東方光巨人〜夕映えの戦士が幻想入り〜   作:ナウディ

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レグロスさん、ゼットさんの10倍は頼もしそうなビジュアルしてますね。

では第3話です。


第3話 〜懐かしの翼〜前編

 〜光の国〜

 

 ここは宇宙守護の要『宇宙警備隊本部』のとある一室。デスクに広げられたデータを一人の男が見つめる。

 

「ゾフィー兄さん、ただいま帰還しました」

 

「入って来てくれ」

 

 彼の名はゾフィー。宇宙警備隊の隊長であり、その隊屈指の精鋭部隊『ウルトラ兄弟』の長男でもある優れた戦士だ。

 

「それで、結果はどうだったメビウス?」

 

 そしてそんなゾフィーに向かい立っている若き戦士の名は『メビウス』。かつてルーキーとして地球防衛の任についた彼も、多くの戦いを経てすっかり戦士の面構えに成長していたが、今はその表情はどこか優れない。

 

「ダメです。何度か太陽系を周ってみたのですが、どこにもジャック兄さんの形跡が…」

 

「なかった…か」

 

 ゾフィーがため息をつく。

 

 ウルトラマンジャックの失踪・・・・・ウルトラ兄弟の一人が欠けたという事実を何処にも漏らすまいと、ウルトラの父の指令の元、パワードやグレートといった他の戦士には知らせず、兄弟達だけでジャックの所在を捜索していた。それでもウルトラ兄弟の誰もがジャックを見つけられずにいた。

 

「ジャック兄さんの失踪以降…僕の前にエース兄さんが月面を調べた時は戦闘の痕跡があって、そこから微弱なエネルギー波が地球まで続いていたらしいんです」

 

「君が調べた時はどうだった?」

 

 ゾフィーの問いにメビウスが答える。

 

「はい、確かに月面での戦闘の痕跡がありましたが、エネルギーの方は感じ取れませんでした。おそらく離散してしまったのでしょう。兄さんが地球にいるかもと思ってテレパシーで呼びかけてもみましたが…」

 

「返事はなしか…ジャックの事だから大事はないと信じたいが…」

 

 深刻な空間が続く。

 

「この情報はウルトラの父とウルトラの母、そして一人を除いて我々兄弟だけの物だ・・・・誰にも悟られない様タロウには継続して筆頭教官の任にあたってもらっている。君もくれぐれ気をつけてくれ」

 

「はい!しかし、どうしてあの人には連絡をしないのですか?」

 

「彼が休暇届けが受理させて旅立ったのはジャックが太陽系の調査へ向かう直前だったからな。今からウルトラサインを使ってしまうと他の隊員に知られるかもしれない…それだけは避けなければ」

 

「そうでしたか…しかし。今何処で何をしているのでしょう?」

 

 そう質問するメビウスであったが

 

「それは私にも分からんよ・・・なんせ彼の行き先は誰も知らない()()()()()なんだから」

 

 ゾフィーは苦笑してみせた。

 

「はぁ・・・・・しかしジャック…彼が無事だと良いんだが」

 

「きっと無事なはずです。あの強い精神を持つジャック兄さんに万が一なんて事はありません!」

 

「メビウス……そうか、そうだな」

 

 

 二人は想う。きっとジャックは無事だろうと…それは小さな一室で語られた宇宙最強の兄弟の会話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

「えっほ…えっほ…えっほ…」

 

 昼の食事時がすんだ幻想郷を駆ける男が一人、里の中心部についたところで一ゆっくりとペースを落とし深呼吸をする。

 

「…すぅ〜……はぁ…」

 

「お疲れ様です!精が出ますね!」

 

 男に向かって少女「本居小鈴」が声をかける。男は小鈴へ振り向くとニッコリと笑ってみせた。

 

「やぁ子鈴ちゃんじゃないか!元気かい?」

 

「はい!郷さんも元気そうで何よりです!」

 

 男の正体は郷。今日この頃は聖の読経の邪魔をしては悪いと、人里をランニングするのが郷の日課だ。

 

「すごいスタミナですね!今日も里の端から端を行ったり来たり…私ならすぐバテちゃいます…」

 

「身体を動かすのが好きでね…小鈴ちゃんもたまにはどうだい?一緒にランニングでも?」

 

「おや、郷さん幻想郷に来てまだ日も浅いのに小鈴ちゃんにナンパかい?かぁ〜憎いねえ!」

 

「も、もう!おじさん!」

 

「小間物屋さん…そんなんじゃないですよ」

 

