東方光巨人〜夕映えの戦士が幻想入り〜   作:ナウディ

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10月だっていうのにウルトラ暑いですね…それでは後編です。


第2話〜月の友人〜後編

  

 

 

  〜永遠亭〜

 

「それともこう呼んだ方が良いかしら…『ウルトラマンジャック』」

 

 

 そう問われた瞬間、郷の左腕が金色に輝き右手をかける。それを見た永琳の反応は意外な物だった。

 

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい……!全く光の戦士というのも案外せっかちなのね」

 

 

「え……?」

 

 慌てた様子の彼女に郷はさらに疑問符を浮かべる。

 

「とにかく落ち着いて頂戴。私は決して貴方の敵ではないわ」

 

「では永琳、君は一体何者なんだ?」

 

「信じられないかもしれないけど・・・・私の正体は月人よ」

 

 それを聞いた郷の目が見開く。彼にとってそれは驚くに値する情報であったからだ。

 

「月人だって……⁈しかし月星人の文明は既に・・・」

 

「滅んだ。しかしそれは表の月の文明・・・そして今は冥王星で文明を新たに再建しているらしいわね」

 

「それなら…君は一体?」

 

「私は裏の月の人間なの」

 

「裏の月・・・?」

 

 味方を自称する永琳に郷はひとまず警戒を解き、話を聞くことにした。

 

「月の裏側・・・それも物理的な表裏ではなく結界を隔てた別世界。シンプルに例えるなら地球における幻想郷と外の世界の様な存在ね」

 

「そんな世界があったなんて……しかしなぜ俺がウルトラマンだと分かったんだ?」

 

 彼女が月人である事を理解した郷はもう一つの質問をぶつける。

 

「私の教え子の一人がね、報告してくれたのよ」

 

「君の教え子?」

 

「えぇ、裏の月の文明は幻想郷、ましてや外の世界の文明よりも高いテクノロジーを要する。大袈裟に言うならば地球防衛の要、メテオールの塊みたいなものね」

 

 メテオール、それは怪獣頻出期においてウルトラ戦士を含む地球以外の文明を起源とする兵器や戦略の総称。圧倒的な力を持つ一方不安要素も多く、地球防衛隊では使用を厳しく制限されてきた。

 

「それでもウルトラの星は私たち月人からしてもオーバーテクノロジーが過ぎるのだけどね…」

 

 乾いた目で苦笑する永琳に郷はなんと声をかけるか迷った。

 

「まぁ話を戻すわね…数日前、月の都で表の月から微弱なマイナスエネルギーが観測されたの。貴方もそれを察知して太陽系まで調査に来たのでしょう?」

 

「あぁ、俺はそこで改造ベムスターと戦い…」

 

「怪獣の自爆を阻止する為に地球に飛来した…私が報告を受けていたのはそこまで。だけどまさか幻想郷に来ていたなんてね」

 

 ここで郷は自分の正体、ましてや地球人が知らない『ジャック』の名を永琳が知っていた事、そして彼女が味方だという事に合点が入った。

 

「しかしどうして幻想郷に来たのか分らずじまいだ・・」

 

「…でも心当たりはあるんでしょう?」

 

「あぁ、候補の一人はこの世界の賢者八雲紫・・・そしてもう一人・・一人という表現はおかしいか。そいつの正体は…」

 

 郷が深いため息をつく。そして意を決して答えた

 

「……異次元人ヤプール」

 

 その言葉を聞いた瞬間、永琳の顔が不快そうに歪む。

 

「ヤプール…私としても…いえ、おそらく生あるもの達全てが忌み嫌う存在ね」

 

 どうやら月の都でもヤツの存在は良しとしないものらしい。永琳もまた深いため息をついた。

 

「でも月の都で噂になってるのは貴方たちも同じよ」

 

「え・・・?」

 

「そうねぇ…ウドンゲ、聞いていたんでしょう?入ってらっしゃいな」

 

「は、はひぃぃ!」

 

 永琳が診察室のドアに向かって呼びかけると、兎の耳をした一人の少女が可愛らしい声と共に入ってきた。

 

「わ・・・わわわ私は鈴仙・優曇華院・イナバとも、もも申しますぅ!?ほ、本日はお日柄もよくぅ!」

 

