それでは、どうぞ
さて、午後3時までやっていたメンテナンスが終わり、俺は今ALOに再びログインしている。
昼頃のユキナたちとの邂逅は少し驚いたが、彼女らにりんは救うと覚悟した手前、下手なことはできない。
Yu「さて、頑張るか」
そう呟くと、隣に人影が出現した。
俺の相棒、キリトだ。
K「ん?早いな」
Yu「ALOプレイヤーが目指すところの都市だから、ちょっとワクワクしちゃってな」
K「...そうか」
Yu「...目的は、忘れちゃないさ」
K「...あぁ」
重苦しい雰囲気になった時、キリトの隣に人影が生まれた。
現れたのは俺らのナビゲーター、リーファだ。
しかし、なんだか表情が重い。
Yu「...どうした?」
Le「あ...あのね...あたし...失恋しちゃった...」
Yu/K「...」
何も言えなかった。
俺らと違ってリーファは女の子だし、おそらく年もそこまで離れてない。
きっと恋だって普通にしてたはずだ。
すると、キリトはリーファの頭に手を乗せて、軽くなでた。
K「向こうでもこっちでも、辛いときは泣いていいさ。ゲームだから感情を出しちゃいけないなんて決まりはないよ」
Le「キリト君...」
Yu「(...隣に俺いるの、忘れてないよな?)」
そう思ったが口に出さないのは、リーファが負った心の傷の深さを理解できるから。
Yu「(しばらく、そっとしておくか)」
キリトの胸に頭を預けるリーファを見ながら、そう思った。
一つ、鐘の音が聞こえた。
その音と同時に、リーファは体を起こした。
Le「もう大丈夫。ありがとう二人とも。優しいんだね」
Yu「俺もキリトも反対のことはずいぶんと言われたけどな...」
K「今日は落ちる?俺たちだけでも、どうにかなると思うし」
Le「ううん、ここまで来たんだもん。最後まで付き合うよ。さっ、行こ!」
リーファはベッドから飛び降りて、こっちに向かって笑いかけた。
Yu「(辛いのは、リーファが一番だろうに...)OK、行こう」
K「...ユイ、いるか?」
ユイ「ふわぁ...おはようございます...」
どうでもいいことだが、妙に気になったので、さっきの重い空気を晴らすがてら聞いてみた。
Yu「ユイって、寝てるのか?」
ユイ「まさか、そんなことないですよ。でも、パパがいない時は入力データを遮断して蓄積データの整理や検証をしますから、人間の睡眠に近い行為をしてると言ってもいいかもしれませんが...」
Yu「あぁ...そういうことか」
Le「何が?」
Yu「ユイが出てくるときの欠伸って、キリトの真似してるのかもなって。こいつ、欠伸長いし」
K「余計なこと言うな。行くぞ」
キリトとリーファが愛剣を吊ったのを見て、それに習い、宿を出た。
宿を出た時間は現実では3時を少し過ぎたごろだが、ALOの時間設定は現実にはリンクしてないらしく、太陽がちょうど真上に存在していた。
周りを見渡してみると、異種族で仲良くしてるプレイヤーたちが見えた。
中立都市、しかも世界の中心にある都市だからだろう、いろんな種族が入り乱れている。
Yu「さすが...というべきかなぁ...」
K「圧巻だな...」
そのまま目線を奥にずらしていく。
Yu「でっけぇ...」
目線の奥には、世界樹。
幹から派生している枝の一本すら、雲に隠れて見えない。
そんな巨大な樹。
Yu「あの樹の上に、街があって...」
K「妖精王オベイロンと、光妖精のアルフがいて...」
Le「王に最初に謁見できた種族が全員、アルフになれるって言われているわ」
Yu「あれ、外側からは登れないの?ロケット式で上行こうとした人がいたって聞いたけど」
ずるできないか聞くと、リーファは笑った。
Le「あぁ、あれね。枝までもうちょっとだったらしいけど、GMも慌てて修正入れて。今は雲の少し下に障壁があるんだって」
K「へぇ...とりあえず根元まで行ってみるか」
Yu「OK」
そう言って、根元に近づく。
その時、キリトの胸ポケットにいるユイが、頭を出して上を見つめだした。
Yu「ユイ?」
K「どうした?」
問いかけると、小さくかすれた声で言った。
ユイ「...ママが...ママがいます...」
Yu「ママ...まさか...!?」
ユイ「はい...このIDは、ママの物です...座標は、この真上に....!」
そう言った瞬間、キリトは空を仰ぎ、目を血走らせ、強く歯を噛んだ。
そして、次の瞬間、キリトがものすごいスピードで飛んだ。
