ロゼリアート・オンライン   作:ユイトアクエリア

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消えてたので再投稿!
物語自体は変わってないはずなので。
では、どうぞ。


13話 《思い出の丘》攻略、そしてイレギュラー。

システムによって設定された優しめの音色が、俺の意識をゆっくりを引き上げる。

 

 

 

少々乱暴なタップでアラームを止め、そのまま上体を起こす。

 

表示されたウィンドウを寝ぼけ眼で確認する。

 

 

 

Yu「6時半...ちょっと早すぎたか...」

 

 

 

ルームメイトはまだ寝ている。

 

まあ、寝てる場所が場所だが。

 

一層から大体一緒にいるパートナーはベッドに上半身を寝かせ、そのベッドには昨日パーティを組んだばっかりの小柄な女の子が寝ている。

 

 

 

昨日の夜時点では付いてなかったアイコンが付いている。

 

 

 

Yu「誰からだっと...またか...」

 

 

 

メッセージの相手はりんりんさん。

 

 

 

Yu「『リサさんとサヨさんから47層のフィールドに出ると聞きました。そこらへんはPKが出没するらしいので、気を付けてください。』...か。『了解』っと...」

 

 

 

PKの狙いは大体アイテム狙い。

 

まあそのほかにも殺しがしたくてPKやってるイカレてる野郎もいるけど、それはまあいい。

 

と、考えていると、ベッドのほうから音がした。

 

そっちを見ると、シリカが起床したところだった。

 

 

 

Yu「おはよう、シリカ」

 

Si「ふぇっ!?...あ、そっか...昨日...お、おはようございます、ユイトさん。」

 

 

 

シリカを俺を見て顔色を目まぐるしく変えた後、消え入るような声であいさつをした。

 

昨日の状況の理解が早くて助かる。

 

ほどなくして、キリトも起きた。

 

 

 

Yu「おはよ、キリト」

 

Si「おはようございます、キリトさん」

 

K「おはよう。ユイト、シリカ」

 

 

 


 

 

 

朝飯をしっかりと食べた後、表の通りに出て、道具屋に寄ってポーションを買っておく。

 

転移門に着いた時、シリカが言った。

 

 

 

 

 

Si「あ、あたし、47層の街の名前、知らないや...」

 

K「いいよ、俺が指定するから」

 

 

 

と言って、キリトがシリカの手を取る。

 

 

 

K「...ほら、ユイトも」

 

Yu「え?...あぁ、そっか」

 

 

 

グループで転移するときは体の一部を触れさせてないとできないんだった。

 

さすがに手を取るのは妙に恥ずかしいので、キリトの肩に手を置く。

 

 

 

K「転移!フローリア!」

 

 

 

キリトが叫んで、青い光が目の前に広がり、その光が収まったときには、一面花でいっぱいになっていた。

 

 

 

Yu「うわ、何度来ても慣れねえな、ここ」

 

 

 

47層は通称《フラワーガーデン》と呼ばれている層で、街だけではなくフロア全体が花で満ちている層だ。

 

デートスポットとしても使われるらしいが、まあ、それはいつかの楽しみに取っておくとしよう。

 

男2女1で来るところでは、絶対になかった。

 

 

 

Yu「装備がガチすぎると、俺ら浮くな、これ」

 

K「そうだな...シリカは楽しんでるみたいだけど」

 

Yu「女の子なら花好きだろ。まあ、周りを見てどうリアクションするかだけどな」

 

 

 

ふとシリカが立ちあがって、周りを見渡した。

 

するとシリカは、なぜか早口で、

 

 

Si「さ、さあ、早くフィールドに行きましょう!」

 

 

 

とまくしたて、キリトを急かす。

 

 

 

K「わ、わかった」

 

Yu「これは気づいたかなぁ...」

 

 

 


 

 

フィールドに向かう最中で、ふとシリカが口を開いた。

 

 

 

Si「あの、キリトさん。妹さんのこと、聞いてもいいですか...?」

 

K「急にどうしたんだ?」

 

Si「妹さんにいてるって言ってたから、気になって...」

 

 

 

Yu「キリトの妹、気になるな」

 

 

 

通常、この世界で現実の話はしない方がいい。

 

現実があると少しでも思えば、この世界で死んだところで元の世界に戻れると考えてしまうからだ。

 

しかし、この世界での死は現実での死、つまりはほとんど現実と相違ない。

 

そう考えながら、キリトが話すのを待った。

 

やがて、小さく口を開いた。

 

 

 

曰く、本当は従妹であること。

 

そのせいでキリトから距離を開けていたという。

 

キリトとその妹は、祖父の教えで剣道をやっていたが、キリトはやめてしまった。

 

