ロゼリアート・オンライン   作:ユイトアクエリア

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洞窟チェイスは良いよね。
あの中は走り抜けたい。


33話 洞窟内を走り抜けて

リーファがメッセージの相手と連絡を取ると言って、いったんログアウトしてから5分が経った。

俺は、リーファがいなくなった瞬間に見えた武器屋に直行し、今振るっている剣より重い奴を買った。

二刀にする気は毛頭ないし、新しい方を使うのは世界樹に行ってからだ。

で、今は試し切りというか素振り中。

 

Yu「ふっ...!はっ...!」

K「お前も物好きだなぁ。「もっと重い剣が欲しい」って」

Yu「仕方ねえだろ。...あの世界じゃ、もっと重い剣振ってたんだ」

K「こいつ、使うか?」

 

そう言って、キリトは自分の背にある剣を指さす。

 

Yu「あいにくと俺には人の剣を借りるようなことはしないんでな。ま、緊急時には借りるさ」

K「はいよ。...お。帰ってきたみたいだぞ」

 

キリトの声に目線をあげれば、リーファの目が開くところだった。

 

Yu「おかえり」

K「お帰り、リーファ」

 

しかしリーファは、少し目線を逸らして申し訳なさそうな顔をした。

そして。

 

Le「キリト君、ユイト君。ごめんなさい」

 

俺らに向かって頭を下げた。

 

K/Yu「え?」

 

当然リーファに謝られることをされてない俺らは困惑。

 

Le「あたし、急いでいかないといけない用事ができちゃった。説明してる暇もないし、ここにも戻ってこれないかもしれない」

K「そうか。じゃあ、移動しながら訳を聞くよ」

Le「え?で、でも...」

Yu「どっちみちここは飛べないなら、足使うしかないしな?」

Le「...うん、わかった。じゃあ、走りながら説明するね」

 


 

リーファの話を簡単にまとめよう。

リーファの種族である風妖精(シルフ)と、猫妖精(ケットシー)の領主が会談を行う。

その会談の内容は、シルフ・ケットシー間の同盟。

しかし、その会談を炎妖精(サラマンダー)が邪魔しに来るというのだ。

しかもその情報源はシルフにいたサラマンダーのスパイからだという。

 

 

K「質問、いいか?」

Le「どうぞ」

K「サラマンダーにとって、同盟を邪魔するメリットはどこにあるんだ?」

Le「シルフから漏れた情報で領主を討たれたら、ケットシー側はたまったもんじゃないよね。最悪シルフとケットシーで戦争になるかもしれない。シルフ・ケットシー軍になったら、サラマンダーより多くなるし、強くなるだろうから、それは阻止したいんだと思う...」

Yu「戦力の増強の阻止、あわよくば他種族の潰し合い...」

Le「それに、領主を討つって、それだけでボーナスがあるの。まぁ、そんなことはめったに起こらなかったんだけどね」

K「そうなのか」

Le「だから、二人とも。これはシルフの問題だから、これ以上君たちがかかわることはないよ。会談場に行ったら生きて帰って帰れないだろうし...また戻ってくるまで時間がかかるし...ううん、もっと言えば」

 

リーファのスピードが少し落ちた。

 

Le「世界樹の上に行きたいっていうキリト君の目的のためには、サラマンダーに協力した方が良いと思う。スプリガンなら傭兵として雇ってくれると思うし...それにユイト君も、もしキリト君と同じ目的なら...ウンディーネでも、メイジ隊ぐらいには...」

 

そういうリーファの声は、震えていた。

かつての剣の世界、β版のSAOで俺は、パーティをとっかえひっかえしながら攻略に励んできた。

ゲーマーの考えに則り、こっちよりあっちのパーティの方が、なんて理由で。

その際に捨ててしまったパーティメンバーの声に、よく似ていた。

 

K「所詮ゲームだから何でもありだ。殺したきゃ殺すし、奪いたきゃ奪う。そんな風に言うやつは何人も出くわしたよ。昔は、俺もそれは真実だと思ってたよ。でも、仮想世界だからこそ、どんなに愚かしく見えても、守らなきゃいけないものだってある。俺はそれを、大切な人に教わった...」

 

Yu「...俺も同意見だな。追加意見になるが、ロールプレイにおいて、普段の人格と大きくかけ離れた人格は演じれないんだ。仮想だからってやりたいことやってたら、それは現実でもいつかやらかす。俺もキリトも、こんなに優しくしてくれたリーファを無視してまで、世界樹には行けないよ」

 

Le「二人とも...」

 

 

リーファが完全に停止する。

それにつられて、遅れて俺らも止まる。

 

Le「...ありがとう」

 

今まで聞いた中で、一番気持ちのこもった感謝だと思う。

そう思っていると、キリトが頭を搔きながら言った。

 

K「ごめん、偉そうなこと言った。悪い癖なんだ」

Le「ううん、嬉しかった。...じゃあ、洞窟出たところでお別れだね」

K「や、一緒に行くよ、もちろん」

Le「え?」

Yu「ここまで聞いといて、後は頑張ってって言うのは後味悪いしな」

Le「え、え?」

K「...しまった。結構時間使っちゃたな」

 

キリトは胸ポケットの小妖精に声をかけると、リーファの手を掴む。

 

K「ちょっとお手を拝借」

Le「え、あの...!?」

 

瞬間、キリトが消えた。

正確には、今までとは比にならないスピードで走りだした。

 

Yu「はっや!?」

 

旧SAOにあった聖剣による代償で、俊敏性を8割型失くしている俺が追いつけるわけがなかった。

 

Yu「でも、この世界には魔法がある...!」

 

現実の自分じゃ絶対に言えない速度でスペルワードを二文唱え、速度と筋力を上げる。

 

Yu「...行くぞ...っ!」

 

脚に力を籠め、蹴り出す。

体が軽い。

景色が流れる。

 

Yu「...!見えた...!」

 

黒と緑の背中が見えた。

このまま追いつく。

しかし、洞窟の横からポップしたモンスターに視界を遮られる。

 

Yu「オークなんか...知るかっ!」

 

片手間に詠唱した氷槍を放つ。

まともに食らえばノックバック。

脚などに当たればそこが凍るという便利な代物だ。

幸いマナにはまだ余裕がある。

向かってくるオークには氷槍を当て、当てきれなかった分は叩き割ろう。

 


 

K「おっ、出口かな」

 

キリトのその声が聞こえるのと、俺の足元から地面が消えるのは同時だった。

慌てて羽を広げ、滑空体制を取る。

 

顔を上げた先には大きくそびえる巨大な樹。

あれが世界樹というものなんだろう。

 

距離の関係上か、件の鳥籠は見えない。

 

Yu「あの、向こうに...」

 

りんは、いる。

だから。

必ずたどり着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、熱出してぶっ倒れて更新遅れたユイトです。
とりあえず某感染症じゃないことは報告しておきます。

...さて、34話はいつ仕上がるのやら。(この回も一日で書き上げて出してます)

新アンケート置いてます、好きな方に投票ください。

正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?

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