コリニアに転移すると、大勢のプレイヤーが集まっていた。
Yu「...緊張感が違うな」
R「はい...」
ふと横を見ると、見知った顔が四人。Roseliaのメンバーだ。
L「燐子にユイト!やっほー!元気?」
Yu「もちろん。Roseliaが無事で何よりだよ」
Yk「ここにいるということは...」
S「ボスレイドに参加するんですか?」
Yu「わざわざ冷やかしに装備してここまで来ないさ。な?」
R「はい。私たちも、戦います」
クォーターポイントのボス戦前に、再び「Roselia」となる。
と、後ろから聞きなじみのある声が聞こえた。
クライン「なんだってことはねぇだろうよぉ!」
エギル「今回は苦戦しそうだって聞いたから、商売投げ出して加勢しに来たんだろうが。この無私無欲の精神を理解できないたぁ...」
そんな声が聞こえたので、黒コートの肩から顔を出して言う。
K,Yu「無私の精神はよーくわかった(わかりました)。それじゃあ、今回の戦利品の分配からは除外していいのな(いいんですね)、エギル(さん)?」
意図せず息ぴったりにエギルさんに問いかけて、黒コート...キリトと目を合わせて笑う。
エギル「い、いやぁ...それはだなぁ...」
Yu「口ごもるのはどうしてですか...」
呆れながら笑う。
他のプレイヤーも俺たちの茶番を見て笑いをこぼす。
固まっていた空気が少しずつほぐれていく。
しかし、転移門から出てきた数名のプレイヤーの登場により、空気が一層引き締まる。
全員白の甲冑で固めたプレイヤー。
KoBのプレイヤーだ。
先頭に立っているのはKoB団長、ヒースクリフ。
ヒースクリフは周りを一瞥すると、声を上げる。
ヒースクリフ「欠員はないようだな。よく集まってくれた。状況は、知っての通りだ。厳しい戦いになるだろうが、君たちなら乗り越えられると信じている。解放の日のために!!」
「おぉー!」という歓声の中、ヒースクリフは俺とキリトを見てこう言う。
ヒースクリフ「君たち二人とも、頼りにしている。《二刀流》に《騎士王》。存分に振るってくれたまえ」
Yu「了解」
俺は答え、キリトが頷く。
ヒースクリフ「では出発しよう。ボス部屋前までコリドーを開く」
さっきと違うニュアンスの「おぉ...」という声が響く。
コリドー、とは
回廊結晶自体簡単に手に入るものではない。
ゆえに、早々目にするものではない回廊結晶だが、それをあっさり使うヒースクリフにも驚く。
ヒースクリフ「コリドー・オープン。...それでは皆、付いてきてくれたまえ」
ヒースクリフの後に続いてKoBの団員が、精鋭ギルドの一員が、エギルが、風林火山が入っていく。
キリトとアスナが入っていった背中を追うようにして、俺たちも入る。
Yu「行くぞ、皆」
Roselia「了解」
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まぶしい光を相殺するため目を瞑り、開けた時にはボス部屋の扉が目の前に位置していた。
Yu「さすがクォーター...禍々しいな」
R「そう、ですね」
As「何か...やな感じ、だね」
K「あぁ...」
これでも74個、ボスの扉を見てきたが、0が付いた層のボス部屋はそこそこ重たそうな扉をしていたし、クォーターポイント、つまり25層と50層のボス部屋の扉は煌びやかな装飾があったりした。
この層もクォーターの例に漏れないが、装飾がかえって不気味に思える。
Yu「緊張、してるな」
このボスレイドの人数は総勢38人。
上限には足りないが、一人一人がハイレベルプレイヤーだ。
しかしそんな集団が、口を縫い合わせたように固く閉ざし、目は所在無さげに震えていたりする。
Yu「わりぃ、皆、ちょっと」
Yk「何かしら?」
Yu「なんか、がらにもなくさ、震えてきちゃって」
さっきからずっと右手が小刻みに震えている。
しかし、その右手に温かさが乗る。
R「大丈夫です」
りんは俺の手に自身の手を重ねると、皆さん、と呼びかける。
R「円陣、しませんか?」
L「そういえばいままでやってなかったね?よし、やろっか!」
A「緊張なんか吹き飛ばしちゃえ!」
S「なるべく静かにやりましょう。空気を乱さないように」
Yk「そうね。やりましょう」
5人ですっと円になる。
現実でもやってきたんだなと思わせる、そんな動きだった。
R「ユイトさん、こちらに」
Yu「混ざっていいのか、俺が」
Yk「今は、6人でRoseliaなのだから」
Yu「...わかった」
りんとユキナの間に混ぜてもらい、6人で円になる。
R「(ロゼリア、ファイティーンで、手をあげてください)」
Yu「(了解)」
Yk「みんな、行くわよ。」
Roselia「ロゼリア、ファイティーン...!」
言い終わると同時に、ガチャンと大きい音が聞こえる。
ヒースクリフの盾の音だ。
ヒースクリフ「みんな、準備は良いかな。今回、ボスの攻撃パターンに関して一切情報がない。KoBのメンバーが前衛で攻撃を受け止める。その間にパターンを可能な限り見切り、対処してほしい」
37人、全員が首を縦に振る。