「と、とにかく落ち着いてくれ…」

 

 鈴仙と名乗った少女に困惑しながらも郷は宥めた。

 

「ごめんなさいねジャック。この子ウルトラ戦士本人に会うのは初めてだから」

 

 永琳がおかしそうにクスクスと笑う。彼自身もウルトラマンとして初めての出来事であった。

 

「月で俺たちは一体どう思われてるんだ…」

 

「そうねぇ、最初は皆ちょくちょく地球にやって来るお人好し集団としか観てなかったんだけどね。ことの発端は34年前の事だったかしら」

 

「34年前・・・?いや、あの時俺たちは・・・!」

 

 34年前の出来事、それは彼らウルトラ兄弟にとって忘れられない記憶。

 

「そう、表の月での激闘・・・・Uキラーザウルスと呼ばれる究極超獣と貴方を含めウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンエースの4人は戦いを繰り広げていた」

 

「そうだ…あの時俺たち兄弟は自身が持つほぼ全てのエネルギーを使い奴を神戸の海へ封印した」

 

 あれはジャックたちにとって絶対に勝たなければならない戦いでたった。ほぼ全てのエネルギーを使った事で再び地球人としての生活を余儀なくされた彼らであったが、その時の生活の思い出、再び愛する人達と過ごす日々は彼らにとって幸せなものだった。

 

「貴方たちは気づかなかったでしょうけど、実はその時月の都も危機に陥っていたのよ」

 

「月の都が?」

 

「えぇ、究極超獣の持つ強大すぎた力のせいで裏の月の結界が破壊されかけたの」

 

「奴のパワーはそこまで強大なものだったのか・・・」

 

 確かにと思った。ジャックにとってもUキラーザウルスは今まで戦ったどんな敵よりも強いと感じる程だったのだ。

 

「し、しかし皆さんはその究極超獣すらも退けました!意図したものでは無かったと思いますが、今の月の都で皆さんはこう呼ばれています!」

 

 永琳との会話に緊張気味ながらも興奮した鈴仙が声を上げる。

 

「『異形の悪魔の退けた四人の勇者』・・・!それがウルトラ四兄弟の皆さんの諱です!」

 

 地球人でも自分たちを勇者と称してくれる人たちは多かったが、いつ聞いてもそれは照れると郷は頬をかく。

 

「その勇者の一人、ウルトラマンジャックさんに会えるなんて!」

 

「まぁウドンゲが一番好きなのはエースなんだけどね」

 

「し、師匠⁈」

 

 そんな漫才を見ながら不思議と笑みが溢れる。

 

「彼は表の月とはいえ、月の文明を滅ぼしたルナチクスを2度も倒しているからね。ウドンゲが惚れ込む理由も分からなくもないけど…」

 

「それにウルトラ兄弟ナンバーワンの光線の名手・・・あぁ、一度お会いしてみたい・・・」

 

「そこまで言われるとなんとか引き合わせてあげたいが・・・」

 

 

 エースの事だ、兄弟がピンチの際は真っ先に助けようとする熱血漢。アイツもこの世界をきっと気にいるだろう。

 

「あぁ、それと命蓮寺の皆には俺の正体は言っていない。だから公の場では・・・」

 

「地球人『郷秀樹』。分かっているわ」

 

「はい!自分も了解致しました!」

 

 そう言ってビシッと敬礼をしてみせる鈴仙に、まるで宇宙警備隊のルーキーみたいだと郷は思った。

ウルトラマンと月人。幻想の地で盟約が交わされた直後ドタドタと足音が響く。

 

「ご、郷さん!大変です!大変なんです!」

 

 強引に開けられた扉の先に顔面蒼白の星が立っていた。

 

「星、まだ視察中よ。一体どうし「空が!空が割れたんです!」・・・⁈」

 

 その言葉を聞いた瞬間、郷が永遠亭から飛び出す。遅れて永琳と鈴仙、星も外に出た。

 

「なんだい…ありゃぁ…?」

 

 

 そこに立っていたもう一人の兎の妖怪「因幡てゐ」が呟く。全員が空を見ると青い空にどんどんひび割れて赤くなった空間が広がる。

 

「ほ、ホントに…空が割れて…!」

 

