32巻の発売は今日だそうです。
31巻の時といい、うちの地域は2日遅れになるみたいですね。
「では導輝さん。被身子さんのサプライズの時間まで、わたしたちとデートといきましょう」
「すごいね導輝くん、両手に花だよ〜」
「えっ、こういうのって1人ずつじゃないのか?」
「導輝くんが複数の女の子相手にどんな対応をするのかも見てみたいからね〜」
「ではまずは......あの射的の屋台に行ってみましょうか」
両腕に百と透が抱きついた状態で屋台巡りを始める導輝。
そんな彼らを、信じられないものを見る目で見つめる上鳴と峰田。
「マジかよ...。しかもあそこに渡我も混じるんだろ?ハーレムじゃん...」
「何故飛電ばかりがモテるんだぁぁぁぁぁっ!?俺にもちょっとは分けやがれぇぇぇぇぇぇっ!」
嫉妬から導輝たちのデートを妨害しようと駆け出す峰田。
しかし『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』という言葉があるように、峰田はシーホース社長が事前にこっそり召喚しておいた『
※遊戯王において、銃火器で武装した人間である『コマンダー』や『科学特殊兵』ですら攻撃力は800以下です。
かの有名なバニラモンスターである『シーホース』(攻撃力1350)は下半身が魚であり、後ろ足で蹴飛ばすことができないのでシーホース繋がりで彼女が選ばれたのだが...。
「ぐふっ、美少女のキック...。パンを咥えて曲がり角でぶつかったみたいで悪くない気分だぜ...」
峰田にはあまり堪えた様子は無かった。
役目を終えた
その表情は峰田に対する侮蔑を通り越してドン引き状態だったと、一部始終を見ていた上鳴はのちに語る。
☆★☆★☆
百と透に腕を引かれ、射的の屋台に到着する。
「さて、どんな景品があるのか......え?」
『PUI?』
ケージに入った手乗りサイズのモ◯カーと目が合う。
その隣には『PUI PUI モ◯カー』と書かれた、他の景品よりも重そうな的。
「わぁ〜可愛いねあの生き物!」
「モルモット......でしょうか?足がタイヤみたいになっていますが...」
この世界にモ◯カーっていたっけ...?
景品には他にもNin◯endo Sw◯tchやPlaySt◯tion5があった。
ラインナップが豪華すぎやしないか...?
採算が取れるのだろうか。
プレイ1回分の料金を払って銃と弾を受け取る。
普通ならコルク銃が出されるものだが、かなり実物に近い出来のものを渡された。
弾を装填して構える。
景品の中で百たちへの贈り物になりそうなものは...。
プレイ2回分の料金で合計3つの景品を獲得した。
百にはリボン、透にはガラス細工の透明な猫の置物を贈った。
透明人間である透は装飾品をあまり好まないと思ったのでこの選択となった。
被身子の分は合流した時に渡そう。
しかしこれらの小物系の景品、生徒が個性を使って作ったものだったりするのだろうか...。
「ありがとう、導輝くん」
「感謝しますわ」
百は受け取ったリボンで早速髪型を変えている。
百は普段髪を下ろしているかポニーテールの2択だから新鮮だな。
「うわ〜綺麗だね〜」
あらゆる角度から猫の置物を眺める透。
それは太陽の光を反射して眩い光を放っていた。
「っ!?」
「うん?どうしたの導輝くん。そんなにジーっとわたしのことを眺めて。もしかしてわたしに見惚れちゃってた!?」
「あぁ、そうだな」
「えっ!?そっそんなストレートな返事は予想外だよ...」
恥ずかしいのか、置物を抱えて蹲る透。
さっきのは気のせいか?
