ビーターの独白と言いつつ、ユイトが喋ってるのは...まあ、いろいろあります。
というわけで、今回はユイトくん視点でお届けします。
K「初めは、ほんとに支えるだけっていうつもりだったんだ。」
キリトが一時的に所属していたギルド、『月夜の黒猫団』は、五人組のギルドだった。
そのうち前衛を一人で受け持つメイス、盾使いのプレイヤーだけで、後は後衛にひっこんでいたそうだ。
その編成のまま、後退をしているパーティを見かねたキリトは、リーダー使いに声をかけ、一時的に前衛を二枚にしたそうだ。
でも、キリトは、自分がハイレベルプレイヤーであるがゆえに、後衛の4人、そして横にいたプレイヤーの視線を恐れた。
だから、使ったソードスキルを初歩的なものに縛り、時間をかけて倒したそうだ。
Yu「まあ、そうだよな...気持ちはわかるよ。」
一般的にハイレベル帯のプレイヤーが下の層まで来て狩場を荒らすのはマナー的によろしくない。
そのプレイヤーにも事情があるから一概には言えないだろうが、一般的にいい顔はされない。
Yu「ビーターであることがばれるの、怖かったんだよな。」
K「...あぁ、その通りだ。」
助けたプレイヤーに礼を言われないことはしょっちゅうあったりするが、嫌な顔をされるのはほんとに心に来る。しかも自分が悪い立場にいるというならなおさらだ。
K「そのあとだな、俺がこのパーティを助けたいって思ったのは。」
モブ群を倒した後、前線ではボス戦以外では考えられないほどの歓声を上げたという。
それに圧倒されつつ握手を返したキリトは、紅一点の黒髪プレイヤーを見て、他プレイヤーより強くてよかったと、初めて思ったそうだ。
助太刀に入ったキリトは、「残りのポーション量が心もとない」という嘘を、そのパーティのリーダー...ケイタはその嘘を疑うことなく飲み、ダンジョン出口まで同行した。
K「今思えば、あそこで明かしておけばよかったかなぁ...」
キリトの表情には薄い笑みが、しかし言葉には悲しみが含まれていた。
...話を戻そう。
ダンジョンを抜けた一行は、酒場で一杯やりましょうという言葉で、そのまま酒場に直行した。
自己紹介を終えると、ケイタはキリトのレベルを聞いたという。
Yu「ま、当然だな。いくつって言った?」
K「えっと...40ぐらいだったかな」
その時の俺のレベルは59だった、そのペースでレベルが上がっているなら、キリトは俺と同じだったか60ほどだったと予想できる。
その時の黒猫団の平均レベルは37ほど、少し高いだけというなら不信感は残らない。
本当のレベルの20も下を言うのは自分に靄が残る。とても気持ち悪い。
ともかく、レベルを聞いて驚いたケイタはキリトをギルドに勧誘したそうだ。
その理由はいろいろ、まずはキリトのレベルと卓越した技術。
前衛を増やすためのコーチ役。
それらを諸々キリトは了承し、キリトは「月夜の黒猫団」に所属した。
Yu「...なんか、俺らより楽しんでそうだったな、SAOを。」
K「あぁ。俺はあの雰囲気が、心地よかったんだ。」
キリトを加えた黒猫団は、一週間後には急速な成長を遂げ、狩りをするフロアを一層上げたそうだ。
キリトのスキルに、『
戦闘時に負っているダメージを一定間隔で回復するスキルだ。
もしそれを付けたままにしていたなら...
K「つけてたよ。でも、俺がコートが特別製なんだって言ったから...」
Yu「...信頼されてたんだな。」
良くも悪くも人を疑うことも知らない人たちだなと、他人事かつ当事者じゃないから、今なら言える。
そんなあるとき、ケイタはいつかは攻略組に入りたいという夢を語った。
攻略組に必要なものをキリトに聞き、その質問をした当事者は意志力が大事だといったそうな。
曰く、仲間を守り、全プレイヤーを守る意志の強さ。それが結果的に危険なボス戦に勝ち続けていられる理由だと、彼は語ったそうだ。
Yu「まあでも、実際は...」
K「俺らもそうなんだけどな...」
攻略組がボス戦に勝ち続け、常に最前線にいる理由は、今存命しているプレイヤーの中で、最強の剣士でありたいという自己顕示欲だけだった。
攻略組を増やすんだったら、彼らが持っている情報を、中層プレイヤーに提供してやればいい。
それをしないのは、攻略組(俺らも含めて)が常に最強でいることにこだわるからだ。
黒猫団はキリトを加えたことにより、中層プレイヤーの
コルもたまり、ギルドホームを買うことも視野に入っていた。
ただ、長槍使いのサチを盾持ち剣士に転向させることだけは、うまくいかなかったという。
そんな時、サチが姿を消した。
ギルドメンバーならマップで姿を追えるが、マップ上に点がなかったという。
ギルドメンバーは迷宮区を探しに行ったが、キリトは一人『追跡』を使用し、サチの居場所を特定した。
Yu「ストーカーと同じだぞ、それ。」
K「俺もそう思うよ。けど...あれ以外に方法がなかったんだ。」
サチはキリトに言ったそうだ。
「なぜゲームから出れないのか、この世界を作った萱場という人間は何をしたいのか、そもそも、こんなことに何の意味があるのか。」
キリトはこう答えたそうだ。
