東方劣化伝   作:籠の中の鳥

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天才の女と馬鹿な男
第一生 その男 過去に行く


 

 掌からざらざらとした鈍い痛みを感じた。

 自分という存在を感じるとともに、地面に倒れていることに気がついた。

 手に力を込めて立ち上がろうとしたが、足に力を入れるのを忘れていたせいで、滑るような形で顔面を地面に打ち付けてしまった。

 

 とても痛い。

 特に鼻を最初に打ち付けてしまったせいで、その部分が焼けるような痛みを脳に送りつけている。

 

 ふと、そこで少し疑問が生じた。

 何故自分は痛みを感じているのだろうか?

 そこで自分がまだ眼を開いていなかったことに気付き、ゆっくりと暗闇の世界から脱出する。

 

 

 

 

 ――日の光がまぶしい

 眼に突き刺すような光に苦闘しつつ、周りの風景を確認する。

 

 目の前が森に囲まれていて――

 その木が桜だと思い出して――

 桜の葉が目の前に落ちてきて――

 風で揺らぐ木がざわめいていて――

 

 なぜか涙が出てしまった。

 理由は分からないけれど、なぜか涙はとめどなく流れ続けている。

 なんで泣いているのか考えようとしたけれど、その次の瞬間には忘れてしまう。

 

 そう思っては忘れ――

 そう思っては忘れ――

 

 それの繰り返し。

 気付いたことといえば、自分が何の変哲もない風景に我を忘れてしまっているということ。

 それは別段特別でも特殊でもない風景だが、なぜか食い入るように見続け、涙を流し続ける。

 

 そして――

 やっと――

 とうとう――

 思い出す――

 

 

 

 

「自分――なんで生きてるんだろう?」

 

 

 男は疑問に思った。

 生きている理由が見当たらない。

 死んでいない理由が見当たらない。

 

 死んだはずなのに――

 死んでいるはずなのに――

 そこで一つの答えが導かされた。

 

 

「ここは―――天国か地獄か!」

 

 

 自分がその答えに至った瞬間、体中の血液が沸騰するほど歓喜に包まれた。

 ただ単純に答えが出せることに喜びを感じているのだが、自分にとっての『正解』とは、出せる出せないの世界ではなく、生まれるか生まれないの世界なのだ。

 そして、そこで新たな疑問が生まれた。

 

 

「あれ? えっと……頭に布みたいなのない」

 

 

 焦って自分の周辺に落ちていないか確認するが、見つかることはない。

 幽霊といえば、頭に布を付けているのが普通だと思っていたので、無くしてしまったら鬼さんに怒られてしまうかもしれない。

 けれど、周囲にはそれらしきものは落ちていなかった。あるものといえば木か花くらいだった。

 怒られるのは我慢するしかないか、そう思っていたらまた新たな疑問が生まれた。

 

 

「足がある!?」

 

 

 再度驚愕――

 多少慎重なりつつ、幽霊ならばないはずの足に触れてみる。

 それには生温さと、触った時の感触を確かに感じることができた。

 

 『幽霊』であるはずの物を自分は何も持っていない。

 それはつまり、『死んでいない』ということなのだろうか?

 

 

 もしかして――

 もしかすると――

 もしかしなくても――

 

 

 

「生きてる?」

 

 

 体に入っていた力が抜け、背中から倒れるように地面に倒れる。

 なにか明るいものが空で輝いていて、眼を細め……それが太陽だと自分の記憶から理解する。

 そうわかった瞬間に、体の芯から笑いがこみあげてきた。

 まぶしいと分かっていながら、太陽を見上げつつ笑い始めてしまった。

 

 

「太陽太陽……ハハハ」

 

 

 自分は嬉しかった。

 何が嬉しいのか、そんなもの自分にはわかるはずなかった。

 考えるのを放棄し、腹の底から声を出し、笑みを浮かべつつ、大きな声で笑い出す。

 

 

「ハハハハハ!!」

 

 

 もう何が面白かったかも忘れて笑い続ける。

 その笑い声が森中に響く渡っていき、木で羽休めしていた小鳥たちが驚いて飛び立っていく。

 

