透ルートです。
前回のあとがきではああ言いましたが、分岐点からのスタートなので最初の場面は文化祭のラストです。
ミスコンの結果を確認した俺は、背を向けて歩き出す。
向かう先は、校舎の屋上だ。
ガチャ。
階段を上り、ドアを開けて屋上に入る。
屋上に人の姿は無かった。
俺は視界をサーモグラフィーに切り替えて周囲を見渡す。
そしてひとつの熱源を探知した。
「透、裸で何やってんだ」
「えへへ、導輝くんはやっぱりわたしを見つけてくれるんだね」
屋上では裸の透が息を潜めて導輝を待っていた。
衣服はどこに置いてきたのだろうか。
「導輝くんがここに来てくれたってことは、わたしを選んでくれたってことだよね?」
「そうだ。だがまずは服を着てくれ。このままだと俺は素っ裸の女の子に告白する変態になってしまう」
「それもそうだね。ちょっと待ってて」
そして数分後。
導輝は着衣した透と向き合う。
「透、まずは俺の話を聞いてほしい。俺には夢がある。最高最善のヒーローになって、異形型個性や一般的に『
「うん。ヤオモモちゃんから聞いているよ」
「俺自身の個性『
「......」
「俺は例え周囲から怖がられてもやり遂げるつもりだった。でも、入試で俺のことを『ヒーロー』だと言ってくれた女の子がいた。その子は初めてUSJへ行くバスの中でも同じことを言ってくれたんだ」
「それって...」
「
「導輝くん...」
2人の影が重なってひとつになる。
この日、(神野区やインターン等で)非常に目立つ彼氏と姿が見えず非常に目立たない彼女という、正反対なカップルが誕生した。
そして月日は流れ...。
☆★☆★☆
「へぇ〜、それで父さんは母さんと恋人になったんだね」
俺は自分の子供に透と付き合うようになった経緯を話す。
子供の名前は
今年で10歳になる、俺と透の息子だ。
ちなみに個性は『
仮面ライダーゲンムへの変身能力と、ガシャット作成能力を持った個性だ。
俺と透の間に生まれた子供だからか、『透明化』能力を使用したことがある『ダークライダー』の個性となった。
「ねぇ父さん、もっといろんな話を聞かせて!」
「そうだなぁ...」
透輝にねだられて、俺は過去を振り返る。
今まで俺はこの世界でだけじゃなく、他所の世界でも様々な経験をしてきた。
俗に言う『原作』が終わった俺は、時王ニキみたいに他の転生者を助ける側の存在になった。
そこからはヒーロー業の合間を縫って他転生者のエマージェンシーコールに応える日々が始まった。
いつものコテハン組だと例えば...。
・
彼女は何故か原作世界のDESTINYの時系列にプロヴィデンスガンダム(原作仕様)に乗った状態で転移してしまったので、機械に強いメンバーを中心にフレイネキのサポートへ向かった。
大気圏内でも使用可能にしたドラグーンをはじめ、俺たちが魔改造を施したプロヴィデンスに乗ったフレイネキはテロリストをやっているアークエンジェル組に
原作キラからしてみれば、殺された筈の元カノが殺した本人の機体に乗って現れたものだからさぞかし困惑したことだろう。
下手したらSAN値直葬案件だ。
ちなみにステラやハイネはフレイネキの介入の結果、生存していたりする。
・
DM編が無事に終了し、GX編が始まる。
原作GXのようなデュエリストの質の低下を防ぐべく、OCG次元出身である俺たち転生者は臨時講師としてデュエルアカデミアへ定期的に招かれた。
社長ニキからは『先攻ワンキル以外ならどんなデッキを使っても良い』と言われていたので、実技の授業ではそれはもう暴れたものだ。
座学でもコンマイ語をいくつ言っただろうか。
時王ニキの時械神デッキは本人のドロー力もあってメタデッキ相手でも無敗を貫いていたな...。
・
ハイゼンベルクが自身の工場を遊園地に改装したため、村に観光客がよく訪れるようになった。