「意味なんてない。誰も得なんてしない。この世界ができた時、大事なものは全部消えた。」と。
実際は嘘である。
得をしている人間なんて全然いる。それこそ、攻略組がいい例だ。
それでもキリトは、「君は死なない、黒猫団は十分に強い、だから死なない。」と、確証を持てないことを言ったそうだ。
Yu「安心させるんだったら、もっと違う言い方があっただろ。」
K「不器用なんだよ、俺はいつも。」
それから宿に戻ったキリトたちは、サチの剣士転向を急ぐ必要がないことを説明したそうだ。
前衛は俺一人でやるから、問題はないと、そういったらしい。
その代償というわけではないが、サチがキリトのベッドに潜り込んで、一緒に寝るようになったという。
K「毎晩、「君は死なない」って...」
Yu「今考えたらそれ、洗脳じみたことしてるぞ。」
今はこうして話していられるが、壊滅した当時のキリトだったら、きっと俺を切り殺していただろう。
そのくらいの話の重さなのだから、話せていることは、本当に奇跡だ。
K「でも結局...」
Yu「なんとくなく察するが、最後まで聞くよ。」
その日、リーダーのケイタが、ギルドホームを売り出している不動産仲介プレイヤーのところに出かけていた。
メンバーの一人が、「ケイタが帰ってくる前に金を集めて、家具をそろえておこうぜ」といったらしい。
そこで黒猫団が選んだのは、当時の最前線から、三層下の迷宮区だった。
順調に歩を進めていた黒猫団だが、道中で宝箱部屋を見つけた。
K「止めたんだ、やばそうだからって...」
Yu「そこの層から、トラップのレベル上がるからな。」
キリトの予想を裏切らず、その部屋はトラップ部屋だった。
しかも、その部屋は結晶無効空間、つまりは、転移結晶が使えないという絶望的状況だったらしい。
最初に、宝箱を目を付け、開けたシーフビルドのプレイヤーが死んだ。
次に、メイサーのテツオがやられた。
その次は、ランサーのプレイヤーが。
ここまで来たキリトは、今まで使ってこなかったソードスキルを連発し、モンスターを切り伏せた。
しかし、ポップする数が異常だった。
これじゃあ宝箱を壊せない...と考え、前を見た瞬間、サチがモンスターに波に呑まれるところを見た。
サチはHPを0にする瞬間、キリトに向かって右手を伸ばし、口を開いた。
しかし、口が言葉を発する前に、サチのHPは尽きた。
K「守れなかった...」
慰める言葉を俺は持ち合わせてない。
目の前で死んだ人間を見た人間に、声をかける術を俺は持たない。
キリトは、その部屋を脱出し、ケイタに報告をしに行くまで、全く記憶がないという。
ケイタにあらゆる物事を報告すると、「ビーターのお前が、僕たちにかかわる資格なんてなかったんだ。」と一言言って、アインクラッドの外周から飛び降りたという。
Yu「ここまで聞いてあれだけど、蘇生アイテムを求めた理由は?」
K「サチが...最後に言いかけた言葉を聞くために...」
そして、あのクリスマスイヴの夜につながる。
あの後のキリトと言えば、どうやって戻ったか自分の宿にいた。
その時の思考と言えば、起きたらこの層のフロアボスと戦い、勝てたなら次の層のボスに、それも勝てたなら足を止めずに次の層のボスに。
ということを考えていた。
そんな時、キリトのウィンドウに録音結晶が届いた。
差出人はサチ、時間指定でウィンドウに届いたものだった。
K「これが...その時に届いた結晶だよ」
そこに記録されていたのは、これを残そうと思った経緯、キリトの本当のレベルを知っていること。
生きてほしいという意思を残した彼女は、最後に『赤鼻のトナカイ』を歌った。
優しい声だった。
当事者じゃない俺でさえ、目頭が熱くなってしまう。
最後に、「ありがとう、さよなら。」という言葉で、その結晶は再生をやめた。
Yu「優しい人、だったんだな。」
K「あぁ...俺にとって、大事な人だ。」
きっと今のキリトがあるのは、サチというプレイヤーがいたからであろう。
彼女は、キリトの心の中で生き続ける。
それはきっと、永遠に。
あとがき、読了感謝です。
プロットだと11話ってことにしてたんですけど、10.5ていうことにしました。
これが話の内の一話だと気持ちがよくないので、回想みたいな形でまとめさせていただきました。
というわけで、次はテイマーの話だと思います。
最近青薔薇の出番がないですが...私の文才不足で、ほんとごめんなさい。
次は出します。
もしかしたらバンドリキャラが出てくることをいいことに、NFO回も書いちゃったりするかも知れません。
...はい。
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正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?
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良かった
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伝わらない、だめだった