東方劣化伝   作:籠の中の鳥

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祝!UA一万突破&お気に入り登録数150人突破記念!!皆さま本当にありがとうございます!
その記念にこの小説の主人公が生まれたきっかけになった短編を上げさせていただきます。

この小説は友人と短編を書きあうのがブームになっていたときに作り上げた偶然の産物でした。
それが今や、このハーメルン様のサイトに上げるまでになりました……一応短編のほうは手を加えましたが、ほぼ原文のままなので誤字脱字があればご報告お願いします。
長々となるのも失礼なので、番外編を始めたいと思います。

誤字やおかしい表現などがあったら教えてくれると嬉しいです。
感想・アドバイス・批評などなど随時受付中です。



番外編と馬鹿な男
番外編 その男 生まれる


 

 

 時は幻想郷が生まれるよりもずっと前のお話 

 

 

 

「何しに来た白髪」

 

「別に用と言う用はないわ……ただ、食べ物を売ってほしいのよ」

 

「お前に売るものなんてここにはない、さっさと帰ってくれ……商売の邪魔だ」

 

 

 またか……と、私は悪態をつく。

 不老不死になったものの、よかったことなんて死ななくなったことくらいしかない。

 

 それどころか、髪は白くなり、周りの人たちはそれを見て私を畏怖の対象にした。

 それに肝心のかぐや姫も月にいる以上……何のためになったのか分からなくたってしまった。

 

 死にたい……そう思ったことは何度もある。

 でも死ぬことなんてありえない……これからも……ずっと――

 

 

「おなかすいたな…」

 

 

 まずは腹ごしらえをしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは人の住む里近くの森――

 

 

『グオォォォォォォ』

 

「――フッ!」

 

 

 私は目の前にいるクモの妖怪に自分の持てる最大の力で炎を作り放った。

 

 

『グゥゥゥゥゥ……』

 

 

 それだけでそのクモの妖怪は焼け死んでしまった。

 

 

「おい?大丈夫か?」

 

 

 私は今助けた小さな少女に向かって言った。

 

 

「キャ……キャァァァァァ!!!」

 

 

 その少女は私を見るなり、どこかへ行ってしまった。

 

 なぜだろう……?

 そう考えて、すぐに答えは見つかった。

 

 私の服の周りに大量の血が付いていた。

 これはすべて妖怪のものではなく、自分の血である。

 

 私は死ぬことはない。

 死に対する恐怖もあまりない。

 

 捨て身の攻撃をやってもすぐに再生してしまう。

 だから本当の意味で――死ぬ気で戦うこともできる。

 

 

「おい!見つけたぞ!!」

 

「ホントか……!大丈夫だったか?けがはないか?」

 

「ウワァァァァァァァン!!!」

 

 

 近くで声が聞こえる。

 どうやら少女はもう大丈夫のようだ。

 

 安堵のため息をする。

 そして私はその場から逃げるように去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は何回目になるかわからない起床をした。

 規則正しい生活などしなくてもいいのだが、体に染み付いてしまいなかなか直すことが出来なかった。

 

 いくつの季節が回ったのだろうか……百位越えてもう数えるのはやめてしまった。

 数えたところで意味なんてないのだから――

 

 

「もう冬か」

 

 

 私は何回目になるかわからない冬を体感していた。

 

 冬は嫌いだ。

 理由は寒いから、ただそれだけである。

 

 

「寒い寒い……よっと」

 

 

 私は自分の力を使い、薪に火をつける。

 

 

「はぁ……」

 

 

 私は何回やったかわからない溜息を吐いた

 

 とても暇だった。

 ただひたすら暇だった。

 

 やることなんて何もない。

 食べるのも面倒になった。

 餓死したとしてもすぐに生き返るのだから。

 

 

「はぁ……」

 

 

 そしてまた私は溜息を吐いた。

 

 そんな時だった。

 

 

「隣いい?」

 

 

 男の声が私の背後から聞こえた。

 私はそれにゆっくりと反応し後ろを見る。

 

 そこにいるのはどこにでもいそうなただの少年だった。

 

 

「怖くないの?」

 

「え?」

 

 

