるよ』
Yu「そっか、それじゃあ......」
ストレージを操作。
「???」をタップし、装備を選択。
俺の右手に、デカすぎる斧が現れた。
Yu「重っ......何だ、これ」
R『えっと......アイテム名、出てると思うよ』
装備欄を見る。
『ソウルミノタウロスの斧』
Yu「
???「え.........」
Yu「あっ......あぁ......!!」
R『どう、したの......?』
Yu「そうか、そうか......!これは......じゃあ、アイツは......!」
R『もしかして......』
デュエルが終わってから、初めて彼女の顔をまともに見た気がする。
Yu「全部、思い出した。この世界に来たことも。俺が忘れてたアイツの名前も」
正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?
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良かった
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伝わらない、だめだった