未定(どっかでみたことがあるような異能力モノ、よさげなタイトル募集中) 作:テセウス
あまり進まず世界観の説明が少し入ります
昼休み、校内中庭ーー
本日は日当たりもよく、葉桜揺らす心地よい風を浴びたかったので中庭の木陰に腰かけ、昼飯を頂くことにした
「いただきやーす」
手拭いの包みを開け、薄緑の弁当箱を開ける
本日の献立は俵握り二つと昨日の晩飯だった筑前煮とほうれん草の白和えである
「んー、煮物はやっぱ二日目だわなぁ」
昨日の時点で旨かった煮物だ、不味くなる訳じゃない
いや流石に夏場なら腐るかもしれねぇけど
「あっきらせんせ?」
「ん?何だ葵~?」
魔法によってキンキンに冷えたまま保存できる水筒から麦茶を呷りながら正面から近づく女生徒に応える
軍人養成の学校に通うにはごく一般的な、クセっ毛のある短い茶髪がよく似合う女生徒ーー綾ヶ瀬 葵は教本を携えていた
「さっきの授業で質問があるんですけど」
「あいあい。何処がわかんねぇんだ?」
「ここなんですけ、どーー」
「甘いわ、戯け」
教本を開き、下線を引いた部分を指差す
その隙に弁当の中のおかず、恐らくは筑前煮の鶏肉を摘まもうと死角になる教本の下から手を伸ばしていた
が、コイツが端から弁当狙いで近づいてきたのは予測してた
というかいつもの事だ
色々と訳あって安月給な為、たとえ可愛い可愛い自分の生徒であってもくれてやるおかずなんざない
ひょいっと自分の背に隠す
「お前にくれてやる飯はねぇ」
「それ一教師が生徒に言う台詞ですか?字面ひどくありません?」
知るか、というかそもそもお前作戦時におかず入りおにぎり差し入れしてんだろうが
と、口に出して言いたいところだが、生憎と作戦自体は表に出せなかったりするので公の場ーーましてや、未来ある学生が安寧に学ぶべき学舎においては黙りを決め込むしかない
我が国の兵は国連に登録されている兵の総数の中ではあまり多いとは言えない
それは米連や中華連盟など巨大国家による頭数、資源の差や英国騎士団、遠征騎士団などの実力派に霞んでいることが大きい
故に、実力を認められた十五歳を迎えた一部の学徒兵は教師随伴の元、戦場へ送り込まれるのだ
ん?未成年を戦場だなんて犬死させる気か、だって?
ハッハッハ、んな甘ったれた考えしてるヤツはそもそも士官学校なんざ来ないわ
確かに兵の母数は足りないし、軍の人間からすると新兵だろうが何だろうか喉から手が出る程欲しい
同時に戦う覚悟がある者を欲している
何せ、明日生きてるのかも分からん身だ
背中を預けるなら、戦う理由を持ってるヤツの方が信頼も出来る
と、話が逸れたな
そんな徴兵染みた制度の一環、それよりもかなり前から俺の部下として葵は着いてきてくれている
小憎たらしいが何処か嫌いになれない、そんな小娘で同じ師を持つ俺の妹弟子にあたる人物だ
「けちー」
「うっせ。ーーんで?本題は?」
教師の昼飯を邪魔してでも話しかけてくるんだ、何かあるんだろうなと思い聞き返してみる
すると彼女は花も恥じらうような眩しい笑顔で耳打ちしてきた
「現地の姫子せんせと『私』から。第一作戦終了してなんなら掃討完了したって」
「昨日の今日だろ?早すぎない?」
「なんか英国騎士の一人が「たまたま近くにいたから」とかで手を貸してくれたんだって」
「英国騎士……厄ネタの予感…」
金髪ツンツンヘアー、忌々しい不良少年が脳裏をよぎる
「大~正~解~。手ぇ貸してくれたのモーディ君らしいよ?」
「ぅげ、やっぱりか」
英国騎士
英国の最高軍事権、騎士団の配下を指す言葉だ
元々英国自体が日本と同じ島国なだけあって国連内での兵数は少ないのだが、我らが日本と比べそれぞれが高水準の性能を発揮させられる
故に世界規模での議案において強い発言権と影響力を持つ
日本?あるわけねーんだわ、これが
ここ数年で世界を揺るがしたある事件があり、首謀者が日本人だとわかってるから
なんで国連に日本が出てるか、英国と独国とで同盟を結んでいるから
日本「あほくさ、国連抜けるわ」
英国、独国「極東と同盟結んでるんでここにいる義理無し。自国の防衛にのみ努めまーす」
国連「イエローモンキーはともかくイギリスとドイツ抜けられると欧州方面の防衛戦に穴空くやん、死ねる」
結論、日本は世界から疎まれながらも国連に顔出さないといけないのだ
怨嗟と憎悪の視線とねちっこい皮肉を浴びてでも
話が逸れた、本題に戻ろう
「んで?むこうさんは何言ってきてんだ?」
「いっつもどーり。『実力の再確認として一騎討ちの手合わせを所望する』だって」
英国騎士の掟として「助けを求める者がいるなら迷わず手を貸す」というものがある
国の軍事力の誇示と同時に高潔さの証明にもなるからだ
そして助け終わった後、相手がそれなりの身なりであればなのだが常識の範疇で恩賞を所望する事があるらしい
ーーもっとも、アレの恩賞は非常識でしかないのだが
「あんにゃろ、分かってやりやがったな…」
「じゃなきゃあんなところに騎士がいるわけないもんねぇ」
「だよなぁ……やってらんねぇ…」
作戦の中身としては国内のとある無人島に蜂型スティーラーが出現、速やかに殲滅せよとのこと
少数部隊である俺達が駆除業者さながら殺虫団子をばら蒔いてハイ終了、なんて出来るハズもなく
手の空いていた直属の上司と葵の能力だけで先行して偵察、敵の行動パターンとカルト集団やある人物なんかが同行してるかの確認と巣を作ってた場合、位置の特定なんかをして戦力を測る、ここまでが第一作戦
俺らで手が足りそうにない場合はクラスから数人連れてカチコミ、速やかに殲滅するのが第二作戦だ
これをあの忌々しい英国騎士サマはーー失礼、脳筋野郎は力押ししたんだろう、アレにはそれだけの性能があるから
「しゃあねぇ、行くか」
いつも通りと葵が言うのなら、ご指名は間違いなく俺だろう
じゃないとわざわざ彼女伝手に恩賞の内容なんざ伝えないだろうし
「私もついてく。モーディくんの実力見たいし」
「おま…気楽だなぁ、代わるか?」
「やだ。魔法込みなら私もまだ勝ち目はあるけど技量の差で不安があるし、なによりモーディくんの為にならないし」
ニヤニヤと笑いながら放課後寄り道しよ、くらいの気軽さで語られて断られた
と、そこで五時限目の五分前予鈴が鳴る
今日のカリキュラムは終わっているのでゆっくり残りを食べ始める
周りからはこの教師は、みたいな視線が飛んで来るが気にすることなく
というか一々気にしてちゃ学園で教鞭を振るえやしない
「そいじゃ、放課後ね?」
「ん」
妹弟子を右手でシッシッと追い払いながら、俺はアレとの仮想対戦を脳内で繰り広げた
彼の数少ない部下、葵ちゃんです
言動は薄っぺらいが独特な間合いの取り方で何故か嫌われてない女の子です
次回は脳筋騎士と姫子さんの出番
早くバトルシーン書きたい