 私は少年が隣に来てすぐそういった。

 

 

「怖いって、何が?」

 

「髪だよ髪……ほら、白いだろ?」

 

 

 私は少年に見せつけるように髪を手に取った。

 

 

「うーん……綺麗だね」

 

「き、綺麗だって?」

 

 

 初めてそんなこと言われた。

 不老不死になってから、この髪が忌々しくて仕方なかったこの髪を……

 

 

「……不気味じゃないのか?」

 

「う~ん…僕にそんなこと言われても」

 

 

 少年はただただ苦笑いをするだけだった。

 

 

「……私は行くわ、あなたも親のところに」

 

「死んじゃった」

 

「え?」

 

 

 私は少年の言葉に少々驚いた。

 

 

「僕は『コジ』ってやつみたい、父上と母上は妖怪に殺されちゃった」

 

「――悪い、変なこと言って」

 

「気にしなくていいよお姉さん…あ!そうだ名前!」

 

 

 少年は目を輝かせて私に詰め寄ってきた

      

 

「僕の名前は無一っていうんだ!お姉さんは?」

 

「…妹紅」

 

「そっか、妹紅お姉ちゃんか!」

 

「お姉ちゃんって…」

 

「ね~ね~、妹紅~ついてっていい~?」

 

 

 そしてこの少年――無一は意味がわからないことを言った…というか

 

 

「いきなり口が悪くなったわね」

 

「ね~いいでしょ~妹紅~!」

 

「…はぁ」

 

 

 私は起きてから三回目の溜息を吐いた。

 暇ではなくなったが……なんて言うか――

 

 すごく面倒なものに会ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ~~!!すっげ~!!ここなんて村?」

 

「村じゃないわ…里よ里、覚えた?」

 

「覚えた~」

 

 

 結局、無一は付いてきてしまった。

 まあ、どうせすぐに飽きるだろうと思ったのが運のつきだった。

 

 

「妹紅~おなか減った~」

 

「草でも食えば?」

 

「え~!昨日も草だったのに~?」

 

「お前本当に食べたのか…」

 

 

 私は頭を抱えながらため息をついた。

 

 

「そういえば妹紅?なんで髪かくしてるの?」

 

「…お前は知らなくていいことよ」

 

「隠し事なんてひどいよ!不公平だ~!」

 

 

 無一が来てからずっとこんな調子だ。

 本当に疲れるガキだ…と私は思う。

 

 

「親父さん、この団子三つ」

 

「あいよ!」

 

 

 私は団子をもらった後に金を渡した。

 そしてその団子を無一に手渡す。

 

 

「金がないからそれで我慢しろ」

 

「わ~い!妹紅大好き~!」

 

 

 無一はそれをすぐに食べだした。

 私は調子のいいやつだと苦笑する。

 

 

「はい」

 

「え?」

 

 

 無一は私が渡した団子の一つを差し出した。

 

 

「妹紅もおなか減ってるでしょ?」

 

「……ありがとう」

 

 

 私はそれを受け取り一つ食べる。

 

 

「おいしい?」

 

「まあまあね」

 

「うん!まあまあだね!」

 

 

 私と無一は顔を見合わせると笑いだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹紅~こっち! こっちきて~!」

 

「何か用…うぉ!」

 

「わ~いわ~い!! 成功だ~!」

 

 

 私は今穴の中……

 もとい、無一の作った落とし穴の中に落ちている。

 

 

「ハハハ!! これで僕も最強だね! わ~い!」

 

……

 

 

「妹紅なんて片手で倒せるもんね~!」

 

 

……

 

 

「よ~し! 次の落とし穴は…」

 

「調子に…」

 

「ん?」

 

「乗るな!!」

 

「イッテェェェェェェ!!!!!!」

 

 

 無一には鉄拳制裁を与えてやった。

 自業自得だと、そう考えながら服に付いた土を払った。

 

 

「まったく……いったいどうやってこんなもん作っんだか」

 

「うう……いつか見返してやる」

 

「何かいったかしら?」

 

「なんでもないよ! 妹紅様!!」

 

 

 また私は溜息を吐く。

 この性格は直るのだろうか、と心配しながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は人里から少し離れたボロ家 周りは竹林に囲まれている