 実際に郷がこの幻想郷に来てからというもの、里の人たちにはすぐに受け入れられた。理由は命蓮寺の客人であるという身分は勿論、明るく誠実で、困っている人を見ると助けようとする郷の人の良さは里人からも好まれている。

 

「小鈴ちゃんも気をつけたほうがいいぜ?なんせ郷さん男前だからな…命蓮寺のお弟子さん達も狙ってるかもしれねぇ…うかうかしてたら…」

 

「だーかーらー!そんなんじゃないんですってばー!」

 

「ははは……」

 

 

 そんな昼時の漫才の最中、怒号が飛び交う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェ!盗んだもんだしやがれ!」

 

 

 皆が振り向くと里人の一人の男が少女の腕を握っていた。

 

「も、もう食べちゃった物は出ないってばぁ!」

 

「俺の店のもん食っといてなんだその態度は!!」

 

「おい八百屋の、どうしてぇ?そんな血相変えてよ」

 

 知り合いである小間物屋が声をかける。

 

「そんなのん見りゃわかるだろ小間物屋の!この河童だよ!こいつ、ウチの店のきゅうりただ喰いしやがったんだ!」

 

 と言って指を差す。どうやら河童と呼ばれた少女がキュウリを代金も支払わずに食べてしまったことが原因らしい。

 

「出来心だったんだよ!里を歩いてたらふと美味しそうなきゅうりが目の前にあって……ほら、アタシは言われた通り河童だろ?河童がキュウリに目がないって言うのは世の心理じゃないか!それで気がついたらふとキュウリに手がいって…」

 

「それでも持ち合わせもなしに食う奴があるか!」

 

 それならば八百屋の意見は正しいと郷は思った。食べたいものを手に入れるためには通貨を支払わなければならない。そのルールは幻想郷や外の世界は勿論、ウルトラの星でも一般常識だ。

 

「そりゃあ嬢ちゃん、八百屋の親父が正しいぜ」

 

 小間物屋も同意見の様で、少女を諫める。

 

「おうともさ!さぁついて来な!慧音先生の所までしょっ引いてやる!」

 

 

「ヒュイィ⁈お願いだよ!お金なら今日中に払うから!」

 

「問答無用!ほらさっさと歩きやがれ!」

 

 泣きべその少女と八百屋の間に割って入る様に郷が声をかけた。

 

「まぁまぁ、八百屋さん。食べられてしまったキュウリは一本なんだろ?ここは俺の顔に免じて許してやったらどうだい?」

 

「郷さん!いくらアンタが命蓮寺の客人でも里には里のルールってのがあるんだ!邪魔しないでくれ!」

 

 怒りを鎮めない八百屋に対して郷は続けた。

 

「ものは考えようさ…ねぇ君」

 

「ヒュイ⁈あ、アタシ?」

 

「君が懐事情さえ忘れてしまうほどに美味しそうに見えたキュウリ、実際にはどうだったんだい?」

 

「そりゃ、美味かったさ!こんなに絶品のキュウリを食べたのは久しぶりだよ!」

 

「お、おうそうさ!キュウリだけじゃねえ、ウチの野菜は丹精込めて作り上げた上物さね!」

 

 自身の店のキュウリを褒められたことで、八百屋思わず饒舌になる。

 

「こう考えてみないかい?少なくとも八百屋さんの作ったキュウリを、それに目がない河童の少女が絶賛したんだ。それだけでも八百屋さんの店にも箔がつくってものじゃないか」

 

「そりゃあ、言われてみりゃあ…」

 

「そうだな…じゃあこうしようか。彼女が食べた分は俺がもとう。それにもう一本俺にもキュウリを売ってくれないか?キュウリ好きの河童が絶賛したんだ。俺も食べたくなって来た」

 

 郷はそういって懐から財布を出すと自身と少女の二人分の代金を八百屋に渡した。

 

「良いのかい?まぁこちらとしても金さえ払ってくれりゃあ文句はねえけどよ…」

 

「ハハハ!八百屋の、郷さんに上手く言いくるめられたな!そうさな、河童の嬢ちゃんが絶賛したキュウリ、俺にも一本くれよ!」

 

「あ、私もお願いします!」

 

「お、応とも!さぁキュウリ意外も良いのが揃ってるぜ!さぁ買った買った!」

 

 次々と八百屋にオーダーが入る。その間に郷と小鈴はにとりを連れ出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────ー

 

 

 

 

「いやぁ、助かったよお兄さん!」

 

「どういたしまして……と言いたいが、やはり店の商品を摘み食いは感心しないな」

 