「……!皆、来るぞ!!」

 

 郷の声と共に黒い塊が落ちて来る。土煙をあげながら飛来した巨獣の背中には大きな翼が生えており、目にあたる部分はむしろレーダーを彷彿とされる物。そして歪にはえる角を持っていた。

 

「アーストロンで終わりだとは思っていなかったが、やはりヤツが絡んでいたか!」

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■──ーッ!!!!』

 

 

 

 

  

 

 

 

 古代超獣カメレキング

 

 ついに異次元人の魔の手が伸びる。空からやってきた大超獣が雄叫びをあげた。

 

「やはり郷…貴方の言った通りになったわね」

 

「杞憂であって欲しかったが…」

 

 苦い顔をする郷を守るように星が超獣の前へ躍りだす。

 

「よせ星!そいつはアーストロンの比じゃない!退くんだ!」

 

「いえ退きません!貴方の付き添いとして私が来たんです!何があろうと貴方をお守りするのが私の役目!」

 

 そう言って懐からスペルカードを取り出し宣言。

 

 

 光符「アブソリュートジャスティス」!!

 

 

 降り頻る光弾を避けることもせずカメレキングは羽を大きく羽ばたかせる。

 

 

  『■■■■■■■──ーッ!!!!』

 

 

「うわあああぁ⁈」

 

 巻き起こる突風に翻弄される星。それを見ていたてゐが独ずく。

 

「あれじゃあ天狗の比じゃないじゃないか!どうするのさ⁈」

 

「師匠!私も星さんの援護に行きます!私の能力ならある程度の足止めが出来るはずです!」

 

「ウドンゲ、貴女・・・!」

 

「それならアタシも行こうかな」

 

 突如と声をかけてきた人物に永琳は驚く。

 

「妹紅!来てくれたの?」

 

 そこに立つ白髪の少女は竹林の案内人「藤原妹紅」。彼女も異変を感じ取ってやって来たようだ。

 

「ホントは輝夜とドンパチやりたかったんだけどね…そこのお兄さん曰く昨日現れた奴より強いそうじゃないか。このままじゃヤバいんだろ?」

 

「そうなんだが…あれは怪獣じゃなくて超獣だ。連中は痛みを感じない兵器なんだ・・・スペルカードで勝てる相手じゃないぞ」

 

「だけどやるしかないんだろ?まぁ、任せてよ。そら、いくぞ鈴仙ちゃん!」

 

「ちゃんはいらない!」

 

 そう言って妹紅と鈴仙は星を救援すべくカメレキングに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

  幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)」!

 

  蓬莱「凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-」!

 

 

 二人のスペルカードが炸裂するもカメレキングは不気味な目で二人を見据えるだけだった。

 

「あんまり効いてないっぽいな・・・」

 

「さっき郷さんが言ってたでしょ!超獣は生物兵器!本来なら生物が持ち合わせる痛みを持ち合わせてない。だから恐れも知らない!」

 

 かつてウルトラマンエースが過激なまでに超獣への攻撃を止めない理由、超獣は痛みを感じず恐怖を覚えることのない兵器。故に完全に機能が停止するまで油断してはならないのだ。

 

(それを思うと、もしUキラーザウルスが月の都に入って来てたら…)

 

 おそらくかつての上司や、今を共に過ごす気の良い同胞達は全滅・・・そう考える鈴仙がゾッとする。

 

「考えてる暇はなさそうだぜ鈴仙ちゃん!攻撃の手を緩めるとこっちがダメになっちまう・・・!」

 

「だからちゃんじゃない…!」

 

 独ずくも鈴仙は弾幕を浴びせながらなんとか策を練る。

 

(考えろ考えろ…!どうすれば超獣にダメージを与えられる・・・一体どうすれば攻撃が通る!)

 

 どうしても良い策が出ない…内心焦りに焦る鈴仙の元に……

 

『鈴仙……鈴仙…!』

 

 

 

 

 声が響いた。

 

「え…?…ジャっ……郷さん⁈」

 

『答えなくていい…ただ聞いてほしいんだ』

 

 テレパシーで郷が鈴仙に呼びかけていたのだ。その声にただ鈴仙は耳を傾ける。

 

『先ほど言ったように超獣は痛みを感じない…しかし、それは奴らの長所であると同時に弱点でもあるんだ』

 

(長所であり…弱点??)

