ロゼリアート・オンライン   作:ユイトアクエリア

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どーも、ユイトです。
少し前に砂糖のカタマリ様の小説、『監視対象と約束された日々』とコラボさせていただきました。
この小説は、そのコラボ小説より前の話、いわゆる前日譚となっております。
「」の前にだれが喋っているかの表記がないですが、そこは文脈から感じ取っていただければと思います。

時系列的には74層突破後です。

それでは、どうぞ


監視対象 progressive
前編 剣聖、異世界転生。


「ん...あ...寝ちまってたのか...?」

 

 圏内エリアで寝落ちしていた俺は、起きた時の多少の不快感よりも、周りの景色が気になった。

 ──ポリゴンには見えない。

 現実と比べれば大いに差があるだろうが、SAOのポリゴンより質がいい。

 

「ここは...一体?」

 

 起き上がって周りを歩いてみる。

 起き上がった時の感触や、歩いているこの感覚は、SAOと何ら変わらない。

 ポリゴンに見えないのは、この世界に慣れすぎていて、ここは新マップかなにかなのかという考えも、すぐに消えた。

 

 ──ウィンドウが出ない。

 

 いや、出るのだ。しかし。

 正確には、あの慣れ親しんだSAOのウィンドウが出ない。

しかし。

 

「名前も...レベルも...変わってない。」

 

 装備品、異常なし。

 武具類、異常なし。

 ステータス値、異常、あり。

 

「...んだこのステータス!?」

 

 まず驚いたのは、HPが明らかに多くなっている。

 そしてその下、MPという表示。

 古くからあるRPGゲームには、物理と魔法が存在するが、SAOに魔法というものはなかった。

 マジックアイテムというものはあったが、あくまでそれは結晶の類。

 大人数に効果をかけられるような、そんな大それたものではない。

 しかしこのMPゲージ。

 

「色といい、名称といい...マジックポイント、だよなぁ...」

 

 さっきまでやってたゲームに存在しないものがあるだけで、人はこんなに戸惑うのか。

 

「っつってもなぁ...詠唱とかわかんねえし...」

 

 とりあえず周りにだれもいないことを確認して、一つ、息を吐く。

 

『フレイム』

 

 と呟いた瞬間、掌から火の玉が生まれ、すぐ近くに着地し、小さく爆発した。

 

「うおっ!?」

 

 出ると思ってなかった俺は、思わず驚いた。

 

「はっ...面白れぇ!!」

 

 魔法が使えることに楽しさを見出したが、ふと、ここでは俺の扱いはどうなってるのかが気になった。

 さっき見た感じだと、名前も用意されているし、レベルやHPも(だいぶ異常な数値だが)存在している。

 しかし、俺はこの世界から見れば異邦人だ、だとするならば。

 はやる気持ちでウィンドウを出し、とあるボタンを探す。

 もちろん、ログアウトボタン。

 

「あった...!」

 

 震える指でそれをタップする、が。

《現在は使用できません》という簡素なメッセージが一つだけ。

 

「はぁ...そんなに甘くねえか...」

 

 まあでも、ログアウトボタンがあると分かっただけでも十分収穫だと自分を納得させる。

 

「ま、ログアウトっていう文字があるだけで精神的に安らぐなぁ...」

 

 今まで自分がやっていたデス(人生)ゲームは改めて異常なんだと理解した。

 

「現実、か」

 

 あっちでは俺が突然いなくなってパニックを起こしているだろうか...

 いや、俺がいなくなったとしても、戦力がちょっと消えたぐらいに思っているだろう。

 

「Roseliaには、迷惑かけるなぁ...」

 

 このゲームから出れる時が来たら、精いっぱい恩返ししてやろうと、心に誓った。

 

 ────────────────────────────────────────

 

 ──一週間後

 

 いまだ脱出の糸口はつかめていない。

 それどころか、手詰まりが増えた。

 

「どーすりゃいいんだよ...」

 

 この一週間で使える魔法もだいぶ増えた。

 ただ、長ったらしい詠唱は覚えていられないし、どうせこの世界を出たら使わないものだ。

 

「あ、そういえば...」

 

 あの世界で通用した俺の剣技がこっちでも使えるかを試していなかった。

 あまり期待はしないが、物は試しだ。

 とりあえず試しに、右手を剣ごと引き、左半身を前に出す。

 片手突進技《レイジスパイク》の構えをとる。

 

「はぁっ...はっ!」

 

 左足で地面を蹴った瞬間、体が勝手に加速した。

 右手に持った剣も、心なしか光っている。

 間違いない、『システムアシスト』に『ライトエフェクト』。

 

「マジか、すげえな...」

 

 この世界には、ソードスキルが存在している。

 

「なら、やることは一つだよな...!」

 

 まずは手馴らしに《ホリゾンタル》と《バーチカル》。

 そのままの流れで《ホリゾンタル・アーク》と《バーチカル・アーク》。

 少し体が温まってきたので《シャープネイル》と《サベージ・フルクラム》。

 いい手ごたえを感じながら《ホリゾンタル・スクエア》と《バーチカル・スクエア》。

 少し息を吐いて集中を解き、また入りなおす。

 

