どうして、忘れていたんだろうか。
思えば、初めて「ここはどこ?」となっていたはずの話だったのに。
異世界のりんと会って、Roseliaに会って、ソイツに会った。
名を、「mako」と言った。
リアルネームは知らない。
いつか現実で会えたら、なんて言ったが、そもそも不可能だ。
俺とアイツじゃ、住む世界が違う。
いや、決して中二病的なあれじゃなく、物理的に。
俺には俺の世界があり、アイツにはアイツの世界がある。
この斧を握って、すべてを思い出した。
これは、俺があの時ぶっ壊した斧だ。
キリトの技を借りて、15連撃までを受けきったこの斧。
16連撃目は向こうのりんが身を挺して受けたっけ。
R『あ......私も、思い出してきたかも』
Yu「良かった。とりあえず、これはしまって......」
ネクロマンサーにクラスチェンジをしたばかりなので、まだレベルが足りていない。
さっきからずっと地味にHPが削られていたのはここだけの話だ。
R『......?』
Yu「ん、どうした?」
R『いや、なんか、声が......』
Yu「......怖いのだめだからな、心霊とか」
R『ううん、違う。もっとこう......』
そう言われたとき、何か嫌な予感がして、咄嗟にりんを抱えて横回避。
R『何!?』
Yu「なんかわかんねえけど......なんか、いる」
予想通り、俺のさっきまでいた場所には砂埃が立ち、中に影が見えている。
人型の影。
俺の予想通りなら、こいつは......
Yu「......よぉ」
???「......あぁ、お前もか」
そう呟く影は、だんだん影ではなくなっていく。
砂埃が止み、姿が明らかになる。
Yu「久しぶり、でいいのかな?」
???「あぁ、いいんじゃないか?もっとも、俺は今最高に苛立っているが」
Yu「何でだよ。剣と斧交えた仲だろ?」
???「どいつもこいつも、燐子先輩とイチャイチャしやがって......!」
R『え、私?』
Yu「いいじゃねえかよ。めでたくお前も付き合ったんだろ?」
そう言うと、そいつの顔は少しだけ柔らかくなった。
???「まぁ、そうだけど」
Yu「一緒に歌ったりもしたんだろ、しかも文化祭で。羨ましいなぁ」
???「だろ?......じゃ、なくてだな」
???「いつまで俺の名前秘密にしとくつもりだよ」
Yu「は?」
???「いや、こっちの話だ。わかってんだろ、今書いてるお前は」
そいつは空を指さしながらそう言う。
???「俺をここに呼んだのも。ユイトともう一回会わせたのも」
Yu「呼ばれた......てことは、今度はそっちから来てくれたのか」
???「あぁ。ちゃんと生み親に許可取ってな。ま、フリー素材って言われたのは堪えたけど」
Yu「そりゃ気の毒に。......んで、お前も斧持ってんなら、やることは一つ、だよな」
???「あぁ。武器は一緒。積み上げてきた戦闘経験もトントン。互角って言っていいんじゃないか?」
Yu「俺はレベル1だけどな。りん、下がってて」
R『うん......頑張って、二人とも』
そう言って、その場から去る。
???「やる気出てきた。俺のところじゃないけど」
Yu「俺もだ。......行くぜ、
あの時と同じように、互いの武器をぶつけあう。
俺は剣じゃないし、makoはちょっと動きが鈍いように感じる。
お互いがお互い、全力ではないのは、手ごたえで分かった。
mako「腕落ちたんじゃねえのか!?この前のあれはどうした!?」
Yu「二刀じゃねえし剣でもねえから動けねえんだよ!!」
しかもレベル1だし。
mako「3対1の時のあれはどうしたんだよ!!もっと強かっただろうが!!」
Yu「......言って、くれんじゃねえかっ!!!」
言い訳なんて見苦しい。
こいつがここに来たからと言って、接待する必要なんて絶対ない。
むしろ、ズタボロにして送り返してやるんだ。
Yu「うぉぉぉぉ!!」
mako「そう、来なくっちゃなぁ!!」
技なんて知らない。
ただがむしゃらに振り回すだけ。
ソードスキルみたいに補正はしてくれないけど、光るし音もなる。
ならば、技はできている。
あとは、当てるだけ。
ま、それがむずかしいんけど。
mako「見切れるなぁ!!当たらねえぞユイト!!」
Yu「......っおぉぉぉぉ!!」
向こうの斧をいなして、そのままの勢いで横腹にぶち当てる。
mako「ぐっ......いいねぇ、面白くなってきた!」
