オリジナルほったらかしよくない!!
さて、そろそろアンケートも締め切りますので。
練習課題曲、最後のシンセサイザーの音がフェードアウトする。
それと同時にスタジオ内の空気が弛緩し、後片付けに入る。
その中で、キーボード担当、白金燐子は誰よりも早く片づけを終えた。
燐子「じゃあ、お先に、失礼します」
お辞儀をして出ようとすると、ベーシストから声がかかる。
リサ「おつかれ~!あ、ユイトによろしくねっ☆」
燐子「え、えっと、はい......」
それに恥じながら答えると、ドラマーから弄られる。
あこ「あ~!りんりん顔真っ赤!」
燐子「あ、あこちゃん......」
それに、ギタリストが制止をかける。
紗夜「宇田川さん、あまり弄ってはだめですよ」
友希那「そうよ。それに、仲間の春だもの。それも、あの『聖剣使い』とね?」
ボーカルがそう揶揄うと、キーボーディストはさらに顔を真っ赤にした。
それを見て他のメンバーが笑う。
リサ「ま、いいや!行ってらっしゃい、燐子!仲良くね!」
燐子「......はい、行って、きます......!」
さて、菊岡さんの「GGOに行って
だが、俺はどうしても違和感が拭えなくて、歩きながら訪ねた。
唯斗「なぁ」
和人「何だ?」
唯斗「なんで俺がデートの約束取り付けたの知ってるんだよ。で、あとなんでダブルデートなの?」
俺は一昨日ぐらいに、勇気を出して(メッセージで)デートの約束を取り付けることに成功した。
自分から
の、だが。
和人によって拉致られた俺は、高いケーキ屋から出るときに、しれっと「今日のデート先変更な」と言われたのだ。
和人「そりゃ、俺たちが一緒にいるからだろ」
唯斗「それも答えになってない気がするけど......じゃなくて、場所の問題だよ。なんで外苑なんだ?」
和人「主な理由はさっきの野暮用。メインはちょっとした豆知識をだな......お、着いたぞ」
和人が指を指した先には、赤白の服に身を包んだ茶髪の少女、アスナとモノトーンで固めた黒髪の少女、燐子先輩がいた。
偶然にも、装いがSAOのころにそっくりだ。
明日奈「現実と仮想世界の違いってなんだろうね」
燐子「そう、ですね。強いて言うなら......」
美少女二人が会話しているだけで華やかだ。
目の保養とはこのことだろう。
しかし、その花畑を無遠慮に荒らす奴が一人。
全身を黒で固めた、少し線が細い少年。
「黒の剣士・キリト」こと、和人だ。
和人「情報量の多寡だけさ」
明日奈「わっ!?」
燐子「わっ......キリトさんに、ユイト君......こんにちは」
正直、女性の肩からいきなり出てくる男の顔は恐怖でしかないだろう。
唯斗「アスナに燐子先輩、こんにちは。申し訳ない、俺の連れが」
明日奈「ほんとだよ~。いきなり現れるんだもん。転移結晶でも使った?」
和人「場所も時間もぴったり。いきなりってことはないだろ」
唯斗「いやいきなりだぞ?少なくとも肩から喋りかけるのはおかしいからやめような?」
ーー余談だが、俺がアスナを先輩付けしないのは気心が知れた仲かつ友人の彼女だから。
ならどうしてりんを先輩付けするのかというのは、単純に気恥ずかしいから。
話を戻そう。
どうやら和人はアスナ相手だと常識というか、倫理観が吹っ飛ぶらしい。
すると、苦笑を浮かべていた和人の顔が真顔に戻り、自分の彼女の恰好を上から下まで見始めた。
唯斗「おい和人。彼女とは言えそんなやらしい視線を送るな。パブリックスペース、OK?」
和人「ち、違うよ。その......なんか、思い出すなぁって」
アスナは自分の恰好を見下ろし、和人の言ったことを理解したようだった。
そして、左腰に手を置いてから、懐かしむように言った。
明日奈「
和人「二刀はないけどな。いやあ、いつもなんとなく上下黒は回避してるんだけど、今朝スグがまとめて洗濯したもんだから、これしかなくて」
明日奈「洗い物貯めるからそうなるんだよー?けど、今日は四人揃って『あのころカラー』だね?すごい偶然だなぁ」
唯斗「燐子先輩はそうかもしんないけど、俺そんなにか?」
和人「あぁ。腰の金とか、それっぽい」
唯斗「それカリバーンだろ。あとお前が言うと馬鹿にしてるようにしか聞こえないからあとで切るわ」
和人「やめてくれ、あれ捌くの苦労するんだ」
という与太話はさておき、本題に入るとしよう。
唯斗「で、なんで今日のこれが4人でかつ、外苑でなんだ?」
明日奈「それは私も思ってた。キリト君、歴史好きなんだっけ?」