妹がキリトの分まで頑張ると、キリトの祖父を説得したそうな。

 

 

 

Yu「いい子だな、妹さん」

 

K「あぁ。だから、なんだけどな。ずっとあいつに引け目を感じてた。あいつにも、やりたいことがあったんじゃないかって。勝手にやめた俺を恨んでるんじゃないかって。そう考えたら余計に避けちゃってさ...仲直りなんてこともせずに、ここに来てしまった」

 

キリトは言葉を止めると、シリカの顔を見た。

 

 

 

K「だから、君を助けたのは、俺の自己満足で...妹への罪滅ぼしをしてる気になってるのかもしれない。ごめん」

 

Si「いえ、私のほうこそ...色々聞いちゃってごめんなさい。でも、妹さん、好きだから剣道続けてると思います。キリトさんのこと、恨んでないと思いますよ」

 

K「なんか、慰められてばっかりだな...ありがとう、シリカ」

 

 

 


 

 

 

いつの間にか、フィールドの入り口まで来ていた。

 

 

 

Yu「さて、こっから攻略開始なわけだけど...」

 

 

 

俺は言葉を切って、小さめのポーチを実体化させ、シリカに渡した。

 

 

 

Si「ユイトさん、これは...?」

 

Yu「救急ポーチ。ポーションとか結晶の類とか入ってる」

 

Si「え、えっと...そんなの受け取れ...」

 

シリカの言葉をさえぎって、俺はポーチごとシリカの手を握った。

 

 

 

Yu「俺は仲間に死なれたくない。その装備と君のレベルだとしても危険がないわけじゃない。だからだ」

 

Si「は、はい...」

 

Yu「キリトか俺が、今すぐ離脱しろって言ったら、その中にある転移結晶で、どこでもいいから逃げてくれ。俺らのことは気にしなくていい。間違っても、戻ってこようなんて考えないでくれ」

 

Si「わ、かりました...」

 

 

 

とりあえず念は押した。

 

後は俺らがバックアップすればいいだけだ。

 

許してほしい、こんな言い方になったことを。

 

 

 

K「それじゃあ行くか」

 

Si「はい!」

 

 

 

...と、元気よく挨拶して走り出した彼女だったが...

 

 

 

Si「ぎゃああああ!!!なにこれええええ!」

 

Yu「...どうしてこうなった...」

 

 

 

シリカは今、植物型モンスターに足を取られている。

 

しかも、逆さ吊りで。

 

 

 

Si「キ、キリトさん助けて!!ユイトさんも!!」

 

K,Yu「いや、ちょっと無理かなぁ...」

 

 

 

いや、絶対に助けに行った方がいいのだ。

 

しかし、そうできない理由がある。

 

俺はさっき、シリカは逆さ吊りされているといった。

 

そしてシリカの装備はスカート。

 

...あとはわかるね?

 

 

 

Si「いい加減に...しろっ!!」

 

 

 

ポリゴンの破壊音が聞こえた後、シリカの着地音が聞こえ、俺たちはようやく目元から手を外した。

 

 

 

Si「...見ました...?」

 

K,Yu「いや、見てない」

 

 

 

といった具合の戦闘を何度もこなしていく。

 

基本的には俺たちは手を出さず、シリカにダメージディーラーを任せる。

 

そうすればシリカの経験値が多くもらえる。

 

実際、この戦闘中にレベルが一つ上がったようだった。

 

まあでも、楽じゃなかったよ。

 

途中にいたイソギンチャクみたいなぬるぬるしてたやつは俺でも少しきつかった。

 

 

 

モンスター群を抜け、ふと目の前が開けた。

 

道が一本、その先には小高い丘。

 

 

 

K「あれが《思い出の丘》だよ」

 

Yu「一本道だから迷いはしないだろうけど、モンスター量きっついからな。気を付けていこうぜ」

 

Si「はい!」

 

 

 

一本道に足を踏み入れた瞬間、わんさか敵が湧いてくる。

 

シリカの短刀が思いのほか威力が高く、俺らが手伝うまでもなく最初のモンスター群が消える。

 

ただもちろん何回も現れるモンスター群は対処できそうもないので、俺らも参加する。

 

そして、何回かの戦闘を終え、丘の頂上にたどり着く。

 

 

 

Si「ここに...その花が...?」

 

K「あぁ。真ん中あたりに岩があって、そのてっぺんに...」

 

 

 

キリトの説明を聞かず、シリカは駆け出していく。

 

しかし、岩を覗いていたシリカがこちらを振り返って叫ぶ。

 

 

 

Si「ない...ないよ、キリトさん!!」

 

K「そんなことは...いや、見てごらん」

 

 

 

キリトがもう一度見るように促すと、芽が一つ、生えていた。

 