観光客の中には、ウィンターズ一家の姿もあったな...。
ってこれはエマージェンシーコールじゃないな。
・
彼は文化祭でのリューキュウの熱烈なアプローチの結果、こちらの世界に移住することを選んだ。
こちらの世界では、
今ではリューキュウ事務所の立派な
うん、本当に色々あった。
「はい、できたよ〜。今日はすき焼きだからね〜」
「わぁい、やったぁ!」
台所から、鍋を抱えた透が
今の透は、目を奪われる程の美人であることを除けば普通の人間だ。
インターンや異能解放軍などの修羅場を潜り抜けた結果、透の個性である『透明化』は常時発動型から任意発動型へと変化した。
透曰く、『導輝くんにずっと自分を見てもらいたい』と願ったら変化したのだそうだ。
個性は持ち主の願いに応える形で成長する。
俺がスパイトネガの無害化に成功したのも、俺がヒーローになりたいと願ったからだろう。
もし俺が
透の個性は今も成長しており、最近は触れた相手も一緒に透明になれるようになった。
このままいくとHUNTER×HUNTERの『
そして翌日。
俺と透はデートをしていた。
一応パトロールも兼ねた活動である。
「最近は平和だね〜」
「最後にこの辺りで
近年は個性差別もかなり減っている。
そのおかげか、
といっても個性犯罪自体は人間が人間である限り無くならないので、ヒーローは今でも必要とされている職業なのだが。
ひと息つくためにファミレスへ透と入る。
「ねぇねぇ、これ見て!カップル限定パフェだって!これ注文しようよ!」
「ちょっと待て透。メニューを見た感じ、このパフェかなりデカいぞ?それに俺たち、もうカップルって歳じゃ...」
「英単語の
そう言って、店員を呼んでカップル限定パフェを注文する透。
「お待たせ致しました」
「うわっ、本当に大きい。溶ける前に食べきれるかな...?」
「だから言ったろ?透が注文したんだから責任持って食べろよ。ほれ」
スプーンでパフェを一口分掬って透の口へ持っていく。
「うふふ。そうやって自然に『はい、アーン』をしてくれる『導輝くん』がわたしは好きだよ〜。はむっ」
美味しそうにパフェを頬張る透。
「不意打ちで名前を呼ぶのはズルいぞ透。結婚してからはずっと『あなた』だったのに」
「今はデート中だからね。あっ、『ダーリン』とかの方が良かった?」
「それは勘弁してくれ...」
「わたしは寧ろバッチコイだけどね〜。今度はわたしが食べさせてあげる!はい、アーン」
日常面では透に振り回されっぱなしだ。
尻に敷かれているわけじゃないんだがな...。
そのまま2人でパフェを食べ進めて残り僅かとなった時、ファミレスの外をパトカーがサイレンを鳴らしながら通り過ぎる。
「何か事件かな?」
「そのようだな。透、パフェの残りは頼む。俺は支払いを済ませてくる」
「わかった!」
2人でファミレスを出る。
「ねぇ導輝くん」
「どうした透......んむっ!?」
いきなり透にキスで唇を塞がれた。
「いってらっしゃいのチュウよ。まあ、わたしも一緒に行くんだけどね」
「ったく、早く行くぞ...!」
「遅れるなよ、インビジブルガール」
「誰に言っているの、仮面ライダーアークワン。わたしはあなたの妻よ。夫であるあなたから3歩以上離れたりするものですか」
「それもそうだったな。いくぞ!」
夫婦でチームを組んでいるヒーローは、今日もまた平和のために奔走するのであった。
はい、というわけで透エンドです。
時系列的には、導輝たちは30代後半といったところでしょうか。
次回の被身子エンドもお楽しみに。
ガールズ&パンツァー最終章の4DX 3話を観に行きました。
6年前に公開された劇場版4DXの約半分の時間とは思えない濃密な内容でしたね。
もし近くの映画館で公開している読者様が居ましたら、是非観に行くことをお勧めします。