さて、待っている人は待っているであろう、殺害未遂事件です。
例によってユイトがなぜか参加するご都合主義展開ですが、どうかお気になさらず。(というか、それをしとかないと一生ユイトがヒロインとくっつきません、ごめんなさい)
それでは、どうぞ
Yu「あっはは!なんだそれ!」
K「隊服なんだからしょうがないだろ...アスナ、これホントに一番地味なやつなのか...?」
Yu「それで一番地味なやつなの!?」
As「これでも十分地味よ!うん、似合ってる!」
ここは50層アルゲード、エギルさんの店の二階。
そこで俺が大爆笑した理由は、キリトが真っ白だったからだ。
キリトと言えば《黒の剣士》。
それが真っ白になったら...
Yu「ひぃっ...ダメだ腹いてぇ...!」
K「...お前もKoBに入れてやろうか」
Yu「あ、俺はRoselia所属なんで。浮気はしない主義ですので。つかヒラのお前にそんな権限ないだろ」
K「うるせぇ、ビーターのくせに」
Yu「お前それブーメラン。...まあいいんじゃねえの。ソロだと限界来るとこだろ」
K「まぁ、いい機会だったな...目的は、達してるし」
Yu「惚気るな」
ここのところのキリトはすぐアスナとの話をしたがる。
まあ1層からの相棒だから、他人と仲良くしてるのは良い。
それが女ならなおさら良い。
でも。
Yu「(ここまで惚気といて互いの気持ちに気付かないなんてことあるのか...)」
アスナもキリトも、互いを見るときの目線が少しばかり熱い。
なんでこれで気づかないのかびっくりだ。
Yu「(ま、しばらくは進展ないだろうなぁ...)」
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KoBの少数メンバーにキリトを加えたパーティで55層の迷宮区を突破するという実践訓練を行うらしい。
Yu「え?俺も出んのそれ?」
As「ごめんねユイト君。巻き込んじゃって」
そしてなぜかそれに俺も参加することになった。
なんでだ。
Yu「...というわけだ」
S「なぜか、と言われれば理由は大体見当が付きます」
L「まぁ...そうだよねえ」
Yu「え、わかるもんなの?」
A「ユイトさんのでっかい光の剣が原因だと思います!」
R「ユニークスキル使いの、実力を知らないと、統率が崩壊する可能性が...あるからでは...?」
俺の力を知ることで75層のボス戦に挑もうという訳か。
Yu「まぁ、そういうことならいいか。じゃ、行ってくる。」
R「あ、あの...!き、気を付けて...」
Yu「...あぁ、わかってる」
Yu「(りんのやつ、なんで顔赤かったんだ)」
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Yu「...で、このメンバーなのは良いけど。こいつ反省してんの?」
俺が目線を向けたのはクラディールというプレイヤー。
74層ボス戦前に、キリトと一発やり合ったらしい。
まあその理由が、護衛という言葉に隠れてアスナのストーキングしてたからなんだが。
アスナを連れてこうとしたキリトに、キレてデュエルを申し込んだわけだ、負けたらしいけど。
ゴトフリー「君たちの事情は十分承知している。が、これからは同じギルドとして過去のことは水に流してはどうかな?」
ガッハッハと豪快に笑うプレイヤーはさておき、問題はキリトとクラディールの雰囲気だ。
何をするかわからないと考えていると。
クラディール「先日は...ご迷惑をおかけしまして...二度と無礼な真似はしませんので...許していただきたい...」
K「あ、あぁ...」
Yu「えぇ...?」
キリトから聞いていた性格と180度違う態度で俺もキリトも口を開けたまま気の抜けた返事しかできなかった。
ゴトフリー「よしよし、これで一件落着だな!」
とりあえず仲直りが終わったようなので、早速迷宮区に向かおうとすると、野太い声に止められる。
ゴトフリー「待て。今日の訓練は実戦に近い形式として、結晶の類は預からせてもらう」
K「転移結晶もか?」
ゴトフリー「うむ」
Yu「うわぁ...マジか」
転移結晶、というより結晶の類は今の現状じゃ生命線だ。
そう簡単に渡すわけにはいかないが...