透の姿が、反射した光に触れた部分だけ見えたような...。
その後3人で屋台を食べ歩きしていると、被身子のサプライズの時間だと言うので指定された場所へ向かう。
指定された場所はミスコン会場だった。
出場者の最後の覧には『渡我被身子』と書かれていた。
「えっ、被身子ミスコンに参加してるのか?」
「えぇ。導輝さんに自分の晴れ舞台を見てもらいたいと仰っていましたわ」
「すごいよね〜わたしたちとライブの練習をしている合間に少しずつ準備していたんだって」
恐らくADもそんな被身子のことを手伝ったのだろうが、それでも多忙を極めたであろうことは想像に難くない。
下手したらインターン中の俺以上なのではないだろうか。
『華麗なドレスを裂いての演武!強さと美しさの共存、素晴らしいパフォーマンスです!』
現在は拳藤さんのアピールタイム。
手刀で何枚もの木の板を真っ二つにしていた。
そして次は絢爛崎先輩の番なのだが...。
「絢爛豪華こそが『美』の終着点!」
『3年サポート科ミスコン女王!高い技術で顔面力をアピール!圧巻のパフォーマンス!』
ステージに出てきたのは、自身の顔を模した巨大な戦車に乗った、煌びやかな着物と非常に長い睫毛が特徴の女性だった。
「............なにコレ?」
「いや〜絢爛崎さんは相変わらずド派手だなぁ!君もそう思うだろ、導輝くん?」
偶々近くにいたミリオ先輩に声を掛けられる。
「ミリオ先輩、絢爛崎先輩のパフォーマンスって去年もあんな感じだったのですか?」
「そうだね。派手さは彼女の専売特許みたいなものだよ。波動さんが去年負けたのは、彼女の土俵である派手さで勝負したからってのもある」
「なるほど...」
「でもコレ、『ミスコン』って言えるのかなぁ...?」
透が俺たち全員が思っているだろうことを口に出す。
ステージでは戦車が動き回りながら、内側に仕込んだ様々なギミックを披露している。
とてもミスコンとは思えない光景だ。
「まぁでも......視ている人たちにインパクトを与える、という意味では正解なのかな...?」
「誰に投票するか迷った時、普通は1番印象に残った人に入れるもんね...」
「ただ派手なだけではありませんわ。自身の顔を強調する乗り物。己の美しさに絶対的な自信が無ければとてもできることではありませんわ」
「俺は波動さんを応援しているけど、それが絢爛崎さんの魅力だというのは認めざるを得ないね!」
その後波動先輩を含めた参加者がそれぞれのパフォーマンスを繰り出し、最後の被身子の番になる。
紫を基調とした衣装を纏ってステージに立つ被身子。
背後ではADが操作していると思しきヒューマギアが楽器のスタンバイをしていた。
被身子のパフォーマンスの内容は歌かな?
「わたしは今までずっと1人でした。周りの皆が『普通』に生きている中、わたしだけが『普通』じゃなかった」
「『普通』のフリをし続けることに耐えられず、わたしは1度
「これから歌うのはそんな彼へと捧げる愛の歌です。聴いてください、『一度だけの恋なら』」
そう言うと被身子は5人へと分身し、歌と演奏が始まる。
事前にトリックベントのような分身能力を自分にかけていたか、それともカラフルコマーシャルによる立体映像か?
しかし、『一度だけの恋なら』か...。
この世界に存在しないアニメである『マクロス
分身した被身子の衣装の色も黄・赤・緑・ピンクと完全にワルキューレを意識している。
AD、お前の仕業か?
『あぁ。被身子にマクロスの歌はひと通り聴かせたぞ。恋模様を表す曲が多くてどれを歌うかギリギリまで迷っていたがな』
ギリギリまで...。
ステージ上の5人の被身子の歌と踊りにはぎこちなさを感じない。
ライブもあるから練習時間なんてほとんど無かったはずなんだが...。
『ヒーローであることも含めて、被身子は色々なことに素質がある。本人がやる気を出さなければちっとも開花しないがな』
まさに『やればできる子』ってわけか...。
そのまま歌と演奏が終わる。
しかし観客からアンコールの声が上がったので、運営に許可を取って2曲目の『ワルキューレは裏切らない』が始まる。
「2曲目...!?」
「被身子ちゃんよく練習する時間あったね...」
そして今度こそ全ての参加者のパフォーマンスが終了し、投票が始まる。
「どうでしたかアーク様?わたしの晴れ舞台!」
「とても輝いていたよ、被身子。素敵だった」
「やったー!アーク様が褒めてくれたー!」
「あっそうだ。被身子、これを」