Yu「余裕綽々なのがむかつく......ぜってぇぼこぼこにしてやるかんな......っ!」
NFO内の日が沈む。
二人のネクロマンサーの斧が火花を散らす。
お互いの斧の耐久値はもう3桁を切っている。
そして、お互いのHPはもう2桁だ。
mako「なぁ!今日は、楽しかったよ」
Yu「何だいきなり!俺もだよ!でもせめて、お前をぶっ飛ばしたかったんだけどなぁ!!」
mako「同文!ならせめて、今出せる一番の技、ぶつけようぜ!」
Yu「......いいぜ、今、覚えたからな」
言いながら、距離を取る。
Yu「我が命を以て、現れよ」
自身を依り代にする召喚術。
makoが時折召喚するデッドウォーリアーズを倒しながら貯めた経験値が俺のレベルをそこまで引き上げた。
Yu「我が命 我が体 全てを捧げ 現れよ 現れよ 偉大なる王よ」
mako「黒き無念 黒き執念 黒き憎悪 抑えることなかれ 全てを開放し 彼の者に」
makoも詠唱を始めるが、俺の方が早く終わる。
故に、俺の方が有利だ。
Yu「《ソウルミノタウロス》 顕現せよ 我が体 かの王に」
mako「繝ッ繝ャ繝ッ繝ャ繝弱ぞ繝??繧ヲ繝イ」
一度だけ見た、アイツの骸骨。
それが出来上がる前に、俺は斧の元持ち主の体
Yu「異世界カラ来た戦士ヨ、立チ去レ!!!」
mako「ムクロノカミ〘セイサイ〙」
奴の骸骨の方が大きい。
けれど、力はこっちの方が上だ。
なぜなら、俺はフロアボスだから。
骸骨の右腕を受け止め、砕く。
けれど、一行動につき持ってかれる体力・魔力も相当だ。
だから、ここで決め切るしかない。
Yu「行くぞ
mako「ムクロノカミ......」
牛は飛び上がる。
骸骨はチャージを終える。
Yu「バーチカル・スマッシュ!!!」
mako「ムクロノカミ〘シンジツ〙!!!」
放たれたものは、確かに雄牛を捉えた。
けれど、止まらない。
そのまま、文字通り頭蓋骨を叩き割った。
Yu「はぁっ......はぁっ......」
mako「チッ......2連勝と行きたかったんだけどなぁ......」
俺のHPは2。
makoは0。
つまり、俺の勝ち。
けど、俺もmakoも限界。
Yu「今回は、俺のフィールドだったからな......」
mako「〘シンジツ〙突き破ってくるとか......脳筋かよ」
Yu「お前だけには言われたくなかった」
言いながらmakoを見ると、オレンジの光が漏れていた。
時間切れ、と言う奴だろう。
mako「あ、今回は俺なのか......」
Yu「そう何回もあるもんじゃないけどな、これ」
だんだんmakoの体が薄くなっていく。
その前に、聞いておかなければ。
Yu「なぁ!お前の名前、現実じゃなんて言うんだ!?」
mako「......神代、真言」
Yu「俺は蒼闇唯斗だ!......覚えたよ、真言!」
mako「絶対会うことはないだろうがな」
そう言い残して、消えた。
けれど確かに残っているものは。
R『......すごい、戦いだったね』
Yu「熱中しすぎた。ごめん」
R『ううん。......あれ?メッセージ来てるよ?』
Yu「ん?......っは。あいつめ......」
『makoが貴方のフレンド申請を■■しました』
とりあえずNFO編として、これにて終幕としましょう。
単独でNFOにする案がどうしても思い浮かばなかったもので、結果的に他人の子を借りる結末になってしまった。
申し訳ない。
そんな中、使用許可を出してくれた砂糖のカタマリさんには足向けて寝られません。
感謝の意を込めて、すでに完結した作品ではありますが、真言くんの出てくる話、
『監視対象と約束された日々』のURLを貼らせていただきます。
この作品よりも何倍もいい作品ですので、ぜひご覧ください。
では。
砂糖のカタマリ様→https://syosetu.org/user/336026/
『監視対象と約束された日々』→https://syosetu.org/novel/251752/
正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?
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良かった
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伝わらない、だめだった