「そうですよ『にとり』さん!ただでさえ妖怪である貴女が人里で迷惑をかけたら他の河童達にも迷惑がかかるのでは?」

 

 そうプンプンと怒る小鈴を前に、にとりと言われた少女が弁明する。

 

「いやぁ〜小鈴ちゃん。そこの兄さんが行ったじゃないか。これは本能だよ」

 

「そうやって誤魔化して……郷さんもなんとか言ってくださいよ!」

 

 小鈴は郷にも彼女を諫める様言うが…

 

「ふむ…そうだな、じゃぁ今度から買い物の代金くらいは持ってくるんだぞ」

 

「へ・・・?あ、あぁ……それだけかい?」

 

「あぁ、それだけだ」

 

 にとりはキョトンとした目で郷を見た。

 

「郷さん…どうして?」

 

「君達河童という種族は怪力だと聞いている。あれだけの人数なら力を振るって強引にその場から突破もしたはずだ」

 

「確かにアタシ達河童は人間よりもずっと力が強い…じゃぁなんでアタシを助けてくれたんだい?」

 

「……おそらく君は人間が好きなんだろ?」

 

「ヒュ、ヒュイ⁈」

 

 そう指摘されたニトリの顔が真っ赤になる。

 

「あぁいや、里にいる誰か個人という意味じゃなくて人間という種族が好きなんだろう……ウルトラマンと同じでね」

 

「ウルトラマンと同じ……?」

 

 ウルトラマンの名を聞いた小鈴の顔が輝く。

 

「あぁ、だから里の人たちを攻撃することは決してできなかった」

 

 郷は続ける。

 

「そして地球を愛し、そこに住む人たちを愛したからこそウルトラマンは戦い続けた。地球人もまたウルトラマンがいたからこそ共に戦い続けて来たんだ」

 

 郷は二人に向かいながら続ける。

 

「そして今、幻想郷は脅威にさらされている。だからこそ人間も妖怪も手を取り合うべきなんだ」

 

「え……どういうことなんですか郷さん??」

 

 小鈴は郷の言葉の真意を理解できなかったが・・・

 

「…ひょっとして先日の竹林襲撃の件かい?」

 

 突如にとりの表情が変わる。先ほどのおちゃらけた表情とは一変して。

 

「突如として空が割れ、そこから怪獣…早苗は超獣と言っていたかな。幻想郷にヤプール人がどうとか騒いでいたけど・・・」

 

「そこまで知っているなら話は早いな・・・」

 

 郷が切り出す。

 

「今この幻想郷を襲撃する怪獣や超獣を率いている黒幕・・・俺はヤプールだと考えている」

 

 

 郷は二人に語った。異次元人ヤプールという存在が多くの超獣を地球に放ちウルトラ兄弟と死闘を演じて来たこと。異次元人の脅威はどこからでも迫ってくること。それは人間の心の中も例外ではないことを・・・・

 

「そ・・そんな恐ろしい存在が迫っているだなんて・・・」

 

 小鈴は絶句した。自身の住う穏やかな世界にそんな脅威が迫っていることを考えたくもなかった。

 

「異次元人…確かに厄介な存在だね」

 

「あぁ・・・だがスペルカードルール…奴らに対しての効果があまりにも・・・」

 

「無力・・・確かにね、アンタのいう通りだ」

 

 にとりは表情をしかめる。確かにアーストロンやカメレキングといった侵略者達に幻想郷の住人の攻撃はほとんど功を奏さなかった。

 

「だからこそ…気持ちで負けて欲しくないんだ」

 

「気持ちで…ですか?」

 

「あぁ、奴らはどんな所からでも挑戦してくる。人間の心の中にさえも・・・だけどその心の奥底にこそ、一番の強さを秘めている…俺はそう信じたい」

 

「郷さん…」

 

 小鈴は郷を見つめる。彼女の目に映るのは確かに郷秀樹のはずなのだが、心のどこかで郷じゃない誰かと喋っているのではないか。彼女はそう感じずにはいられなかった。

 

「・・・・なぁお兄さん・・・いやさ、郷。ここまで聞いて一つ頼みがあるんだが」

 

「頼み・・・?」

 

 にとりの言葉に郷が首を傾げる。

 

「アンタが外の世界・・・それも怪獣やウルトラマン に詳しい見込んでアタシと一緒に妖怪の山の麓まで来て欲しいいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・それがどうしてこんなことになってるんですかー⁈」

 

「別に小鈴ちゃんに来いって言ったわけじゃないぞー?」

 