 

「ハハハハハ―――ゲホッウゲェ」

 

 

 調子に乗って笑いなだら転がってみたら、砂利が口の中に入ってしまった。

 涙目になりながら必死に咳を行い砂利を吐きだすが、じゃりじゃりとした物を完全に吐き出すことはできなかった。

 

 

「うぇ……水飲みたい」

 

 

 涙が出そううな目をこすり、キョロキョロと水場を探す。

 しかし、そんな都合良く見つけることはできず、溜息をもらしてしまった。

 

 

「あれ?」

 

 

 ふと、自分は新たな疑問を――

 いや……根本的なことを思い出す。

 

 

「ここどこだ?」

 

 

 だれに問いかけることもなく、虚空に声をのせる。

 だたただ、森の風でかき消されていくのを聞くことしか――

 

 

 

>――――――――――<

 

 

 

 その日――

 私はある研究材料となるハーブを探すために、私有地である森に出かけていた。

 別段必要な物ではないのだが、家から飛び出すための口実――と言ったほうが正しいだろう。

 

 最近になって私は有名になった。

 家系自体が元々有名だったうえに、私はその親をも凌ぐ天才、秀才として生まれてきた。

 私としてはそんなつもりはないが、周りの人にもてはやされ続け、『お偉い様』に目を付けられるようにもなった。

 

 家から抜けだしたのは、その『お偉い様』が私の知恵を借りたいと親を説得にでも来た、と簡単に推測できた。

 最近では、私自身が天才だと自覚しているし、誰かのために役立てることにも興味がないわけではない。

 

 ただ――こうも考えられる。

 誰かのために役立てると言うのは利用されているのではないか?

 利用され、いいように使われ、最終的には使い捨てにされるのではないのだろうか?

 

 そういう疑問を持ってはいるが、それとは別に最近では全くやることがなくなってしまった。

 数式や論理的解釈、天体の解釈、世界の始まり――そのすべてを私の糧にし、吸収し続けてきた。

 吸収できるものはすべて吸収し、持てる技術を駆使しつつ、ただ暇をつぶす毎日を送っている。

 現在調べていることも、前回調べたものを再調査しているだけの――ただの暇つぶしなのだ。

 

 何か面白いものでも転がっていないものかとあたりを見渡し始める。

 そんなどうでもいい行動をするあたり、相当暇なのだろうと苦笑してしまう。

 

 そんな時、変な笑い声が森中に響き渡った。

 この森は私有地なので人がいるのはあり得ないはずだった。

 私が開発した完璧なセキリュティ、完璧な防護対策が、それを固く閉ざしているはずだ。

 

 

 そして、突然その笑い声が止まった――と同時に咳こむ音が聞こえた。

 勘ではあるが、笑いながら転がって砂利を吸いこんでしまい、咳こんでしまったのだろうと推測する。

 そう考えると、よほどの馬鹿なのだろうか?

 それにしてはどうやって私のセキュリティを打ち破ることができたのか?

 

 声からして男のようだ。

 私は無性にその男の顔を見てみたくなった。

 少しは暇をつぶせるだろう――単純な思考のみで判断し、私は歩み始める。

 

 

 

 

>――――――――――<

 

 

 

「むーん―――ふーん―――みゅーん―――」

 

 

 なんとなく伸びをしながら言ってみるが、特に意味はなかった。

 意味がなかったとしても、もしかしたら意味ができるかもしれない。

 自分で何を言っているのか理解できないが、つまりそう言うことである。

 

 

「んー? あれ、これってもしかして―――意味がない?」

 

 

 ハッと大袈裟に驚いた表情を浮かべる。

 気づいてしまったのだ。

 この行動はもしかしたら意味がないのかもしれないと――

 

 

「確かこういうことを……雷が―――なんだっけ?」

 

 

 そんな言葉があったような気がした。

 こう、雷が凄い勢いで落ちる時に言うような……何か違うような?