その目はどんどんと成長していき、鈴の音を一つ鳴らして、花を咲かせた。

 

 

 

Yu「おぉ...」

 

Si「キリトさん、これ...」

 

 

 

シリカの問いかけにやさしくうなずくキリト。

 

シリカは花に手を伸ばし、優しく摘み取る。

 

 

 

Yu「これでシリカのペットは生き返るのか?」

 

Yk「ところで、これどうやって入力するのかしら?」

 

K「あぁ。花にたまった雫を《心》アイテムに振りかければ生き返る。でもここは強いモンスターが多いから、街に戻ってからにしよう」

 

Si「はい...ようやく、ピナ...」

 

 

 

丘を降りて橋を渡ろうとした時、ふと嫌な予感がして、足を止める。

 

キリトも同じものを感じたのか、林のほうに向けて鋭い目線を向けている。

 

 

 

Si「あ、あの...二人とも...?」

 

K「そこにいるやつら、出て来いよ」

 

 

 

とキリトが言うと、赤髪の女プレイヤーが姿を現した。

 

それは昨日、シリカをいびっていたプレイヤーだった。

 

 

 

Si「ロ、ロザリアさん...!どうして...?」

 

ロザリア「アタシのハイディングを見破るなんて、高い索敵スキル持ちね。侮ってたかしら?」

 

Yu「そんなんじゃ誰でも気づく。もうちょっと鍛えなおした方がいいぜ、アンタ」

 

 

 

ロザリアは俺の言葉に少し嫌な顔をすると、シリカに目線を向けて笑顔でこう言った。

 

 

 

ロザリア「その様子だと、首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでと、シリカちゃん」

 

 

 

そして、同じ調子でこう続けた。

 

 

 

ロザリア「じゃ、さっそくそれを渡してちょうだい」

 

 

 

すると、キリトが口を開いた。

 

 

 

K「そうはいかないな、ロザリアさん...いや、犯罪者(オレンジ)ギルド、《タイタンズハンド》のリーダーさん、と呼んだ方がいいかな?」

 

Yu「...リーダーがグリーン...そういうことか...」

 

 

 

犯罪者(オレンジ)、というのはその名の通りの総称。

 

普段はグリーンで、人に対して何かしら害のある行動を起こしたときにオレンジに変化する。

 

 

 

Si「ロザリアさんはグリーンで...」

 

Yu「オレンジギルドって言われてはいるけど、全員が全員オレンジだったら行動しにくいんだ。一人二人グリーンがいた方が、都合が良かったりするんだよ」

 

Si「そんな...じゃあ、二週間一緒のギルドにいたのは...」

 

ロザリア「そうよォ?おいしくなるのを待ってたのに...一番楽しみだったアンタが抜けちゃうんだもの。でも聞いてたら蘇生アイテム取りに行くっていうじゃない?今が旬なのよ、《プネウマの花》」

 

 

 

ロザリアは言い終えるとキリトと俺を交互に見つめ、わざとらしく肩をすくめた。

 

 

 

ロザリア「それが分かっててその子に付き合ったなんて、バカなの?それともほんとに体で誑し込まれちゃった?」

 

Yu「悪いが、キリトはそういうやつじゃない。こっちもアンタが目的だった。」

 

ロザリア「どういうことかしら?」

 

 

 

ぶっちゃけ、これは丘に登るときの、シリカが離れたタイミングで初めて聞いた。

 

レアアイテムを狙うオレンジギルドがいて、そいつが今度はシリカ、及び花を狙っている、と。

 

 

 

K「十日前、アンタのギルドは38層で《シルバーフラグス》ってギルドを襲ったな」

 

ロザリア「あぁ、貧乏だったわね」

 

K「そのギルドのリーダーは、泣きながら最前線の転移門前で仇討ちをしてくれる人を探してた。殺せ、じゃなくて黒鉄宮の牢獄に入れてくれって。あんたに、その人の気持ちがわかるか?」

 

 

 

キリトの言葉に、ロザリアは鼻を鳴らしてこう言った。

 

 

 

ロザリア「わかんないわよ。ここで人を殺そうが、どうもならないでしょ?現実でも罪にならないし。これはゲームなのよ?マジになっちゃって、バカみたい。で、まんまとエサにつられたのは認めるわよ。けど、あんたたちたった三人で、勝てると思ってんの?」

 

 

 

ロザリアは右腕を掲げて指を鳴らす。

 

すると木の影から10人ほどのプレイヤーが飛び出してきた。

 

 

 

Si「人数が多すぎますよ...脱出しないと...」

 

Yu「キリトは強いからな。俺もそこそこ強い自信はあるから、結晶だけ用意してそこで見てな」

 

 

 

俺とキリトはシリカの前に立ち、そのまま前に進む。

 