 今三人は空を飛んで・・・いや、この言い方は語弊があるだろう。今郷と小鈴はにとりのリュックサックから伸びるアームに吊るされて、妖怪の麓へ向かっていた。

 

「だって郷さん一人を連れて行ったら何をするか分かったもんじゃ・・・ヒィ⁈ちょっとスピード落としてくださいよー⁈」

 

「おぉ・・・こうやって幻想郷を眺めるのも新鮮だなぁ」

 

 二人の口論の中、郷はマイペースに幻想郷観光に勤しむ。空から見える古き良き日本の田園風景、それは郷の心を癒すのに十分であった。

 

「そういえばにとり、竹林での超獣襲撃の件、あれは新聞になってなかったけど、どうしてなんだい?」

 

「あぁそのことかい?実は深い事情があってねぇ」

 

 にとりは遠い目をしながら郷に語った。

 

「文がねぇ・・・あぁ文々。新聞の筆者の天狗さ。郷も読んだ事があるだろう?その新聞のために文も写真を撮ってウキウキで帰ったところ待ち構えていた守谷神社の巫女の早苗が有無を言わさずネガを全部燃やしまったんだよ」

 

「えぇ⁈確かにあの新聞はゴシップも多いですけど、そんないきなりネガを全部燃やすなんて・・・」

 

「いやぁ、あの時の文の表情は忘れられないねぇ・・・この世の絶望を全て見た様な顔してたから」

 

 あいつのジャーナリズムもズタズタに引き裂かれたろうな・・・とにとりは悲しい目で文と呼ばれる少女に同情した。

 

(・・・いや、おそらくその早苗と言う少女の行動は正しい)

 

 郷は内心冷や汗をかいた。奴に付与された忍者超獣ガマスの恐るべき能力。それは数多の武器ではなく自身が投影されたネガやフィルムに身を潜める処にあった。そんな超獣が複製され新聞として幻想郷にばら撒かれたら・・・・

 

(早苗という子に感謝しないとな・・・奴が幻想郷中で現れたらもはや俺一人でなんとかできない)

 

 内心ほっとする郷ににとりが投げかける。

 

「しかし超獣ねぇ・・・河童の超獣とかいなかったんだろうかねぇ」

 

「いや、いたぞ。河童超獣キングカッパーという奴がな」

 

「いたのかい!」

 

 にとりの目が輝いた。

 

「河童の超獣かぁ〜・・うんうん、さぞ強かったんだろうなぁ!」

 

「あぁ〜…いや、まぁ弱くはなかったが」

 

 キラキラと光る瞳のにとりに郷が申し訳なさそうにつぶやいた。

 

「最終的にエースに皿の水を抜かれ全身乾燥された挙句、縦半分に真っ二つにされたな」

 

「ウルトラ兄弟ってのは鬼かい⁈」

 

 超獣でありながらも同胞の河童の最後を聞いて、にとりはおろか小鈴も顔を真っ青にさせた。

 

「なんというか・・・その・・・思いっきりが良いですね・・・ハハ・・・」

 

「も、もうよそう・・・ほら、そろそろつくよ!」

 

 

 もうこの話をしたくないにとりは話を切り上げて地上へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────ー

 

 

 

「一応踏み込んでないとはいえ二人とも気をつけてくれよ。天狗の連中がうるさいからね」

 

「り、了解です…」

 

 少し歩くと言ったにとりの指示に従い郷と小鈴は声を殺して進む。

 

「しかしこんなところに一体何があるんでしょうか・・・?」

 

「分からない…にとりの言葉を信じるなら、怪獣達に対抗しうる存在らしいが…」

 

 訝しむ小鈴に郷は信じようと言って先をいくそこは鬱蒼とつたが生い茂った森林だった。

 

「ほら、ついたよ・・・これが目的のものさ。郷、何か分かるかい・・・・郷?」

 

 心配話するにとりの目には驚愕の表情を浮かべた郷の姿があった。

 

「そんな・・・どうしてコイツがここに・・・」

 

「郷さん・・・?」

 

 郷はつたに絡まるそれを触れた。それはかつて地球人として、怪獣攻撃隊MATの隊員として共に戦い続けた旧友と言っても良い存在・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

     

    「マットジャイロ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 そう呼ばれた翼は鈍い輝きをあげながらも、彼がここに来るのを待っていたかの様に鎮座し続けていた。

 

 

 

 

 




あついと思っていたらすぐに冷えて来ましたね・・・・
それでは次回、後編です。
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