 

 

「妹紅、買い物行ってくる」

 

「いつも悪い」

 

「何改まってんだ? いつものことだろ」

 

 

 無一とあっていくつかの年が経った。

 無一は少年から青年に成長するまでに――

 

 

「ん~それにしても」

 

「何?」

 

「妹紅小さくなったね~」

 

「……殴られたいのか?」

 

「え!? そ、それは勘弁願う!!」

 

 

 無一はそう言って、逃げるように去った。

 

 

「あ、妹紅! 飯は何が……」

 

「さっさと行く!」

 

「ひぁい!!」

 

 

 と、思ったらまだ近くにいたのか声が聞こえた。

 まあ、すぐに行ってしまったが…

 

 

 

 

 

 今無一は私の代わりに買い物に行くようになった

 

 どうやら、私のことを気遣っているらしいが……

 かなり見え見えだったのが見えて――笑ったのが懐かしい。

 

 懐かしいと言えば……

 あいつが少年だったころ、背中に乗せて空を少し飛んだのがいい思い出だ。

 

 最初こそ楽しげだったが、すぐに泣きだしてしまった。

 どうやら、高いところがダメだったらしい……これで気づいたみたいだが……

 

 

「さて、無一が戻るまで寝るか」

 

 

 そう言って、私は横になって眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いってぇ……少しは手加減してくれよ!」

 

「男のくせにそんなこと言うんじゃないよ」

 

「そんなこと言ったって、妹紅強すぎるよ……」

 

 

 今私は無一と組み手をやっている。

 なんでも無一が私よりも弱いのがいやらしい。

 

 

「くそぉ! どんな汚い手を使ってでもいつか勝ってやる!!」

 

「ハハ、楽しみに待ってるわ」

 

「ちくしょう……絶対見返してやる……」

 

「なんか言った?」

 

「なんでもないです! 妹紅様!!」

 

「うんうん、それでよし」

 

 

 私は少し笑いながらそう言った。

 

 

「ひんにゅ――」

 

「――死にたいの?」

 

 

 どうやら、まだ組み手を続けてほしいようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、また時間は流れる。

 楽しいほど時間の流れが速いように……

 

 時というものは…人間にとっては残酷なものらしい。

 

 

 

 季節は冬、そしてここは無一と初めて会った場所

 

 

「……寒い」

 

「今薪に火をつけるから待ってろ」

 

 

 私は薪を集めて、無一の近くに置き火をつける。

 

 

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 

 

 無一はそう言いつつ目を閉じた。

 そこから暫くの沈黙に包まれる。

 

 

「妹紅」

 

「何?」

 

 

 無一は痛々しい笑顔をしながら私を見つめた。

 それが何だか胸に突き刺さり、直視できそうになかった。

 

 

「悪かった」

 

「何が?」

 

「僕に会ってしまったことに……だ」

 

 

 意味がわからなかった。

 無一は何に対して謝っているのか分からなかった。

 

 

「……僕が死んだら悲しむだろ?」

「――は?」

 

 

 本当に意味不明だった。

 

 

「ハハ……だって、妹紅は泣き虫だろどうせ……」

 

「はぁ? お前またそんなこと言って……」

 

 

 私は殴ろうとした手を途中で止める。

 それほどまでに無一の体は…老いていた。

 

 

「あ~あ、もうすぐ死ぬんだろうな……僕は」

 

「生意気言える間は……まだ大丈夫だろ?」

 

「ハハ……まったくだ」

 

 

 無一はじっとわたしを見つめ続ける。

 私は髪をガシガシと乱暴にいじり、皮肉めいた言葉を口にする。

 

 

「……うらやましいか? 私が?」

 

 

 無一には昔、私が不老不死であると言った時――

 

 ずるいよ! いいなぁ~!