 

『痛覚がない…それは滅多なことがないと自身のダメージを認識できないんだ』

 

(……そうか!ダメージを認識できないからこそ弱点を突かれたら案外脆い…だからエースさんは多くのギロチン技を!)

 

 鈴仙の推測は当たっていた。痛みを感じないからこそのエースが訓練の末に鍛えに鍛えたギロチン技。それは的確に超獣の首を跳ねる、真っ二つにするなど生物兵器と名のつく以上、生命活動の停止をさせる最も効率の良い方法であった。

 

(光線技のエキスパートだからできたエースさんのスキル・・・それは私一人では無理・・・!)

 

 郷の助言を受けても打開策を見いだせない鈴仙であったが・・・

 

「その様子だと…何か糸口を掴んだようですね」

 

「星さん!」

 

「なんだ?何か突破口があるのかよ?」

 

 戦線へと復帰した星と妹紅が鈴仙の隣へと並び立つ。

 

「私一人で無理なら…二人とも、お願いがあるの!」

 

「お、お願いですか…?」

 

 星が不安そうに尋ねた。

 

「二人の持つ波長を……私に委ねてほしいの!

 

「そりゃあ・・・一体?」

 

 妹紅もまた弾幕を止めずに鈴仙の言葉に耳を傾ける。

 

「私の能力は『狂気を操る程度の能力』それは物事の波長を変えるということ・・・・星さん。その持ってる槍って頑丈ですか?」

 

「仮にも私は毘沙門天代理。代理とはいえ、この槍も毘沙門天様の宝具と言っても良いでしょう」

 

「それなら先ずは大丈夫・・・」

 

 ホッと一安心した鈴仙は次に妹紅へ向き直って

 

「妹紅、今から私たち三人の妖力を波長へ変換し槍に流し込む…この中で爆発的なパワーは貴女が一番だからありったけでやってもらうことになると思う。私たち全員に言えた事なんだけどもね、力もほぼ全て消耗すると思うけど……それでもやってくれる?」

 

 心配そうに彼女へ尋ねて見せたが・・・

 

「何言ってんの。アタシは不老不死だぜ?あのデカブツ倒せるなら・・・・この身体だって吹き飛ばしてやるさ!」

 

「ありがとう…」

 

 いつも通り笑ってみせる妹紅に鈴仙は感謝した。

 

「それじゃあ…行くわよ!」

 

 突如として鈴仙の目が赤く光る。鈴仙と妹紅の身体が光だし、そのまま星の身体へと注ぎ込まれる。その星の身体もまた光だし自身の持つ槍へと注がれて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「膨大なエネルギーが槍へと注がれていく…彼女達は一体何を?」

 

「鈴仙……」

 

 郷とてゐ、そして永琳が見守る中、それは起こった。

 

 

 

 

 

  ボウウウウウ!!!!!!

 

 

 

 

 激しい轟音と共に槍先から激しい火柱が立ち昇る。

 

 

 

 

 『■■■■■■■ーッ!!??』

 

 

 その光景を見た誰もが驚く。それはカメレキングすらも進撃を止める程の光景であった。そしてその火柱は今もなお激しく燃え盛りながらも、一つの形を形成する。

 

「あれって……長刀?」

 

(いや、あれは…)

 

 

 

 てゐは未だ困惑していたが、郷はそこで理解する。

 

 

「妹紅の炎と私の波長を操る力・・・そして毘沙門天の宝具・・・・そこに私たちのありったけのパワーを集めて創りあげたこの武器・・・・名付けて!!」

 

 

 

 

 

 

「 「 「 三 位 創 贋『エ ー ス  ブ レ ー ド』!!! 」 」 」

 

 

 

 

 

 エースを憧れにもつ彼女だからのアイディアだろう。巨大な炎の刃はそのままカメレキングに振り下ろされる。

 

 

 

『■■■■■■■──ーッ!!!!』

 

 

振り下ろされた一撃をカメレキングは咄嗟に躱すも、自身の片翼が身体と切り離された。

 

 

 

「ぐっ・・・うぅ」

 