ヒースクリフ「では、行こうか...」
ヒースクリフがボス部屋の扉に手を置く。
Yu「みんな、生きて帰るぞ」
Yk,S「えぇ、もちろん」
L,A「もちろん!」
R「必ず...無事に」
...頼もしい返事だ。
K「お前ら、死ぬなよ」
クライン「へっ、お前こそ」
エギル「今日の戦利品で一儲けするまではくたばる気はないぜ」
ボス部屋の扉が、重々しい音を響かせながら開く。
プレイヤーたちが次々に剣を抜く。
俺も自身の愛剣を抜き、両手でしっかりと持ちながら、一つ息を吐く。
ヒースクリフ「戦闘、開始!!」
全員がボス部屋の中に走り出す。
後ろで扉が閉まった音が聞こえた。
陣形を固めて床を見るが、何も起こらない。
誰かがしびれを切らしておいと言ったその時、耳に異質な音が届いた。
Yu「上だ!!」
見えたのは白いムカデのようなボス。
よく見ると白い部分は骨にも見える。
どの脚も鋭く、頭の方に向かうにつれてだんだんと脚と体が太くなっている。
頭頂部は大きく伸び、目は四つ付いている。
そして、腕に相当する部分に、大きな鎌が付いている。
黄色のカーソルの上に、名前が表示される。
ーー《
ヒースクリフ「固まるな!距離を取れ!!」
呆気に取られていた俺たちはヒースクリフの声により正気を取り戻し、急いで距離を取る。
しかし3人ほど、飛び退るのが遅れた。
右に左に視線を動かし、上を見たまま固まっている。
Yu,K「こっちだ!!」
同時に叫ぶ。
その声でこちらを向いた3人は、こちらに走り出す、が。
そのすぐ後ろで骸骨が着地し、その振動で三人がよろける。
そこに向かって、右の鎌が振られる。
3人はそれにより吹き飛ばされ、その威力でHPが減っていき、そして。
ーー空中で静止し、砕け散った。
Yu「たった...一発だぞ...!?」
レベルが上がれば体力も上がる。
そして少なからず防御力も上がる。
まして装備などもあの3人は固い方だった。
何よりハイレベルプレイヤーなのだ。
それが。
As「こんなの...無茶苦茶だわ...」
掠れ声を聞きながら、どうしたらいいか必死に思考を回す。
その間にも、骸骨は新しい獲物を見つけては、鎌を振り回そうとする。
俺の思考が一時的に止まったのは、鎌と何かがぶつかる音がしたからだ。
見ると、ヒースクリフが鎌を抑えている。
しかし、鎌は二本。
反対側の鎌を、一団に振り下ろそうとしているのを見て、無我夢中で駆け出す。
Yu「ぐぅっ...!」
重い。とてつもなく重い。
自身の剣が眼下に迫ってくる。
と、その時、割り込む影が二つ。
キリトとアスナだ。
K「ここが俺たちが抑える!みんなは側面から攻撃を頼む!!」
Yu「っ...!了解っ!」
鎌の下から離脱し、足を集中的に狙う。
しかしその直後、骸骨が雄叫びを上げる。
骸骨の尻尾が攻撃を始めた。
Yu「チッ...!」
鎌をさばいている方を見るが、余裕はなさそうだ。
ダメージディーラーは、俺がやるしかない。
Yu「やるしか、ないんだ...!我が
R「ユイトさん...!」
Yu「30秒、行ってくる...!」
骸骨の尾をいなしながら、高火力のソードスキルを叩きこむ。
しかし、所詮は片手剣。二刀流ほどの火力はない、が。
《The》の付く敵には2倍火力が乗る。
その恩恵もあってか、さっきまで数ミリずつしか削れなかかったゲージを、1ゲージ丸々削り取ることができた。
その瞬間、骸骨がぐたりとし始める。
その隙を逃さず、叫ぶ。
Yu「叩けっ!!」
防戦一方だったプレイヤーが、側面や尻尾にソードスキルをぶつける。
それでもゲージは8割強残っている。
Yu「ユキナ、チャント頼む」
Yk「わかったわ。~♪」
バフが付いた時には、骸骨が起き上がろうとしていた。
Yu「30秒...!死に晒せ骸骨!エクス...カリバッーーー!!!!」
聖剣を以てしても、ゲージは2本と1割。
まだあと1本と9割残っている。
Yu「まだいけっ...ぐっ...!」
10秒の硬直。
骸骨は再び起き上がり、ディーラーである俺の元に突っ込んでくる。
Yu「ぐっ!がっ!」
バトルヒーリングとチャントのリジェネが効いているおかげか、そこまで痛手にはなっていない。
文字通り肉壁として、仕事しているわけだ。
Yu「俺がっ...ぐっ...やられてるうちにっ...うっ...叩けっ!!」
しかし、《騎士王》発動状態とは違い、ダメージは等倍。
このままでは、いつか死ぬ。
そう思ったとき、遠くから叫びが聞こえた。
K「うおぉぉぉぉ!!」
横から突っ込んできたのは黒の二刀流剣士。
骸骨をふっとばしながらスキルを叩きこんでいる。
K「今のうちに回復しとけっ!!はぁぁぁ!!!」
ポーチに手を突っ込んで、ポーションを取り出して呷りながら走り出す。
Yu「...聖剣よ、顕現せよ...!...っ...うおぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!」
To be continue.
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