和人「や、そういう訳じゃないよ。主な理由としては......まあ、それは後で説明するけど。それはそれとして、皇居ってちょっと面白いと思わないか?」
燐子「面白い......?」
和人「南北に約2キロ、東西に1.5キロ。北の丸公園や外苑合わせると230万㎡で、千代田区の20%を占めてる。平面だけじゃなくて、地下鉄は通ってないし、上は飛行機すらも飛べない。つまりこの場所は東京のど真ん中を貫く、巨大な侵入不可エリアってわけだ」
唯斗「確かにすげえけど......その口上、昨日必死に考えたか?」
和人「え、なんで?」
唯斗「ALOじゃまともに詠唱すらできなかったお前が、やけにすらすらとしゃべるなぁって。そう思っただけだ。今思いついたんなら謝るよ。けど、ここに指定したんなら、考えたんだろ?」
和人はちょっと顔をしかめて、「なんでネタバラシするかなぁ」とボヤくと、「まあいいか」と言って、続けた。
和人「んで、この中心は、物理・情報的にも遮断されてる。いわば旧ALOの世界」
唯斗「和人、ストップ」
和人「......悪い。嫌なこと思い出させたか」
隣の彼女を見ると、いかにも「大丈夫」と言った顔で首を横に振っていた。
......俺の彼女、強くない?
流石トップを走るガールズバンドのキーボーディストだよ。
で、前を見るとこれまたアスナも「大丈夫」と言っていた。
流石閃光様だ、お強い。
唯斗「んで、物理はわかるが、なんだ情報的に遮断って」
言うと、和人は立ち止まって、いろんな場所を見る。
そして、気の方を指さして言った。
和人「そことか、あそこもだな。監視カメラがあるだろ?今時のセキュリティシステムはスタンドアローンで、外部からは一切接続できないようにネットワークが組まれてるんだ」
燐子「へぇ......変わった形の、カメラですよね」
唯斗「見てくれは街灯っぽいもんな。こんだけ厳重にやってるのは、実験チックな感じもするけど」
和人「実際そうだって噂も聞いたことあるけどな。こんだけ隔離されてたら、東京の中心は《異界》って感じするだろ?」
明日奈「それはちょっと言いすぎな気もするけどね」
再び歩く。
こうして四人で歩くことは初めてだが、いつもこうしてたんじゃないかとさえ思えてくる。
と、突然和人と明日奈が走り出すので、慌ててついていく。
二人とすれ違った夫婦がカメラを和人に渡し、写真を撮っている。
「
和人「Thank you.」
と、4人で一枚撮ってもらった。
どうやら外国人の観光客のようだったが、連れている双子の姉妹が可愛らしかった。
燐子「ふふっ......」
唯斗「どうした?」
燐子「ううん。子供って、見てるだけで癒されるよね」
唯斗「めっちゃわかる」
言いながら、再び離れていった和人たちに追いつく。
和人「まあ、その......妹ができたら、ユイも喜ぶよ」
唯斗「昼間っからなーに言ってんだ」
和人「あたっ!いや今のは違くて......」
こうしていると、和人と攻略をサボっていた時のことを思い出す。
ダンジョンからこっそり抜けて、二人して芝生で横になってたところをアスナとりんに見つかって、怒られながら渋々戻る、そんな日々を。
知らず知らずのうちに、りんの手をキュッと握っていた。
燐子「......?ゆいくん?」
言われたけど、無視して握り続ける。
この瞬間が、愛おしくて。
ずっと、こうしていたい。
和人「あ......でも、あれだな......」
明日奈「キリト君?何か用事あった?」
和人「いや、その、今夜は大丈夫なんだけど......」
俺の方を見るので、「は?」と声に出る瞬間に、思い出した。
唯斗「しばらくALOにはログインできないな」
和人「そう、だな」
燐子「どうして、ですか?」
和人「俺たち、実は......ちょっと野暮用で......ALOのアカウント、他のゲームにコンバートさせるんだ......」
明日奈・燐子「......え、えぇぇぇぇ!?」
デート回って難しいのね。
私デートなんてしたことないからわからんわ。
正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?
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良かった
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伝わらない、だめだった