 そのまま胴体に決まっていれば勝負は決したであろう自分たちの切り札が躱されてしまった。鈴仙は未だ戦意を失っていなかったが、もはや戦う気力が残っていない。それは星や妹紅とて同じであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 

 その光景を見ていた郷が決意する。彼女達は全力を尽くし強大な敵と戦った。次は自分の番だと・・・・

 

「郷・・・・・・行くのね?」

 

「永琳・・・あぁ。この世界の住人が全力で立ち向かっている・・・力を使い果たした今もなお・・・・それなら次は俺の・・・・私の番だ」

 

「そう……てゐ!」

 

「わ、わぁ⁈急に大声出さないでよ!」

 

 驚くてゐに構う事なく永琳は続ける。

 

「これから起こる事・・・貴女、他言無用と約束できる?」

 

「他言無用・・・?なんのことさお師匠?」

 

「そうねぇ・・・もし破ろうものなら、私の治験よりも酷い目に遭ってもらうわ」

 

 そう宣言する永琳にてゐの顔は顔面蒼白になる。

 

「ヒィ⁈するする!他言無用、約束するよぉ!」

 

(彼女の治験とはそこまで酷いものなのか・・・)

 

 泣きべそのてゐを見て郷も少しゾッとした。一体何をされるんだろうと・・・

 

「よろしい……それじゃぁ郷」

 

 彼女が一呼吸をいた後

 

「どうか気をつけて…」

 

 そう優しく郷に言った。

 

「……あぁ!」

 

 

 郷が一歩前へ出て右手を掲げる。その瞬間・・・・・・

 

 

 竹林に光が広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────ー

 

 

 

 

   『ジェアァ!!』

 

 

 

  『■■■■■■■──ーッ!!??』

 

 

 鈴仙達に止めを刺そうと歩み寄る超獣の身体が吹き飛ばされ、何者かが三人を優しく両手でキャッチした。

 

 

「うぅ・・・・あ、あなたは・・・!」

 

 ヘトヘトで力も入らない星が目を開けた先に居たのは

 

「・・・・ウルトラマン!」

 

 

 

 人里を救った神秘の巨人。迫りくる超獣を前に帰ってきてくれた事を彼女はとても嬉しく思った。

 

 

『超獣を相手によく頑張ってくれた・・・安心してくれ。奴の相手は私がする』

 

「へ・・・・⁈は、はい!」

 

 

 ジャックは三人をそっと永琳たちの元へ下ろし再びカメレキングヘ向かい合う。そんな勇姿を見て妹紅が一言

 

「アイツ・・・しゃべれたんだ・・・・・後は・・・頼んだぜ、ウルトラマン・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■──ーッ!!!!』

 

 

 

 

  『ヘヤァ!!』

 

 激突する両者であったがその光景は圧倒出来にジャックが有利で進んでいた。

 

(油断するつもりはないが、先程の一撃で奴のアドバンテージは大きく失われた!それなら一気に畳み掛ける!)

 

 

 『ダアァァ!!』

 

 

 ジャックがカメレキングに背負い投げをかます。フラフラと立ち上がりうとする相手の隙を逃すまいと、中へと飛び上がる

 

 

 『シェアァ!!』

 

 

 

 

 彼の得意技、ウルトラスピンキックがカメレキング目掛けて放たれる。

 

 

 

 『■■■■■■■ッ!!!!』

 

 

 『ジェァ・・・⁈』

 

 

 しかしその一撃は当たることがなかった。突如としてカメレキングが消えたのだ!

 

「な・・・・超獣が・・・消えた⁈」

 

 

 皆が驚く。当たりを見回すジャック、しかしカメレキングの姿はどこにもなかった。

 

(そんな・・・奴は一体どこへ・・・・・)

 

 

 困惑するジャックであったが・・・   

 

 

 

 『グアァァ⁈』

 

 突如ジャックの背中が爆発する。なんとか倒れることなく後ろを見るとそこには大きく口を開けたカメレキングがいた。

 

 

 『シェアァ・・・・・グゥ⁈』

 

 

 なんとか逃すまいと駆け出したジャックであったが、今度は足元に痛みが走る。そして今度は地面が爆発した。

 

 

「ウルトラマン⁈」

 