 そう思うと同時に、雷が一体どんなものかを忘れてしまい、話の根元がわからなくなってしまった。

 

 

「うーん……そうだ!足し算をしよう!」

 

 

 突然そう思いつき、落ちていた木の枝を拾って地面に書きはじめる。

 こういう時は、別の事をしていてると、突然思い出すこともあると誰かが言っていた気がしたからだ。

 それとは別に、表情は自信で満ち溢れ、どんな問題でも解いてみせると心の中で呟いていた。

 

 

「えっと……1+1=の答えは―――」

 

 

 自信満々に答えようとしたが、動かしていた腕を止める。

 答えようとした言葉は喉まで出かかっていたが、先ほどの自信はなくなり、疑いの念が生まれるのを感じた。

 

 

「2…だよね―――あれ?違うような?―――あれれ?」

 

 

 自分の答えに自信が持てず、地面に書いた『2』を凝視する。

 一瞬の間が生まれるが、何かを思いつき―――いや、思い出したかのように腕を動かす。

 

 

「1+1=…答えは2じゃない!」

 

 

 地面に書いてある『2』を足でかき消す。

 何かの漫画で読んだのをうっすら思い出したのだ。

 何かこう……2ではないみたいな何かだと―――

 

 

「思い出した! 答えは100だ!!」

 

 

 答えは簡単だった。

 簡単な答えだった。

 

 答えは2より大きければ正解だと言うことを……

 ――あれ、これも違うような……さらなる疑問の連鎖が生まれる。

 

 

「まあいっか」

 

 

 結論=分からない

 あれ……分からない=100であって2=結論で?

 

 

「ムワァアン!」

 

 

 面倒になって、また地面に背を預けようとしたが、勢いをつけすぎたせいで後頭部を思い切り地面に打ち付けてしまった。

 地味に、いや尋常じゃなく痛くてゴロゴロと転がり、痛みをかき消そうと必死になる。

 

 結果的に、痛みがなくなることはなかったが、転がったせいで服が砂だらけになるのに気付き、その砂を払うために立ち上がる――

 までは良かったのだが、先ほど転がったせいで目が回り、よたよたと酔っ払いのように足元がおぼつかなり――

 

 ――木に顔面を打ち付ける結果が生まれた。

 

 大きな振動音とともに桜の葉が一気に降ってきた。

 服が桜と砂にまみれてしまうが、自分にはそれに気がつくだけの余裕をもちあわせていない。

 

 

「足し算が木になって酔っ払いがお日様になって――」

 

 

 何を言っているのか自分でも理解できなくなり、前のめりに倒れるようにして寝転がる。

 今度はちゃんと頭を打ち付けないように気を付けたが、今度は胸を打ちつけてしまい、お腹が物凄い痛みで――

 

 

 

 

 

「何してるの――あなた」

 

 

 声が聞こえた。

 でもさっきまで誰もいなかったのだからきっと気のせいなのだろう。

 

 そう思いつつ目を閉じてみる。

 眠くないけど目を閉じてみる。

 理由はないが目を閉じてみる。

 

 

「寝たふりでもしているの? それとも無視しているのかしら」

 

 

 また声が聞こえた。

 でもさっきまで誰もいなかったのだからきっと気のせいなのだろう。

 そう思いつつ目を――あれ? もう閉じてる……いつの間に目を閉じていたのだろう?

 

 考えてみる。

 そう言えばこの声はどこから聞こえるのだろうか?

 もしかして風の音かな?

 それにしては風っぽくないし――

 

 ――もしかして新種の風!?

 

 期待を込めつつ、勢いよく立ちあがる。

 そこには男が求めた『新種の風』はなく、赤青の服を着た女性が立っていた。

 

 

「あれ? 風じゃない?」

 

「風? もしかして私が風だと思っていたのかしら?」

 

 

 自分は残念そうに頷くと、女の人は頬をひきつらせつつ、自分を見つめている。

 頬を引きつらせる?

 泣いているのだろうか?