 

 ――と言っていた。

 

 

「不老不死がずるいか? 羨ましいか……? どう思ってる」

 

「……」

 

 

 無一は目を閉じる。

 多分考えているのだろう。

 

 そして少しの沈黙の後言ってきた。

 

 

「ずるいと思う」

 

「……」

 

「それは誰だってそう言うだろうね……僕も例外ではない……けど」

 

 

 なぜか悲しそうな表情になっていた。

 そして無一は一呼吸入れてから言い出した。

 

 

「それよりも……悲しいな」

 

「悲しい?」

 

 

 無一は無理に少し笑いながら言った。

 

 

「だって、妹紅とずっと一緒にいれないと思うとね」

 

「……」

 

 

 こいつは馬鹿だ。

 ただの馬鹿で……昔からずっとこんな奴だった。

 

 

「まあ、妹紅にとっては楽になるかもしれないけどね」

 

「え?」

 

「いつも妖怪から助けてくれたけど……正直邪魔でしょ?」

 

「否定はしないわ」

 

「ハハ……そこはして欲しかったな」

 

 

 無一はまた笑った。

 

 

「ま、そういうことだよ……悲しいのは僕だけ、妹紅は何もなし、それがずるいってね」

 

「……は?」

 

「だって、僕が死んだって泣いてくれないでしょ?」

 

 

 本当にこいつは意味が分からない。

 言動が読めないというか…ただ単にバカなのか…

 

 

「そうね、無一が死んだって何も思わないわ」

 

「ハハ……本当にひどいね妹紅は」

 

「正直に答えただけよ」

 

「それがひどいんですよ……」

 

 

 そう言う無一の顔は――笑っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして……それからまた一年がたった。

 私たちが住んでいるボロ家……そして、外は霧に包まれていた。

 

 

「「……」」

 

 

 ただ沈黙が続いた。

 

 

「死ぬの?」

「……多分ね」

 

 

 私は死には関心がない。

 それと同時に死というものがよくわからなかった。

 

 でも、今はそれを痛いほど感じていた。

 死の恐怖……というものが……

 

 

「あ~、長いようで短かったな~」

 

「もうしゃべるな……本当に死ぬわよ」

 

「あれ……もしかして心配してくれた?」

 

「――ああ」

 

 

 私は正直にそう言った。

 前はそう思わなかったかもしれないけれど……今はそうは思えなかった。

 

 

「そっか」

 

 

 無一はただ上を見続けていた。

 多分もう私の姿も見えていないのだろう。

 

 

「楽しかった」

 

「え?」

 

「僕は妹紅に会えてよかったと思う」

 

「……」

 

 

 こいつは……本当にバカだ。

 

 

「まあ、できれば僕が死んだら泣いてほしいな……」

 

「お前は……本当に自分に正直だな」

 

「妹紅に似たんだよ」

 

「そう……かしら」

 

 

 少し沈黙が続く。

 そしてまた無一が話し始める

 

 

「今まで本当に楽しかった……ありがとう」

 

「私は……私もまあまあ楽しかったわ」

 

「ハハ……まあまあか……ま、それでもいいや」

 

 

 無一は自分の手を上に突き出した。

 私はそれを無言でそれを掴む。

 

 

「ゲホゲホ……そろそろ逝くよ」

 

「ああ、逝って来い」

 

「……うん、逝って『来る』」

 

 

 そして無一の手は……力を失い、だらりと私の手に寄りかかった。

 

 

「……」

 

 

 そして私は一人になった。

 いや、これが本来の姿なのだろう。

 

 

 でも、なんだろう……この感じは……

 胸が……痛い?

 

 

 

 

 

 ふと、自分の手に水が落ちるのに気付く。

 それが涙だと…すぐに気付いた。

 

 

「そうか……悲しいのか……私は」

 

 

 私は無一の手を強く握る。

 その一方で、私の目に涙がたまるのが分かる。

 

 

「無一、無理だったわ……私は……悲しいわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ハハ」

 

「え?」

 

 

 突然無一の声が聞こえ、顔を上げる。

 そこには、笑っている…無一の顔があった。

 

 

「見返してやるって……言ってたしね……見返せたかな?」

 

「ッ!! おまえは本当に馬鹿だ!! 誰がどう見てもただの大馬鹿だ!!」

 

「ハハ……やっと……勝てたなぁ……」

 

 

 無一は私の手を強く握りながら言った。

 

 

「妹紅……できれば僕のことは忘れてくれ」

 