「なんだありゃあ・・・マキビシ・・・?」

 

 

 爆発した先には無数に刺状の物体があった。ダメージでジャックが片膝をつく。それを見たカメレキングは何かをジャックに投げつける。

 

 

『グ…⁈』

 

 なんとか躱したジャックがいた場所には、また六方の刃物が刺さっている。

 

「今度は手裏剣⁈アイツ一体いくつ武器を・・・」

 

 

 次々と投げられる手裏剣。それをなんとか躱していくジャックの脳裏に一つの考察がされる。

 

(クっ・・・これはカメレキングが持っていた能力ではない・・・先ほどのロケット弾やマキビシ・・・この能力は・・・忍者超獣ガマスのものだ!)

 

 

 

 忍者超獣ガマス

かつてヤプールが創り出した超獣の中で最も多くの武器を備えた超獣。忍者超獣の名の通り、手裏剣やマキビシ、槍などの沢山の武器を備え、エースを大いに苦しめた強敵だ。

 

 

 

 

   ピコン…

 

 

 

 

              ピコン…

 

 

  突如として竹林に警告音の様な音が鳴り響く。突然発せられた方向に皆が目をやると、その発生源はウルトラマンジャックの胸元からであった。

 

 

「な、何ですかあれ・・・」

 

「おいおい大丈夫かよ⁈さっきまで青だったのがピコピコいってんぞ⁈」

 

 星と妹紅が心配する中で永琳が口を開く。

 

「あれはカラータイマー…ウルトラマンのエネルギーが残り少なくなると青から赤に変わり点滅を開始するの。まずいわね…彼に残された時間は少ないわ」

 

「・・じゃあもしあの点滅もなくなったら・・・」

 

「ウルトラマンは二度と立ち上がることが出来ない・・・」

 

 永琳の回答に皆の顔が青くなる。

 

「そんな・・・・ウルトラマン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『グゥ……』 

 

 

 赤くなったカラータイマーを見て好機とカメレキングが槍を持ち出す。そのまま槍先をウルトラマン へと向けて突進する。

 

 

『■■■■■■■ッ!!!!』

 

 

「だめ・・・ウルトラマン!逃げてください!」

 

 

 

 星が必死に叫ぶが、もう遅い。カメレキングが雄叫びを上げる。まるで『死ね、ウルトラマンジャック』とでもいうかの様に。もうダメかと思われた瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『■■■■■■■──ーッ!!??』

 

 

 カメレキングが驚愕の声を上げる。決して奴が持っていた槍がジャックを貫くことはなかった。

 

『ジェアァ!!』

 

もうダメだと目を閉じていた星だがジャックの掛け声と共に目を開く。そこには超獣の槍を防ぐもう一対の槍があった。

 

「あれは・・・・ウルトラブレスレット!」

 

「ウルトラブレスレット?」

 

 興奮気味に声をあげた鈴仙に妹紅が問いかける。

 

「かつて彼の兄から授けられた万能武器。それは彼の戦いの中で多くの怪獣を葬ってきたスーパーアイテムなんです!」

 

「そういや確かに・・・さっっきまで左腕に着いてた輪っかがないな。あれが武器になったってことか!」

 

 

 兄セブンより与えられた万能武器。ここ一番でのトドメはスペシウム光線に譲るものの、今まで多くの窮地を救ってきた神秘のアイテム。

 

 

 

 

 

『ヘヤァ!!』

 

『■■■■ッ!!??』

 

 

 ジャックの槍『ウルトラランス』がカメレキングの槍を弾き飛ばす。ここまで多くの武器を携えたカメレキングであったが、大きな誤算があった。それは戦っている相手、ウルトラマンジャックが『ウルトラ兄弟随一の武器の達人』である事を失念していた事だろう。

 

 

『■■■■■■■──ーッ!!??』

 

 

 最大の武器を失ったカメレキングが再び透明になり姿を隠す。

 

(また姿を消したとしても、同じては喰らわないぞ!)