 自分は不安になり、控え目に女の人に声をかけることにしてみた。

 

 

「あの……自分何かしました?」

 

「え?」

 

「だって……泣いてるんですよね?」

 

「は?」

 

「え?」

 

 

 女性は首をかしげる。

 それを真似て自分も首をかしげてみる。

 この行動に何を意味しているのかは分からないけど何か意味があるのだろう……多分。

 

 

「――貴方は馬鹿なのかしら?」

 

「バカなのかな?」

 

 

 聞きなれた、何百とも聞いた言葉を疑問で返す。

 毎回のように言われていた気もするが、そんなに自分は『バカ』なのだろうか?

 自分には分からないし、理解しきることは難しいかもしれないし、考えるのも難しい。

 

 

「聞かれても私は分からないわよ」

 

「そっか」

 

 

 やはり自分はバカなのだろうか?

 もしかしなくてもバカなのだろうか?

 

 

「あなたは誰なのかしら」

 

 

 女の人はそう問いかけてきたけれど、その質問は意図が読み取れなかった。

 だって、誰って言われても自分だよとしか答えられないし……

 

 

「自分は自分だよ」

 

 

 当たり前のように答えたけれど、女の人はまた溜息をしている。

 自分がバカにされた気もするけれど、元々バカかもしれないので口答えできそうにない。

 

 

「いや、そうじゃなくて……質問をかえるわ――貴方の名前は?」

 

 

 名前を女の人に聞かれた。

 女の人に名前を聞かれた。

 

 名前? 

 なまえナマエ名前名まえな前

 

 名前って―――

 

 

「何?」

 

「は?」

 

「名前」

 

「名前? あなた、名前が分からないの?」

 

 

 分からない?

 名前が分からない?

 名前の意味が分からない?

 

 

「分からない?」

 

「だから私に聞かないで頂戴……貴方と話していると疲れるわね」

 

「え?」

 

 

 女の人は疲れているみたいだ。

 でも運動してるようには見えないし……もしかしてこの女の人!!

 

 

「もしかして悪い人!?」

 

「なんでそこにいきつくの!?」

 

「だってお婆ちゃんが嘘つくのは悪い人だって――」

 

 

 婆ちゃんはなんでも物知りで、色々な事を教えてくれた。

 その中で、『嘘つきは泥棒の始まり』と、言っていた。

 だからこの女の人は泥棒、つまり悪い人だということで……

 あれ、お婆ちゃんって誰だっけ?

 

 

「私がいつ嘘言ったのかしら……」

 

 

 女の人は息をはくが、何で息をはいているかは分からない。

 それに、それよりも気になることがあった。

 

 

「名前って何?」

 

「それは――名前の意味が分からないの? それとも名前が分からないのかしら?」

 

 

 名前が分からない?

 名前の意味が分からない?

 

 女の人が何を言っているのか全く分からない。

 やっぱり自分はバカなのかな、でも分からないの悪いことではないとお婆ちゃんが……お婆ちゃんって誰だ? 

 

 

「どっちも!」

 

「なんで嬉しそうなのよ……」

 

 

 女は思った――

 ああ、なんて面倒くさいものにあってしまったのだろう、これでは暇つぶしどころではなく――ただの子守ではないか。

 そんなことに気づくはずない男は、女が答えを出すのを待っている。

 

 

「八意永琳」

 

「ヤゴコロエイリン?」

 

「それが名前よ――まあ少し違うけどね」

 

「違うの?」

 

 

 女の人――八意永琳と言う人は少し考えている素振りを見せていた。

 一体何を考えているのか自分は考察しようとしたけれど、その前に八意永琳と言う人が口を開いた。

 

 

「八意××」

 

「八意…なんて言ったの?」

 

「××が本当の名前よ」

 

「じゃあ八意永琳は名前じゃないの?」

 

「そうではないわ…まあ偽名みたいなものね」

 

「偽名?」

 

 

 また分からない言葉が出てきて困惑する。

 偽名ってなんだろう?

 

 

「それについては『また』教えてあげるわ――それよりもあなたの名前よ」

 

「自分の名前? 八意永琳みたいな?」

 

「そうよ」

 

 

 八意永琳みたいな名前?