Yu「(クラディールも他のやつらも渡してるのか...仕方ないか)はい、終わったら返してくれるんだよな?」
ゴトフリー「もちろんだ。...念のため、ポーチの中身も見せてもらおう」
Yu「ポーションは許してくれよ」
全員の確認終わったようで、「では、出発!」との声が上がる。
Yu「走っちゃいけないのか?」
K「あの図体見ればわかるだろ?」
Yu「OK、察した」
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途中のモンスター群は、キリトが一刀で切り捨てたので、俺らの出番は微塵もなかった。
しばらく歩くと、灰色の建物が見えてくる。
55層迷宮区のお出ましだ。
ゴトフリー「よし、ここで一時休憩!」
Yu「キリトはともかく...いいや、どうせ聞かねえだろうし」
一気に迷宮を突破して、一刻も早くギルドホームに帰りたかったが、あいにくとそれはパーティリーダー様が許してくれなそうだ。
ゴトフリー「では、食料を配布する」
革の包みが2つ、こちらに投げられる。
一つをキリトに回し、もう一つを自分で開ける。
中身は固そうなパンと水の瓶。
隣の相棒を見るとがっかりした顔をしている。
いつものこの時間なら、アスナがキリトにバゲットサンドをあげているところだろう。
かくいう俺も、リサが作った弁当を食べている時間だ。
リサのほうが俺より料理スキル値が高いんだ、任せるのは当然になってしまう。
Yu「(帰ったらなんか作るか...)...このパンまっず...」
あまりのおいしく無さに、水を
心なしか、目線が仄暗い。
一人革の包みには手を掛けず、じっとこちらを見つめて...
それに気づいた瞬間、体から力が抜ける。
そして、自分のHPゲージの周りに黄色が灯る。
麻痺毒だ。しかも相当強いやつ。
Yu「(早く...解毒を...!?)」
解毒結晶はゴトフリーに預けたままだ。
まずい。
Yu「解毒結晶を...!」
ゴトフリーは腰のポーチを探ろうとするが。
クラディール「ヒャッ!!」
奇声をあげたクラディールがその手を蹴り飛ばし、ポーチの中身をすべて自分のポーチに移してしまった。
クラディール「ゴトフリーさんよぉ...前から馬鹿だ馬鹿だと思ってたが、アンタは筋金入りの
ゴトフリー「ぐはっ!」
クラディールがゴトフリーの口を蹴り飛ばし、それによってゴトフリーの体力は少し減り、クラディールのカーソルがオレンジに変化する。
クラディール「あんたにいろいろ言いたいことはあるけどよぉ...オードブルで腹いっぱいになっちまうからなぁ...」
そう言いながら両手剣を引き抜く。
装飾が煌びやかな、実に脆そうな剣だ。
ゴトフリー「ま、待てクラディール!お前は...何を言ってるんだ...これも何かの訓練なのか...?」
クラディール「うるせぇ、もういいから死ねや」
両手剣を頭に掲げ、体をいっぱいに逸らす。
それを、躊躇いなく、ゴトフリーの体に突き刺した。
Yu「なっ...!?」
ゴトフリー「ぐあああああああ!」
クラディール「ヒャアアアアアア!!」
ゴトフリーの悲鳴に被せるように、奇声を上げるクラディール。
ゴトフリーのHPゲージは傍から見ていても確実な速度で減っている。
そしてーー
ガラスの破片が砕け散る音と共に、ゴトフリーはその場から消えた。
Yu「な、仲間を...」
K「た、躊躇いもなく...?」
クラディールは体を少し震わせると、ゴトフリーの反対側にいたプレイヤーに首だけ向ける。
クラディール「お前にゃ何の恨みはねぇけどな...俺のシナリオじゃ生存者は俺一人なんだよなぁ...」
先ほどと一緒で、クラディールは両手剣をプレイヤーの背に突き刺す。
何もできないのが悔しくてしょうがない。
解毒の手段もクラディールが握っている。
Yu「(いや...まだある...!)」
あのプレイヤーには申し訳ないが、クラディールの目線がこちらにない今を利用するしかない。
肘から下だけで、どうにか背中の剣を掴み、引き抜く。
そして抜剣した状態で逆手で握る。
バレたら終わりだ。
クラディール「いいかぁ?俺たちのパーティーはァー」
一回。
クラディール「荒野で犯罪者プレイヤーの大群に襲われェー」
二回。
クラディール「勇戦空しく四人が死亡ォー」
三回。
クラディール「俺一人になったものの犯罪者群を撃退して生還しましたァー」
四回目の突き刺しでそのプレイヤーのHPは0になり、死んだ。
ガラスのが割れる音のような音は何度聞いても気持ち悪い。
が、クラディールは別の何かに聞こえているようで、ゴトフリーの時よりも体の痙攣が激しくなっている。
クラディール「よォ」
首だけを動かしてこちらを見る
俺らの前にしゃがみ込み、シナリオを語ってた時とは違い、囁くような声で近づいてくる。
クラディール「お前らみたいなガキ二人のためによォ、関係ない奴を二人も殺しちまったァ」
Yu「その割には...随分と嬉しそうだったじゃねえかよ」
K「お前みたいなやつが...なんでKoBに入った...」
クラディール「ケッ、決まってんじゃねえかよ、あの女だよ」
あの女、とはアスナのことだろう。