Le「キリト君!?」
Yu「リーファ、追うぞ!!」
そう言って、俺たちも上昇する。
Yu「(ママ...ママってことは...この真上に、アスナがいる...?)」
ユイが、母親として認識している人物は、アスナ一人のはずだ。
だとすれば、この上にアスナがいる。
そして。
Yu「(そこには、きっと...!)...っ!!」
Le「ユイト君も!?」
スピードを上げる。
一刻も早くそこに着きたくて。
会いたくて。
しかし。
目の前まで迫っていたキリトの背中が、突如落ちてきた。
Yu「キリト!?」
見ると、そこはさっきリーファが言っていた障壁のようだった。
しかしキリトは、そんなことは関係ないと言わんばかりに、障壁に向かい続ける。
思わずキリトの腕を掴んで叫んだ。
Yu「やめろキリト!さっきも言ってただろ!こっから上には行けないんだ!」
K「離せユイト!!行かなきゃいけないんだ!お前だって...!」
言い合っていると、ユイが出てきた。
システム上、プレイヤーではないユイですら、その障壁は弾いた。
しかし、ユイは声を上げ続ける。
ユイ「警告モード音声なら...!ママ!私です!ママー!」
当然、声は帰ってこなかった。
それはそうだ。
どんなに目を凝らしたって、枝一つ見えやしない。
さらに、そんな枝のさらに上に鳥籠があるんだっていうなら、聞こえなくても当然だ。
と思っていると、上に何か光っているものが見えた。
K「あれは...?」
その光はどんどん大きくなり、やがて長方形のモノだと分かった。
そしてそれは薄く、まるでカードのようだった。
Yu「...なんかのカード...?けど、タップしても何も出ない...」
すると、ユイがそれに触れ、驚きながら言った。
ユイ「これは...!システム管理者用のアクセス・コードです!!」
Yu「じゃ、じゃあそれを使ってズルみたいなことは...?」
ユイ「いえ...これを使うには、対応したコンソールが必要で...」
Yu「...人生、うまくいかねえか...」
しかし、これが降ってきたということが、大きな収穫だ。
少なくとも、そんな大それたものが降ってくるからには、イベントではないのだろう。
しかも、普通のプレイヤーはそれが何か分からないから、絶対にイベントではない。
だとしたら、ユイの声を聞いたアスナが、これを落としたのか。
Yu「...キリト」
K「...何だ。考えること、一緒じゃないか」
Yu「...いや、俺は魔法職だし、死んだキリトを蘇生しなきゃいけないから、ソロで行って来いよ」
K「...わかった。リーファ、ゲートっていうのはどこに?」
Le「え?...えっと、樹の根元にあるけど...で、でも、いくら二人でも無理だよ?」
K「行かなきゃいけないんだ、無理だってわかってても。まぁ、もし死んだら...」
Yu「俺が死なせねえっつうの」
Le「え、ちょっと、本当に行くの...?」
Yu/K「あぁ、もちろん」
俺たちは、息を合わせてそう言い、ゲートに向かった。
Yu「...お前が入ってから1分後、お前が生きてようが死んでようが入る」
K「あぁ、わかった」
キリトと拳を合わせ、俺はキリトにありったけのバフをかける。
K「サンキュ。じゃ、行ってくる」
Yu「あぁ。...気をつけろよ」
キリトがゲートの前に立つと、システム音声が聞こえる。
『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ至らんと欲するか』
キリトが操作し、ゲートの扉がゆっくり開く。
『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』
その声が聞こえ終わると、ゲートが完全に開く。
それと同時に、俺の相棒は、そのゲートの中に飛んで行った。
Yu「頑張れ、キリト」
...何もできない、自分を妬みながら、そうやって呟いた。
読了感謝です。
プロットが書きあがらない、そんな日です。
正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?
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良かった
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伝わらない、だめだった