 名前みたいな八意永琳?

 

 

「んー?」

 

「ない……訳ないわよね?」

 

 

 八意永琳と言う名前の女の人がそう呟く。

 なんとなく心配されているような気がした。

 

 

「八意永琳という名前の女の人みたいな名前は分からない」

 

「それは――記憶喪失ということかしら?」

 

「キオクソウシツ?」

 

「……もういいわ」

 

 

 また八意永琳という名前の女の人が息をはいた。

 なんでまた息を吐いたのかは自分には分からなかった。

 

 

「えっと…ごめんなさい」

 

 

 とりあえず謝ってみた。

 昔から人を困らせることがよくあった。

 その時は謝らなければならないとお母さんに教えてもらった……お母さんって誰だっ――

 

 

「……じゃあ今考えなさい」

 

「何を?」

 

「何をって……流れで分からないかしら?」

 

「流れ? ここに川は流れてないよ?」

 

 

 当然のように自分は答える。

 ここに川は流れていないし……この人はもしかしたらバ―――

 

 

「意味が違うわよ」

 

 

 どうやら意味が違うようだ。

 意味が違う? 意味が違うって……

 

 

「ねえ意味が違うって何?」

 

「……」

 

 

 女の人はなぜか黙ってしまった。

 そして自分の頭の中にごめんなさいと言わないといけないと思った。

 

 

「ごめんなさい」

 

 

 とりあえずそれを言葉にして言ってみる。

 すると女の人はジロリと自分の目を見つめる。

 

 

「十秒よ」

 

「え?」

 

「十秒で名前を考えなさい」

 

「十秒って……右手と左手の」

 

「そうよ! 早く考えなさい!」

 

 

 なぜか女の人は怒っている。

 理由は分からないけどなぜか怒っている。

 

 

「一から数えるの?」

 

「どうでもいいから早く考える」

 

「はい」

 

 

 また怒られてしまってシュンとなる。

 ムー……1から数えると聞いただけなのに、なんで怒られてしまったのだろう?

 

 ん?

 

 ム―……1?

 むー…1?

 む~1?

 む1

 ム1

 

 

「む1!!」

 

「むいち?」

 

「そう! む1!」

 

「漢字はどう書くのかしら?」

 

「感じ?」

 

「……漢字よ漢字」

 

 

 感じをどう書くのか聞かれた。

 感じってどういう漢字だったっけ?

 必死に考えてみる。

 

 

「感じは漢字であって漢字な感じ?」

 

「意味分からないわよ」

 

 

 女の人は無表情にそう言った。

 なんで無表情なのかは分からないけれど……

 

 

「むいちの漢字はどう書くのかって聞いている」

 

「えっと……?」

 

 

 それは考えていなかった。

 む1は平仮名の『む』と数字の『1』をそのまま言っただけだったから――

 

 

「1は漢字の一で……」

 

「『む』はどうするの?」

 

「ちょっとまって……今考える」

 

 

 自分が分かる『む』は――

 

 

「無限?」

 

「何もないと言う漢字かしら?」

 

「無一!」

 

 

 そして出来上がった。

 無限の『む』と一番の『1』――

 

 

「無限の一番! 無一!!」

 

「それが貴方の名前ね」

 

 

 女の人はなぜか笑っていた。

 何かおかしいのか分からなかったけど、それよりも名前と言うのを自分で作れて嬉しかった。

 

 

「意味合いから無から一を作るでもいいと思うわ」

 

「無から一……? カッコいい!!」

 

 

 意味は分からなかったけど格好良く聞こえた。

 

 自分の名前は無一で――

 女の人の名前は八意永琳で――

 

 

「改めて……初めまして八意永淋よ」

 

「無一!」

 

 

 女の人が自分の名前を言いながら手を出した。

 だから自分も自分の名前を言って手を握った。

 

 

 

 

 

 これが無一と永琳の出会い。

 そしてここから無一の物語が始まる。

 

 

 




「そういえば1+1=って何?」

「……2よ」

「そっか―――2か」



――――始まるったら始まる



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