百とのエピローグです。
B組との合同訓練回も兼ねています。
本編が完結したことですし、グランドタイミングジオウを解禁しても別に構いませんよね?
八百万百:フィナーレ
文化祭をきっかけに関係が恋人へと変化した導輝と百。
あれからおよそ1ヶ月が経過し、季節はすっかり冬となっていた。
時刻は午後の7時。
場所は1年A組のハイツアライアンス。
「いや〜今日のヒーロー基礎学はすごかったな...」
「そうですわね...」
同じソファーに座って紅茶を飲みながら、しみじみと呟く導輝と百。
今日はA組とB組の、初の合同戦闘訓練があった。
「バカヤロー!テメェ弱音吐いてんじゃねぇ!」
「しかし、今日俺は完全にお前に上を行かれた...」
「俺は金属故に熱に耐えられる!だが!金属故に限界硬度がある。打てば打つほど硬くなれるテメェとは違ってな!俺とお前は、違う強さがあんじゃねぇのか!?」
「鉄哲ー!」
2人の前で手を取り合い、肩を組む切島と鉄哲。
この場には、反省と交流を兼ねてB組の生徒が何人か訪ねて来ていた。
「やっほー、おふたりさん」
「拳藤さんか」
2人に声を掛ける拳藤。
戦闘訓練では、導輝・百・常闇・尾白のチームと、拳藤・小森・黒色・吹出のチームで直接対戦した相手だ。
「いや〜まさか2人が付き合っていたとはね」
「あはは、まぁな」
そう。
恋人となっても表向きは関係に変化が無かった導輝と百だが、今日の戦闘訓練を通して交際がクラスメイトたちにバレてしまったのだ。
☆★☆★☆
時は遡って戦闘訓練開始前。
「オイオイ。これはまた随分と弛んだ空気じゃないか。僕らをナメているのかい?」
先に訓練場に集合しておしゃべりをしているA組の面々に、いつも通りの挑発をする物間。
「おっ、来たな!ナメてなんかいねーよ!ワクワクしてんさ!」
そんな物間に元気良く言い返す切島。
「フフフ、そうかい。でも残念。波は今、確実に僕らに来ているんだよ。さぁA組!今日こそシロクロつけようか!?」
「いいねぇ!でも俺は黒を血の赤で染めた紅白合戦の方が好きだぜ!」
そう言って、『本物』のヘルライズプログライズキーを起動させる導輝。
カウントダウンを彷彿とさせる待機音が響き渡る。
「まっまさか、訓練でそれを使うつもりじゃないだろうね...?」
神野区で撮影された、導輝とオール・フォー・ワンの戦いの映像を思い出して青褪める物間。
「どうしよっかな〜?グランドタイミングジオウと違って先生に制限掛けられたわけじゃないしな〜、暴走して敵味方の区別がつかなくなったりするわけでもないし〜、ヘルライズ空間を展開すれば周囲への被害を無くせるから、寧ろ使わない理由が無いよね〜」
「ハ、ハハハ...」
乾いた笑いを上げる物間。
文化祭の出し物の人気投票の件でA組をイジるつもりだった筈が、完全に立場が逆転している。
A組は導輝の行為が物間への意趣返しを兼ねた冗談だと察しているが、そのようなことを知る由も無いB組には物間の恐怖が伝播している。
試合前の駆け引きは、A組に軍配が上がった。
ちなみに相澤がヘルライズプログライズキーに関して特に制限を設けていないのは、『身体を壊しまくる緑谷じゃあるまいし、アークワンやグランドタイミングジオウがある以上もうあの力には手を出さないだろう』と判断したからである。
文化祭までの導輝が相手であればその判断は正しかった。
しかし、何に代えても百を守ると決意した今の導輝は、必要に迫られれば一切の躊躇いも無くヘルライジングホッパーへと変身するだろう。
そして今回の戦闘訓練で課せられたグランドタイミングジオウの制限は、『武器召喚以外の能力発動禁止』。
つまりレジェンドライダーの召喚はできないし、神野区でやったみたいにレジェンドライダーの固有能力を自身に付与することはできない。
これはもし導輝がグランドタイミングジオウをフルに運用してしまえば、1チームの4人どころかB組20人全員が相手でも、下手したら力押しだけで勝利できてしまう可能性を考慮しての措置である。
一見、伸ばすべき個性に制限を掛ける行為はプルスウルトラに反するように見えなくもないが、導輝自身の成長を促すためには適度な制限が必要だという結論が出た。
そしてA組21人。
B組20人。
そしてヒーロー科へ編入希望の心操を含めた42人による戦闘訓練が始まる。
基本的に4対4のチーム戦だが、訓練が編入試験も兼ねている心操とヒーロー科に途中参加している被身子はA組とB組の両方のチームに参加して1回ずつ戦うことになった。
1回戦は心操を加えた5人チームのA組が勝利した。
そして導輝たちのチームと拳藤たちのチームが戦う2回戦が始まる。
尚、この2回戦は心操と被身子がどちらの陣営にもいない唯一の試合となった。
「さて、それじゃあ久々に平成するとしますか」
「いや飛電、『平成する』って何だよ」
☆★☆★☆
「皆強かったけど、あんたたち2人のコンビネーションは特にすごかったね。さしずめおしどり夫婦って感じ?」