 

 

Si「キリトさん...ユイトさん...!!」

 

 

 

すると、オレンジのプレイヤーたちがシリカの言葉を聞いて顔色を変えた。

 

 

 

「キリトに、ユイト...?」

 

「どっちも盾なし片手剣...?」

 

「《黒の剣士》に...《選定の剣士》...?」

 

「や、やべえ...ロザリアさん...こいつらビーターの攻略組だ...!」

 

ロザリア「攻略組がこんなところにいるわけないじゃない!それに二人ぐらい余裕よ!!」

 

「そ、そうだ!!攻略組なら金とかアイテムとかたくさん持ってるに決まってる!!」

 

 

 

ロザリアの圧に押され、オレンジプレイヤーが次々に俺たちに切りかかる。

 

一応剣は抜いてはいるが、斬るつもりもない。

 

隣に立っているパートナーは剣すら抜いてない。

 

そして、俺たちの現状と言うと、同時に9発ほどの攻撃を食らっている。

 

 

 

Si「いやあああ!!やめて...やめてっ...!!二人とも、死んじゃうよぉ...!!」

 

 

 

後ろでシリカの絶叫が聞こえる。

 

しかし、心配する要素はどこにもない。

 

 

 

「おい、こいつらどうなってんだ...?」

 

「こんだけ攻撃してんのに...なんで死なねえんだ...!?」

 

 

 

やがてプレイヤーたちの攻撃が止む。

 

 

 

K「10秒当たり400ってとこかな...それが9人で与えられる俺たちへのダメージ総量だ」

 

Yu「俺のレベルは77、HPが13800、戦闘時回復(バトルヒーリング)(偽)で500回復するから...」

 

K「俺のこともユイトのことも、何時間やったって倒せないよ」

 

 

 

バトルヒーリングスキルは本来、戦闘中に致死量ダメージを食らい続けなければならないスキルで、あげるのは相当に難しい。

 

しかし俺の(偽)は、剣さえ抜いていれば自動的につくスキルだ。

 

これこそ本当に、「俺じゃなくて武器が強いんだよ」状態だ。

 

 

 

Yu「なんか申し訳ねえな。レベルが上がるだけでこんなに差が付いちゃうんだから」

 

 

 

俺がそうつぶやくと、ロザリアは腰からクリスタルを掴んだ。

 

 

 

Yu「転移はさせねえぞっ...!」

 

 

 

距離を詰めてクリスタルを叩き落とす。

 

そのまま首根っこを掴んでオレンジ集団の真ん中に放る。

 

 

 

「どうするつもりだ!畜生!!」

 

 

 

オレンジの一人が叫ぶと、キリトが転移結晶より色の濃い結晶を掴みだした。

 

 

 

K「これは、依頼主が財産をはたいて買った回廊結晶だ。黒鉄宮が出口になっている。これで全員牢獄に飛んでもらうから、後は《軍》のやつらに面倒を見てもらえ」

 

Yu「あぁ言っとくけど、拒否権はないぞ。全員麻痺毒でしびれさせてから放り込むから」

 

 

 

...こう言えって言われたんだ。決してイキってるわけじゃない。

 

 

 

K「コリドー・オープン!」

 

 

 

結晶が砕け、そこに空間が出現する。

 

その空間にオレンジの9人が入っていき、盗聴役のグリーンプレイヤーも入った。

 

その場にはロザリア一人が残された。

 

 

 

ロザリア「しびれさせるんだろ?やってみなよ。そしたら、アンタもオレンジに...」

 

 

 

挑戦的な態度のその女に、俺は今までの怒りが爆発した。

 

 

 

Yu「うるせえな。別に俺はオレンジでも構わねえ。とっととコリドーに入れ」

 

 

 

女をコリドーに投げ入れる。

 

その時に何か言おうとしていたようだが、知ったことではない。

 

 

 

K「...ちょっと乱暴なんじゃなかったか?」

 

Yu「わりぃ、キレてて周り見えてなかった」

 

 

 

少し反省し、シリカのもとに戻る。

 

 

 

K「ごめんな、シリカ。君を囮みたいにしてしまって。俺たちのこと、言おうと思ったんだけど怖がられると思って、言えなかった」

 

Yu「生き返らせてやろう、街まで帰ろうぜ」

 

Si「あ、足が...動かないんです...」

 

 

 

どうやらびっくりして腰が抜けたようだ。

 

俺はシリカをおぶって、街に戻った。

 

...さて、攻略組の猛者たちにはこの無断休暇をなんて説明しようか..

 

まあ、なんて言おうが、怒られることには変わらないと思うが。




後書きです。

バックアップはマジ偉大。
無かったら萎えてたわ。

正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?

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