そう言う彼女の目は何も捉えていないように見えた。
トレセン学園
「…グラス」
「はいトレーナーさん」スッ
「ありがと」
「…????」
「まさかあいつらテレパシーを…!?」
「そんな馬鹿な。それほど長い付き合いなんだろ…」
「それもそうか」
そうは言うものの。グラスワンダーとグラスワンダーのトレーナーは契約が決まってまだ一年半そこらだったはず…待て、今俺の頭の中をサイレンススズカが走り去ったぞ?と言うことは深く考えるなってことか。理解した
「トレーナー、アレも見ろよ」
「あれはカフェだな」
「私の友達さ」スルッ
「タキオン。なんでもいいが机の下から出るのは危ないぞ。頭打つから」
「そんなこと私がするわけないだろう…この通り。」
「チッ」
「面白くねー奴」
「なんでだ…!?」
「とにかく。カフェはアレだな。元から依存気質らしいからな…見て見ぬふりが一番ってわけだ」
「前私がカフェのトレーナーについて聞こうとしたら勢い良く振り向いて『私のトレーナーさんに何かする気ですか?』とか言ってきたよ」
「HAHAHA…HA?」
「んー無能」
「とにかく。今回はグラスワンダーに迫るお話だから。トレーナーに接近するぞ〜」
「きっと両思い…」
「トレーナーとウマ娘の結婚事例なんて珍しくねえからな」
「特にメジロ家ではな」
「あそこは強制婚だからな」
「え…?」
「あの子いたろ。ほら…ブライアンみたいな名前の子」
「あ、ああ。一応覚えている。あの…いつから貴様はメジロ家ではないと錯覚していた?と言う名言を放った…」
「合っているが合っていないことにしよう」
さて、どーのこーのしているうちにグラスワンダーとトレーナーが居なくなっていた。代わりにエルコンドルパサーと言う子が『グラスのお友達デース!』なんて言いながら出てきた。そもそもグラスワンダーのトレーナーにちょっかいかけるだけなんだがなぁ…
グラスワンダーのトレーナー室
「…レースが決まらない…!」
「上手くやってるか?」
「!?」
「驚くなよ。窓から出てきたくらいでさ」
「いやだってここ4階ですよ!?え、あれ、おかしいな…!?」
「ウマ娘に手伝ってもらった。胴上げって怖いな」
「胴上げでそんな格好良く来れたんですか」
「まぁね。でさ、レースのことに行き詰まりを感じてるトレーナーには休息が必要なんだ」
「はぁ」
「キャバクラ行かない?」
「…行きませんよ」
「どーして?」
「いや、前までは行ってましたよ。そりゃ男ですから…」
「その言い方だとグラスワンダーにツンツンされたんだな?」
「まぁ、はい。そうです。次の日グラスに『トレーナーさんはそう言うところに行くんですねぇ。担当のウマ娘を放って…』なんて言われたんですよ?」
「情報網の神かな」
「そう思いたいくらいですよ…でも次風俗行ったんですよ」
「お前最低だな」
「次の日グラスに短刀投げつけられて『…性欲にかまける猿にトレーナーをする資格はないと思いますが…』って言われたんです。そこから泣く泣く禁止ですよ。わかります?」
「やっぱ独占欲強えんだな。世の中怖えわ」
「しかもその時ついでと言わんばかりに『どうしたんですか?自分で自分の責任を取るのは怖いんですか?手が…震えてますよ?』なんて来たもんだから…」
「もう震えるしかねえじゃん」
その時、扉を誰かが叩いた。コンコン、誰〜?グラスワンダーです。え?って思った。馬鹿な。ゴルシとエルがグラスの足止めをしていたはず。その上タキオンがグラスの足止めに失敗したら連絡を…いつもとは違うルートで来たのか…!?
「ああ、少し待ってくれ…よし、それじゃあ今度の飲み会は金曜日って事ですね?」
「ん?…あ、まぁそうなるな」
「分かりました」
「確認します」ガチャッ
「オイオイオイ」
「待ってと言ったはずでは…!?」
「その飲み会…女性、居ますか…?」
「い、居ないです…」
「そうでしたか…それはよかったです。キャバクラの誘いなんて受けてませんものね?」
「!?」
「俺キャバクラとか苦手だしなぁ」
「そうでしたか。それはすみませんでした…念の為確認を取らせていただきますね?」
「え?」
そう言ってグラスワンダーはトレーナー室にあった本棚を動かしゴキブリホイホイらしきものを拾ったと思ったらペタペタ触り始めた。埃を取ってゴキブリホイホイから何かを取り出した。小さい物ではあった。だが、グラスワンダーの一言で俺たちは地獄へと落とされるのであった。
「…これ、盗聴器ですので♪」
「え」
「ち、ちょ、グラス!?なんで盗聴器なんか」
「トレーナーさんがまた性欲に身を任せる猿にならないかを知るためです。毎日夜回収してるんですよ?」
「…」
「はぁ…ま、頑張っ」ガシッ
「…もう一度聞きますよ。キャバクラなんて誘ってませんね?」
「あ…はい…誘いました…」
「フフ…それは…そうでしたかぁ…」
数時間後 食堂
「なあゴルシ。なんでお前足止め出来てなかったんだよ」
「アタシらが部屋に向かった時にはもう扉の前に居たぞ?」
「え」
「そうデース…」
「しかもこっちを見るなりニッコリとしてきて…私の連絡用のスマホが壊されてしまって…っ」グスッ
「…やべ、泣き出した」
そこからグラスには接触できなかったが、胴上げして部屋に入った時から居たのか…?キャバクラの話が出てきたとなると頃合いを見て突撃するつもりだったのか?それは今となってはわからない。いや、厳密に言うならば。知りたくない。それが一番正しい答えだろう。
「えぐっ、ひぐっ」
「…クリーク」
「任されましたぁ♡」
「いや、何。スマホ一つぐらい…問題は…」ウルッ
「切り替えが早いけど脳が追いついてないぞ」
「反射神経が鋭すぎデース!」
1番可哀想なのはグラスのトレーナーだなと思いました。まる