「はっ...!」

 

 7連撃《デッドリー・シンズ》、8連撃《ハウリング・オクターブ》。

 そして10連撃、《ノヴァ・アセンション》。

 驚いたことに、今までの行ってきたソードスキルは、すべて実装されていた。

 

「おぉ...」パチパチ

「?...あんたがた、どっから湧いたの?」

 

 気づいたら囲まれてた。

 どうやら俺の、どこまでソードスキルを使えるかという実験を、剣舞かなんかだと感じ、見に来たのだろう。

 

「あ、あぁ..なるほどねぇ...(こん中に俺がSAOから来たって言って信じるやつが...いねえだろうな)」

 

 観衆ををどかすのもなんか申し訳ないので、どうせならと思い、もう一本剣を取り出す。

 本来なら、この装備はイレギュラーであり、スキルは当然出せない。

 しかし、このSAOとは違う世界なら。

 

「はぁっ!」

 

 右足で地面を蹴ると、体が勝手に動く。

 

「(行けるっ...!)」

 

 二刀流突進技、《ダブル・サーキュラー》。

 そのままそこで二刀同時斬り、《エンド・リボルバー》。

 

「くっ...おおおっ!!!」

 

 止まりそうになる体を無理やり動かす。

 これぞ二刀流奥義、《スターバースト・ストリーム》。

 星の瞬きのような16連撃を出し切ると、また周りから歓声が湧く。

 

「あはは...どうもどうも...」

 

 ──────────────────────────────────────────────────

 

 観衆の輪から抜け出し、誰もいない平野で体を倒して伸びていた。

 

「SAOじゃないこの世界で...ソードスキルが使えるとは...」

「あ、あの...?」

「ん...?」

 

 どこかで聞き覚えのある声だ。

 凛としててか細い、しかし確かに芯のある声。

 

「りん!?」

「わっ...!ビ、ビックリした...」

 

 起き上がってみると、赤い装備で一式を固めた、黒髪ロングの女の子がいた。

 

「(りんなのか...?)えーと...どうしたんです?」

「さっきの剣舞、凄かったなって...それで、えっと...」

 

 この話し方、このどもり方、そして話している時の視線の合わなさ。

 間違いなく俺が知っているりんにそっくり、いやむしろ本人と言っても差支えはない。

 

「さっきの...あぁ、あれか」

「その...現実で、何かやられてるんですか...?」

「いや、そんなことは...」

 

 とそこまで言ってから、ふと考える。

 SAOはもう一つの現実、そしてこの世界の人間たちにはソードスキルが剣舞に見えた。

 つまり...何かやってると言っても差し支えない...?(あります)

 と、そこまで考えてから頭を振ってその考えを追い出す。

 

「いや、なんもやってないよ。中学ぐらいまでは運動部入ってたけど、今はさっぱり」

「そ、そうですか...()()()()()()()()()()...()()()()()...動体視力がいいんですね...」

 

 待て、今なんて言った?

 キーボード操作?

 ということはこの世界は、()()()()()()()()()()()()()()()()のか?

 危険はあるが、確かめるしかない。

 

「あ、あのさ」

「?はい」

「俺がもし、現実じゃない他の世界から来たって言ったら、信じるか?」

「それは...今話題の、SAOのような?」

 

 言葉を使わず、頷いて肯定する。

 

「それは...信じることはできません。ごめんなさい」

「まぁ、そうだよなぁ...」

「仮に、あなたが...SAOから来ていたとしても...それは証明できるものではないですから」

 

 なるほどなぁと大きくため息をついてから、再び座り込む。

 

「いきなり変なこと言って悪かった。じゃあ、俺はこれで」

 

 とにかく、もっと情報を集めなければ。

 

「ま、待ってください...!」

 

 か細い声に呼び止められる。

 

「よ、よかったら、フレンド登録、しませんか?」

「...俺が何者かもわかんないのに、いいんですか?」

「...悪い人では、無いのはわかります。それに、初対面なのに、なんか知ってる感じが、するんです」

「...フレンド、しましょうか。俺も、知ってる感じがします」

 

 まぁ、知ってるも何も、ギルメンなんだけど。

とは言わない。言ったってしょうがない。

 

「さて...と、あ、そうだ。あなた、名前は?」

「私、ですか?『RinRin』と、言います」

「俺は『Yuito』だ。よろしくりんりんさん」

 

 




とりあえず前日譚前半はこんなもんで、また次回という感じで。



あ、そういえば、UA5000、お気に入り50件突破ありがとうございます。
記念と言っては何ですが、頭を使わなくても読めるようなイチャイチャ回というか、そういうものを書きたいと思っています。
もしよければ、活動報告の方にリクボックスを置いておくので、書いていただけると幸いです。
リクエストボックス→ https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=270470&uid=220152

正直、ライブレポート。読んでてどう感じた?

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