キリトに聞いたストーキングの話も、しつこく護衛していた話も、これで納得がいった。
しかし、これが分かったところでどうにもならない。
Yu,K「お前...!」
クラディール「揃ってコエェ顔すんなって。たかがゲームだろ?」
そこで言葉を切ると、キリトを見ながら言う。
クラディール「おめぇの大事な副団長様もォー」
言葉を切って、俺を見ながら言う。
クラディール「オメェの大事なギルメンだってェー」
また言葉を切り、少し下がってしゃがみ込みなおす。
クラディール「俺が大事にしてちゃぁんと面倒見てやるからよ。いろいろ便利なアイテムもあるしなぁ?」
そう言って俺たちがさっき飲んだ水瓶をチラつかせる。
Yu「KoBより、オレンジギルドのほうが似合ってるよ、アンタ」
少しでも時間を稼いで、麻痺毒が早く切れるのを願う。
クラディール「ヒャッ!面白いこと言うなオメェ!」
Yu「見て思ったことを言っただけだ」
クラディール「いい目してるって、褒めてんだぜ?」
クラディールは左腕のガントレットの装備を解除した。
そしてインナーをめくり、そこにあったエンブレムを見た瞬間、俺たちは絶句した。
棺桶が縁どられ、棺桶には笑う目と口だけが書かれ、ずれている蓋の中の棺桶からは腕がはみ出したマーク。
Yu「
ラフィン・コフィンとは、今はもうない最凶最悪の
リーダーの戦略が冷徹、かつ狡猾で、三桁に登る死者を出している。
攻略組で、ラフィン・コフィンの討伐作戦も開かれたほどで、その時の人数はボスレイド並みだった。
結局は壊滅させたが、奇襲を行うも失敗に終わり、大混戦の中、相手ギルドのプレイヤーを3人ほど殺害してしまったことは記憶に新しい。
K「これは...復讐か?お前は...ラフコフの生き残りだったのか...?」
クラディール「ハッ、ちげえよ。そんなダセェことしねえよ。俺もラフコフには最近入れてもらってなぁ。あぁ、精神的にな。この麻痺テクも...と。やべえやべえ」
喋るのをやめると、キリトのほうに向かい、再び剣を構えた。
クラディール「しゃべるのもこの辺にしとかねえと...毒が切れちまうからなぁ...」
クラディールはおおきく振りかぶって剣を構えている。
その時、俺の右側から、何か銀色のものが飛び、クラディールの左腕に突き刺さる。
投擲武器だ。
クラディール「ってぇな...」
少し顔を歪めただけで、足を止めずにキリトの右腕に剣を突き刺す。
K「っ...!」
クラディールは暢気にストレージを開き、短剣をオブジェクト化すると。
クラディール「おめえもだよォ!」
Yu「くっ...!」
俺の腹に突き刺した。
刺し武器の痛みの感じは気持ち悪い。
この世界ではほとんど痛みは感じないが、そのせいで、痛みが余計に気持ち悪く感じる。
クラディール「おめえら教えてくれよォ...もうすぐ死ぬってどんな感じなんだァ...?」
キリトの右腕に刺していた剣を、左足に刺し変え、俺の方に刺さってる短剣はもっと深く押し込まれる。
クラディール「死にたくねえって叫んでくれよぉ...泣いてみろよぉ...!」
Yu「くっ...」
K「っ...!」
クラディール「おいおい何とか言ってくれよぉ...ほんとに死んじまうぞォ...?」
クラディールはキリトに刺した剣を腹を刺し直すと、キリトはその刀身を掴んだ。
クラディール「お、お?まだ死にたくねえってか...?」
K「そうだ...まだ、死ねない...!」
クラディールは体重をかけて、キリトは左腕だけで。
その剣は、キリトの体の方へ刺さっていく。
キリトの体力は一割弱。
しかし、これ以上減ることはもうない。
Yu「...はぁっ!」
クラディール「ぐぉ!?」
クラディール「テメェ!!なんで動けてんだよぉ!」
Yu「俺のスキルだよ。正確には武器スキルだけど」
俺のスキル、《選定の騎士》には『行動不能系スキルの拘束時間0.8倍』という効果が付いている。
クラディールに盛られた毒は5分、つまり300秒のもの。
0.8倍すると240秒、つまり人より1分早く動けるというわけだ。
本当に、「俺じゃなくて武器が強い」んだ。
クラディール「クソガキがぁ...!」
クラディールが目を丸くさせ、充血させながら俺を睨み、突撃してくる。
Yu「くっ...!」
クラディール「守ってばっかじゃ勝てねえぜェ!?」
とはいえ、まだ体の反応は鈍い。
昔、麻酔を入れられて、回復したときに、こういう感覚になったことを思い出した。
クラディール「おら死ねぇ!死ねガキィ!!」
Yu「っ...!」
クラディール「死ねぇぇぇ!!」
大きく跳ね飛ばされ倒れこんだその直後、俺とクラディールの間に風が吹き抜けた。
あとがき、読了感謝です。
行動不能系スキルの拘束時間0.8倍の設定、うまくいかせて良かった。
というか、この展開がしたかったからこの設定入れたところはある。
オリ主優遇ムーブしたかったから、許してください。
すごい適当なアンケートも置いておくので、よければ投票お願いします。
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