「わたしにですか?えへへ、ありがとうございますアーク様。大事にしますね」
被身子用に射的で獲得した景品は、太陽と月を
そしてそのまま4人で文化祭を満喫する。
気がつけば日が暮れ始めて時計は16時を指していた。
「もう16時か...」
「確かミスコンの結果発表は17時からでしたわね」
「導輝くん。わたしたちの中から誰を選ぶか、もう決めた?」
「あぁ、ちゃんと決めているよ」
「ではアーク様。ミスコンの結果発表が終わった後、わたしたちはそれぞれ違う場所でアーク様をお待ちしています。必ず想いを伝えに来てくださいね」
そう言って、3人は自分たちが待つ場所を告げて去って行く。
「おっスレ主、1人か?」
「時王ニキ...」
振り向くと、スレニキたちがキラを含めて全員集まっていた。
「皆集まってどうしたんですか?」
「いや〜流石は『自由』が校風な雄英高校。飛び入り参加にも柔軟な対応をしてくれたぜ。というわけでスレ主、俺たちスレ民で1曲やろうぜ」
「やるって、一体何の曲を...」
「ハッハッハ、おかしなことを言うなぁスレ主は。俺たちを繋ぐ楽曲など、ひとつしかあるまい?」
そう言って、かぼちゃマスクを取り出す時王ニキ。
いつの間にか、時王ニキ以外の全員がかぼちゃマスクを既に装備していた。
「マジですか...」
かぼちゃマスクを受け取って約10分後の体育館。
A組のライブで演出担当だった俺が、今度はステージ上に立っていた。
変身し、スーツの上から改めてかぼちゃマスクを被る仮面ライダー組。
このあと滅茶苦茶マフティーダンスをした。
スレニキたちはこの日のために事前に練習していたらしい。
被身子だけじゃなく、スレニキたちにもサプライズされるとは...。
練習をしていない俺のポジションは必然的にダンサーとなった。
4本の腕でドラムを叩くウイルスニキの姿は圧巻だったな...。
意外だったのは、キラのダンスが非常にキレキレだったことだ。
モビルスーツでのマフティーダンスだけではなく生身のマフティーダンスの腕も磨いていたんだな...。
エリちゃんを含め、観客には大ウケしたので良しとしよう。
☆★☆★☆
そして17時になり、ミスコンの結果発表が行われる。
被身子の順位はなんと、波動先輩と絢爛崎先輩に続く第3位だった。
これは大健闘なのではないだろうか。
表彰台に登り、小さなトロフィーを受け取って笑みを浮かべる被身子。
被身子は実の両親に『笑い方が「普通」じゃない』と否定されたそうだが、この場に被身子の笑顔に
『渡我被身子』という存在が、皆に受け入れられた瞬間だった。
俺はそれを確認すると、背を向けて歩き出す。
目的地は1年A組の教室だ。
ガラッ。
横開きのドアを開ける。
その瞬間、教室の中で俺の席に座っている百と目が合った。
「導輝さん...!」
「百...。俺は百たち3人の女性に好意を向けられて、とても嬉しかった。それと同時にとても悩んだ。1人を選んだとして、その相手を幸せにできるのか......と」
「ヒーローは命懸けの仕事ですものね...」
「そうだ。林間合宿の時に会った洸汰くんの両親も、かつて殉職したヒーローなのだそうだ。いつ俺たちの番が回ってきてもおかしくはない」
「......」
「そう思うと、不安で『誰も選ばない』という選択をしたい気持ちでいっぱいになった。でもそんな時、百の顔が頭に浮かんだんだ」
「俺の
「導輝さん...」
百が俺に抱きつき、俺も百を抱きしめ返す。
不思議な感覚だ。
百とこれだけ密着することなど、幼馴染として何度もあったはずなのに、今とても心臓が早鐘を打っている。
これが恋人になるってことなのか...。
「嬉しいですわ、導輝さん。わたしを選んでくれて...!」
「俺の方こそ、好きになってくれてありがとう......百」
「では改めて、よろしくお願いしますね導輝さん」
「あぁ。それで......非常に心苦しいが、まずは透と被身子に百を選んだことを伝えに行かないとな」
「そうですわね。行きましょうか、導輝さん」
百と手を繋いで教室を出る。
この日俺は、2人の女の子を泣かせてしまった。
それと同時に、1人の女の子を何に代えても守ると誓った日でもあった。
というわけで、導輝が百と恋人になったところで本編は終了です。
エピローグはじっくり書きたいので、更新期間が開くと思います。
どうか気長にお待ちください。
あと、ラストで導輝が透や被身子を選んだ場合のifのエピローグも書く予定です。
3つ合わせて、遅くても今月中には仕上げたいと思っています。
お楽しみに。