「そっそんな、夫婦だなんて...」
「そうだぞ拳藤さん。俺たち学生だぞ?結婚なんて何年も先だよ」
「(結婚すること自体は確定事項なんだ...)」
☆★☆★☆
影に潜んで接近してきた黒色を百の『創造』した閃光弾で身動きを封じ、尾白が確保しようとした瞬間。
ポム。
「なっ......なんだこれ!?」
導輝たちの身体中に生える茸。
突然の事態に黒色を見失ってしまう。
「くっそ、小森さんの『キノコ』か!百、俺たちに滅菌処理を!俺は胞子と湿気を吹き飛ばす!」
「わかりましたわ!」
フルボトルバスターが乾燥した熱風を巻き起こし、茸を吹き飛ばす。
「できましたわ!」
百がエタノールと滅菌スプレーを自身とチームメンバーに散布する。
「感謝するクリエティ」
「これで俺たちに茸が生えることはもう無い、か」
「
「そうですわね。まずは皆さんひとかたまりに...」
『ゴンッ。ガンッ。ドガッ。あ〜ズドッズンッ』
「なんじゃありゃあっ!?」
吹出が具現化した巨大な
彼の個性は『コミック』。
早い話がド◯えもんのコ◯カタ◯リンである。
右腕にジャッキータイヤを装備した導輝は、左腕とジャッキライザーで百たちを左右に突き飛ばして
「導輝さん!」
そのまま
「あとは力で攻めきる!」
そして孤立した百に奇襲を仕掛ける拳藤。
咄嗟にタングステンの盾を『創造』して防御する百だが、拳藤の『大拳』はいとも容易く盾を凹ませ奥にいる百へダメージを与える。
「
接近戦で拳藤に圧倒されはじめる百。
しかし...。
「ふふっ...」
「(防戦一方なのに余裕の表情。一体何を考えて...)」
「不思議そうですわね?では教えて差し上げますわ」
バシュン!
「ッ!」
「導輝さんが、わたしのことは『必ず守る』と仰ってくれたからですわ」
咄嗟にその場から飛び退く拳藤。
先程まで居た場所にいくつもの穴が空く。
上を見上げると、ライジングペガサスボウガンを持った導輝が
百が防御に徹している間に、導輝は
ペガサスフォームの超感覚はルール上使えないので、残念ながら命中弾は出せなかったが。
百と拳藤の間に着地する導輝。
「(うわ〜、一気に分が悪くなっちゃったな...)」
「悪い百、遅くなった」
「いいえ、お気になさらず。導輝さんから必ず来てくれると信じていましたから」
「(うん?さっきの『必ず守る』発言といい、『ただの仲間』って雰囲気がしないな。もしかして...)アンタたちまさか、付き合ってるの?」
「「(ギクッ!?)」」
「えっ、まさか本当に...?」
「「......」」
「(とりあえず今の内に態勢を立て直さないと!)それじゃあおふたりさんはごゆっくり...」
「って逃がすかぁ!」
こっそり撤退しようとした拳藤を、ドラグクローで追撃する導輝。
そのまま百と2人掛かりで拳藤を撃破し、試合にも勝利したのだが...。
「なあ八百万、飛電。あの時の間は何だったんだ?」
「え〜と...」
試合後の反省会で誤魔化し切れず、交際していることを白状する羽目になる。
「あちゃ〜」
「せっかく秘密にしていたのに...」
やれやれ、といった感じで呟く透と被身子。
吹出の
その休憩時間を利用して、恋バナ好きな芦戸と非モテ組の峰田と上鳴を中心にクラスメイトたちは導輝と百を徹底的に尋問するのであった。
☆★☆★☆
「バレてしまった以上、もう自重する必要もありませんわね。導輝さん、膝枕してくださいまし!」
「はいよ、おいで百」
ソファーに寝転び、隣に座る導輝の膝に頭を載せる百。
「見せつけるねぇ。これが『恋する乙女』の強さってヤツ?でも次は負けないからね」
「拳藤さんは、そういった方は居られませんの?」
「どうだろうね...。恋愛をしている自分はちょっと想像できないかな。少なくともB組にそういった対象はいないよ」
「そうですの...」
尚、本来なら百を膝枕している導輝に1番に噛み付いてくるであろう峰田は5回戦でどさくさに紛れて芦戸にセクハラをしたことで、現在制裁を受けている。
そして上鳴は塩崎をナンパしている最中のため、導輝たちを咎める者は特に誰も居ない状態である。
そして反省会が終わり、自室でふたりきりになる導輝と百。
「今日はちゃんと上手くいって良かった。またよろしくな、百」
「えぇ、もちろんですわ。これからも末永くよろしくお願いしますね、導輝さん」
これがのちに『最強夫婦』という称号と共に雄英に名前を残す、2人のヒーローの始まりの1歩であった。
導輝と百は長い付き合いで普段から距離感が短いので、日常だと逆に恋人バレしにくいです。
なので戦闘を通してバレた感じですね。
ちなみに恋人になる前と後で2人の連携がどれだけ強くなったかと言うと...。
前→ベストマッチ
後→スーパーベストマッチ
という、
次回は透ルートです。
透ENDと被身子ENDは今回と違って、雄英を卒業して大人になった導輝たちを書く予定となっています。
お楽しみに。