「え?」

 

「そのほうが……妹紅にとって……いいはず」

 

「無理、よ」

 

「そっか……じゃあ、ずっと思ってくれるとうれしいな」

 

「お前は……ひどいな」

 

 

 無一はさらに強く私の手を掴み、そして言った。

 

 

「友達も……作れよ?」

 

「――ああ」

 

 

 私は涙が止まらなかった。

 死に恐怖などしなかった私は今……とても怖かった。

 

 

「ハハ……じゃ……もう大…丈夫……だ…ね……」

 

「ああ! 安心して逝け!!」

 

「う…ん……じゃあ…今度…こそ……逝っ…て…き……」

 

 

 そして、無一は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒いわね」

 

 私は外に出た。

 涙は多分出せるだけ出した。

 

 

「雪……か」

 

 

 どうやら雪が降ってきたみたいだった。

 私は自分の周りに炎を作り出す。

 

 

「やっぱり冬は好きになれないわね……」

 

 

 そして思いきり力を解放する。

 少しでも……空に届くような煙を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お……も……う………い……こ………

 

 

「妹紅、起きろ妹紅」

 

「ん……慧音か」

 

 

 目と鼻の先に慧音の顔が見える。

 どうやら寝すぎてしまったらしい……

 

 

「ふむ、やっと起きたか、ずいぶん眠っていたようだが」

 

「――うん、夢を見てた」

 

 

 感慨深そうな顔をしてしまった。

 そんな自分がおかしくて、内心苦笑してしまった。

 

 

「ほう、どうやらとてもいい夢だったようだな」

 

「え……なんで?」

 

 

 慧音が私の家の玄関まで歩いていく。

 そして振り返るこることなく、こう呟いて行った。

 

 

「そりゃ……いい寝顔だったからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…なんだってあんな夢見たんだか…」

 

 

 とても……とても懐かしい夢を見た。

 私は自分の手を見ながら歩いていた。

 まだそこに無一の感触があるような……

 

 

「うぉぉ?」

 

 

 私は穴に……

 もとい落とし穴に入っていた。

 

 

「イタタ……誰がこんなのを」

 

 

 すると、上に影ができた。

 それは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や~い、や~い! かかったウサ~」

 

 

 そこにいたのは因幡のウザギだった。

 

 

「やっぱり楽しいウサね~! たまには鈴仙以外の奴にやるのも一興ウサ~!」

 

 

……

 

 

「いや~こうも綺麗に入ってくれると作ったかいもあったウサ~!」

 

 

……

 

 

「よ~し!次は鈴仙に――」

 

「調子に……」

 

「ウサ?」

 

「乗るな!!」

 

「ウサぁ~~~~!!!!!!!!」

 

 

 私は因幡のウサギに鉄拳制裁を与えてやった。

 自業自得だと、そう考えながら服に付いた土を払った。

 

 

「ウサぁ~~~!!!!!!」

 

 

 因幡のウサギは泣きながら竹林の奥へと姿を消した。

 

 

「まったく」

 

 

 私はそう言いながら空を見る。

 

 

「また冬が来る……か」

 

 

 季節は冬に近づいていた。

 そして私はある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは無一が眠る墓だ。

 それは、元は木の芽しかない粗末なものだあったが、時が経ち大樹が出来上がっていた。

 

 

「あまりこれなくて悪いわね」

 

 

 ここに来るのも久しぶりだった。

 ここ最近、異変やらなんやらで周りがうるさくて忘れていた。

 

 

「忘れないでくれって……言われたのにね」

 

 

 私はそういいながら大樹に触る。

 

 

「私は楽しくやってるわ……そっちがどうなのかは分からないけど」

 

 

 そして私は……軽く大樹を殴る。

 ヒラヒラと残っていた木の葉が数枚落ちた。

 

 

「お前のせいでまた胸が痛くなった……そのお返しよ」

 

 

 私は大樹から少し離れて言った。

 

 

「友達はできたわ。約束はちゃんと守ってるわよ」

 

 

 そして、大樹に背を向け、来た道を戻る。

 

 

「またね……無一」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








 この物語は……妹紅と無一しか知らない





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