 

 ジャックの目から光が放たれる。放たれた光『透視光線』は超獣の姿を映し出した。

 

 

『ジェアァ!!』

 

 今こそトドメだ。右手に持っていたウルトラランスがみるみる小さくなり、ジャックは短くなった武器をカメレキングヘと投げつける。

 

 

 

『■■■…■■■■……ッ!!??』

 

 

 

 放たれた光の刃『ウルトラスパーク』はカメレキングの残された翼、両腕、首を切断する。ついに目の前の生物兵器は動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

「や・・・・やったああああ!!!」

 

「くっそ・・・ヒヤヒヤさせやがって」

 

「ウルトラマン・・・よかった」

 

 恐るべき侵略兵器に立ち向かった三人の少女が喜ぶ。恐るべき敵であったが、再び勝利を掴んだ事をジャックも安堵した。

 

 

 

 

 

 

『ジェアァ!!』

 

 

永遠亭の皆に頷いた後、ジャックは大空へ飛び立つ。それはひび割れた空間のない澄み切った青い空だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

 星達にバレない様に返信を解除し永遠亭の居間に立つ郷。流石に強化改造された超獣との戦いは辛かったのか、肩で息をしていた。

 

 

「あらら、大変だったみたいね」

 

 ふわりと柔らかい声が響く。郷が見やるとそこには黒い髪の美しい少女が立っていた。

 

「え…あ、勝手にすまない…俺は」

 

「いいのいいの、全部見てたんだから」

 

 少女の言葉に郷が驚いた。

 

 

「私の名前は蓬莱山輝夜。ようこそ、外の世界の勇者さん♪」

 

「蓬莱山・・・輝夜」

 

 疲労で頭が回らない郷に輝夜は答える。

 

「外の世界の人にはかぐや姫って言った方がわかりやすいかしら」

 

「え・・っ、かぐや姫って存在してたのか?」

 

「ふふ、外の世界の人ってみんな同じ反応するのね!それにしても・・・」

 

 輝夜の表情が変わった。

 

「ヤプールの暗躍・・・・どうやら幻想郷に危機が迫ってるらしいわね」

 

「そうか・・君も月人だからヤプールの存在を知っているのか」

 

「えぇ…でも助かったわ。まさかウルトラ兄弟が来てくれるなんて思ってなかったもの!」

 

 ニコニコと微笑む輝夜に郷がハッとして一つの質問を投げかける。

 

「そうだ輝夜、一つ聞きたいことが・・・」

 

 郷が言い終わる前に輝夜は手で制した。

 

「待って、当ててみせるわ・・・・多分あなたが聞きたいのは南夕子の事でしょう?」

 

「っ⁈」

 

「あら、図星って顔ね」

 

 わかりやすく表情に出してしまった郷に輝夜は微笑んでみせる。

 

「南夕子は裏の月の存在を知らなかった。故に月の都を彼女が訪ねて来たことはないわ」

 

「そうか・・・」

 

 もし夕子が月の都を知っていたなら弟に知らせてやりたかったと、郷は残念そうな顔をする。

 

「弟さん想いなのね」

 

「アイツは…エースは夕子を妹の様に可愛がってたからな…」

 

「そう…何はともあれ、ありがとう。妖怪の賢者ではないけど、幻想郷はあなたを歓迎するわ」

 

 

 そう言って彼女はパンと両手を叩く。

 

「さて、しんみりしたお話はここまで!そろそろ永琳達も戻ってくるでしょうからお昼にしましょう!」

 

 

 そういえば戦いの後で空腹だったと郷が笑う。やがて戻って来た永琳達と共に昼食にするが、星に「永遠亭のお姫様に何かされませんでしたか⁈」と問い詰められたのはまた別のお話・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  〜次回予告〜

 

 

 スペルカードでは侵略者に対抗できないと思案する郷は、ひょんな事から河童の妖怪『河城にとり』と出会う。

オーパーツを見つけたと興奮する彼女と共に妖怪の山の麓まで行った郷が発見した物は意外なものだった。

 

 

 

   

 

 

 

                 次回   第3話〜懐かしの翼〜

 

 

 

 




如何でしたでしょうか。
幻想郷侵略超獣第一号はカメレキングにしました。
なんとなく個人的にはかっこいいと思った超獣なんですけど、あっさりやられちゃいましたからね。
おそらくジャック兄さんと当たってもあっさり負けちゃいそうな気がしたので、ガマスの能力を付けてみました。

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